2019-10-28
SRPGの楽しさの根幹について考えさせられる作品。

ラングリッサーⅠ&Ⅱ
プラットフォーム |
PlayStation®4/Nintendo Switch™ |
 |
ジャンル |
戦術型シミュレーションRPG |
価格 |
6,800円(通常版)
9,800円(限定版)
16,800円(豪華限定版) |
公式 |
ラングリッサーI&II 公式サイト |
プレイ時間 |
1周目:35時間(Ⅰ)/54時間(Ⅱ)
プラチナ:89時間 |
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ストーリー

スプラッシュ画面はこんな感じ
- はるか古より、手にした者に無限の力を与えるという聖剣ラングリッサー。大陸に戦乱の嵐が吹き荒れるこの時代、争いのない世界のために聖剣を求める者は後を絶たない。そしてまた、聖剣の力に魅せられた時の皇帝が動き始める―
- ということで、90年代に人気を博したSRPGのリメイク版です。ⅠとⅡ、2本分のゲームが収録されていますが、ストーリー的には聖剣と、その対になる魔剣をめぐる主人公たちと帝国、そして闇の勢力との三つ巴の戦いが描かれています。
- 90年代という性質上仕方ないのですが、ストーリーは結構淡泊です。ADVパートとSLGパートを繰り返すオーソドックスなスタイルなのですが、ADVパートが非常に短く、キャラごとの掘り下げもほぼありません。またADVパートも会話が洗練されていないというか…尺が短いのに「よし、準備ができ次第やつらを追うぞ!」「準備が出来ました!」「よし、やつらを追うぞ!」みたいな台詞回しがそこかしこに…
- ただ、面白くないかと言われるとそういうことはありません。Ⅰは8ルート、Ⅱは13ルートに分岐しますが、光輝の末裔として帝国を滅ぼす王道ストーリーあり、帝国と和解してかつての仲間と戦う話あり、闇と手を組んで人類を滅ぼす話ありと振れ幅がかなり大きく、先が気になるところも結構多かったです。人類絶滅エンド(文字通り)が本当に描かれるゲームは初めて見た。他方で、ルート差分があまりにわずかすぎて、「このルートは水増しにしかなってないんじゃ…」と思うところもありました。両方ともルートをもう半分くらい減らしてもいいはず。

エンディングでエピローグが入るのはいいゲーム
システム
- 戦闘以外の部分は割とオーソドックスなADVになっていいます。全編フルボイスで、演技も良かったです。時折印象的なスチル絵も挿入されます。しかしキャラの立ち絵、もう一回り大きくてもよくないですか?
- ストーリー分岐はチャート貸されているのでわかりやすいです。しかしルート分岐条件は、一度そこを通過しないと分かりません。また読んだだけではよく分からない条件もあり、発売後しばらくは攻略サイトが少なかったこともあり、結構心配しながらプレイしてました。今は↓のサイトが非常に充実しているのでその不安はなくなってます。
- ただ、チャートは現在進行しているところしか見られない、過去には戻れるが未来には戻れない、最終マップをクリアすると1章からやり直しになる(最終マップを途中でリタイアし、ルート分岐点に戻ることで事実上続けてプレイできますが)など、周回前提なのにめんどくさい仕様になっています。
キャラクター
- 敵味方とも魅力的なキャラがそろっています。またルート分岐で敵味方が完全に入れ替わったりするので、敵だと思っていたキャラが味方になると意外な姿を見せたりして面白かったです。例えばⅡには悪の帝国の宰相を務めている闇魔道士という、「こいつ絶対黒幕だろ!」というキャラがいて、実際正史ルートではそんな感じで終わるんですが、帝国と協力するルートに進むと、そのキャラも世界平和について真剣に考えていることがわかり、力による統一に何の対案も示さず抵抗するだけの光輝の末裔の方がうっとうしくなってくるのは良くあること。

時々入る凪良氏のスチル絵が雰囲気を盛り上げてくれます
バトル
- 2Dマップでのスクエア制のSRPGです。高低差やユニットの向き、ZOCなどの概念はなく、SRPG界で言えばFEタイプです。
- 特徴的なシステムとして、キャラにはHPとMPが設定されていますが、HPはそのキャラの体力ではなく、そのキャラの率いる小隊の人数という扱いになっています。そのため互角のユニット同士が戦闘する場合でも、体力に差があると、戦闘前の体力の少ない方のキャラの方がダメージが大きくなります。またどんなに強力なキャラでも戦闘を繰り返していると次第にHPが削られてしまうので、それなりに戦略性もあります。

戦闘時にはちびキャラ同士の簡易アニメが入ります(省略可)
- また、主役級のキャラは、自分の直接率いる小隊の他に、雇った傭兵(モブキャラ)の率いる小隊をいくつか率いることになります。傭兵小隊もマップ上は一つの独立したユニットとして扱われて、個別に行動させることも可能ですが、面倒なら主役級キャラに追随するように自動で動かすことも可能です。傭兵キャラは主役級キャラの近くにいないと著しく戦闘力が落ちるという特徴がありますが、ほとんどのキャラは隣接マスにしか攻撃が出来ないため、ZOCはないものの、隘路を使って敵を封じ込めるなども可能です。

中央の赤髪のキャラが主役級キャラ。その周囲の剣士4人が傭兵。王子の部下なのに傭兵なのは気にするな。
- 敵も傭兵小隊を使いますが、敵味方ともに、主役級キャラのHPが0になると、傭兵小隊は全滅します。なので主役級キャラを集中攻撃して敵を素早く倒すか、傭兵小隊から狙って経験値を稼ぐかというジレンマもあります。
- ただ、序盤をすぎると非常に退屈になります。理由はいくつかあります。
- 獲得経験値は敵とのレベル差で定まるが、敵のレベルは味方レベルにかかわらず固定なので、2周目以降ほとんど経験値が入らなくなる
- キャラクターはSPというポイントを消費することでクラスチェンジし、パラメーター上昇、新たな傭兵の雇用、パラメーターを上げる称号獲得などのメリットが得られるが、SPはレベルアップで獲得するしかない(あとは各マップで最も敵を倒したキャラにMVPとして1~5ポイント入るだけ)ため、後半になるとクラスチェンジもほとんど出来なくなる
- ⅠとⅡのシステムが全く同じ

