2025-07-19
【ゲーム】ユミアのアトリエ ~追憶の錬金術士と幻創の地~ レビュー
yukkun20の好みだし、面白いゲームだったのは間違いない。が…
ユミアのアトリエ ~追憶の錬金術士と幻創の地~
プラットフォーム | PlayStation®5, PlayStation®4, Nintendo Switch™, Steam®, Xbox Series X|S, Xbox One |
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ジャンル | 錬金術RPG | |
価格 |
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公式 | 【公式】ユミアのアトリエ ~追憶の錬金術士と幻創の地~ | |
プレイ時間 | 1周目:89時間(プラチナ+DLC) |
ストーリー
- 数百年前に錬金術によって栄え、謎の天変地異によって滅びたとされるアラディス帝国―時代は降っても、錬金術は禁忌の技術とされていた。隣国ユーステラは、人の住まない地と化したアラディスの調査団を組織する。アラディスに向かう調査団の中に、母から錬金術を受け継いだ若き錬金術師、ユミアの姿があった。なぜアラディスは滅びたのか、なぜ錬金術は禁忌とされているのか―それを知るため、彼女は密かな決意を胸にアラディスに渡る。それは、彼女が錬金術と向き合う旅の始まりだった―
- 前作(ライザ3のこと。以下同じ)で秘密シリーズも完結し、レスレリアーナのアトリエを挟んで新たな物語が始まりました。過去作と比べるとストーリーラインはシリアスになっています。国の滅亡とか、錬金術(というより技術)の功罪といったテーマは重めですし、ユミアも最初は禁忌の技術を使う得体の知れない奴として調査団の中での扱いも軽いです。明るいエピソードももちろん多いのですが、全体としてここまでシリアスなのはアトリエとしては珍しいです。
- また(これも珍しいのですが)明確な敵役(公式サイトでも「ヴィラン」と呼ばれている)が登場します。ただ個人的には敵役の扱いがあまりこなれてない感じがしました。敵役の主張自体はやや哲学的(人工的に生成した肉体に、本人の記憶をコピーした存在は本人と言えるか、というもの)で、単純な是非を断じることが難しいものでしたが、ユミアたちはそれに十分反駁できてましたかね?敵はボスも幹部もあまり自分たちのことについて語らないため、お互い議論をぶつけることもなく、それなのに終盤急にユミアたちが、ラスボスのやってることは許せない!みたいなテンションになっていったのには正直感情が付いていきませんでした。実害を被っているヴィクトルやアイラ、ニーナあたり(ユミアも実害を被っているのですがあまりその事には触れないからなぁ)がそのスタンスなのはまだ理解できるんですけど。リリーボレアが架け橋になってくれるものだと思っていたのですが、ユミアたちは結局(それを望んだかはさておき)彼女を自ら殺してしまったわけで、その後そのことについてもあまり深く触れられないのも気になりました。
- とはいえ、危険な未開の地に分け入りながら開拓を進めながら、大陸に眠る謎を解いていくというストーリーラインはyukkun20が好きなタイプの物語でしたので(アーシャとかライザ2に近い雰囲気だと思います)、全体としては十分に楽しめました。そもそもyukkun20は同じくシリアス気味の黄昏シリーズも好きでしたし、最後がちゃんと大団円になっていれば別にいいんだよな(大味
- あと選択肢等によってエンディングが微妙に変化するのですがあまりに微妙すぎてこれ初見じゃ気づけないだろ…ちなみにあまり明確に言及している攻略サイトがありませんが、累積ポイント(詳しくは攻略本参照)が多いと解析エンド、少ないと破棄エンドになります。どう考えても逆の方がいいような…?
