2023-08-18
ジブリファンの義務なので…と言いつつ実は少し楽しみにしていました。
君たちはどう生きるか
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あらすじ
時に第二次世界大戦中。家事で母を失った少年・眞人は、父の再婚に伴い東京を離れ、「青鷺屋敷」へと引っ越してきた。新しい環境に複雑な感情を抱き、どこかなじめない眞人の前に、しゃべる不気味な青鷺が姿を見せるようになる。ある日、森へ入っていく義母・夏子の姿を見た眞人はその後を追いかけ、敷地内にある塔へ入り込む。その塔はかつて大叔父が立てたとも、空から降ってきたとも言われ、時に不思議なことが起こる謎の塔だった。青鷺とともにその塔から見知らぬ異世界へ飛ばされた眞人は、その世界にどこかにいるらしき夏子を探して前へ進んでいく―
感想
なんというか、難解な映画でした。yukkun20の見た映画の中では多分シンエヴァが一番近い。ジブリ作品なら千と千尋。宮崎監督お得意の、主人公が異世界に迷い込んで、冒険の末日常生活に戻ってくるという流れではあるのですが、いわゆる物語的な伏線というものが見当たらず、次の展開が読みにくく、メタファーらしきものが多数あるものの解説もないので、総じて難解という評価になります。少なくともyukkun20がエンターテイメントに求めているものではないです。
ただ面白くなかったわけではなくて、最近のジブリ映画の中ではわりと好きな方に位置する作品です。すごく評価がむずかしい。最後眞人に対して青鷺が、「異世界で見たことは次第に忘れていくだろう、だがそれもいい」というようなことを言うのですが、まさにそんな感じでした。強烈に面白かったわけではなく、いずれストーリーも忘れてしまうのではないかと思いますが(ナウシカとかトトロとか、30年経っても忘れることはないですからね)、なんかそれでもいい気がします。
ヒロインのヒミもいいキャラクターだったし、最後別れるシーンではぐっときました。そのほか最初は気持ち悪いだけだったのに、いつの間にか主人公の悪友になっていった青鷺にせよ、どこかコミカルな悪役(というのも少し違いますが)のインコ大王にせよ、ちょっと感情が大げさですが家族を愛していることが伝わる眞人の父にせよ、魅力的なキャラが多かったのもよかったです。相変わらず中の人の演技は概ねアレでしたが…
とはいえ、「青鷺の目的は何だったのか」「夏子は異世界で眞人に再会したとき何故拒絶する態度を見せたのか」「キリコの頭に傷があった理由は?」というあたりはよく分かりませんでした。ネットでは、「青鷺は大伯父の後継者を探すのが仕事で、夏子は(眞人を後継者にさせないために)自分の産む子を後継者にしようとしていたが、眞人が空気を読まずにやってきたので怒った」みたいな考察があって、なるほどなーと思いました。
まあとにかくすごく独特で、宮崎駿監督にしか作れない映画だったと思います。これを見ないのはちょっともったいない気もしますので、ぜひ劇場に足をお運びください。
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2015-03-13
久々に「映画を見に行かなかったジブリ作品」だったわけですが、今日はいろいろ偶然が重なって時間がとれたので、金曜ロードショーで視聴しました。
かぐや姫の物語
制作:スタジオジブリ
監督:高畑勲
上映時間:137分
公式:かぐや姫の物語 公式サイト
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レビュー
ものすごく感想を書きづらい映画ですね-。
あらすじとしては、古典「竹取物語」にかなり忠実に作られています(といっても僕も高校の授業で習った程度の知識しかないのですが)。オリジナルの登場人物が出たり、おばあさん(媼)の出番が多かったりと多少のオリジナリティはあるのですが、最後ハッピーエンドになったりといった大きな改編はありませんでした。これをいいことととらえるかどうかは微妙なところです。
ただ、登場人物の心情を深く描いていることで、原作では疑問に思うことの一部が解消されており、そこはよかったと思います。原作はかなり理不尽な展開が待っていますし、姫も姿は美しいですが心はどうよ?みたいな描かれ方をしていますよね。でもこの映画では一人の等身大の少女として描かれていて、心情的にも十分感情移入できるものだったのでよかったと思います。
映像はきわめて特徴的な扱われ方をしています。この少ない線で画面構成をうまくまとめるのは見た目以上に大変なはずで、それを感じさせない造りになっていたのもさすが高畑監督。…ですが、最近のCGばりばりのアニメに慣れた自分にはもの足らなかったのもまた事実です。
あと心配だったキャストの演技ですが、これは全く不満はありませんでした。姫も翁も媼も、きちんと物語の雰囲気に沿った感じになっていました。ここまでされたら文句は言えませんわ。
…と、要素を分解してみると評価は高くなるのですが、個人的に楽しめたかと言われるとそうでもないです。結局いつもの話に戻るのですが、僕は映画にエンターテイメント性を求めているので、わかりやすく、かつハッピーエンドになるのが好きなんです。しかし出てきたのは原作を忠実になぞった話だったので、最後の大どんでん返しを期待した自分にはちょっと肩すかしでした。しかしだからといって、最後捨丸が月の使者と戦って、愛の力ですべて解決!みたいなオチにされたら台無しってレベルじゃないので、結局これは無い物ねだりなのかもしれません。
そんなわけで、良くも悪くも高畑監督の映画という感じでした。おもひでぽろぽろもぽんぽこも山田くんもそうなのですが、おそらくもう一度見返すことはないかな…。そういえばマーニーの米林監督も退社しちゃったみたいですし、ジブリ大丈夫なのかなぁ…。
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2014-08-13
あまり期待してはいなかったのですが、ジブリファンの義務と思い見に行ってきました。
思い出のマーニー
制作:スタジオジブリ
監督:米林宏昌
上映時間:103分
公式:映画『思い出のマーニー』 大ヒット上映中!