半分近くのマップでMVPを取らせないと主人公のクラスコンプリートは難しい
- この状態で、ⅠとⅡ合わせて150ステージ以上をプレイするのは本当に辛かったです。プレイ時間90時間というのは、最近プレイしたゲームだと「ネルケのアトリエ」が近いですが、プレイ期間はネルケは1ヶ月なのにこれは半年ですからね…正直トロコンがなければⅠの途中で投げていたと思います。
- 結局SRPGの最大の敵は飽きなんですよ。飽きないように、キャラクターの成長が頻繁に起こるようにしたり(FEとか)、クラスチェンジを頻繁にしたり(TOとか)、マップギミックに趣向を凝らしたり(戦ヴァルとか)、ADVパートの配分を増やしたり(SNとか)しないとダメなんです。このゲームはそのどれも出来ていない。
- だったら彼我戦力差を強くして、2周目以降が消化試合にでもなってればいいんですが、前述した傭兵小隊は成長しないので、主役級キャラの戦力差が敵味方で開いても、傭兵の差はそれほどなんですよね…数で言うと傭兵ユニットの方が多いので、結局傭兵同士のがっぷり四つの戦いを見守らないといけない…これも痛かったです。
総評
- ⅠもⅡも1周目はかなり面白かったので、ゲームシステムとボリュームがうまくかみ合っていなかったのが敗因のような気がしますね…しかもそのあとに出たFE風花雪月がSRPGとしては異色の面白さなので完全に日陰者になってしまいました。傭兵ユニットとか、見るべき所もあったのですが残念な出来でしたね。今年プレイしたゲームの中では最下位ですかね…
- あと書くところがなかったのでここに書きます。メインストーリーは章立てになっていて、それぞれの章であらすじを読むことが出来るんですけど、あらすじの作者の日本語表現がどうにもこうにも気持ち悪すぎてすごく気になります(特にⅡ)。これ自分だけでしょうか。
禁断の地ヴェルゼリア。古の時代、この世界を闇に閉ざそうとした魔族が封じられたとされる土地である。その地下にある闇の神殿ではまがまがしい石像に囲まれ、松明の光に照らされた巨大な祭壇が、不気味に浮かび上がっていた。その祭壇には一振りの大剣と、左右にリアナに良く似た二人の少女が立ちつくしている。そして祭壇の前に立つ黒衣をまとった男の口から発せられる詠唱は、魔剣の復活が近いことを告げていた。
(ⅡGルート16章より)
光輝の末裔が現在拠点としているツインキャッスル……。その城は守りやすく攻め難い。まさに戦国の城と言えた。このツインキャッスルは、その昔ラングリッサーを手に入れるという野望にとりつかれた古の王が治めていた双塔の城であった。
交戦に意を決した光輝の軍勢。シェリーは内部への侵入者をここで防ぐため、兵を布陣して待ち構えていた。
(同20章より)
なんで無生物ばかり主語にしたがるの?そのせいで修飾語の数が無駄に多くなってるんですけど?「一振りの大剣」に対応する述語がない!「立ちつくしている」っていう必要ある?立っているでよくない?「リアナに良く似た二人の少女」ってあるけど、「リアナと、彼女によく似たもう一人の少女」が正しいのでは?「治めていた双塔の城であった」って過去形を2つ重ねるのは止めれ。「交戦に意を決した」って「交戦を決意した」でよくない?「内部への侵入者」って外部への侵入者がいるか!「ここ」ってどこ?城門?玄関ホール?
エグベルトから和解についての話し合いを持ちかけられた一行は、無事に帝都へとたどり着くことが出来た。
しかし、話し合いの場所であるレイガルド城で目にしたものは、ボーゼルの裏切りに遭い、すでに事切れた皇帝ベルンハルトと、危機に陥っていた帝国軍であった。
(同Dルート14章より)
一行が城で目にした時にはベルンハルトは普通に生きてましたし、話もしてます。そこにボーゼルが突然現れてベルンハルトを暗殺したので完全に嘘予告になってます。
…と一事が万事気になります。まあ本筋とは関係ないのですが。え?お前も誤字脱字多いだろうって?それを言うなよ。
※使用している画像は,いずれもPS4のスクリーンショット機能を利用してゲーム画面を撮影したものです。
(c)extreme (c)Chara-ani Corporation 2019
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2019-09-30
BotWとはまたひと味違う、本来のゼルダが楽しめます(ゼルダ出てこないけど

ゼルダの伝説 夢をみる島
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ストーリー
- 剣の修行を終え、船でハイラルに戻る途中、リンクは大嵐に巻き込まれ遭難してしまう。流れ着いたのは、コホリントと呼ばれる島だった。そこでゼルダ姫に似た少女・マリンに助けられたリンクは、島の探索をするうちに、島から出るには、この島に眠る「かぜのさかな」を目覚めさせなければならないことを知る。島の住人の助けを得ながら脱出する方法を探して冒険するリンクは、やがてこの島に眠る大きな秘密を知るのだった―
- 1993年にGBソフトとして発売された同名タイトルのリメイク版です。グラフィックは3Dとなりましたが、ストーリーはほぼ当時のまま(細部で修正されている部分もありますが、台詞回しなどもほぼ往時のままです)再現されています。当時プレイした方にとっても納得の出来ではないでしょうか(yukkun20は納得したという意味ですが)
- ゼルダシリーズらしく、ストーリーの味付けは薄めですが、個性的な島の住人たちの濃さにもまれるリンクの姿を存分に楽しむ事が出来ます。また終盤に向かうにつれて大きく事件が動き出し、最後は少し切ない幕切れを迎えるこの話を、改変するのは野暮というものでしょう。
- またオリジナル版と同様、コンティニュー0回でクリアすると、トゥルーエンディングを鑑賞できます。(トゥルーエンディングに関するネタバレあり)確かGB版では、最後に羽の生えたマリンが歌を歌いながら飛んでいく、という終わりでした。でも羽の生えた少女が飛んでいくというシーンは現実離れすぎて(ファンタジーで何を言っているのかと思われるかも知れませんが、少なくともこの島の人間で飛べる人はいませんからね)、逆にマリンの消滅というのを強く意識させられてしまいました。今回はマリンの顔が空に浮かんだあと、カモメが一羽海の彼方に消えていくという演出になっていて(※Ivanさんからご指摘いただきましたが、DXからこの演出のようです)、個人的にはマリンが転生したという印象を強く持つ事が出来ました。そういう意味で、yukkun20は今作のトゥルーエンドが好きです。
システム
- フィールドは斜め情報からの視点に固定されていて、切り替える事は出来ません。フィールド自体もGB版のマップを踏襲していて、あのGB用にデフォルメされた地形を3Dにするとこうなるのかーという感じでした。さすがに20年以上前のことなのでマップは部分的にしか記憶してませんでしたが、それでも十分懐かしい記憶に浸れましたね。

