2025-07-13
【ゲーム】英雄伝説 界の軌跡 Farewell, O Zemuria レビュー
久々のぶった切りエンド。なので今作は評価難しいな…
↑いよいよプラチナトロフィー99個です。100個目はユミアのアトリエになりそう。
英雄伝説 界の軌跡 Farewell, O Zemuria
プラットフォーム | PlayStation®5 / PlayStation®4 | ![]() |
ジャンル | ストーリーRPG | |
価格 | 通常版 : 8,800円(税抜) DL版 : 8,800円(税抜) 限定版:11,550円(税別) |
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公式 | 英雄伝説 界の軌跡 -Farewell, O Zemuria- | 日本ファルコム – Falcom | |
プレイ時間 | 1周目:121時間(難易度ハード) 2周目:37時間(難易度ナイトメア・トロコン) |
ストーリー
- ときに七耀暦1209年。カルバード共和国は、人類初となる有人ロケットの打ち上げに向けて熱狂的な盛り上がりを見せていた。しかしそれに伴い、首都を中心に不可思議な事件が起きるようになる。裏解決屋であるヴァンはそれらの事件を追ううちに、かつて手に入れたゲネシスによく似た導力器の存在と、それを巡って暗躍する「残滓」と呼ばれる謎の組織を巡る騒動に巻き込まれていく。一方共和国政府からの要請を受けた灰の剣聖リィン、七耀教会の命で人探しをしている守護騎士ケビンも同じく共和国入りしていた。三者の思惑は時に重なり、時に分かたれながらも、間近に迫るロケット発射に向けて収束していく。果たして共和国が推し進めるロケット発射計画の真の目的は、そして各地で発生する謎の事件の背後にあるものとは―
- ということで、軌跡シリーズの最新作です。今作からサブタイトルが変わりましたが、共和国を舞台とする「黎の軌跡」シリーズの直接的な続編になっています。今作は軌跡シリーズの世界観に大きく関わる内容になっていますし、黎の軌跡シリーズを踏まえてもいますので、少なくとも黎の軌跡1・2はプレイしておくことをおすすめします(欲を言えばそれ以前の作品も予習しておいた方が絶対面白いですが)。
- ストーリーが途中で終わっている(閃の軌跡Ⅲ以上のぶったぎり)なのでストーリー面での評価は難しいですね。今作は軌跡シリーズの世界設定の根幹に関わる秘密が明かされ、規模を考えると世界全体で事に当たらなければいけないレベルの事件が発生します。しかしその事件の全体像が見えている人物がプレイヤー側にはおらず(ケビンとアニエスは全体が見えていると思いますが、作中では一切その説明をしない)、全体見えているはずの共和国政府、七耀教会、身喰らう蛇も思わせぶりなことを言うばかりなので、プレイヤー側の行動は特に後手に回りがちですし(本作では真相から一番遠くにいるヴァンのルートで顕著)、結局プレイヤーの行動は大きな流れを変えることは出来なかったので、カタルシスは少なめでしたね。次回作でどう転がすかによって、今作の評価もまた「素晴らしい伏線だった」か、「あまり存在意義がない」か、大きく変わってくると思います。
- ストーリーは、ヴァンルート、リィンルート、ケビンルートの3つに分かれています。3人は活動場所もバラバラで、現実世界ではほとんど絡まないですが、黑の庭城というWeb会議システムで合流できるのでさしたる問題はありません。ただ今作は3人とも別の思惑で動いていて、せっかくWeb会議やってるのに、情報共有を優先せず、「今は自分たちのやるべきことをやるだけだ」みたいな形で秘密主義を貫こうとするので、創の軌跡みたいな集大成感はなかったです。ケビンは立ち位置的に他のチームとはなれ合えないのは分かりますし、ヴァンとリィンはこれまであまり接点がないので、仕方ない側面もありますけど、事件が事件なのでみんなが共闘するシーンも見たかったですね。結局ラスボス戦もヴァンチームだけで戦うことになるので。
