2020-07-18
【ゲーム】グランディア レビュー
未だ色あせない名作RPG。ストーリー、キャラ、戦闘、音楽全てが最高。2020年になってこのゲームのレビューを書けるとは。
グランディア
プラットフォーム | Nintendo Switch™、Steam | ![]() |
ジャンル | RPG | |
価格 | NSW版:4,400円(税込。グランディアⅡとセット) PC版:2,200円(税込。単品) |
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公式 | 「グランディア」「グランディアII」のHDリマスター版がNintendo SwitchとPCで登場! | |
プレイ時間 | 1周目:60時間 |
ストーリー
- 産業革命の傍ら、「世界の果て」が発見され、冒険者という職業が廃れ始めた時代―パームに住む少年ジャスティンは、冒険者になり、かつて存在したエンジュール文明の謎を解くという夢を持ちながら、日々冒険ごっこに明け暮れていた。ある日、軍の管理する遺跡に忍び込んだジャスティンは、父の形見の精霊石の力で、最深部に入り込んでしまう。そこに現れた「リエーテ」と名乗る少女から、エンジュールについて知りたければ遙か東方にあるアレントに来るよう招かれ、ジャスティンは街を出る決意をする。それは、世界全体を巻き込む大冒険の始まりだった―
- 1997年にセガサターンで発売された同名タイトルの移植版です。移植にあたって画面のHD化やUIの改善などがなされ、当時の雰囲気を残しながらもプレイは快適になっています。特に画面は単にHD化されているだけでなく、スプライト自体が強化されているので今見ても荒さは感じませんでした。
- yukkun20はこれまで、ストーリーが最も良かったRPGを聞かれた時は、(テイルズオブファンタジアを差し置いて)グランディアだと答えてきました。でも最後にプレイしたのは2000年頃なので、正直自分の中で思い出補正されているだけで、ホントはそこまで素晴らしいストーリーではなかったんじゃないか…そう思っていて、実は今回プレイするまで少し葛藤がありました。思い出は美しいままでと思ったこともありました。でもプレイを終えた今、yukkun20ははっきり断言できます。RPGでストーリーが最高のゲームは、間違いなくグランディアであると。王道でまっすぐな展開、明るく、笑いがあふれるストーリー立て、時にシリアスや悲劇も挟み、考えさせられる場面もありました。家族愛、仲間との出会いと別れと再会、男同士の友情、友や世界のために自分の全てを投げ出す勇気に何度も泣かされました。確かに展開が早すぎたり、説明不足だったりするところもあります。キャラクターごとのサブイベントも、最近のゲームみたいに多くはありません。それでも、このゲームにはyukkun20がエンターテイメントに求めているもの全てがありました。プレイ日記つけていても本当に楽しかったし、こんな素晴らしいストーリーを日記にしたことで、これから先いつでもこの思い出に浸れると思うと本当にうれしいです。
システム
- オーソドックスな一本道のRPGです。マップを歩き回りながら、登場人物たちに話しかけてフラグを立て、ダンジョンを攻略して話を進めていきます。
- 特徴的な(当時はですが)システムとして、マナエッグとスキルレベルというものがあります。仲間になるキャラクターは武器を1~3種類、魔法を0~4属性使用できるのですが、魔法は基本的にはマナエッグというアイテムを使用しないと扱える属性数を増やすことが出来ません。マナエッグはフィールドに落ちているのですが、有限でおまけに取り逃すと再入手できないものがほとんどなので、マップを隅々まで探索することが必要です。そして武器や属性魔法にはそれぞれスキルレベルが設定されていて、使用するごとにレベルが上がっていきます。武器レベルが上がるとステータスが上昇し、魔法レベルが上がるとステータスが上昇したり詠唱時間が短くなったりします。またどちらも一定のレベルに達すると、新しい術技を習得できます。それによってキャラごとの個性が出されていました。
