あ行

アーヴ  abh

  • 皇族、貴族、士族の総称。
    全部で2500万人ほど。そのうち大部分は士族で、貴族は20万人ほど。
    子弟に対する遺伝子改造の義務を負う。
    【名前】
     アーヴの名前は以下の要素・順番で構成される。
     ・氏姓
     ・姓称号
     ・初代当主の名(生格)。姓称号と合わせて家姓と呼ぶ。
     ・称号(貴族、皇族のみ。複数有する場合はそのうちの一つ)
     ・個人名
  • ホモ・サピエンスから遺伝子改造によって生み出された変異人類。語源は「あま」であり、宇宙あるいは海の種族を意味する。
    1.と区別するため「遺伝的な」「生まれながらの」アーヴ、とも呼ばれる。
    地上人に対し自らについて語ることが少ないため、多くの誤解も生まれている。
    【身体】
     青系統の髪。美形(アーヴにしては平凡、と言えば地上人でも1000人集めれば対抗できるくらい、という意味)で性別の区別がつきにくいことも多い。空識覚という独特な感覚と、それを司る空識覚器官という器官を有する。
     15歳くらいまでは人間と同じように加齢(成長)、それから25年ほどをかけて10歳分ほど外見が年をとる(成熟)。その後は死ぬまで老けない。
     しかし、脳細胞は再生しないため不死ではない。年をとるにしたがって眠る時間が長くなり、知性が破壊される前に脳の呼吸領野が機能停止することで死亡する。寿命は200~250年。
     骨格と循環器系の特性によりかなりの高加速(20標準重力以上)にも耐えられる。その他の身体能力も高い。
     例外なく絶対音感を持つ。
     27000箇所の塩基配列が指定されており、それにより先天性疾患の防止と、種としての同一性の保持を行っている。そのため、誕生から2000年近く経つ今でも基本的な遺伝子組成は変わっていない。
     総じて寝起きがいい。
    【出生】
     自然受胎出産は危険が伴う(2%程度の確率で重大な先天性疾患が発生する)ため、人工子宮で受胎・育成されるのが普通。したがって一卵性双生児は極めて珍しい。また、遺伝的な地上人との間で子供が生まれる可能性はほとんどなく、生まれたとしても先天的な欠陥を負っている。
     血縁ではなく家風を重視するため、遺伝子提供者の性別などにはこだわらないが(ただし動物を用いるのは禁止)、普通は自分と愛する者の遺伝子を掛け合わせる。
     子供に遺伝要素を教えられるのは親だけ。遺伝記録は公開されているが、未成年者の閲覧には親の許可を要するし、遺伝子提供者に確認することは失礼だとされている。
    【性格】
     「アーヴ、その性、傲慢にして無謀」と一般的に評されている。
     自分の誇りを大事にする。
     人質を取られたとしても相手の要求を飲むことは決してない。
     自身が空識覚器官と航法野を備え、通常宇宙を駆けるために生み出された種族であることを自負し、舟艇を真空に馳せることを好む。
     誰が建造したものであれ空間にあるものは自分たちのものだという感覚があるが、地上世界の資源は地上の民のものだという認識があり、むやみに奪うことを嫌う。また商業種族であることから、個人の財産についても重視している。
     真摯に戦うことが、殺す相手への礼儀と考えている。星界軍の艦艇に仲間と共に葬られることは最高の栄誉であると考えている者が多い。
     戦時には乗員を艦の部品とみなす傾向がある。
    【家族】
     恋は激しく短いものが多いので結婚という制度はない。したがって、親は一人しかおらず、親子の性別により父の娘フリューム・ローラン母の息子フルーク・サーランなどと呼ばれる。
     星間交易を転職と心得ているため、良好な関係の親子が数十年も顔を合わさないのもよくあることと考えている。
     20歳になるか翔士に叙任されれば成人と認められる(皇族を除く)。また、翔士、交易者、親としての生き方を経験することで一人前だといわれる。
     他家の内部事情には関わらないのが常識。
    【文化】
     自然な1日がない空間が生活の場であるため、時間帯によって挨拶を使い分ける習慣がない。
     宗教は持たず、霊の存在も解決済みの問題として否定しているが、何か不可知なものへの恐怖は心の奥底に残っている。また冗談の種にするくらいには心霊という概念に親しんでいる。宗教的なものを感じさせる行事も多い。
     弔いの晩餐など、独自の習慣も多い。
     武器携行の習慣はない。
    【教育】
     幼い頃の初等教育はもっぱら親が行い、家風の継承に勤めると共に、読み書き等を教える。その期間、軍士であれば休暇を取り、領地のある親であれば代官を雇って教育に専念するのが普通。初級学校はないが、私塾は存在する。
    【衣服】
     性差がない。つなぎを着るのが普通で、上に長衣や短衣を着ることもある。基本的に首の上と手首の先以外は露出しない。
    【住居】
     たいてい人工環境の中にあり、屋外も屋内も区別がない。雨も好きな時間、好きな場所に降らせることが出来る。
    【食生活】
     薄味を好む。料理の見た目にも最大限の注意を払うのが特徴。
     素材は肉(鶏肉、子羊肉など)、野菜(南瓜、玉蜀黍とうもろこしなど)、魚介類(貝、海亀、鱒、海老など)、小麦、果物(桃、柑橘類、梨など)、香辛料・調味料(醤油など)など。
     料理法は羹、碗物、吸い物、澄し汁ルベス、麭包み、香辛料煮込み、香味焼き、炙り肉アピュリル、生(野菜など)など。
     飲み物は珈琲、桃果汁、柑橘果汁、葡萄果汁、紅茶、緑茶、柑橘茶、林檎酒、麦酒、発泡米酒、混合酒、蜜酒、林檎火酒、白酒、白葡萄酒など。血液中の主成分を片っ端から分解していくので、酒を飲んでもほろ酔いにとどまり、泥酔することはない。
    【歴史】
     元々は軌道都市で都市予算の半分をつぎ込んで生み出された人工生命体。人の遺伝子改造によって作り出され、人と区別するために青い髪を与えられた。また、独自の思考は持たされているものの、宿命遺伝子により自由や独立といった概念は有さないように造られていた。
     最初に作られたのは30体、うち1体は訓練過程で失われたが、残りの29体は植民地開発のため可住化の可能性が高い外宇宙の星系に派遣された。彼ら29体は黎明の乗り手と呼ばれた。
     探査船は出発後しばらくしてユアノンを発見、捕獲に成功し、母船をユアノン推進に改造。無限の軌道を得た彼らは母都市との訣別を決意し、深宇宙で独立を宣言。 その後船を近くの恒星系につけ、母船であった探査船をより大きな都市船アブリアルに改造した。
     改装による居住区の拡張に伴い、急激な人口爆発が発生。一人の親から子供が生まれるという特異な家族形態から、人口が増えても各成員は極めて強固な先祖意識を捨てなかった。このような意識を共有する、同じ黎明の乗り手を先祖にいただくグループは氏族と呼ばれるようになった。
     都市船時代、職業訓練は徒弟制度によって行われた。多くの乗り手は自分の子供を徒弟にすることを望んだため、都市船内の部門は氏族と同義になった。また、自分の子供たちのうちもっとも優秀な者を選んで後任とするのが一般的だったため、各部門の長は実質的に世襲となり、黎明の乗り手の直系と認識されるようになった。
     各部門は基本的に平等だったが、船の航法をつかさどる航法氏族だけは別格で、その長は船王と呼ばれていた。彼らは帝国創建後、皇族を形成するようになる。
     やがて巨大な都市船を運用するようになったアーヴだが、母都市の派遣した懲罰隊を恐れて自衛するようになり、ついには自分たちの故郷である母都市を殲滅してしまう。しかし、空間に散逸する母都市の残骸を目にした彼らは、自分たちが故郷を愛していたことに気付き、母都市の文化の守護者として生きることを種族としての目的にする。また、母都市を滅ぼしたという罪を忘れないために、青い髪を遺伝子に刻み付けるようになる。同時に、自らをアーヴと名乗るようになり、以降宇宙をさすらう武装商人となる。
     大放浪時代のアーヴが主に扱うものは人類社会の情報であった。その時代、彼らは半径一光世紀に広がった人類社会をつなぐか細い、唯一の糸であった。同時に、都市船内部でもアーヴどうし、氏族単位の財産を交換することによる交易が行われていた。
     やがて交易により人類社会の科学の精髄を演習したアーヴは平面宇宙航行理論を確立。それによって可能になりうる恒星間戦争を防ぐためにその理論を武力で独占することを決定、帝国を創建した。
     以降の歴史については「アーヴによる人類帝国」の項を参照。