- ルートごとに言うと、ケビンルートは面白かったですね。ボケが多い軌跡世界の中できっちりツッコミがこなせるケビンは貴重な人材です(そこ?)。普段はおちゃらけていますが、何より自分の使命を自覚し、それでいて仲間への気配りも忘れないけど完全に心を許すわけでもない、みたいな複雑な彼の心中がよく現れたルートになっていました。リィンルートもリィンが剣の腕でも人格面でも成熟に達していることが分かる話になっていて、シリーズを追ってきた身からすると非常に面白かったです。
- ヴァンルートは…前述の通り基本的に後手に回っているのは仕方がないところなのですが、結局話の流れについて行けてないんですよね(これはヴァンが悪いわけではなく、世界設定を教えてくれるキャラが近くにいないからなのですが)。最終盤でヴァンは、ロケット打ち上げを進めようとする共和国政府と対立することになるのですが、彼は別に計画を止めたいわけではなく(そもそも計画の是非を判断するだけの材料すら持っていない)、基地に軟禁されていると思われるアニエスの救出が目的なわけです。しかし彼女が軟禁されているというのはあくまでヴァンの一方的な見方に過ぎない(翌日の予定のため、父親である大統領のいる施設にいるわけですから現場待機とも言えますし、なによりそれがアニエスの意志に反しているという描写はありません)し、潜入中にアニエスが自力で脱出していることが判明するので、その時点でヴァンは大義名分を失ってます。しかしヴァンは大統領に、娘と話し合うことを優先するためにロケット打ち上げを延期するように求めるし(既にカウントダウンに入っている状態で延期とか物理法則の都合も無視してるし予算もいくら無駄になると思ってんだ)、その割にアニエスとの最後の通信では、その場にいる大統領とアニエスの親子の会話ではなく、自分との会話を優先させちゃうんですよね。なので今回はヴァンにがっつり感情移入するのが難しく、そこがストーリー評価に身妙に影を落としている気がします。
- とはいえ、全体としてみれば本当に面白かったです。yukkun20はトロコンのため2周しましたが、各勢力の思惑を知った上で2周目をプレイすると、キャラのちょっとしたセリフやリアクションに新たな発見があったりして、しっかり練られていることはよく分かりました。次回こちらの想像を軽く超えるような物語が読めるのを楽しみにしています。
システム
- ADVパートにおける基本的なシステムは前作までと同様で、前作をプレイした人はそのまま違和感なくプレイできると思います。新要素は少なめでしたが、軌跡シリーズのシステムは十分完成度が高いので、特に問題はありません。
- いつも言っていますが、声優も豪華だしイベントの質も高いので、パートボイスなのは残念です。せめてメインシナリオだけでもフルボイスにしてほしいんですけどねぇ。ただ今回は過去作みたいに、「どうでもいいところにボイス入れるなら、もっと見せ場をフルボイスにしろよ…」と思うことはなかった気がします。
- いつでもセーブは本当にすばらしいです。長丁場のRPGだからこそ、短い時間でもプレイしやすいこういうのは大事にしてほしいです。今作はロード時間も短く、ハイスピードモードがあるおかげで2周目も快適でした。
- OPムービーも相変わらず高レベルでした。また過去作のストーリーを振り返るアーカイブや、作中に登場する用語の解説なども充実していて良かったですね。
キャラクター
- PCキャラは全部で24人+αです。3チームに分かれてるし入れ代わりもあるので余り気にしませんでしたが冷静に考えると大概ですね…新規キャラもケビン(過去キャラですけど当時とはだいぶシステム変わってるので新キャラ扱いしてます)とヨルダがいて新鮮さもありました。
- ヴァン自身の物語は前作で一応の解決を見ており、今作はアニエスとの関係がクローズアップされていました。アニエスの告白にヴァンがどういう対応をするのかは気になっていたのですが、彼らしいリアクションだった気がします。ただこれもし次回作でもう一度同じことがあったら、ヴァンはその性格上受け入れるしかないような気がする。今作はエレインもヴァンといい感じになるシーンがありましたけど、ヒロイン力では負けてるからな…がんばれ。あとジュディスはもう諦めてwせっかくヴァンを親に会わせるという千載一遇のチャンスだったのに、コメディリリーフしかやってないし…w
