2023-11-26

来年3月に戸籍とマイナンバーが連携します

久しぶりに真面目な話題を。

戸籍法か改正され、来年3月から本籍地以外の市町村でも戸籍謄本の申請ができるようになるみたいです。

この仕事やっていると、人様の戸籍謄本を取得することがよくあります。例えば相続事件の場合を処理する場合、亡くなった方の生まれてから亡くなるまでの戸籍が必要になります。戸籍って一つじゃないの?と思われるかもしれませんが、日本人は一生の間に戸籍が何度か作り直されています。本籍地が変わった場合(転籍や結婚、離婚等)や、法律で戸籍が改製された場合(手書きから電子化されたとか)などに、従来の戸籍が閉鎖されて、新しい戸籍が編成されます。

そしてそれぞれの戸籍は、それぞれの本籍地の市町村が管理しています。例えばある人が生まれてから亡くなるまでの間に、A市→B市→C市と本籍地が変わったとすると、戸籍謄本はA市とB市とC市それぞれに申請しなければなりません。しかもその人の本籍地がA市→B市→C市の順で変わったとあらかじめ分かっていればいいんですが、場合によっては亡くなった時点での本籍地しか分からない事もよくあります。そういう場合、まず分かっているC市で戸籍謄本を取得します。その戸籍謄本を見ると、C市の前の本籍地がB市だと分かるので、今度はB市で戸籍謄本を取得します。それを見るとその前の本籍地がA市ということが分かるので、今度はA市で取得、という流れです。全部郵便でやりとりするので、戸籍を集めるだけで一苦労です。これが全部最寄りでできるとなると、1日で集める事も可能になるんじゃないのかなぁ…。

ただ記事によると、

各市町村が管理していた戸籍の情報がマイナンバーと連携して本籍地がある役所以外からもアクセスできるようになり、年金などの社会保障手続きの申請や、婚姻の届け出などで役所の窓口に戸籍関係の書類を提出する必要がなくなります。

※上記リンク先より引用

ということなので、マイナンバー法が施行された時点ですでに亡くなっていた方の場合は適用外の可能性があるな…。


2013-11-29

呼ばれて行ったのにこの仕打ち

今日は仕事で午後から夜までずっととある場所に詰めていたんですが、そこの空調が極めて貧弱で(しかも室内なので防寒装備をしていなかった)風邪を引いてしまいました。

そんなわけで本日の更新はお休みです。


2012-11-13

倫理研修に行ってきました

久々に仕事の話でも。

弁護士は一定の期間(現在は5年)ごとに、「倫理研修」を受ける必要があります。

「倫理研修」というのは、その名の通り弁護士倫理を学ぶための講座です。弁護士は弁護士会という組織を作っていますが、これはどこのお役所にも属さない団体で(たとえば司法書士会が法務局管轄というのとは異なる)自治を認められている関係上、各弁護士も高い弁護士倫理をもって仕事をすることが期待されています。

最近は弁護士の関係する不祥事も多いですからね…。そんなニュースになるような不祥事でなくても、例えば「対立する当事者の依頼を同時に受けた」「職務上の秘密を第三者に漏らした」「依頼者への説明義務を果たさなかった」など、意識を高く保っていないと失敗しやすい分野もたくさんあるので、こうやって定期的に研修を行っています。

「対立する当事者の依頼を同時に受けた」なんてあるわけないだろと思うかも知れませんが、例えば市役所の無料相談で奥さんから離婚に関する相談を受けて助言したら、別の日に事務所で旦那さんの相談を受けた、っていうことはあるわけです。もちろんどちらの相談の時も、相談者から相手方の住所と名前は聞いて、記録にも残しているんですけど、それを思い出すかどうかは自分の記憶力次第ですからね…
うちの事務所では全部PCで管理して、そういうミスがないように心がけてはいるのですが。

