2023-04-10
【ゲーム】幻想少女大戦 -DREAM OF THE STRAY DREAMER - レビュー
未来に遺すべきドット絵SRPGの傑作。
幻想少女大戦 -DREAM OF THE STRAY DREAMER –
プラットフォーム | Nintendo Switch™ | |
ジャンル | シミュレーションRPG | |
価格 | ダウンロード版 4,950円(税込) | |
公式 | 幻想少女大戦 – DREAM OF THE STRAY DREAMER – – 幻想少女大戦 | |
プレイ時間 | 1周目:124時間(ハード~ノーマル+・ノーデス) 2周目:61時間(ルナティック~ノーマル+・ノーデス) |
ストーリー
- 東の国の辺境に位置する、妖怪と人間の暮らす小さな隠れ里―幻想郷。そこは人間と妖怪達が時に敵対し、時に協力しながら暮らす世界だった。ある日、幻想郷全体が紅い霧で覆われるという”異変”が発生する。幻想郷の秩序を守る巫女・博麗霊夢と、彼女にライバル心を持つ魔法使い・霧雨魔理沙はそれぞれ異変の原因を調査するために旅立つのだった―
- ということで、東方ProjectをモチーフにしたSRPGです。以前yukkun20は「東方の迷宮」という、同じモチーフのDRPGをプレイしたことがありますが、あちらはキャラクターと世界観を借りたオリジナルストーリーでした。こちらは基本的に原作のストーリーをモデルにしているそうです(yukkun20は原作未プレイなので表現が曖昧なのはお許しを)。yukkun20は東方の迷宮で東方Projectに興味を持ったのですが、原作はSTGなので(yukkun20はSTGが苦手です)、原作ストーリーを原作をプレイする以外の方法で知りたいと思っていました。そんなわけでドット絵とSRPGというyukkun20の好物と合体したこの作品をプレイすることになったわけです。
- ストーリーは、幻想郷に起こる異変の黒幕を探し、解決していくというものです。元々4部作として作られていたので全体は4つのパートに分かれていて、各パートでそれぞれ1つか2つの異変を解決するという構成です(異変とは関係ない話も多少あります)。
- じゃあどうやって黒幕を倒すのかというともちろん戦闘なのですが、幻想郷では戦いは「スペルカードルール」に則って行われます。これは(作中の説明によると)事前に自分の得意技と名前を考えておき、互いに技を見せ合い美しさを競い、体力が尽きるかすべての技を攻略されると負けとなるというものです。要するに常にルールに則った対等な戦いが展開されます。これは人間と妖怪のバランスを保つため、深刻な命のやりとりを行わずに、人妖間の一定の対立関係を維持するために考案されたそうです(妖怪は人間から恐れられているのが存在理由なので、完全に人間と仲良くするわけにはいかない)。
- ストーリーでは多数の人妖と対立しますが、戦いが終われば遺恨もなく、しれっと仲間に入り、以後みんな強力な仲間として協力してくれるます。ボスであっても例外ではありません。それぞれのキャラクターは人間関係や自分の実力、秘めた過去などいろいろな葛藤を抱えながら生きているのですが、それで重苦しい空気になることもなく、前向きに乗り越えていく明るいストーリーは非常にyukkun20好みでした。原作の魅力もさることながら、話がうまく再構成されていて、多数のキャラクターが登場するのに埋もれてしまうキャラがいないようにストーリーが回っていたのは素晴らしいと思います。
- メインストーリーは、霊夢視点のものと、魔理沙視点のもの2本が用意されています。基本的なストーリーは同じですが、途中で分岐が何回かあり、知らないうちに仲間が増えていたり、あるいは相手と戦う展開になったりといい具合でした。こういうのはあまりにストーリーが違いすぎると2周前提になるからゲームが重くなりますし、かといってあまり違いが無いとなんのために分けてるの?となるのですが、そのあたりのバランスも良かったです。
- また、周回プレイでは1周目のラスボスも仲間になります。単なる周回プレイではなく、「ラスボスの能力で1周目の冒険を追体験する」という立て付けを採っていて、マップごとにラスボスがコメントをしてくれたり、活躍したキャラを褒めてくれたり、各章の敵キャラとの特殊会話が用意されていたりとして周回プレイも飽きずに楽しめます。
システム
- インターミッションパート、ストーリーパート、シミュレーションパートを繰り返して進めていくオーソドックスなSRPGです。
- インターミッションパートでは、キャラクターの強化や装備、編成などをします。このゲームでは各キャラに強さに応じたコストが設定されていて(強いキャラほどコストが高い)、マップごとに設定されたコストに収まるように出撃ユニットを編成する必要があります。また中盤からは、キャラがぐっと増えると共に、2人一組のペアを組んで出撃することも出来るようになります。前衛の方が強いキャラ、後衛の方が輝けるキャラ、特定の組み合わせでユニットとしての強さがぐっと上がるキャラなどいろいろあって、それを悩んでいるだけで楽しいです。