システム
- 全体について
- 前作はシステムを盛りすぎていてごちゃごちゃになっていましたが、今作ではきちんと整理され、順序よく提示されるようになっていて良かったと思います。チュートリアルも充実していて不親切感もありませんでした。
- 探索について
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- 今作も引き続きオープンワールド制です。前作のときはオープンワールドはアトリエに合ってないんだよ💢という感想を書きましたが、今作はとても良かったと思います。①素材ごとの特性が統一されたことで、目指す特性を入手するために特定の素材を大量に集める必要がなくなったこと、②図鑑から、目指すアイテムがどこで採取できるのかを簡単に突きとめられるようになったこと、③探索中に目に付いた素材を拾うだけでも、調合に必要なアイテムは概ね数がそろうこと、④素材を入手すると同時に、建築用の資材も別枠で入手できるようになり、資材集めのために採取地を探し回る必要が低いこと、⑤目的地点までのガイドラインがきちんと機能していること、⑥見つかっていないフィールド上のオブジェクトが「?」で表示され、それを目指して進むことであてどなく開拓する必要がなくなったこと、⑦ジップラインがショートカットとしてきちんと機能するようになったこと、など、マップを探索する楽しさと、素材集めのフィールドとしてのマップの存在意義がきちんと重なるようになっていて良かったです。これなら次作以降もオープンワールドでもいいや。
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- あと、マップの立体構造も常識的な感じに落ち着いていて、地図上ではすぐ近くなのにどうやって行けばいいのか分かない!ということもほぼありませんでした。横の広さが十分あるので、縦構造が薄くても全然気になりませんでしたね。
- 調合について
- 今作からシステムは一新され、かなり簡略化されています。前述の通り、同じ素材であれば、S~Eランクの差はあれど、それ以外の差はなくなってしまいました。強力な中間素材(中和剤、インゴット、クロース)を作り、レシピレベルを上げて、それをバンバンつっこめば誰でも強力なアイテムが作れるようになっています。また自動調合もかなりよく出来ている(これまでのように「貴重な特性が付いているアイテムだから自動調合で使われたら困る!」みたいなことがほぼない)ので、そちらに一任してもいいかもしれません。
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- そのためこれまでのように、素材を厳選し、中間素材を洗練し、最高のアイテムを作る!みたいなのはなくなってしまいました。あれがアトリエシリーズの楽しさの中心だったのでちょっと寂しい。とはいえ最初からあまり難しいと、新規プレイヤーの方には優しくないゲームになってしまうので、仕方ないのかなとも思います。次回はプレイヤーも慣れてくるので、調合システムもさらに強化してほしいですね。
- 略式調合ですが、アトリエ以外の場所で必要なアイテムを錬成できるというのは面白いと思います。ただシステムがちょっと使いにくくないですか?まず探索ポーチが小さすぎて収納できるアイテムが少なすぎます。収納できる個数も少なすぎるし、自動補充システムもないので頻繁に入れ替えが発生して面倒くさいです。また例えばあと2個しか入らないアイテムを5個調合すると、余ったアイテム3個はカゴに入るのですが、そのままアトリエに戻るとカゴのアイテムはコンテナに入ってしまうので、フィールド上では取り出せなくなっちゃうんですよね。なのでリペアツールとか、いつの間にかコンテナの中で90個くらいデッドストックになっていてびっくりしました。
- その他について
- その他、大きな問題ではないのですが、細かく気になるところがいくつか。
- 探索オブジェクトである「祈念の社」ですが、毎回ほぼ同じようなミニゲームをやらされるだけですし、得られる特典も弱いのでもう少し数を減らしてもいいのではないかという気がしました。