なお研修は各弁護士会が内容を決めることになっていますが、当方の弁護士会では伝統的にパネルディスカッション形式でやっています。設題が与えられて、それに対して両極端の意見を持つ(という設定の)弁護士が二人で討論して、それに聴衆が意見を述べるという感じです。今年もそれでしたけど、なかなか飽きさせないようになっていて面白かったです。

※ゲーム一言日記

  • エクシリア2…Chapter7クリア。ボスが3人いるなどかなりハードな章だった。
  • サモンナイト3…2週目第12話夜会話回収中。12話は戦闘終了から夜会話までのイベントが非常に長いので面倒くさい。

2012-03-18

法律事務所×TVCM

先日、僕が以前いた事務所が流しているTVCMを見る機会がありました。

一昔前までは弁護士事務所がTVCMを流すなど考えられなかったのですが、2000年に弁護士広告が自由化され、最近では普通に見られるようになりました。ブタさんやらかぐや姫やらが出てくる全国展開の某事務所でなくても(ちなみにこの事務所のCMはちょっとふざけすぎているのではないかというのが僕の周囲の意見です。僕は嫌いではないのですが)、ローカル局でCMを流している事務所は旅行先などでも時々見かけます。

前にいた事務所のCMは、所属している弁護士が出演していると事前に聞いていたので、どんなもんなのかと怖いもの見たさでチェックしたのですが、なかなかスタイリッシュにまとまっていて、製作者のセンスが感じられました。僕もあと1年その事務所にいたらこのCMに出ていたのか…それはちょっと恥ずかしいかも。

実際どのくらい効果があったのか、今度聞いてみようと思います。自営業にとって広告宣伝費は大事な問題ですからね。

そういえばうちの事務所では、最近、事務所の公式サイトを見て来て下さる方が相当数増えました。今のところサイトを事務所の宣伝にしか使えてなく、来訪して下さった方に役立つ情報をお届けできていないのが心苦しいですが、今後もこまめに更新していきたいです。


2012-03-16

開放的なのと開放されてるのは違うだろ

<少年院から逃走>15歳、フェンス乗り越え 3時間後確保(毎日新聞社) – エキサイトニュース

なんだか最近脱走に関するニュースが多いですね。

ちなみに日本では刑務所からの脱走は単純逃走罪(刑法97条)により犯罪となりますが、刑は1年以下の懲役とかなり軽い類型の犯罪です。国によっては単純逃走は不可罰としているところもあります。これは拘束されている者が脱走を図るのは心情的に非難しにくいという背景があるようです。

少年院からの脱走の場合はこれとは事情が違うようです。逃走罪の成立要件は「裁判の執行により」「拘禁された」「既決又は未決の者が」「逃走」なのですが、

  • 少年院送致を命じた家裁の審判は「裁判」に当たらない
  • 少年院は刑事収容施設ではないので「拘禁された」に当たらない

という2つの説が見受けられました。どっちが正しいのか弁護士的にはっきりさせたいところですが、手元に資料がないので後日にさせてください。法務省発表によれば前者のようですが…

それはともかく、

松山学園の宇野泰永次長は記者会見で「初等少年院は刑務所と違い開放的だ。適正な人員配置をしたうえで逃走があっても仕方がない」と話した。

っていくら何でもコメントがまずすぎるでしょ。仕方ないて。


2012-02-01

久々の法律ネタ

今日は少し気になったニュースの紹介を。

オセロ中島が家賃滞納400万円…家主・本木雅弘が訴訟へ (デイリースポーツ) – Yahoo!ニュース

オセロの中島さんが家賃を400万円滞納して、貸主である本木さんからから賃料請求訴訟を提起されそう…としか読めないタイトル。半年の家賃が400万とかすげーな。

ま、それはさておき、ニュース記事によると、

体調不良で長期休養中のオセロ・中島知子(40)が東京・渋谷区内にあるマンションの家賃を滞納しているとして、家主である俳優・本木雅弘(46)が支払いを求める訴訟準備に入っていることが30日、分かった。…原告は本木ではなく家賃保証会社で、2月にも提訴となる見込みと伝えている。

