第31回 さらば、レッドノア
これまでのあらすじ
とある島でみんなとのほほんと暮らしているジャンやナディアたち。しかし人が二人以上集まってなにも問題が起こらないはずもありません。そして偶然発見した巨大な地下遺跡で、ブルーウォーターが突如放った光と共にナディアはジャンを残して壁の中に消えてしまいました。
ブルーウォーターの秘密が今、明かされるのです。
ストーリー
次々と島に起こる怪奇現象の前に、グランディスたちは脱出の準備を早めていた。ところが、ナディアは未だ帰ってこず、ジャンも何があったかについて口を閉ざしたままである。
その頃、ナディアは「M78星雲の宇宙人に作られた存在」と名乗る者と会話していた。彼の話によると、その宇宙人、すなわちアトランティス人は、今から240万年前地球に不時着し、この星に文化を築いたのだという。しかしやがて起こった戦争によって星は荒れ果て、生き残ったわずかな人が築いた王国も、ブルーウォーターの力で滅びてしまった。ナディアはそのアトランティス王家の末裔で、ブルーウォーターがその証なのだ、と。
一方、島ではそれに呼応するように地震が起き、地面からは光が断続的に発せられていた。島を引き裂くようなその衝撃、それはこの島を乗せた巨大な宇宙船が、ナディアという主を得て始動したからであった。ナディアはジャンたちの身を案じ、それを止めようとするが、レッドノアは応えない。グランディスたちもナディア救出に向かうジャンを残して島を離れざるを得ない状況に追いこまれていた。
ジャンは急いでナディアと別れた場所に向かうが、そこには昨日と同じ壁があるだけ。しかし、ジャンが来たことを感じ取り、ジャンたちを犠牲にしてまで運命に従うつもりはない、と言い切るナディアにレッドノアも屈し、彼女を解放する。ようやく再会し、抱き合う二人。島の崩壊にまきこまれそうになるが、一足先に脱出していたグラタンの活躍により、無事収容されたのだった。
コメンタリー
- 【サブタイトル】
絵コンテ段階では「沈みゆく楽園」。 - 【気球を取り付ける一同】
絵コンテでは本編開始後すぐのシーンで、サンソンとエアトンとマリーがひょっこりひょうたん島のテーマソングを歌っていた。パロディではなくそのまんまの曲で。許可下りなかったのかなぁ。それとも尺の都合か。 - 【影『ここは、衛星都市レッドノア』】
アトランティス人が乗っていたアダムスキー型宇宙船の一つ。ほかに、ブルーノアと呼ばれるタルテソス王国(第35回で登場)や、沈める寺院(第16回で登場)も同型艦。 - 【影『M78星雲の宇宙人によって作られた者です』】
M78星雲の宇宙人によって作られた、思考能力を持つ立体映像…という設定。正式名称は「アトランティス人の”影”」。 - 【影『僅かに残ったアトランティス人は第2パンゲニア大陸に新しい国を築いたものの、その国もまた、争いによって滅んでしまったのです』】
第35回を見ると、これはネモによって滅ぼされたナディアの故郷「タルテソス王国」のことのようにも思われますが、おそらく「レッドノア」「沈める寺院」「タルテソス」(ブルーノア)の順で滅びているので、タルテソス滅亡がアトランティス人のデータベースに残されているのはやや疑問が残るんですよね。なのでこの話は「沈める寺院」が滅んだ時のことではないかと思います。後述するとおり,”影”は「沈める寺院」のことは「アトランティス」と呼んでいますが、タルテソスのことは「タルテソス」と呼んでいますので、そちらとも整合的だと思います。 - 【ナディア『私はアトランティス人…人間じゃないのね…』】
ナディアが(アフリカ人ではなく)宇宙人という設定になったのは、庵野総監督が、日本人が黒人問題を直に扱うべきでないと考えたから。 - 【ジャンの乗った気球】
正式名称は「エメロードⅢ改」。その名前から分かるとおりジャンの造ったボート「エメロードⅢ世」をゴンドラに流用している。 - 【ハンソン『僕の気球が…』 グランディス『また直さなきゃならないのかい』】
気球の墜落という緊迫シーンなのに緊張感がないのは、この島の重力が弱く墜落スピードが遅いから。 - 【影『アトランティス王国にお連れします』】
アトランティスという言葉は非常に多義的に使われているんですが、この時レッドノアが向かおうとしていたアトランティスとは、深度800メートルの海底を目指していたことから『沈める寺院』のことと思われます。 - 【手下『北緯7度10分、東経62度の海域で高レベルのエネルギーを観測』】
インドの南西、アラビア海付近。 - 【ガーゴイル『ついに神聖大要塞レッドノアが発動したのだ』】
ガーゴイルの主観ではナディアとネモは死亡していてブルーウォーターも回収できていないはずなんですけど、なんでアトランティス人とブルーウォーターが必要なレッドノアの復活と断定できたのか不明。ネオ皇帝の力でブルーウォーターを回収できなかった→ナディアとネモは生きている→やつらの力で復活キタ――(゚∀゚)――!!みたいな思考回路か? - 【マリー『マリーおもちゃだけだよ』 キング『ウニャ、ウニャ』】
キングは雨乞いに使った木のモアイを背負っている。 - 【浮上するグラタン】
本来飛行モードでは引っ込むタイヤが出っぱなしなのは、故障が直っていないから。 - 【エアトン『島が沈む…』】
レッドノアの上部のマークは、アトランティス人の遺跡にしては珍しく、目玉から4本角が出ているデザイン(通常は3本)。 - 【地震】
2004年の再放送時には、新潟県中越地震に対する配慮で1話丸々カットされてしまいました。重大な話だったのに第32回冒頭のナレーションで終わらせるとかひどい。
2012年の再放送時にも、関東地方で地震がありましたよね…なにかあるのか。
元ネタ
- ナディアの前に影が登場するシーンの構図
特撮テレビ映画「ウルトラマン」の最終回で、ウルトラサインが出るシーンのカット割りから。 - M78星雲
同じく「ウルトラマン」から、ウルトラマンの故郷。銀河系から300万光年離れたところにある。 - 影『トリスメギストスを受け継ぐ者は、神にも悪魔にもなれるのです』】
テレビアニメ「マジンガーZ」に登場する発明者の兜十蔵博士の台詞「あのマジンガーZがあれば神にも悪魔にもなれる」から。 - ハンソン『直感とイマジネーションだよ!』
特撮映画「日本沈没」で、田所博士が過去のデータからは予測不能なことをどうやって予想するのかと尋ねられた時の返事「直感とイマジネーションだ」から。 - ハンソン『これから先は、もう子供だってわかることさ』
同じく「日本沈没」で、田所博士が日本沈没を予言した台詞「それから先は、もう子供でもわかることじゃないか」から。 - 地震の際に閃光が走るシーン
地震の時の発光現象を再現した特殊効果。特撮映画「日本沈没」の中野昭慶特技監督が始めたことから、通称「中野フラッシュ」。 - 崖から落ちそうになったナディアをジャンが支えるシーン
特撮テレビ映画「日本沈没」でのクライマックスシーンから。
次回予告
ナディア
流され島、レッドノアから無事に脱出して飛びつづけるグラタンの前にあの空中戦艦が現われたの。空中戦艦に攻撃されたグラタンは吹き飛ばされちゃったんだけど、それでもどうにか無事に着陸したの。そう、あたしの故郷のアフリカにやっと着いたんだわ。
次回『ナディアの初恋…?』見てね。
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