- また今作はリゼットの過去話も大きく前進しました。彼女に関するエピソードは黎の軌跡ではほとんど語られなかったのですが、語られなかったのも納得といった感じの過去がありましたね。彼女の過去は今作の事件とも大きく関わってくるところなので、次回どのような決着を見るのか楽しみにしています。しかし彼女の過去が想像通りのものだとすると、ノバルティスと同じようになる可能性もあったわけで、彼女を光の側に引き留めたミラベルの功績は大きい気がします。
- 今回のコネクトイベントはかなり深いストーリーが多く、また努力すれば1周で全部見られるようになっていたのは良かったと思います。唐突にシズナがヒロインレースに割り込んできたり、シリーズおなじみのブルブランが登場したりとみどころもたくさんでした。
- ただ今回新登場したキャラの内ウルリカだけは…ちょっと受け入れ荒れませんでした。そもそもギャルっていうのが世界観的にどうなんだということもありますが、最近結社キャラはふざけすぎ…とまではいいませんが馴れ合いがひどすぎる気もします。個人的にはその辺一線引いて欲しいんだよな。
- 今回もモブキャラも膨大なセリフ差分が用意されていて、ストーリーが進むたびにすべてのキャラに話しかけたくなります(し、話しかけました)。
バトル
- 基本的に前作を踏襲しています。シンボルエンカウントですが、フィールド上を動いているモンスターとそのままの状態で戦闘するアクション性の高いフィールドバトルと、従来作同様コマンド入力で進めるコマンドバトルを併用する形になっています。ボス戦はコマンドバトルが強制されますが、ザコ戦はフィールドバトルでも、コマンドバトルでも、両方を切り替えながらでも戦えるようになっています。切り替えもシームレスなので快適。
- フィールドバトルでは、プレイヤーは操作キャラのみを操り、残りのパーティメンバー3人はオートで行動します。プレイヤーができるのは、移動、攻撃、回避、チャージアタック、クイックアーツ(一部のキャラは覚醒という自己バフも可能)くらいでかなり単純化されています。フィールドを自由に動きながら敵に攻撃を当て、HPを0にすると敵はフィールドから消滅し、リザルトが入手できます。敵も反撃してきますが、こちらのHPが減少した状態で攻撃を食らうと、強制的にコマンドバトルに切り替わり、かつ不利な状態で戦闘を始めさせられますので、そうなる前に敵を倒すか、逃げるか、こちらからコマンドバトルに持ち込むかの選択を迫られることになります。前作でも言いましたが、yukkun20はこのシステム結構好きです。ザコ戦はほぼすべてフィールドバトルのみで処理できるようになったので、進行が楽になりました。コマンドバトルも好きなのですが、はやり敵味方が交互に行動するので時間はかかりますからね。ちなみにトロフィー「地獄の栄冠」では、難易度ナイトメアでのクリアが必要ですが、フィールドバトルの難易度は制限がないので、トロフィー狙いでもフィールドバトルはサクサク進められるのもいいですね。
- コマンドバトルの方ですが、行動順が回ってきた順番に、「攻撃」「クラフト」「アーツ」「道具」などのコマンドを選択して戦うという基本は変わってません。それぞれのコマンドに別のボタンが割り当てられていて、ボタン一つでどの行動にもアクセスできるのがいいですね。選んだコマンドによって次の行動順が回ってくるまでの時間も変わる、変則的なコマンド制+ターン制です。戦闘に参加できるのは4人です。戦闘中は近くのキャラとペアを組むことが出来、追撃してもらったり、術技の威力を底上げしてもらったりすることが可能です。さらに4人は控えメンバーで、途中で交代も自由。