あまり詳しい事実経過は書いていないのですが、これは要するにこういうことだと思われます。

  1. 中島さんが本木さんから家を借りる際に、家賃保証会社が中島さんの賃料支払債務を保証(つまり、中島さんが賃料を滞納した場合、家賃保証会社が代わりに支払いますよ~という契約。保証会社は本木さんから保証料を取っている)
  2. 中島さんが賃料を滞納したので、契約通り保証会社が本木さんに賃料を中島さんの代わりに支払う
    保証人が主債務者(今回の件で言えば中島さん)に代わって支払いをした場合、保証人は主債務者に、自分が支払った金を返せという権利を持ちます(これを求償権と言います)。
  3. 保証会社が求償権に基づき、中島さんに訴訟を提起

要するに、訴訟を起こすのは家賃保証会社で、本木さんの意思ははまったく関係ないんですよね(本木さんはすでに賃料を家賃保証会社から受け取っているため)。なのに「本木が支払いを求める訴訟準備に入っている」っていうのは表現がおかしいんじゃないか…と思うわけです。デイリースポーツは話題性が欲しかっただけだろ。


2011-11-30

そろそろ年末調整の時期ですよ!

今日で11月も終わりですね。今年もあと1ヶ月。悔いのないように頑張りましょう。

うちの事務所は月末が給料日なのですが、今日が事務員を雇って丸1年たった給料日だったので、思い切って昇給することにしました。いつも書いてますけどうちの事務員はホント優秀で、仕事はできるわよく気がきくわ法律的なセンスもあるわでうちの事務所の屋台骨です。万が一どこかに引き抜かれでもしたらエライことなので、待遇は良くしてあげたい。しかしうちの事務所もまだ駆け出しでこれから先どうなるか…やっぱりボーナスを多めにして昇給は見送るべき?いややっぱり逆にすべき?とここ1ヶ月くらいずっと悩んでいました。上げるにしても上げ幅がよく分からないし…

そんな中、弁護士会の事務員がどのくらい給料をもらっていてどういうペースで昇給しているのかを知る機会があったので、それを参考に決めさせてもらいました。事務員さんも喜んでくれていたみたいで良かったです。

でも心の中では、私の給料を上げるくらいなら、2人目の事務員雇って欲しいな…と思われているのかも知れません。人を使うのって存外難しい。


2011-11-16

このためだけに加入するのはちょっと…

今日も今日とて市内某所で講演をしてきました。

講演の内容は「遺言・相続」という、弁護士の講演としては基本とも言える内容でした。といってもこのテーマを扱うのは初めてで、かつ非常に広い範囲の話をしないといけないので、原稿作りは苦労しました。丸2日くらいかかったかも(通常の講演なら半日~1日)。

しかし今回特筆すべきなのは、なんと講演の様子がテレビで放送されるってことですよ。パチパチ(拍手。最初取材の申し込みを受けたときは迷ったんですけど、これが宣伝につながればとお受けすることにしました。おいおいどうするよ。これですごく人気が出て、テレビに引っ張りだこになって、カリスマ美少年弁護士とかでもてはやされて、そんでこのブログが見つかって炎上みたいな。

がしかし。取材はケーブルテレビさんでした。地上波じゃなかったんだ。しかもローカルのケーブルテレビなので、宣伝効果はあまり期待出来なさそうです。そしてなによりの問題点は、うちはケーブルテレビに加入していないから、自分の放送が見れないということだ…orz

一応講義終了後に、テレビ局の人にVTRもらえないか交渉してみましたが、ダメでした。まぁそりゃそうだろうな。取材の許可は出したけど放送の許可は出してないから…って著作権盾にごねるか。だめだな。テレビ局の取材を許した時点で放送込みの許可を出したことになるに決まってますもんね。