フィールドは単純ながらも十分美しい
- GB版では、AボタンとBボタンにそれぞれアイテムを割り当てる方式でした。ボタンが2つしかないのに割り当てられるアイテムは10以上あるので、度々切り替えるのが大変でした。今作はボタンも増え、剣、盾、パワーブレスレット、ペガサスの靴は常時装着状態になったので、切り替えの頻度も減って大分楽になれました。

右側にある12個のアイテムを持ち替えながら冒険する
- ただ、追加要素の「パネルダンジョン」はどうかな…。クリアしたダンジョンの通路を組み合わせて新しいダンジョンを作り、自ら攻略するというシステムなのですが、正直面倒くさいだけで特に面白くは無かったです。別に進行上必須ではないのでスルーしてもいいんですが…
キャラクター
- 主な登場人物はリンクとヒロインのマリン。そのほか島の住人たちが大勢いますが、基本的にはGB時代らしくあまりストーリーには絡んできません。またリンクは基本的にしゃべらないです(選択肢で若干しゃべる)。
- マリンもそれほど積極的にストーリーに絡んでくるわけではないのですが、中盤にあるマリンとのデートイベントでは彼女の思いも寄らない一面をいくつも見る事ができ、一気に彼女に対する親しみがわいてくるでしょう。その直後ストーリーが急転直下するのはもはや計画的犯行としか。だからこそエンディングが心に染みるのですが。

正統派ヒロインかと思いきや…(GB版とアングルも同じですね、ニクい!)

リンクのオカリナに「ヘタクソ」と思わずつぶやいてしまい慌ててごまかす場面も
- 個人的には「うるりらじいさん」が印象的ですね。彼は電話を掛けるとその時々に応じた進行上のヒントをくれるのですが(大雑把すぎて時に役に立たないのは相変わらず)、メーベの村では直接本人に会う事が出来、そのギャップにびっくりさせられます。
戦闘
- これもGB版と同じく、2D戦闘となっています。基本的には剣を振り、盾で敵の攻撃を防ぎながら戦いますが、剣の届かない敵や剣の効かない敵なども登場し、入手したアイテムをうまく使って立ち回る必要があります。ボスは頭を使うボス、反射神経が必要なボスなど色々で、よく工夫されてるなーと思いました。
総評
- ということで、思い出補正を差し引いてもいいリメイクだったと思います。任天堂らしく若干黒いネタもあるんですが、そのほぼ全てが再現されていたのは驚きでした。

ショップでは相変わらず泥棒も出来るが、その末路も相変わらず(結末を知りたい人はこちらとこちら)
- ただし気になった事もいくつかあります。
- 前述のパネルダンジョンの面倒くささ
- 秘密の貝殻(フィールド上に隠されたアイテム)の個数が増えていて単純に集めるのが面倒くさい(まあこれも集めなくてもクリアできますが)
- yukkun20はハートのかけらと秘密の貝殻とフィギュアを全部集めましたが、それでも16時間程度でクリアできましたので、価格に比べてボリュームは少なめ
- 謎解きの難易度もそれほど高くなく、アクションも複雑なものを要求されるわけではありません。ゼルダ入門としてもいい作品だと思いますので、原作をプレイした方も、そうでない方も、ちょっと切ない謎解きRPGをプレイしたいのならおすすめです。
- 次にこの方式でリメイクしてほしいのは「カエルの為に鐘は鳴る」だな!本作で唐突に出てきたリチャード王子の元ネタを回収してあげてください。
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2019-09-09
PSVR久々に使いましたが、Oculus Questと比べると視野角の狭さと画質の荒さが気になる。

Project LUX
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ストーリー
- 人類の99%以上が電脳化している世界。人々は人生の大部分を電脳世界で過ごすようになっていた。そこで、一件の刑事裁判が開かれる。被告人であるエージェントは、とあるアーティストの少女ルクスを殺害した罪で起訴されていた。陪審員である貴方は、彼の記憶を追体験することで、何が起きたのかを確かめなければならない。ルクスはなぜ死んだのか―
- 本作は、小説「狼と香辛料」で知られる支倉凍砂氏が率いるサークル「Spicy Tails」が制作したVRゲームです。ストーリーは短く、登場人物も少なく(基本的にエージェントとルクスのみ)、一番重要な目的はルクスときゃっきゃうふふすることなのですが、それだけには留まらない、しっかりとしたメインストーリーが用意されています。

本作のヒロイン、ルクス。可愛いだけでなく、人々がいなくなったこの世界で信念を持って生きる少女。
- (ごく簡単なメインストーリーのネタバレあり)この時代に人々の娯楽は全てAIが自動生成しているんですが、ルクスは昔ながらの方法(つまりアーティストの経験と感性)で娯楽を作り、電脳化した人類向けに配信しているアーティストです。記憶データを他人の間で自由にやりとりでき、芸術家(もっともAIですが)の感性を余すことなく人に伝えることが出来る時代に、彼女の作品はあまり人気がありません。そんな彼女に役所のエージェントが作品制作を依頼するところから物語は始まります。これまで一人で作品作りをしていた彼女の作品は、エージェントの関わりの中で少しずつ変化を見せ、それを見た人たちからも好意的な反応が返ってきます。果たして彼女はなんのために作品を作り、そして作らされているのでしょうか。
- ほかのサイトの感想だと、SFものとしては割とよくある展開だそうですが、個人的にはあまりSFには縁がない(星界サイトを運営しているのに何を言ってるんだと思われるかも知れませんが、yukkun20はそれ以外のSFはほとんど読んだことがありません)ため、新鮮な気持ちで楽しめました。最後の展開も十分驚きました。
システム
- アドベンチャーというくくりにはなっていますが、プレイヤーが介入できる余地は最後のルート分岐選択肢以外にはほとんどなく、どちらかというとVRアニメーションと考えるのがいいと思います。プレイヤーがエージェントの記憶を追体験しているという設定との親和性もあり、これはこれで特に不満は無いです。
- もっとも全くインタラクティブ性がないわけでもなく、いくつかの場面では視線を向けて部屋のオブジェクトを選択することで、展開に多少の差異(といっても話の順番程度ですが)が見られるようにはなっています。