- 残念ながら、ストーリーのスキップやオートモード、会話ログ機能などはありませんが、それも時代ですね。セーブロードは早いし、動きもキビキビして、イライラさせられる待ち時間はありませんでした。ボイスは本当に重要な場面にしかありませんが、ボイス付のイベントはどれも中の人の演技が素晴らしく、思いっきり引き込まれました。
- ただ、顔グラフィックが誤って表示されるシーンがいくつかあったのはとても残念です。オリジナル版ではそういうバグはなかったはずなので、移植時のミスですかね。再現率100%で、必須イベントで発生するバグなので、テストプレイを一度でもしていたら気付かないはずはないのですが…。
キャラクター
- フィーナは俺の嫁。
- ジャスティンはまっすぐで、あまり後先考えたりせず心の赴くままに行動する少年です。個人的にはこういう思慮の足りないキャラはあまり好きではないのですが、ジャスティンだけは別ですね。彼は本能的に正しいものを選び取って、そこに向かって引っ張っていけるいわゆるカリスマを持っている少年だと思います。それでいて、周囲の人の言葉もきちんと聞いて、その上で決定が出来るんですよね。冒険活劇の主人公として、申し分のないキャラでした。
- スーも素敵なキャラでしたね。ちょっとおませで、ジャスティンの保護者でもあり妹分でもある魅力あふれるキャラでした。彼女がいなければジャスティンは世界の壁を越えることは出来なかったでしょう。機転も利いてパーティのピンチを救ったこともあります。自分の意思ははっきり示しますが、それでいてわがままではなく、仲間のために身を引く思いやりもあります。彼女との別れのシーンはyukkun20のゲーム史においても強く記憶に残るシーンの一つだし、今回も案の定号泣でした。
- そしてフィーナです。序盤は明るく、先輩冒険者として頼もしい存在でもあります。それでいて固定観念から抜け出せてなかったり、あっさり敵にさらわれちゃったりして、庇護欲をかき立てられます。中盤はジャスティンの頼れる仲間として活躍しますし、ジャスティンのことを心配したり、焼きもちを焼いたり、彼のために身体を張ったりと、その心の動きがめまぐるしく、ジャスティンと友にプレイヤーの心もつかまれます。終盤は姉や自分の運命と向き合い、苦悩し、重要な決断をし、そして最後は仲間たちの元へ戻ってきます。これまでの話があるから、素直に彼女を助けたい、その力になってあげたいと思わせてくれます。そして衝撃のエンディング。ここまでされたらもう好きになるしかないでしょ。
- そのほか、頼れる大人の男で、真の勇気とは何かを教えてくれたガドイン、時に憎まれ口をたたきながら、面倒見が良く、ジャスティンの一番の親友でいてくれたラップ、先頭切って敵に突っ込んでいき、家族への愛情を身をもって示したミルダ、ジャスティンを導き、本当のピンチを切り開いてくれたギド、不思議少女かと思いきや、天然毒舌というギャップが素敵なリエーテなど、仲間はみんな魅力的でした。それ以外にも、主人公サイドではあまり描かれなかった男女の愛を見せてくれたミューレンとリーン、どこか憎めない悪役で、最後は主人公たちと力を合わせるという王道展開を見せたガーライル3人娘、ジャスティンのことを信じ、愛し、そして彼のためにできる限りのことをしてくれた母リリィ、先輩冒険者として、冒険者に大切なもの(とトロッコの乗り方)を教えてくれた冒険者ジン、ジャスティンが世界をつなぐ最初のかけ橋となった亜人の少年レムなど、印象的な登場人物がいっぱいでした。
海より大きな母の愛。グランディア三大感動シーン。 #グランディア #NintendoSwitch pic.twitter.com/kuZKgtSZKk
— yukkun20@Y.A.S.管理人 (@yukkun20_yas) April 13, 2020
- それでいてモブも見逃せません。モブキャラにも大体会話が2~3パターン用意されており、何度か話しかけることでより深い設定に触れることも出来ます。。ストーリーが進むごとに町の人の会話もこまめに変わり、人となりも分かってきて、生き生きとしたキャラクター性を感じられるようになっていました。思い返せばグランディア3でもこの伝統は生きてましたよね。yukkun20は3は黒歴史だと思っていますが、その点だけは評価しています。