- ハウジングは本作の目玉の一つなのですが、操作がやや不親切で、やりこもうという熱意が起きませんでした。特に複数のオブジェクトをまとめて移動させる機能がないのは結構致命的だと思ってます。多種多様な建築資材に家具に装飾に染色などやり込めるだけの材料はそろってたのでもったいないなと思いました。興味がない人向けにプリセットが十分に用意されているのは良かったと思うんですがどれも素朴な出来だったので、スタッフの方が考えた、めちゃくちゃ作り込んでいるプリセットとか見たかったなーと思いました。あと拠点襲撃システムは面倒くさいだけなので不要。
- その他、大きな問題ではないのですが、細かく気になるところがいくつか。
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- また仲間とキャンプをして親睦を深めることもできるのですが、キャンプセットを持ち歩くのが大変(前述の通りポーチの容量が少なすぎる)、キャンプができる場所が限定されすぎているなど使いづらかったのも残念です。専用のイベントもあったりするのでこれももったいない。
- 本編とは別に開拓任務というものがあり、特定の条件を達成して開拓率を上げることで様々な得点が得られます。ただ実際にはこれをやらないと(本編クリアに支障はないものの)相当数のアイテムが入手できなくなる(しかもそれについての説明はない)のでちょっと不親切に感じました。yukkun20は特典があろうがなかろうがやりこむのでまあ別にいいのですが。
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- とはいえ、新シリーズ第1作としては十分満足のいく出来になっていました。次回作での進化に期待ですね。
キャラクター
- 主人公ユミアは、迫害されていることもあって最初はおどおどしている感じのキャラで、愛せるのか心配になったのですが、段々地が出てくるに従って好きになりました。フラミィとかルトガーには最初からぞんざいな感じで接しているのでギャップもいいんですよね。
- パーティは最初こそ禁忌の錬金術士ユミアを巡ってギスギスしていたものの、ユミアが錬金術を正しく使って信頼を勝ち取ろうとしている実直な少女のことが分かってくると打ち解けていきます。ただ個人的には、もっとキャラクター同士の絡みが見たかったですね。今作はキャラクターの個別イベントが少ないし内容も薄い感じがします。なんというか、ユミア一行は調査団の切り込み役で、人体にとっては有害な気体が漂う危険な地域を命がけで探索をしていくチームなんですから、もっと濃い信頼関係があってもいいと思うんですよね。それぞれのキャラクターは重い過去を追っているのですが、その辺の事情にぐいぐい切り込んでいくこともなく、それぞれがそれぞれの問題に向き合って乗り越えていく―みたいな感じなので、ちょっと人間関係が淡泊に感じました。昨今の事情からなのか恋愛っぽいエピソードも皆無だし。
- フラミィもちょっとデジタルに寄りすぎていた感じがしました。エンディングでの事を考えると、もっとユミアと親密なやりとりがあっても良かった気がします。
- その中でもニーナのエピソードは面白かったです。強いネタバレになるので詳細は控えますが、こういう自身のアイデンティティに立ち向っていく、あるいは家族の愛情が救いとなる物語がyukkun20は好きなので。これくらいの濃さのエピソードが他のキャラにもあればなぁ。
- 同じことは敵サイドにも言えます。敵はボスと3人の幹部(幹部といっても部下はいないので実質4人の組織ですが)で構成されているのですが、3人の内ボスに忠誠を誓ってるっぽいのは1人だけであとの2人は何を考えて分からない(あるいは分かりづらい)です。お互いを仲間だと思っているような描写もなく、ボスの計画に心酔しているわけでもなく(忠誠を誓っているキャラも、ボスの計画に賛同しているというより国の意志に忠実という感じ)、なんというか、物語の敵役としての存在感が薄いというか…。同情するには事情説明が足りず、乗り越えるべき壁と考えるには迫力が足りず、憎むべき敵と思うには悪辣さが足りない…という感じでした。
戦闘
- PCは6人です。全員パーティに入れることが出来て、そのうち3人を前衛(実際に戦闘を行う)、3人を後衛(戦闘中でも前衛と交代可能)に配置します。配置制限もなく、操作キャラも自由に設定できます。
- シンボルエンカウント制です。今作はレベル差に関係なく敵はこちらを見つけると寄ってきますが、フィールドが広めですし、前作に比べると敵の位置も視認しやすくなったので、意図しない戦闘に巻き込まれることは減ったと思います。個人的にはバイク(プロセラ)に乗っている時はエンカウントカットして欲しかったですが。