青い蛍光ラインで縁取られているものに視線を向けると話が進行します。
- また全5話構成で、1話終わるたびにスタッフロールとエンディング曲が流れるようになっていて、短編アニメっぽい構成になっていました。場面はルクスの自宅なのですが、エージェントはほとんど椅子に座ったままで動かないため、若干単純な感は否めませんでしたが(建物自体は3Dモデルで作られているので、もう少し動けても良かったような)、エンディングを挟んで一息入れることで、その緩和にもなっていたと思います。

エンドロール。曲ももの悲しいが、最終話のエンディングを聞くと…
- また最後は支倉先生らしいオチになっていました。VRゲームで叙述トリックを見せられるとは。思い返せば序盤から、というか世界観設定の時からうまく伏線が張られていたと言うしかなく、こういう所はさすがでしたね。購入を検討されている方には、ぜひ前情報無くプレイしていただきたいと思います。
- セリフはフルボイスです。字幕表示をすることも可能ですが、ウィンドウが透過率0%なので、1周目はウィンドウを消してプレイすることをおすすめします。

セリフはこんな感じで、全てのオブジェクトより手前に表示される。

バックログもきちんとあるが、欲を言えばボタン一つで呼出したい
キャラクター
- 画面上に登場するキャラは、エージェントとルクスだけです。
- 主観視点なのですが、エージェントにはクビのない人間のモデルが用意されています(通常は、プレイヤーの首から上がそのモデルに乗っかっている視点)。当初はこれいるか?と思いましたが、プレイしているうちになぜこういう設定になっているのかは納得できました。

手前にいるデュラハンみたいなのが「エージェント」。電脳空間の住人らしく無神経で感情の起伏に乏しいが、紳士なので不快感はないです。
- ルクスは予想通り可愛かったですね。田中あいみさんの声もすごく合っていて、うまるちゃんとはまた違う感じのキャラクターに仕上がっていました。何より最近のゲームキャラクターがここまでリアルな動きをするようになっていたというのは、個人的にはかなり驚きました。田中あいみさんの動きをモーションキャプチャーして作ったそうなのですが、もう普通の人間と変わらない速度で様々なアクションをしていて見ていて飽きなかったです。数パターンの動きを組み合わせているのではなく、本当の人間のように同じ動きをすることがないというのは新鮮な体験でした。狼と香辛料VRにも期待できますね。
- ただ、ルクスとの距離が非常に近くなる場面が何度かあるのですが、髪の毛の表現が残念なレベルで(これはVRゲームとして低レベルという意味ではなく、現実と比べると…という意味です)ちょっと気になりました。まあ技術上の制約だと思います。
戦闘
総評
- 質のいい短編小説をVRゲームにしましたという感じで、十分満足のいく出来でした。ストーリーも明快で、それでいて単純すぎることはなかったですし、何よりVRゲームの特性を生かした展開になっていたことも評価したいです。

時折登場する仮想空間も展開と相まって心に訴えるものがあります。
- 反面、アニメを見ているだけなので、ヒロインのルクスとのふれあい感は少なめです。まあエージェントとルクスは別に友人というわけではなくビジネス上の付き合いなので仕方ないんですが、クリア後特典とかで何かあったらなお良かったかな。
- トロフィーは6つあります(プラチナなし)。最後のトロフィーは2周しないと取れないのですが、早送り機能はありませんので普通に2周しましょう。エンディングを見た上でする2周目は1周目と少し趣が違いますし、何より1周が短いので、特に作業感はなかったです。
- ということで良作でした。次回作「狼と香辛料VR」はOQ版が出るまでじっと我慢します…
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2019-06-24
それでもDLCなら…DLCならきっと何とかしてくれる…