戦闘
- この時代では珍しい、アクティブターンバトルになっています(アトリエや軌跡シリーズの戦闘が近いです)。
- 敵味方のアイコンが、戦闘画面の右下に表示されるIPゲージ上に表示され、それぞれのキャラの行動値に応じた速度で左から右に流れていきます。味方アイコンが「COM」の位置に達すると時間経過がとまり、そのキャラが行動をコマンドで選択します。コマンドを選択すると、各コマンドに設定されたスピードに応じてさらにアイコンが進み、「ACT」の位置に達すると(通常攻撃の場合はCOMからACTに即座に移動する)、通常攻撃やスキルであれば発動可能位置までキャラクターがフィールドを移動し、攻撃します。術であればその場で術が発動し、敵味方に術の効果が発動します。
- 敵も同じルール上で行動します。各行動にはそれぞれ、攻撃力と共にIPダメージ力が設定されていて、相手に攻撃を当てると、相手をIPゲージ上でノックバックさせることが出来ます。それにより行動を遅延させられますし、相手のゲージがCOMからACTの間にある時にノックバックさせたり、大きくノックバックさせたりすると、敵の行動を中断させることも出来ます。ダメージを稼ぐか、IPダメージを稼ぐかの選択を迫られる場面も多々あります。
- 正直、システムとしては完全に完成されています。たとえばyukkun20はワイルドアームズ2をゲームアーカイブでプレイしたことがありますが、戦闘は非常にテンポが悪く(これは時代のせいなので仕方がないのですが)、今の基準でプレイするのは苦痛を感じるレベルでした。でもこのゲームは、確かに時代の流れは感じるものの、まったく苦痛を感じません。難易度は全体的には低いですが(これは難易度調節がないため、意図的にそうしているそうです)、戦略性もあり十分楽しめました。
- 各キャラの動きも賑やかですし、術技の演出も凝っています。演出は飛ばせないので終盤には飽きが来ることもありましたが、あまり大きな弱点には感じませんでした。
GWも終わって元気のチャージが必要ですよね。 #グランディア #NintendoSwitch pic.twitter.com/RFWoKFiKSj
— yukkun20@Y.A.S.管理人 (@yukkun20_yas) May 9, 2020
- そんなわけで、「古いゲームは戦闘がだるいから」といってプレイしないのはもったいないですよ。
総評
- 完全にほめちぎりましたけど、まったく後悔してません。ここまでで触れられませんでしたが、岩垂氏の音楽も素晴らしいです。現代ほどドラマチックなイベント演出が出来るわけでもないのに、それでもこれほどストーリーが刺さるのは、BGMの力も大きいと言えるでしょう。
- 最近の哲学的なストーリーとか、重厚な世界設定とか、そういうのも嫌いではないんですけど、やっぱりエンターテイメントの基本は冒険活劇でしょ!と思う方には強くおすすめしたいゲームです。
- またリマスターとしても秀逸な出来でした。ストーリーや演出などには余計な手をまったく加えず、グラフィックやUIなど改善すべきところはキチンと手が入っていて、最近のゲームに慣れた世代でもストレスなく楽しめると思います。ただダンジョンのギミックは結構難易度高いので、攻略本かサイトは必須かも知れませんが…。全体的に見ても、顔グラバグ以外欠点が見当たらないよ。
- そんなわけで、このゲームは、yukkun20の心の中で永遠に輝き続けると思います。yukkun20がゲームを本格的に始めた大学1年の時、最初にプレイしたのはテイルズオブファンタジアでした。それに続いてプレイしたのが、このゲームとサモンナイト2です。この3つが今のゲーマーとしての自分の基礎になっていると言っても過言ではないでしょう。随分前にリメイクされている他の2本から大分遅れましたが、再びこの名作に触れられたことを心から感謝しようと思います。ガンホーさんありがとう。次はファンディスクの移植、よろしくお願いします!!!
これ他国から反対意見とかでなかったんですかね。それとも押し切ったのでしょうか。リ…