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レビュー
うーん、なかなか難解な映画でした。いつも言ってますけど、そういうのはエンターテイメントには求めていないんですよね…もっとストレートに楽しめる作品が好きなのですが。
自分が養子であることにコンプレックスを抱き、いつしか心を閉ざした少女・杏奈。喘息の療養のためにやってきた海辺の村で、杏奈はとある屋敷に住む少女・マーニーと出会う。次第に友情を深めていく二人。杏奈はマーニーの導きに非現実的なものを感じながらも、マーニーの愛を感じ、マーニーを愛するようになる。しかしある嵐の晩、マーニーは杏奈を嵐の中に置き去りにして消えてしまう…
というストーリー。これ話の構造がとなりのトトロとおんなじなんですよね。「田舎にやってきた主人公」「そこで出会う不思議な存在」「次第に仲が深まっていくが、ある日突然別れが来る」「最後に大きな事件が起こり、その存在と再会する」「最後に家族の問題も解決してハッピーエンド」という流れが。
マーニーの正体も比較的初期の段階からほのめかされていて、最後に謎解きがされても「やっぱりか…」という感じ。
ボクも最初から、「まさかとは思いますが、この「マーニー」とは、あなたの想像上の存在に過ぎないのではないでしょうか。」(元ネタがわからない人は「林公一」でググって)と思いながら見てしまったくらいです。伏線とかに弱いボクがそういうくらいだから相当ですよ。
とはいえ、全くダメダメというわけでもなく、わずか12歳の少女が「愛」そして「許し」という高度な概念を口にするのですが、それが薄っぺらに聞こえないだけのストーリーは構築されていたと思います。最後にマーニーと別れるシーンはやっぱりじーんときた。また杏奈の面倒を見てくれる大岩夫妻や、新しい友人となる彩香など、周囲の人物が明るく好印象なので、救われていた感じはします。また「子供を愛していない親はいない」という(残念ながらいまの世の中ではフィクションに近い)テーマも描かれるんですけど、それも陳腐にはなっておらず、やっぱりそういう王道のテーマもいいものだと再認識させてくれました。
もっとも、Wヒロインということもありどうしても「アナと雪の女王」と比べざるを得ないのですが、残念ながらボクの中ではマーニーの完敗です。
中の人の演技?もうあきらめた。アナ雪だって本職の声優はいないのに、どうしてこうなった!
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2013-10-05
行こう行こうと思いながら後回しになっていたジブリ映画最新作にして宮崎監督の引退作品(?)ですが、仕事の合間に時間があったのでようやく見ることが出来ました。
風立ちぬ
原作・脚本・監督:宮崎駿
上映時間:126分
レビュー
最初に言っておきますが、僕はジブリのファンです。ナウシカ、魔女の宅急便、紅の豚あたりは本当に傑作だと思っています。…が、最近の作品にはちょっとがっかりさせられることが多く、実は今回の映画も、最初は期待していたのですがだんだん情報が出てくるに従って期待がしぼみ、映画館にもなかなか足を運べませんでした。
ストーリーはあまり複雑なものではなく、若き日の堀越二郎が、素晴らしい仲間と、上司と、家族と、最愛の妻に囲まれて、飛行機の設計に打ち込むというものです。娯楽映画の割に、大きな事件やカタルシスを得られるような展開はあまり多くなく、淡々と物語が進んでいく(と言っても、個々のエピソードの質が高く、単調な感じは与えない)のが印象的でした。
映画にしては比較的長めの尺ですが、扱う内容の量が多く、場面転換が頻繁に入ります。が、その説明をナレーションや台詞などではなく、風景や印象的な1枚絵に説明させてテンポ良く進んでいくのが良かったです。この辺りはさすが宮崎監督といった感じ。
ストーリー自体は、飛行機開発と、二郎と菜穂子の恋物語という2本の柱を軸に進んでいきます。飛行機開発についてはあくまで写実的に(紅の豚ほどデフォルメもされていない)、恋物語についてはややファンタジック(少女漫画的とでも言うのでしょうか)に描かれていますが、その上にさらにカプローニの夢の世界という幻想がかぶせられているので、一つのまとまった作品になっていたように思います。またここは批判もあるところのようですが、個人的には2本の軸のバランスは均衡が取れていたように感じました。後半は恋物語の方が前面に出てますけど、いいんだよ、男の動機はいつだって女に格好つけたいなんだから(あくまで私見です)。
とはいえ残念なところも。
まずこれはさんざん言われていることですが、やはり主人公の声は技量不足と言わざるを得ないでしょう。別に本職の声優を使わないのはいいのですが(今回も黒川課長役の西村雅彦さんや、カプローニ役の野村萬斎さんは良かったです)、あまりに感情が込められてなさすぎました。二郎はあまり感情を表に出すタイプではないので、通常の場面はまぁ我慢出来るのですが、だからこそ感情が表に出るシーンの演技は大切だと思うんですよね…。本当にオーディションの結果、庵野さんが最高だと思ったのであれば何も言うことはありませんが。