KINGDOM HEARTS Ⅲ
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ストーリー
- 間近に迫った闇との決戦。ソラは先の戦いで失った「目ざめの力」を取り戻すために再び旅立つ。一方、リクと王様も、闇の世界に取り残されたアクアを救う旅に出る。マスター・ゼアノートが導くキーブレード戦争と、その先にある世界の滅びを回避するために―
というストーリー。いつもどおりディズニーのワールドを舞台にした冒険物語が展開されます。
- 今回ストーリーは正直ダメダメでした。今から特にだめだと思った点を4つ指摘します。毒を吐いているのでご注意を。
- ストーリー展開のバランスが悪い
ソラの旅の目的は、上記の通り「目ざめの力」を取り戻すことなんですが、その目的が描かれているのはせいぜい最初のワールドまでで、それ以降その目的は失われ、ふらふら立ち寄った世界で困っている人を助けて次の世界へ旅立つということが繰り返されます。王様とリクはその間も命がけの冒険してるんですが…。最終的にソラは力を取り戻しますが、それまでの旅はほとんど役に立ってなかったというひどいオチも。各ワールドには真ⅩⅢ機関の魔手も伸びてるんですけど、ソラたちと対決するためにいるわけではないのでほぼ出会い頭の戦闘みたいになって心情的にも盛り上がれません。ニューセブンハートを機関の襲撃から守る的なテーマとかで転がせば良かったんじゃないかなぁ(それだとKH1の二番煎じですが)。
そして最後のワールドでいきなり敵のボスと味方のキャラが全員そろい怒濤の最終決戦という超展開。確かに7つの光と13の闇の衝突という前提がある以上この展開は仕方ないですけど、もう少しここからの話を丁寧に描くべきだったのではないでしょうか。トロフィー優先でちんたら進めたのに50時間でエンディングとか大概ですよ。
- ストーリーが極めて難解
最終決戦にはこれまで消滅していたキャラが復活しまくるんですけど、正直どういう理由で復活してきたのかよく分からないキャラが多いです(特にロクサス、シオン、テラ、ナミネあたり)。アルティマニア読んでいればようやく理解できるレベルなんですけど、それは設計的にダメだろ。そして神の視点で眺めているプレイヤーですらこの認識ですから、当事者のソラたちはもっと話の筋が分かってないと思うんですけど、全員したり顔で話が進むのも謎。
そして放置される伏線の数々。
- 味方キャラが弱すぎる
今回は最終決戦ですが、頭数だけでも7対13なので、光側の戦力に不安があります。なのに個々の戦闘力描写が雑すぎます。最終決戦で現れたテラ=ゼアノート一人に、不意打ちされたわけでもないのに一瞬で四人戦闘不能にさせられて、どうやって13人倒すんですかねぇ…最終決戦でまともに活躍したの、ドナルドとリクだけだからね。
王様…今回いいところなしです。デビルズタワーにすら苦戦する始末。2までの強キャラぶりはどこへ…
アクア…闇堕ちしたのは仕方ないとしても、復活後が弱すぎます。ヴァニタス戦で「後輩(ソラのこと)にいいところ見せなくちゃね」とタイマンを買って出てまさか負けるとは。最終決戦でもアンセムにいいようにあしらわれてましたし。KH2.8での勇姿どこ行った。
ソラ…最終決戦で心折れるのが早すぎます。これまでの旅で何を学んできたのか。あっという間に味方が全滅してカイリも目の前でさらわれたので気持ちは分からなくはないですが、まだ目の前でリクが奮戦してるんですけど?そしてせっかく時間を超えて敗北前の時間軸に戻ったのに、全くの無策で1周目と同じように突っ込むとか何を考えてるのか。そして全く同じ攻撃をテラ=ゼアノートにくらいかけました。それを全然関係ないキャラに止めてもらいましたけどその全然関係ないキャラもいつの間にか倒されていたという悲劇。そしてカイリはまたもさらわれた。
- 敵の行動原理が不明すぎる
今回マスター・ゼアノートの目的は割とはっきりしましたけど、それ以外の敵の行動原理がよく分かりません。
そもそもマスター・ゼアノートは7つの光と13の闇を衝突させようとしてますけど、別に衝突してません。バラバラにぶつかっただけです。そして相手の目的を知っていた光の守護者たちもなぜその戦いに乗っかったのかよくわかりません。光も補欠が存在しているようなので、7人じゃなくて6人か8人で攻めれば良かったんじゃないですかねぇ…
あと真ⅩⅢ機関のメンバーのうち、ゼアノートの同一存在の皆様はさておき、ほかの人たちは何が楽しくてゼアノートの器になろうとしてるんですかね。特にサイクス、マールーシャ、ルクソードあたりは一度人間に戻って再びノーバディになるという面倒くさいことをやってますが、その目的がゼアノートと一体化することって意味分かりません。それ嫌がってるラクシーヌの方がまだ理解できる。敗北したらしたで意味深な台詞吐いて消滅するし。
- そんなわけで今回ストーリー評価はすごく低いです。DLCで不満が解消されることを願います。
システム
- いつものKHですが、こちらは評価すべき部分が多いです。
- まずグラフィックの美しさは特筆すべきものがあります。ディズニーのワールドの再現率も高く、ディズニーファンなら映画で見た場所を自由に動けると言うだけで楽しめるでしょう。今回登場するディズニーキャラは元から3Dのキャラが多いため、親和性も高かったです。しかしなぜヴァネロペ出さなかったし!
- KH2.8の時にはアクション性の悪さが若干気になっていましたが、そこも修正されていました。思ったようにソラを動かせたと思います。カメラワークも○。壁走りは爽快感もあって好きです。
- ミニゲームも豊富でそれぞれの完成度も高く、やり込みがいがある出来になってました。
- ただ…開発リソースの配分バランスおかしくないですかね?確かにキーブレードごとに別個のアクションやシュートロック、フォームチェンジがあるのはすごいですよ?シューティングゲームとして単発でリリースしても金が取れそうなグミシップも相変わらずですよ?小型液晶ゲームを模したミニゲームが23種類も収録されているとか執念を感じますよ?なんでそのリソースをストーリーに割かなかったし。
正直、こういうのはおまけ要素だと思うのですが、そちらに力を入れすぎです。ただでさえストーリーが短く急展開なのに、こういうおまけ要素が詰め込まれすぎていると、力の配分間違ってない?となんだか悲しくなります。
- 過去に出てきたワールドがほとんど登場しなかったのも謎。
キャラクター
- こちらはいつものKHです。久しぶりに3人揃ったソラたちやカイリたちやロクサスたちのやりとりには胸が熱くなりました。最後敵も味方も全員よみがえっての決戦は確かに雑なんですけど、それでも熱く描かれていたと思います。
- またゼアノートの最後のシーンは良かったと思います。これまで戦ってきた宿敵が相手の実力を認め、世界を託すというエンドになっていたのですが、これにはさすがに感慨深いものがありました。
戦闘
- これもいつもと同じくソラを操作して3Dアクションで戦います。
- 操作性はよく、バトルもテンポ良く進んでいきます。過去作は敵が出現する場所が多く、角を曲がる度に敵に襲われてイライラすることも多かったんですが、今回はフィールドが広くなったのに合わせて敵が出現する場所も減っているので、そこら辺は気になりませんでした。
- 逆にボス戦は単調な感じがしました(まあ難易度上げればよかったのかも知れませんが)。敵の行動パターンも少なく、同じことを繰り返すか、大技を当ててぶっ飛ばしているだけで勝てる戦闘が大半でした。最終決戦ですら団体戦だったせいで、敵の強さを全く感じることなくクリアしたし…。リミットカットマダァ?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
- リクとアクアで戦闘するシーンもあるんですが、二人とも独自の使い勝手があって面白かったので、もう少し長く使いたかったです。
総評
- そんなわけで、キャラやシステムは手堅くまとめてきたものの、ストーリーが受け入れられないこともあって全体的な評価はあまり高くないです。少なくとも現時点ではシリーズの中で最下位。
- アルティマニアの野村Pのインタビュー読んで思ったんですが、この人の頭の中にしかない情報が多すぎます。対象年齢が高いゲームなので、小学生でも分かるようなシナリオにとまでは言いませんが、もう少し情報をわかりやすく提供すれば良かったんじゃないですかね…思わせぶりなセリフを今の半分くらいにして、解説役を2~3人投入すれば大分ましになると思うのですが。わざとわかりにくく話を転がしているようにしか思えません。ただでさえ同一存在が複数いたりコピー人間だったり、時間を超えたり世界線が移動したりして理解しがたい世界設定なのに、さらに説明を省いてどうするという感じ。
- 特に本作は開発機関が長かったのに、それに見合うだけの完成度ではなかったのが残念です。
- とはいえまだDLCが残ってますから最終的な判断をするのは早計でしょう。こちらで現状の不満を解消してくれることを切に祈っています。じゃないと次回作はもう…
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2019-05-27
もっと体験させてよ。
みんなのGOLF VR 体験版
https://youtu.be/5ZvA72MAJ8E
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レビュー
- 6/7発売予定のみんゴルシリーズ最新作の体験版です。
- 体験版では、チュートリアル部分をプレイすることが出来ます。みんゴル初の主観視点ということで、まずは自分のキャラクターを設定します。身長とかで目線の高さも変わったりして面白いですね。プレイ姿勢は「座りプレイ」と「立ちプレイ」が選択できますが、やっぱり立ってプレイした方が臨場感があります。

