あらすじ
山深い田舎町に住む少女・三葉は都会に憧れるごく普通の女子高校生。ある時、自分が東京に暮らす男子高校生になり、そこで自由に暮らす夢を見る。一方、東京に暮らす男子高校生・瀧も、自分が田舎町に住む女子高校生になっている夢を見ていた。繰り返される夢に、いつしか二人は気づくようになる。自分たちが見ているのは夢ではなく、お互いの心と体が入れ替わっているのだと。
二人はスマホを使ってお互いの経験を共有し、奇妙な共同生活にも次第に慣れていく。しかしある日を境に、入れ替わりは起こらなくなってしまった。夢のように急速に薄れていく記憶をもとに、瀧は三葉が住んでいる街を訪ねようと決心する。しかし、たどり着いた先に待ち構えていたのは、想像を絶する現実だった―
感想
「おれがあいつであいつがおれで」だと思ったら、まさか○○○○○○○ものだったとは。
これだけ世間で評判となっている映画だから、見ておいた方がいいだろう、という軽い気持ちで見に行った映画ですが(新海作品も初めてです)、とても面白く楽しめました。監督自身、「見たときに「ああ、楽しい映画だった!」って思っていただける事が何よりも大切です。」とインタビューでおっしゃっていましたが、その通り、ストーリーは分かりやすく、かといって単純というわけでもなく、伏線も目立たない程度にちりばめられていて、キャラも生き生きと動き、前半のコメディタッチな日常生活も、後半の怒濤の展開も、全てが綺麗に繋がっていて、人気が出るのもわかる気がしました。ビジュアルの美しさについては今さら僕が言うまでもないでしょう。
特に中盤で大きな謎が明かされるシーンはぞくぞくしましたね。ぼくはその少し前、瀧が三葉のメッセージに対し「何言ってるんだ?」と独りごちたシーンで冒頭のシーンが伏線だったことに気づき謎が解けたんですけど、それでもやはり現実がビジュアルで突きつけられるシーンは衝撃的でした。あと瀧・三葉それぞれの友情劇もよかったですねー。どっちも友達に恵まれすぎでしょー。ほんとリア充爆発しろ!
ただ、個人的には、青春映画としては細田監督の「時をかける少女」の方が好きです。ただ、これは作品の優劣というよりは、僕が両方の作品に触れた年齢が強く影響しているような気がします。なんというか、おっさんになると、甘酸っぱい青春はもう感情移入しづらいというかなんというか、どこか冷めた目で見てしまうところがあるんですよね。もう10年前に出会っていれば、もっと高評価だったかもしれません。あと最後の二人の作戦がなんで成功したのか(つまり三葉の父親が…したのか)、その辺りがやや曖昧に描かれてしまったのはちょっと残念だった気がします(もっとも、説得的に描こうとすると尺が足らないとは思いますが)。
中の人も、主人公、ヒロインともに本職ではありませんでしたが、十分に楽しめるレベルに達していたと思います。特に今回は入れ替わりものということで高い演技が要求されたわけですが、主役の微妙な気持ち悪さ(男なのに心が女なので)含め、良い感じでしたよ。ただヒロインの友人の少女役の悠木碧さんが、演技うますぎて、主人公たちを若干食い気味になっていた感はありました。
とはいえ、全体としてみるとすばらしい映画だったことには変わりなく、アニメ映画だからと言って敬遠している方も一度は劇場に足を運んでいただきたい作品だったのは間違いないです。過去の新海作品もちょっと目を通してみようかな。
yukkun20もそう信じたい…信じたいけど、キャストの皆さんにこのタイミングで…