第14回 ディニクチスの谷
これまでのあらすじ
時に西暦1889年。食糧不足のノーチラス号はとある島に立ち寄る。だがそこには偶然ガーフィッシュも停泊していたのだ。発見されたマリーとサンソンを追ってきたネオ・アトランティス兵が、ナディアたちの目前で銃を撃つ。ネモはその兵士をためらいもなく撃ち殺したのである。
ストーリー
キャンプも終わり、ノーチラス号はガーフィッシュの追跡に移っていた。10日かけて張った罠にガーフィッシュがかかったのだ。ところが、その追跡中にマリーが熱を出して倒れてしまう。医者の診断は灼熱病。あいにくノーチラス号には薬がない。医者は、灼熱病の専門家であるネモ船長ならなんとかなるかも、と言う。その言葉を信じて、ブリッジへ向かうナディア。
ブリッジは戦闘前の緊張感につつまれていた。そこへ入ってくるナディア。マリーを助けてくれと必死でネモに訴えるが、ネモは応えない。代わりにエレクトラが、灼熱病の薬をとりに行く暇はない、と冷たく告げる。「人殺しと人助けとどちらが大切なの!」ナディアの悲痛な叫びがこだまする。ところが、そのナディアも倒れてしまった。
ナディアもやはり灼熱病だった。その報告を受けたネモの脳裏に、ナディアのさっきの声が甦る。ガーフィッシュを攻撃射程に捕らえようとしたそのとき、ネモは進路を反転して、薬草採取基地リーフ64に向かうことを命令する。驚きを隠せない一同。エレクトラは再考を促すが、この船では船長の命令は絶対。自分の家族の復讐を遂げられないことに歯噛みしながら、エレクトラは反転の復唱をするのだった。
リーフ64は海底にある薬草の自生地だった。海中洞窟の奥にある採取場に行くには、潜水服を来て直接赴くしかない。そこに行くのは、ネモ、ジャン、サンソン、ハンソン、キングの4人と1匹に決定。早速潜水服を装備して、海底へ。ジャンたちは海底の神秘に目を見張りながらも、無事採取場へ到達し、薬草を採取、帰投することに。
ところが、洞窟の入り口では巨大な甲冑魚、ディニクチスがうろついていた。ディニクチスの注意をそらすために、その走光性を利用してランプを水中に沈めるという作戦を実行することになった。ところが、ロープに足が絡まり、ジャンとキングは海底に引きずり込まれそうになってしまう。だが、ネモが見事な射撃でロープを断ち切り、なんとか事無きをえたのだった。
薬が届いて、ナディアとマリーは無事回復。そんな二人にグランディスは、ネモ船長が命懸けで薬草を採ってきてくれたおかげだと教える。その言葉にナディアは驚きを隠せないのだった。
一方、ブリッジではエレクトラが留守中の報告を行っていた。報告を終え、下がろうとしたエレクトラに、ネモは謝罪する。そんなネモにエレクトラは、微笑みながら「私も船長を信じてますから…」と言うのだった。
みどころ
- 【サブタイトル】
絵コンテ段階では「古代魚の谷」。 - 【サンソン『マリーが倒れたって!』】
前回のことがあるとはいえテンション高いなぁ。さすがサンソン。 - 【ディニクチス】
板皮類。全長1~10メートル。古生代デボン紀に生息した肉食の甲冑魚。正式名称はダンクルオステウス。(cf.Wikipedia) - 【エレクトラ『13年前の復習は…私の弟や両親は…』】
ここでエレクトラがこの船に乗っている理由が少し明かされます。完全に明かされるのは22回を待ちましょう。 - 【ネモ『復唱はどうした』 エレクトラ『―わかりました』】
到底命令には従えないけど、副長としての職務を果たすために反転の復唱をするその後姿にもうメロメロ(死語?)でした。初めて視聴したときは、この後の海底探検でエレクトラさんがいつ裏切るか心配で集中できなかったのを覚えてます。 - 【エーコーさんの下手なシャレに対するクルーの反応】
エレクトラさんのジト目かわいい。 - 【ジャン『戦争か…それで人が死ぬんだね』】
伏線。 - 【潜水球】
ノーチラス号戦隊株にある深海作業用小型艇。内部にはハッチを通じて艦内から直接移動できる。作中では使用されなかったがマジックハンドが付いている。これ宇宙空間では使えなさそうだから、多分ノーチラス号で造ったんですよね。 - 【潜水服】
第10回で名前だけ出て来た潜水服が今回登場。ルメール海峡(深度300)では使用できないがリーフ64(深度不明だが日光が届いているような描写なので200メートル以下?)では使用できる程度の性能。 - 【ネモの銃】
水中用万能銃。ハーケン代わりにしたり攻撃に使用したりと多機能。高圧ガス作動式。 - 【ネモ『大人では通れないか…これはきみとキングにしかできない役目だ』】
ということはジャンの潜水服はサイズが違うんですよね。なんで子供用の潜水服積んでるの? - 【エレクトラ『いえ、私も船長を信じてますから』】
エレクトラさんカッコイイ。 - 【次回予告『ナディアのブルーウォーターが警告してくれた時は、もう遅かった』】
はいはいいつものいつもの。 - 全カットにナメモノを入れる(対象物の手前に別のものを写しこんで画面に奥行きを出す)という実験的な試みが成されてます。庵野総監督は「画面では効果が出なかった」って言ってますけど。
- ネモ船長の命がけの冒険はもちろんかっこよかったんですけど、とにかくエレクトラさんの心が揺れ動いて目が離せない回でした。こういう幕間的な話も深いのがナディアのいいところ。
元ネタ
- リーフ64
テレビアニメ「トップをねらえ!」3話でエクセリヲン艦隊が目指していた恒星の名前から。さらに元ネタは「8×8(はっぱ=葉っぱ=リーフ)=64」から。ただしスペルはREEF64。 - サンソン『この船は、人でなしの集団か!』
テレビアニメ「宇宙戦艦ヤマト」第19話「宇宙の望郷、母の涙は我が涙」での相原の台詞から。 - ネモ『進路反転180度!』
同じく「宇宙戦艦ヤマト」第1話「SOS地球!! 甦れ宇宙戦艦ヤマト」での沖田艦長の台詞から。
次回予告
ジャン
ついにノーチラス号はガーフィッシュを見つけたんだけど…ナディアのブルーウォーターが警告してくれた時は、もう遅かった…何の音だろう?ガーフィッシュの新兵器に攻撃されて傷ついたノーチラス号の前に、思いがけない敵が現われたんだ。第15回『ノーチラス最大の危機』見てね。
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