チュートリアルは非常にわかりやすい
- コントローラーはPSMoveの方がどう考えても良さそうですが、コントローラーでのプレイも可能です。ショットの時には、コントローラーを右から左に素早く動かすことで球を打つようになっています。コントローラーの傾きが球の飛ぶ方向に、動かす速さがショットの強さに影響します。ショットの前には思う存分素振りが出来るので、これでまっすぐ球を飛ばせそうか、どのくらいの速度で振ればいいのかを調整しましょう。

とはいえ球をまっすぐ飛ばすだけで結構大変。
- コントローラーはちょっとした手の動きがスイングに影響するので、まっすぐ球を飛ばすだけでも一苦労です。でもこっちの方がリアルっぽい気もしますね。他の方のレビューを見ると、PSMoveなら楽にまっすぐ飛ばせるというわけでもなさそうなので、コントローラーで極めてみてもいいのかもしれません。
- チュートリアル後は、練習場でいわゆる打ちっぱなしが出来ます。でも選択できるのはクラブだけで、球もどこに着地したのかよく見えないため、いまいち満足感がないですね。アプローチやパターの練習もさせてくれれば良かったのに。
- メニュー画面では、受付のお姉さんがボイス付きで対応してくれます。結構かわいらしい造形になってますね。

コントローラー(中央付近の赤いレーザーみたいなの)で指しても反応はありません(涙
- こっちはキャディさん。PVとかを見るといろんなアクションをしてくれるらしく、ラウンドが楽しくなりそう。さあ、ここまで準備をしたら、早速コースに出てみましょう!

個人的には受付嬢よりも彼女の方が好みです(本当に個人的だな
- コースは非常にきれいに描かれていて、自然の美しさを楽しむゴルフの良さを味わうことが出来ます(※yukkun20にはゴルフ経験がないので、あくまで妄想と、マンガ「ライジングインパクト」からの受け売りによります)。ゴルフ好きな人の気持ちが少し分かりますね。確かにこの広大な空間に球をぶっ飛ばすのは気持ちいい。

高低差のあるコースはちょっとドキドキする
- ショット前には、プレイヤーの主観視点の他に、上空からのカメラ視点も利用することが出来ます。この辺がVRのいいところですね。

さらに高低差が感じられてヒュンッてなりますね。
- それじゃ素振りも終わったことだし、記念すべき初ラウンドの第1打行ってみましょう!
…え?ここで体験版終了!?
- というわけで、体験版にしては物足りないボリュームでした。せめて第1ホールくらいプレイさせてくれても良かったんじゃないかな…。球をカップに入れてこそのゴルフの快感だと思うのですが…
- とはいえ、VRゲームの良さを十分楽しめるゲームに仕上がっていると思いました。ショットを安定させるまで少し時間はかかりそうですが、これは慣れのような気がします。でもプレイするならPSMoveが欲しくなりますね。この商売上手さんめ。
- 今のところ購入するかどうかは検討中です。ホールインワントロフィーとかあるらしいし、トロコン的な難易度も気になるところ。でも井上喜久子さんボイスのキャディさんとラウンドしたいなー。
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2019-04-18
KH3ですが、ついに明日からアナ雪のワールドに入れそうです!超楽しみ。
今日はネルケのアトリエのレビューです。最近のアトリエではアーシャの次くらいに面白かった。
2019-06-02追記:エクストラストーリーの感想を追加しました。

ネルケと伝説の錬金術士たち~新たな大地のアトリエ~
プラットフォーム |
PlayStation®4, PlayStation®Vita, Nintendo Switch™, Steam® |
 |
ジャンル |
街作り×RPG |
価格 |
【PS4】
通常版/ダウンロード版 7,800円
ダウンロード版 販売価格 7,300円
プレミアムボックス 希望小売価格 10,800円
アトリエ20周年ボックス 希望小売価格 26,100円
ほか |
公式 |
ネルケと伝説の錬金術士たち ~新たな大地のアトリエ~ |
プレイ時間 |
1周目:86時間(プラチナ) |
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ストーリー
- 錬金術師に憧れながら、その能力がなく夢を諦めた貴族令嬢「ネルケ」は、辺境の村・ヴェストバルトの管理官を命じられ、村の発展のために尽くすことになる。彼女には新たな夢があった。ヴェストバルトを発展させること、幼馴染で行方不明になっている「ソルト」という男性を探すこと、そしてかつてグランツヴァイトの賢者と呼ばれた偉大な錬金術師の遺物を探すこと。ある日、一人の錬金術師との偶然の出会いが、彼女の運命を大きく変えていく―
- 20周年記念タイトルとして作成されたアトリエシリーズ最新作です。今回は上記の通り3つの大きな目標があり、それを達成するために細かく設定された目標を一定ターン内に達成していくというストーリーになっています。
- メインストーリーは割と単純で薄めですが、今回は後述するとおりRPGというよりSLGなので、ここはあまり気になりませんでした。とはいえ単調とか言うことはなく、それなりに事件があったり意外な展開もあったりで決して悪くなかったです。
- 今回はちょっと恋愛色が強いってどこかで言われてましたけど、そんなことないと思いますよ?まあアトリエ作品にしては若干そんな感じのイベントもありましたけど、むしろネルケ淡泊すぎない?エスカとロジーの方がよっぽどイチャイチャしてたわ。