それはそれとして、講演終了後に、受講者のアンケートを見せてもらいましたが、概ねわかりやすく勉強になったと好評でした。でも「せっかく弁護士が来るんだからもっと専門的なことが聞きたかった」という意見もちらほら。気持ちはよーくわかるんですけど、現実2時間で専門の話をしようとすると、初心者さんが完全に置いてけぼりになっちゃうんですよ…。せめて4時間あれば。


2011-11-12

こういう仕事はお金にならないけど結構好きです

今日は弁護士会のイベントで、2時間ほどの講演をしてきました。

前日にリハーサルをやってみると、1時間強で話し終えてしまい、かなり焦りました。なんせこれから話を足そうにも、すでにレジュメを弁護士会の人が印刷にまわしてしまってましたから、新しく項目を付け足すわけにはいかないんですよね…しかたなく、余談的な話をいろいろ組み込んで、何とか1時間40分ほどにすることが出来ました。10分質疑応答、10分休憩でばっちりだろ。

んで今日はその本番だったんですが、自分でいうのもなんですけどなかなかいい話だったようです。終了後のアンケートも見せてもらったんですけど、「わかりやすくて良かった」という意見が大半で、批判的なコメントは1つもありませんでした。満足いただけたようで良かったです。

弁護士会からは来年もよろしくと言われてしまいました。このイベントは毎年似たような方が参加してくださるので、毎年話をして顔を覚えてもらうのも悪くないんじゃないかと思っています。…ちょっと長期計画になりそうですが。

今度の水曜にも講演があるからまた原稿を作らないとな…まだ半分くらいしかできてないわ。


2011-10-17

マジメな話をします

先日岡山弁護士会がこのような会長声明を出しています。

国選弁護報酬基準及びその運用の抜本的見直しを求める会長声明

この声明のきっかけとなった事件が記載されていますが、この内容がひどい。

事案がちょっと分かりにくいので、自分なりに平易な内容にしてみます。
事件は窃盗事件で、前のお客がATMに忘れていったお金を被疑者が持って行っちゃったという案件です。この場合、被害者はお金を忘れた人のような気がしますが、法律上は金融機関に忘れていったお金の占有(やや法律的な概念ですが、ここでは管理権程度の意味だと思ってください)は、忘れた人ではなくその金融機関にあるとされています。また窃盗の被害者は、被害品の占有者であると定義されています。よってこの場合、窃盗の被害者は金融機関という事になります。

さて、この被疑者の国選弁護人になった場合(もちろん被疑者が事実を認めていることが前提)、一番しなければならないのは被害弁償です。つまり被害者にお金を返すわけです。しかし本件では、金融機関がお金を忘れた人に損害を補填することはしていませんから、実際に損害を受けたのはお金を忘れた人ということになります。本件の弁護人もそう考えて、お金を忘れた人に、被告人が持っていったお金を全額返し、見事に減刑嘆願書(被害者が、「被告人も反省しているようなので、あまり重い刑にしないでください」と一筆書いた書面のこと)をもらうことが出来ました。その結果被告人は起訴猶予(刑事裁判にかけられることなく事件が終了すること)となりました。弁護活動としてはパーフェクトと言っていいと思います。

法テラス(国選弁護人の報酬を支払うところと思ってください)は、被害者と示談を成功させた場合、報酬を加算することになっています。ところが悲しいかなお役所仕事。法テラスはなんと、今回の示談は被害者=金融機関との示談ではないので、報酬は加算できない、という判断をしてしまったのです。でも、今回のケースで被害者である金融機関と示談しようとしても、金融機関は実際に損害を受けているわけではないのでお金は受け取ってくれませんし、減刑嘆願書なんか書いてくれるわけもありません(会社ですからね)。ですから、被害者と示談せよというのは無茶振りということになるわけです。

この件、皆さんはどう思われますか?