- 今作は完全にリアルタイムバトルになりました。各キャラは近接戦闘用の技4つ、遠距離戦闘用の技4つ、攻撃アイテム4つ、回復アイテム4つを順次切り替えながら戦っていきます。攻撃についてはボタン連打でどうにでもなりますが、敵の攻撃範囲が事前に表示されるため、その範囲から出るなり、ガードするなり、回避するなりする防御行動が忙しく、直感的でありながら複雑すぎないバランスになっていました。
- ただ戦闘バランスは結構甘めです。アイテムや装備が火力に与える影響が非常に大きく、前述の通り強力な物を作るのもさほど難しくないので、それなりに調合をやっておけば中ボスたちも瞬殺できるくらいでした。戦闘時にアイテムを使用すると「環境マナ」というゲージが溜まり、これが100%になるとマキシマムアドベントという必殺技を使えるのですが、ラスボスまでゲージが100%になったことなかったよ…(その前に敵が死ぬ)
- とはいえこれも新シリーズ第1作目あるあるということで、あまり気にしていません。DLCでこれまでとは比較にならない高難易度が追加されましたし、最高火力をぶつけたい方はそちらに挑まれてはいかがでしょうか。
総評
- 前作は序盤が非常に面白みが少なく、調合の中毒性で終盤は楽しかった…という感じでしたが、今作では序盤からしっかり面白く、ストーリーにも牽引力があり楽しむことが出来ました。システムや戦闘も細かいところは荒削りですが、全体としては良い感じに収まっていたと思います。ゼノクロとユミアという開拓ものを続けてプレイしましたが、どちらも未知の世界を切り拓いていく楽しさがあふれていて、個人的には満足です。今作は様子見だったので限定版は購入しなかったのですが、次回は買ってもいいかな。人間関係だけはもうちょっと濃くしてください!
- ただですね…これアトリエシリーズとして他のゲームとの差別化が弱まってない?というのは強く感じます。ゲームとしては面白いんですけど、アトリエシリーズらしさから離れているというか…特に調合がないがしろにされつつある感じがします。いや、確かにこれまでの調合はめちゃくちゃ手間が掛かるから人を選ぶと思うし、実際自分も面倒くさいと思いながらプレイしている瞬間もありました。今作はその面倒くささがなくなって、確かにゲームとしては良くなったし間口も広まったと思うんですよ。でもその面倒くささ、本当になくしちゃって大丈夫なの?という漠然とした不安を感じるんですよね。まあこういうことを言い出すのが老害の第一歩だということは十分分かっているつもりなので、今後も自分をゲームに合わせながら楽しんでいこうと思います。
おお まさかこんな短期間に RPGのレビューを読めるとは
>>ただ個人的には敵役の扱いがあまりこなれてない感じがしました
リリーボレアはもう少しなんとかなったような気がしますね・・
全体的にはキャラはよかったし 探索も楽しかったりしますが 細かい所に調整不足が目立ちましたね
>>これアトリエシリーズとして他のゲームとの差別化が弱まってない?
これけっこう言われてますよね
そして次回作ですが yukkun20さんは主人公変わる説らしいですが この世界にはユミア以外の
錬金術士がいるか微妙なので 僕は続行説を推します とはいえ どちらでもいける気がしますが
2025.07.19 21:46 | by sasa |
> リリーボレアはもう少しなんとかなったような気がしますね・・
リリーボレアこそ、錬金術の功罪を体現したようなキャラだったと思うんですよね。あとボスたちは○○○と同じ時代を生きてるんだから、そこら辺で絡みがあってもいいのに何もなかったもんな…。
> この世界にはユミア以外の錬金術士がいるか微妙
ユーステラにはいなさそうですけど、外国には普通にいるんじゃないかな。そもそもユーステラはアラディスと戦争してたと思うのですが、相手が錬金術で自滅したからって、錬金術を禁忌にするのはあまり合理的な行動ではないと思います。多分交戦していた他の国や中立国の中には、錬金術を独自に継承して研究してる国もあると思うし、むしろそっちが多数派だと思うんだよね…開拓イベントのエンディングはそのことをそれとなく示している気がします。
2025.07.19 23:12 | by yukkun20 |