この子たちはいつでもどこでもイチャイチャして!
- 過去の主人公が全員登場するお祭りゲーですので、キャラクター同士の掛け合いは大事です。今回もサブイベントは半端ない数用意されていて、一応100ターンでエンディングを迎えるゲームであるにもかかわらず、1周目で見られるイベントをコンプしたのは159ターン目でした。
- ただ、サブイベント自体はあまりいい出来ではなかったです。ほとんどのイベントが、各主人公たちが自分たちの出身世界の似ているところや相違点なんかを話しているところに、ネルケが「何の話をしているんですか?」と混ざっていく感じになっていて、ワンパターンな感じがします。話の内容も過去作の振り返りになりがちなので残念。もっと新しい人間関係を築けるような切り口のイベントを充実させてほしかったですね。
システム
- 従来のアトリエ作品は、主人公が錬金術師として、アイテムを作ったりモンスターを倒したりしながら、課題や目標を達成していくという普通のRPG形式でした。しかし今回は、錬金術師たちを束ねて指示を出していくという、経営シミュレーションになっています。限られたリソースをうまく管理して、人口と資金を増やしていくのが目的です。
- 1ターンは休日と平日に分かれています。
- 休日はキャラクターとのイベントが発生したりするADVパートと、フィールドを探索してモンスターと戦う戦闘パートが融合しています。どちらかだけ行うこともできますし、両方をバランスよくこなすことも可能です。
- 平日はSLGパートになっていて、街の建設、仕事の割り当てなどを行います。ターンを終了すると自動的に住民が割り当てられた行動を取り、その結果が表示されます。
- お金を増やすにはまず仕事。住民たちを採取地に派遣したり、畑や林で農作物を栽培してもらったりしてアイテムを集めます。それから錬金術師たちがその集めたアイテムを錬金術で商品に加工します。最後にショップに配置された住民たちが商品を販売しお金を稼ぎます。稼いだお金で新しい建物や農地を設置し、さらに効率よく生産ができるようにします。増えたアイテムを素早く加工するためにアトリエを拡張し、作ったアイテムが余らないよう店を増やし、そうしているうちに町が発展して人口が増え、増えた人口をさらに派遣や栽培に回して…という繰り返しです。中盤辺りは1ターン回すのに30分くらいかかったりするんですが、これが本当に楽しい。

一次産業、二次産業、三次産業…社会の縮図ですね
- 「アイテム倉庫」という、そのターンに予想されるアイテムの消費量と入手量を一覧できる表があるのですが、それをにらめっこしながら、入手数より消費が上回っているから、栽培や派遣に回す人間を増やそうか、いや人間が足りないから、アトリエに指示して一旦別のアイテムを作ってもらおう、あれ、そうすると今度は店の商品が足りなくなった、じゃお店の販売品は一旦製造コストが安いアイテムに切り替えて…ん?今度は安い商品に変えたせいで売り上げが下がって人件費とかで赤字になってる!赤字が続いたせいで住民からの支持率が…みたいな感じで常にリソースの配分には悩まされますが、経営がうまくいって、自分が計画した街作りを進め、そして増えていく貯金残高を眺める喜びは格別です。

アイテム倉庫を見ればうまく経済が回っているか一目瞭然。

見よ!この成長率!日本経済もこうなればいいのに
- そんなわけで、アトリエと言えば調合ですが、今回はあくまでシステムの一つに組み込まれていますので、いつもの作品のように良質な素材を集めたり、パズルのような調合をしたりと言うことはありません。必要なアイテムを必要な個数用意していれば、指示したアイテムを同じクオリティで作成してくれます。時々調子がよく予定より多くの数を作成したり、あるいは逆に失敗して予定数を作れなかったりといったランダム要素もあり、それもまたいいアクセントになっていました。

1人で最大10種類のアイテムを調合できます。
- ターンの終わりにはそのターンの全体的な状況がわかりやすく表示されます。このターンの問題点が浮き彫りになるので、次のターンではこういうところに力を入れようとか、それを眺めながら計画を立てるのもまた楽しい。

常に人手は不足気味。
- また、街作りもいろいろなアトリエやお店を好きなように配置していくことができて、ジオラマ的な楽しさもあります。建物を建てるのにもお金やアイテムが必要なので、あまり建てすぎると赤字経営になり、建てないと町が発展しないとこれもうまくジレンマを演出しています。ただ、建てた街の中を歩き回れる機能がないのだけは非常に残念(一応街を眺める機能はあります)

最初は中央区画しかなかったのに、いつの間にかこんなに大きくなりました。
- 効率を求めた結果こんな街になりましたが、中央にネルケの像を建てて彼女の名誉を称えたり、飛行船発着場を置いて他の街区との流通をスムーズにしたり…と言った妄想も可能。

街の中心区画には錬金術師のアトリエ(波形の屋根の建物)がひしめいてます。
- 100ターンで一応エンディングを迎えますが、そのままプレイを延々と続けることも可能です。そもそもキャラを全員加入させるだけで140ターンくらいかかりますから。
- いつもどおり、各種図鑑(人物、モンスター、アイテムなど)、イラスト/ムービーギャラリー、サウンドテスト、キャストコメントも充実。あれ、今回サウンドテストにプリキュアネタがないぞ…?

りえしょんのいつも通りの長コメントにご期待ください。
キャラクター
- 今作品のオリジナルキャラは4人、過去作からは111人が出演します(それ以外にガストの他のゲームからのゲストもいます)。
- 過去作のキャラのうち、イベントがあるのは過去作の主役キャラ+αの32人だけです。それ以外に数人、メインやサビベントに絡むキャラもいますが、大多数は加入時に軽いイベントがあるだけで、あとはシステム的なセリフしかない(当然ボイスもない)です。もちろん残念なのですが、しかしこれ以上キャラの数を増やすとどうにもならなくなると思います。主人公キャラを全員出し、きちんと活躍させるためにはやむを得なかったのでしょう。ウィルベルさんだけは本当に残念だったので、ネルケには常に初回特典のウィルベルコスチュームを着させていましたが。

親友のアーシャも弟子のロッテも活躍しているのに…
- 戦闘に参加できるのはさらに少なく、オリジナルキャラ4人と、錬金術師15人だけです(設定上は錬金術師でも、参戦しないキャラもいます)。とはいえ戦闘の比重も他のシリーズ作に比べれば軽いのでそんなに気にはなりませんでした。
- 今回のお気に入りキャラは主人公のネルケです。ネルケは非常に明るく前向きなキャラで、管理官に任命されるくらいですから随所に優秀なところを見せてくれます。こういう上司の下で働きたいなと素直に思わせてくれるキャラでした。そのほかのオリジナルキャラも、メイドの鑑のようなミスティ、村のために一生懸命働く村長のクノス、ネルケのお目付役でありながら何か秘密を抱えているようなロータスと魅力的なキャラばかりで、いつもののんびりした世界観で温かい人間関係を楽しめます。

