ついに最終回です。第1回から欠かさず楽しませていただきました。米村先生、森岡先生、ありがとうございました。
星界の紋章 第41話
漫画:米村孝一郎
レーベル:コミックメテオ
レビュー
表紙からこのイラストは反則でしょうよ…。戦旗Ⅰでラフィールの艦に乗り込むことになる5人の先出しです。キャラデザは原作ではなくアニメ版準拠ですね(サムソンの顔に傷があるのはアニメ版だけ)。早くこのエクエクが歌を歌うところを見てみたいものです。
さて、ラフィールとジントが帝都にたどり着いてから3年が経ちました。この3年、帝国と敵国との間には大きな衝突はなく、お互い力を蓄えてきたわけですが、冷戦時代もそろそろ終わりそうです。
スポール准提督は昇進し、前線から離れることになりました。本人は不満そうですが、この耐えがたい上司から解放されると一人微笑む先任参謀が一人…
短い…夢だったね……w
士族に叙され、念願の船を手に入れた(ような感じの)クラスビュール戦線の面々、強制収容所に送られたカイトと文通するエントリュア、クリューヴ王家の支援で新しい事業を始めたセールナイたち―3年の間に時代も動き、人々の営みも少しだけ変わりました。
無事主計修技館を卒業し、正規の軍人となったジントは、出撃前に前フェブダーシュ男爵スルーフを訪ねます。叙爵と叙任にお祝いを言われたジントは、自分が突撃艦「バースロイル」に配属されたことを告げます。
ジントが艦に着くと、そこには艦長―ラフィールが待っていました。3年ぶりの再開を二人は喜びます。他の人達に自分たちの特別な関係がばれないよう、ラフィールのことを「艦長」と呼ぶジントに、ラフィールは高々とこう宣言したのでした。
今回は原作で言えば紋章Ⅲのpp.245~260でした。他媒体のコミカライズなんて、必要ないところはバンバン省かれて中身がスカスカになっているものも多い中、原作小説の魅力を余すところなく描いてくださったことには本当に感謝しかないです。これもWeb連載という形だから取り得たことなのでしょう。
星界は挿絵が少ないタイプの小説なので想像力で補完しなければならない部分も多く、yukkun20のように想像力が貧困な人間はアニメでの描写に頼らざるを得ないところも多かったのですが、米村先生の新しい解釈や、アニメでも描かれなかった部分の表現などが追加されたことで、さらに星界ワールドの奥行きが広がったのではないかと思います。
この令和の時代に星界の新しい作品が読めたことを感謝して、また戦旗Ⅰのコミカライズが始まることを祈って、この作品のレビューも終わりにしたいと思います。これまでお付き合いくださった皆様、ありがとうございました。米村先生の次回作にご期待しています!
今回の殿下
原作にはない、ロマンチックな台詞と表情の殿下。
3年ぶりに会ったのに、他人行儀な呼び方をされてむくれるラフィール。本来ならラフィールがジントのなれなれしい呼び方をたしなめるところだと思いますが、この僅かなやりとりからも、ラフィールが新造艦を前に少し浮き足立っていること、そしてジントとの再開を心待ちにしていたことが分かりますね。
ジントの「会いたかったよ」という言葉を聞いて満足げな殿下。
そして初登場時(↓)と同じセリフできちんと物語を締めくくった殿下。彼女がこの先幸せになりますように。森岡先生お願いします…
※画像は第41話より引用(最後の画像のみ第1巻より引用)