- キャラクターは全部で80人以上登場し、そのほとんどを自ユニットとして使うことが出来ます。キャラクターは原作の設定に合わせたスペル(技)やスキルを修得できるようになっていて、ユニットごとの差別化がきちんと出来ていました。これだけキャラがいると好きなキャラの一人や二人できるはずです。
- もちろん差別化されている=キャラごとに強弱があると言うことです。好きなキャラが弱いと悲しくなりますよね。でも大丈夫です。マップクリア時に手に入るEx-Pを消費することで、ユニットを大きく強化することが出来ます。ステータスも無強化時のほぼ倍になり、さらに一定レベルまで強化することで強力なボーナス(行動回数+1、獲得経験値50%増しなど)を得ることも出来ます。これを使うことで、どんなキャラでも最前線で無双させられるようになっています。
- でも、好きなキャラがストーリーの終盤加入とかだと活躍する暇もなくて悲しいですよね。でも大丈夫です。なんと周回プレイでは、1周目で加入したキャラから6キャラを選び、次周に引き継ぐことが出来ます!これで2周目は最初っから好きなキャラを活躍させられるわけです。1周目で強化に使ったポイントはすべて帰ってくるので、1周目で強化したキャラをもう一度強化するもよし、全然違うキャラを今度は無双させるもよし、とにかくキャラに愛を注げる仕様になっていますね。
- とはいえ、低~中難度ならそのキャラを適当に動かしているだけで勝てますが、高難易度になるとそうもいかず、初心者から上級者までしっかり楽しめるゲームになっていました。2周すると大体160マップくらいあるのですが、そのうちいくつかは非常に難易度が高く、yukkun20もいくつか難易度を下げないとクリアできませんでした…でも一応ノーデスプレイを貫けたのでよかったです。
- また、用語集やキャラ説明、音楽館などがあるのも嬉しい。特に用語集は東方を知らない人でも世界観がきちんと分かるようになっていますし、キャラ説明は原作での立ち位置から作者の方の独自考察まで内容が充実していてすごく助かりました。
- またこのゲームは普通にプレイしているとセーブ&ロードの回数が非常に多くなると思いますが、自軍のターン内であればいつでも中断セーブが出来ますし(1つしか作れないが、ロードしても消えない)、各ターンの最初にはオートセーブがされています。またショートカットボタンでタイトル画面に戻ったり、中断セーブをロードしたりできるようになっているのもよい配慮だと思いました。
キャラクター
- 前述の通り80人以上のキャラが登場します。そのうち霊夢と魔理沙が主人公というポジションですが、どちらかというと巻き込まれ型で、先頭に立ってぐいぐい引っ張っていく感じではありません。ほかのキャラと同じように悩みや葛藤を抱えていて、仲間達と協力しながら異変に立ち向かっていくという魅力的な描かれ方がしていました。
- 周りを固めるキャラもバリエーションに富んでいて、これだけ人数がいながらキャラクターの掛け合いが特定のキャラだけに偏るということもなく、会話劇を見ているだけでも楽しかったです。マップ上で意外なキャラ同士の会話があったり、2周目だと本来そのタイミングで会うはずがないキャラ同士が顔を合わせることもあるんですが、その時にも専用会話が用意されているなど、テキスト量も半端なかったです。
- 特に妹が傷つくことに怯えながらも妹が傷つく方法を採るしかないスカーレット姉妹や古明地姉妹のやりとりや、バカルテットと大妖精の友情や、リリーホワイトとレイセンの再会のシーンや、幽香にあしらわれながらも健気に尽くすエリーとくるみなど、笑いあり、涙あり、ジーンとするシーンありで、本当にキャラクターが立っていました。東方が一大コンテンツになってのも分かるんだよなぁ。
戦闘
- 戦闘は、スクエア制シミュレーションになっています。高低差、キャラの向き、ZOCなどの要素はありませんが、地形の影響はあります。またいわゆるターン制で、味方のユニットが全員行動し、その後敵のユニットが全員動くという昔ながらのシステムが採用されています。
- このゲームの面白いところは、原作が弾幕系のSTGなのが、戦闘にも反映されているところです。敵キャラ(ボスと大半の雑魚)は弾幕という領域を周囲に展開させ、その中に味方のユニットが入ると移動力や回避や防御力が低下します(おそらく弾幕が密で動きにくいというのを表現しているのだと思います)。味方キャラは「低速モード」に切り替えることで、移動力が下がりますが、弾幕の影響を無効化できます。しかし低速モード中は敵の攻撃を回避しても敵の命中率に応じたダメージを受けますし(高速モードなら回避すればノーダメージ)、各キャラは行動前しかモードが切り替えられないので、よく考えてどちらで突っ込むかを考える必要があります。
