第16回 消えた大陸の秘密

これまでのあらすじ

 時に西暦1889年。ノーチラス号はガーフィッシュの罠にはまり、アメリカ連合艦隊の集中砲火を浴びる。被害を受け、辛くも逃亡するノーチラス号。だが、艦内の修理中に有毒ガスが漏れてしまう。ネモは全員の命を守るため、3名の乗組員をガスと共に閉じ込め犠牲にする。ナディアはネモの非情さを知り、ジャンは科学が人を殺し、この船が戦争をしている事実を知るのである。

ストーリー

 フェイトたちが死んでからというもの、ナディアはガーゴイルがブルーウォーターを狙う理由を考えていた。ジャンの調べでもブルーウォーターが何なのかすら分からない。ナディアはネモに、たくさんの人の命を犠牲にしてまでそれを守る価値があるのかと詰め寄る。ネモはそれに対し、それがブルーウォーターを受け継ぐ者の務めだと話す。その言葉に絶望して、甲板からブルーウォーターを投げ捨てるナディア。しかし、ブルーウォーターはナディアの手に戻ってくるのだった。
ノーチラス号は、フェイトたちを弔うため「沈める寺院」に向かうことになった。海底に存在するその都市へ上陸する一同。そこは12000年前に滅んだという超科学都市アトランティスの廃墟で、ガーゴイルとの戦いで死んだ者が葬られているらしい。その都市はバベルの塔―ガーゴイルが模造品を作ろうとして失敗した、そのオリジナル―によって滅びたという。しかし、エレクトラによれば、バベルの塔は本来は兵器として使うものではないらしい。本来の用途について思索するジャン。
葬列の途中、ジャンは測的長のエーコーが路傍の墓に手をあわせているのを見かける。彼はフランス人で、乗っていた船がガーフィッシュに沈められたところをただ一人ノーチラスに助けられたのだ。その言葉に胸騒ぎを感じ、船の名を尋ねるジャン。エーコーの答えた名は、ジャンの父親が船長を務めていた船。その事実を知り、ジャンは愕然とするのだった。
葬儀はしめやかに進んでいく。ジャンは一人その場を離れ、巨大な廃墟で物思いにふけっていた。飛行機を作って父親を探す、という目標がなくなってしまったのだ。ジャンを追ってきたナディアは、ジャンにル・アーブルへ帰りたいか、と尋ねる。ゆっくりとそれを否定するジャン。ナディアにはノーチラスに残る理由がわからない。そんなナディアにジャンは、「ノーチラス号のみんなが好きだからだ」と笑いながら答えるのだった。

コメンタリー

  • 【作画】
    絵コンテが前田真宏氏、原画が今掛勇氏、鶴巻和哉氏、本田雄氏などガイナックスの精鋭が集っているのでハイクオリティですね。特に最後の方のジャンとナディアの表情が( ・∀・)イイ!!
  • 【ブルーウォーターを投げた瞬間にインサートする女性】
    ここでははっきり述べられませんが、ナディアの母親です。
  • 【ネモ『彼らの亡骸を我々の失われた故郷へ送り届ける』】
    戦時下だというのに、人が死ぬたびにこの人たちはこんな葬式をしているんでしょうか。ただ近くにあったから寄った、っていう感じではなかったですし。
  • 【沈める寺院】
    ナタール海盆にある海底遺跡。この都市がなんなのかということは第35回で分かります。
    ナタール海盆は実際にある場所なのかよく分かりませんが、ナタールはブラジル北東端の「ナタール」のことか。
  • 【ノーチラス号の装甲板】
    正式名称はスペースチタニウム合金。
  • 【ジャン『装甲板に傷を付けるなんて…』】
    …って言ってるってことは、ジャンはBWの方を削ろうと思ってたんですかね?いくらなんでもそれは…
  • 【ネモ『汝は冒険者か』~】
    厨二病…ではなく、アトランティスへの扉を開くためのキーワード。第1回のアバンタイトルでナレーションされていたフレーズでもあります。
  • 【エレクトラ『でも本当は、破壊兵器として使う塔ではないわ…』】
    正しい使い方についても第35回をどうぞ。
  • 【測的長『俺の本当の名前は、エーコー・ウィラン』】
    なぜ偽名を名乗っていたわけでもないのに「本当」の名前なのか。
  • 【測的長『俺がただ一人、ノーチラス号に助けられたんだ』】
    この時の話は番外編「さすらいのエーコー・ウィラン」で語られています。
  • 【ジャン『すごい…生きてる花だ…』】
    絵コンテによればこの花はイヌフグリ。
  • 【ジャンの入っていった遺跡】
    崩れた人工太陽の基部の先端。
  • 【ジャン『好きだからさ。ノーチラス号のみんなが…そう、大好きだからだよ』】
    絵コンテによれば、「大好き」はナディアにも向けて言っているとのこと。泣ける。
    今まで父親がどこかで生きていることを信じて、父親を探そうと飛行機を作ることに情熱を傾けていたのに…普通ならぐれちゃいますよ。でも、「ノーチラスのみんなが好きだから」、旅を続けるという。ノーチラスが殺し合いをしていると知って出されたこの言葉はジャンの成長をはっきり示したんじゃないでしょうか。
  • 第13回以来少し暗い話が続きましたけど、次回からまたしばらく「ノーチラスの平和な日常編」が帰ってきます。みんなの好きなエレクトラさんもイコリーナさんも活躍しますよ!

元ネタ

  • アトランティス
    プラトンの「ティマイオス」などに登場する、大陸ほどの大きさを持った島と、そこにあった王国のこと。ゼウスの怒りを買って海底に沈められたと言われている。
    ナディアの原案「海底二万里」にもアトランティスの海底遺跡が登場する。

次回予告

ナディア
ねぇ、ジャン。もう空は飛ばないの?
ジャン
えっ?
ナディア
また、飛んでみたいなぁ…
ジャン
あはっ、飛べるさ!前からずっと考えてたアイデアがあるんだ!
ナディア
え?今度はちゃんと飛べるのね。
ジャンナディア
第17回『ジャンの新発明』見てね~

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