喜び顔で常によだれが垂れてるのもポイント高いw
- また過去作のキャラの活躍を再び見られるのもよかったです。yukkun20としてはやはり初代主人公のマリーが思い出深いですが、改めてこんな賑やかで前向きなキャラだったなぁと思い出せました。キャストもそのまま続投してくださっているのもうれしいですよね。でも松来さんのイリスだけ声が変わっていたのは(涙)

トトリやメリルは初めて見ましたけどいいキャラでした。早くプレイしたい。
戦闘
- 今回は戦闘もあくまでSLGの一パートというポジションなので、過去作に比べると結構単純な作りになっています。
- パーティは5人です。オリキャラ4人はアタッカー、錬金術師15人はサポーターという役割があり、好きに組み合わせて(ただしネルケは固定)パーティを組みます。戦闘は素早い順に行動するいつものコマンドバトルです。

アタッカーは素早く、サポーターは行動が遅め。
- アタッカーは基本的にプレイヤーが毎ターンコマンド入力で行動を指定します。行動には、通常攻撃と、毎ターン1ずつたまるゲージを利用したスキルがあります。アイテムの使用もスキルに含まれます。

アイテム投げるキャラが強いのはこのシリーズのお約束。特にネルケは優秀。
- サポーターは毎ターン自動で行動します。序盤は火力に優れていますが、中盤以降はアイテムの火力が高くなり、アイテムを仕えるアタッカーの方が優位になります。しかしサポーターには前述のゲージを4つ消費することで任意のタイミングで放てる大技があります。大技の追加効果はアタッカーでは真似ができないものも多く、そこで差別化がはかられていました。
- 戦闘はソシャゲのような感じで、制限時間内に進行度を100%にするとそのステージはクリアになります。キャラは歩くか走るかを選択できます。歩くと進行スピードは下がりますが、アイテムを拾ったり、戦闘を有利に行えたりします。走ると進行スピードは上がりますが、アイテムは拾えませんし、戦闘も不利になります。休日にサブイベントをこなすと制限時間がその分減らされるので、イベントを優先して走るか、イベントを犠牲にして歩くかと、ここもジレンマになっています。

進行中はパーティキャラのたわいもないトークを楽しめます。
- 戦闘の難易度はあまり高くなく、繰り返してレベルを上げ、戦闘アイテムをきちんと開発していればラスボスもスムーズに戦えると思います。
総評
- 20周年記念作品なのに、今までと全然違うシステムの作品をぶち込んでくるというなかなかの意欲作でした。SLGは好き嫌いがあるので人を選ぶ作品だと思いますが、個人的には非常に高評価です。これをアトリエのメインストリームにしろとはいいませんが、3年に1回くらい続編を出してほしいですね。
- でもよく考えると、初期のアトリエってこんな感じだったと思うんですよ。戦闘はあくまで添え物だったし、限られた時間でアイテムを作りながらイベントをこなすって言う、まさに「世界を救うのはもう飽きた」というキャッチコピーにふさわしい作品でした。最近のアトリエは、調合というシステムが乗っかった普通のRPGだからなぁ。もちろんそれがだめっていうわけではないのですが。
- いずれにせよ、個人的にアトリエに求めていたのは、今回のようなゲームだったことに気づかされました。なんだかんだで1ヶ月ほどでクリアしていることからも、熱中度をわかっていただけると思います。
- もし次回作があるとしたら、ジオラマパートの充実と、キャラクターイベントのフラッシュアップ、そしてフルボイス化をお願いしたいですね。あと台詞の自動送りね。
- ということで、経営SLGが好きな人は是非一度プレイしてみてください。アトリエプレイしたことがない人でも、十分楽しめる内容になってますよ(実際yukkun20もプレイしている作品は半分以下でしたし)。
エクストラストーリー
- DLCとして1000円で発売されている「エクストラストーリー」を導入すると、エンディング後のネルケたちの様子を知ることが出来ます。「グランツヴァイトの樹を発見」「100ターン目を達成後に任期延長を選択する」の両方の条件を満たしていれば、すぐにプレイすることが出来ます。
- まず、新規キャラが20人追加されます。全員イベントもいくつかついてきます。ほぼ知らないキャラだったのでちょっと残念でしたが…。ちなみにこの20人は、本編のサブキャラのように、毎ターン1人ずつ加入してくる形ではなく、DLCを導入すると全員一度に加入しました。

新たに仲間になった若きイングリド先生を自分好みに育成しようと企むマリー。
- 次に、クノスとロータスの会話イベントが追加されます。
- クノスのイベントは9回で、ミスティとの関係に焦点を当てた物語になっています。昔なじみの2人で、ミスティは憎からずクノスのことを思っていたようですけど、本編ではネルケへの愛が深すぎてほぼ関係が進展しませんでした。しかしこちらでは一つの事件をきっかけに…みたいな感じになっています。
- ロータスのイベントは11回で、ラストに簡単な分岐があります。こちらは当然ネルケとのラブロマンスになっています。お互い素直になれず、身分も違う二人が距離を縮めていき、最後はアトリエでそこまでやっていいの!?というシーンまで描かれています。アトリエでここまで濃密な恋愛模様が描かれたのは初めてなのでは…かなり衝撃的な内容です。

ちなみにこのイチャイチャ方法はエスロジの指南です(笑)
- さらに、パメラについての非常に深いストーリーがあります。これまでスターシステムがごとく過去作に登場しているパメラですが、彼女が何者なのか、なぜいろいろな世界に、そしてこの世界にいるのかというあたりが明かされ、アトリエシリーズの根本に迫る内容になっていました(まさかアトリエシリーズ終わるんじゃないだろうな…)。また賢者との関係、ネルケが錬金術を使えない理由、どうしてこの街には錬金術士が集まるのか、など、ふんわり残されていた伏線をきれいに回収し、最後はロータスとネルケのイベントと合流するその流れは見事でした。これだけで1000円の価値はあります。

ネルケとミスティに押されてますが、こちらの色恋話も大概。
- ということで、満足度の高いDLCでしたね。これがなくても本編の価値が下がることはありませんが、本編を楽しんだ人には是非こちらもプレイしていただきたいです。一つ難があるとすれば、ボイスが全くないってことだね…。サブキャラや歴代キャラはともかく、メインキャラの4人にはボイスほしかったよ…
- というわけで本当に楽しませてもらいました。ガストが今やってるアンケートで、「3年後くらいに続編お願いします」と意見するくらいに愛してます。
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これ他国から反対意見とかでなかったんですかね。それとも押し切ったのでしょうか。リ…