あと、全体としてみればやはり大人向けの映画だったように思います。これは一概に悪いというより好みの問題だと思いますけど、僕がアニメ映画に求めているものとは違ったかな…。最後も予想どおりだったとはいえ、やや悲しい結末でしたし(とはいえ悲劇というわけではない)。
ただ、この映画が左翼的右翼的だとか、戦争賛美だとか言われているのは全然当たらないと思います。むしろ、戦争の是非に関する論議が意識的に排除されているように思いました。敗戦についても、零戦のゆくえについても、たった一言のセリフで語られているだけですし、戦闘シーンもほとんど登場しません。世界から10年単位で遅れる日本が、技術という武器で強大な敵に戦いを挑み、そして負ける、というごく当たり前の事実を当たり前に描いています。あくまで前述した2本の軸から離れることなく、また宮崎監督のいつものような説教臭さもなく、このテーマを描ききったことには拍手を送りたいと思いました。
そのようなわけで、個人的には、「小粒の良作」という評価です。期待していたものよりはるかに上質なエンターテインメントでした。ユーミンの歌も心に残りましたね。
余談ですが、劇場CMで流れていた「清洲会議」はちょっと面白そうだった。
2011-07-25
予告通り『コクリコ坂から』見に行ってきました。いろいろ言いたいことが。
舞台挨拶
- 宮﨑吾郎監督、郡司絵美監督アシスタント、西岡純一広報の3名が来られてました。
- 監督は若いですね。トークはカミカミでしたけど、他のスタッフにもよく気を配っている感じがして好印象でした。まだオーラはないな。入ってきた時先導のスタッフかと思ったもん。
- 郡司さんは普通の女性でした。監督アシスタント目線でのコメントがなくて残念。
- 西岡広報ですけど、この人はダメだ。そもそもファンサービスが何なのかまったくわかってない。鈴木プロデューサーが歳だから来られなかったとか、主題歌を歌う手嶌葵さんが過密スケジュールで予定組めなかったとか、ファンが聞いて喜ぶとでも思ってるのか!その後も作品を楽しみに来た観客に向かって内容をおとしめるようなこと言うし…悪気がないぶん余計腹立つ。しかも「ノスタルジーをウリにしてもメインターゲット層にはアピールできないからCMは失敗だった」とか、人ごとみたいに言ってるが、自分の肩書きは何かもう1回言ってみろ!
- こんな裏話が聞けました。
- 横浜にロケハンに行ったが、海の見える丘という設定なのに、モデルの丘からは海が見えず、海から見える丘も低すぎて絵にならず、ロケハンの意味はなかった。
- 宮崎駿から渡された脚本は、これまでのジブリにない要素が多く驚いた。
- カットバック(同時に起きている別々の場面を交互に移すこと)の多用
- 登場人物がただひたすら会話だけする場面の多用
- あと、劇場側も配慮が足りないと思う。最後の花束贈呈もなぜか郡司さんの分だけなかったし。失礼すぎるだろ。
次に映画そのものについてですが、ごく軽いネタバレがあるのでたたみます。
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映画本編について
- 及第点だと思います。ゲドほどイミフではなく、ポニョや千尋ほど解釈が難解でなく、アリエッティほど説教臭くなく、ストレートな恋愛ものでした。ファンタジー要素のまったくない耳すまといったところか。そういう意味では監督の力量は悪くなかったかと思います。
- ただシナリオはややおもしろ味に欠けるかと。恋愛モノ、しかも少女漫画と言えば普通、出会い→きっかけ→片思い→告白→事件発生→二人で解決という流れが鉄板だと思うのですが、今作は事件発生から解決までが短すぎるのと、事件自体が性質上当事者の力ではどうにもならない問題で、最終的には解決するんですがそれは端的ないい方をすれば問題自体が当人達の勘違いだったというなんともしまらない話でした。
- 声優陣は例によって本職ではありませんが、聞くに堪えないほどではありませんでした。まぁ普通。
- あと自分は芸術心がないので偉そうなことは言えないんですけど、背景がいまいちキャラに溶け込めてないように感じたのと、音楽が致命的にあっていない場面が幾つかあったのが引っかかりました。
- 総じて、作画や人物描写などみるべき所はあったものの、「ジブリ」に求めている作品ではなかったなぁというのが正直な気持ちです。ただ、少なくとも監督はゲドの時より確実にパワーアップしているように思いましたので、次回作にも期待したいと思います。
とりあえず、舞台挨拶のもやもやのせいでいまいち乗れなかった自分がいる。
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