- さらにボス級のキャラは、「スペルカード」という特殊な弾幕を展開してきます。ほとんどのスペルカードにはターン制限がある代わりに、極めて強力な効果のものも多く(移動不能とか回避不能とかパラメーターがどんどん上昇するとか)低速モードでも無効化できません。ほとんどのボスはスペルカードを複数枚持っており、スペルカードを発動した状態でHPを0にすると、全回復して次のスペルカードを展開してくるので油断なりません。これがあるので高難易度では単純な力押しでの攻略が難しく、じっくり防御を固めて削っていくか、スキルや精神コマンドを利用して火力を集中して一気に攻略するか、様々な戦術を考えて戦うことになります。
- また各キャラにはそのキャラだけの「固有スキル」や、敵撃破時に取得できるPPを使って取得できる「汎用スキル」などを装備させて強化することも出来ますし、また戦闘時には「精神コマンド」を使って、回避力を上げたり命中率を上げたりダメージを加算したりと戦闘を有利に運ぶことが出来ます。しかし敵もスキルやコマンドは使ってくるので攻撃するときはスキルの優先順位も考える必要があります(例えば、攻撃が必ず当たる「必中」より、攻撃を必ず回避する「閃き」の方が優先度が高い)。
- また各キャラはいくつか火力や射程の異なる攻撃方法を持っているのですが、攻撃の際は弾数かMPのどちらかを消費します。弾が尽きれば弾数消費技は仕えませんし、MPがなくなればMP消費技は使えません。弾数やMPを回復する方法はあまり多くないので、そのリソース管理も必要です。
- このようにいろいろ考えることがあるのですが、うまく合わせて超火力が出た時の快感はかなりのものです。どういうユニットをどう育ててどのように運用すればいいのかは、以下のサイトが参考になると思いますよ。
- また戦闘時にはドット絵やカットインイラストによる演出が流がれます。数百の技すべてについて演出とセリフ(パターンが多い)がきちんと設定されているとかすごすぎる。もちろん演出をOFFにしてサクサク進めることもできます。
総評
- 元々は同人ゲームだったとは思えないほど完成度が高いSRPGで、2周で180時間以上プレイしましたが全然飽きが来ませんでした。ほとんど使わなかったキャラもいたりして、まだまだ楽しめるゲームだと思います。トライアングルストラテジーも5周で120時間プレイしましたがまだまだ楽しめそうでしたし、やはりいいSRPGは本当に奥が深いですね。
- お気に入りキャラだったパルスィさんを無双させてあげられたのは本当に嬉しかったです。東方の迷宮でも彼女に愛を注ぎましたが、それでも二番手という感じは否めませんでしたからね。今作では文字通り最強の嫁として活躍してくれました。
- ということで、たくさんのユニットから好きなユニットでチームを組むタイプのSRPGが好きな人、東方について知っていても知らなくてもこのゲームはプレイすべきですよ!
僕はゆっくり解説でしか 霊夢と魔理沙を知りませんでしたが しっかり設定のあるキャラクターだったんですね
しかし2D綺麗ですね
>>そんなわけでドット絵とSRPGというyukkun20の好物と合体したこの作品をプレイすることになったわけです
いまの時代もうほとんど見なくなったからなぁ・・ オクトラでも思いましたが これが子供の頃夢中になったゲームの姿なんですよね
>>それで重苦しい空気になることもなく、前向きに乗り越えていく明るいストーリーは非常にyukkun20好みでした
キャラクターも多くいますし楽しそうなストーリーですよね
>>このゲームの面白いところは、原作が弾幕系のSTGなのが、戦闘にも反映されているところです
スマブラみたいに うまく戦闘システムとマッチしていることなんですね
>>元々は同人ゲームだったとは思えないほど完成度が高いSRPGで、2周で180時間以上プレイしましたが全然飽きが来ませんでした
プレイしていた期間もかなり長かったですね
2023.04.11 19:43 | by sasa (@qzcn82k7xcp8pe3)
yukkun20もゆっくりの方がなじみ深いですね。ポケモン実況でも多いですし。
> いまの時代もうほとんど見なくなったからなぁ
永遠にドット絵やってくれると思っていたサモンナイトもディスガイアも3Dやめっちゃったからね…
これでSRPG枠が空いたので、そろそろFEエンゲージやりますかね。オクトラもあとちょっとレベル上げして、ラスボスと隠しボスを倒したら終われそうなので、ライザ3やろうと思います。
2023.04.12 00:19 | by yukkun20