- 攻撃には、威力が低く射程も狭いがリソースを消費しない「通常攻撃」、威力が高く射程もほぼ無制限だが発動まで時間がかかる「アーツ」(テイルズでいうと術)、威力が高く即時発動するがCPを消費する「クラフト」、CPを多量に消費するが極めて威力が高く、ターンに関係なく割り込んで使用できる「Sクラフト」を使い分けて戦います。その他、ブーストゲージを消費して自身の能力を大幅に高める「シャードブースト」などがあります。今作はシャードブーストの効果が大きくなり、高難易度で戦うには以下にそれを戦力的に使うか、さらに言えばその準備として、いかにクォーツを配置するかという部分が非常に戦略的で面白かったです。またこれまでは回復しづらいリソースであるCPを使う物理アタッカーは長期戦で息切れしやすかったのですが、今作はその辺りもシャードスキルで補完できるようになっていて、物理アタッカーと魔法アタッカーの格差もほぼなくなったと思います。
- ただ今作は明らかにキャラ格差を感じます。まず今作の物理アタッカーは、強力な自己バフを使えないと使い勝手がかなり落ちます。したがってそれができるヴァン、リィン、ケビン、シズナが頭一つ抜けた強さを誇ります。魔法アタッカーはクオーツの配置が全てなので、必要とするシャードスキルの要求が厳しいドライブラインが水か幻縛りになっているのが望ましいです。よってレン、アルティナが有能。ジュディスも両刀気味ですがOK。最後にサポーターは、戦術の要であるブーストゲージを回復する能力を持っているかで評価が違います。よってアニエス、エレイン、ルーファス、クロウが圧倒的に優秀です(加速という唯一無二の性能があるリゼットは別)。
- この辺の戦術論は、こちらのブログが大変参考になったので皆様も是非ご覧ください。特にヴァンやリィンの扱いについては非常に秀逸な内容になっていて、ナイトメアも結構余裕を持ってクリアできました。
- おすすめクォーツ配置についての情報があまりネット上にないので、後日yukkun20の配置を紹介するつもりです。
総評
- いつも通り、JRPGのお手本のような作品でした。色々指摘しましたけど、それはこのシリーズに対するyukkun20の期待値が非常に高いのが原因です。yukkun20的には今一番物語が面白いゲームシリーズだという評価は全然揺るいでません。
- 次回作はこのシリーズのこの先を大きく左右する作品になるのは間違いなさそうです。これまでこのシリーズを見守ってきたファンの期待に応えてくれるような素晴らしいゲームが出るのを心から楽しみにしています。でも生殺し状態なので、せめて2年以内には頼みますよ…
>>ヴァンが後手に回りすぎている
そうですね 今回は敵サイドに翻弄されるばかりでカタシルスのない終わりでした
ですがヴァンは本当の意味で回りと向き合っていなかったのではないかと思ってます
いまだに心のどこかで他人と距離をとっている その結果があれなら今作の結末は納得のいくものではないでしょうか
・やっぱりウルリカ 合わなかったか・・ なんというかいかにも 最近の流行りを取り入れたような(軌跡シリーズでは割りとよくあるが
キャラでしたね
>>今回登場したのアバターだけだから、真の姿は全然違う…って事もあるよな
さすがに実は男でしたってのはないでしょうけど 実際はちょっと地味っぽい眼鏡をかけた少女だと思ってる
>>でも生殺し状態なので、せめて2年以内には頼みますよ…
そう問題はこれの続編が今年出ないんですよね ファルコムには申し訳ないが あの結末の後で初代のリメイクを出されても・・
・あと今回のストーリーが三日間の出来事というのはやっぱり無理がありすぎます コネクトやサブスクエストを含めたら
どんだけ詰め込んだ一日なんだよと
2025.07.13 20:17 | by sasa |
ヴァンは色々なところに人脈があるんですけど、かといってそれらの人々が内情を明かしてまで頼る存在じゃないんですよね。おっしゃるとおり、ヴァン自身も事情に深入りしないようにしていることの弊害だったのかも知れません。
> やっぱりウルリカ 合わなかったか
ちなロザリーもちょっと苦手。
> 今回のストーリーが三日間の出来事というのはやっぱり無理がありすぎます
自由時間であれだけ動き回って映画も2本見てコネクトイベントも2本こなして…ってどんだけ時間あるんだよw
2025.07.13 22:58 | by yukkun20 |