アセージュ山  

クラベール・ソスにある訓練生野営地の背後に聳える山。なだらかな山で、徒歩で登頂可能。木は生えておらず、赤茶けた山肌が露出している。

アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・ガイタソール子爵ベール・ガイタソル・ドゥビュース  

→アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・クリューヴ王・ドゥビュース

アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・クリューヴ王ラルス・クリュブ・ドゥビュース  
 Ablïarsec néïc dubreuscr larth clybr Dubeusec

クリューヴ王家の当主。アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・アブリアル伯爵・ラマージュの息子で、ラフィール及びドゥヒールの父。遺伝子提供者はラマージュの何人目かの想人(男性)。訓練生時代はガイタソール子爵を名乗っていた。
十翔長の時にレクシュ・ウェフ=ローベル・プラキアと出会った。
【容姿】
 青灰色の髪。
【性格】
 一族の中では例外的に穏やかな性格。出生の秘密があったほうが子供の人格は豊かになると信じている。懐古趣味あり。
【嗜好】
 子供の頃はランシュ伯爵帝都城館に行くことを好んでいた。
【経歴】
 ・時期不明(16歳) 修技館入学
 ・時期不明 退役。階級は提督。予備役准提督に
 ・帝国暦935年 プレアーヴの宇宙船を発見
 ・帝国暦936年頃 クリューヴ王に
 ・帝国暦955年頃 現役復帰
 ・帝国暦956年頃 淡雪第二艦隊司令長官に着任。階級は大提督

アブリアル・ネイ=ラムサール・ギュクダーシュ子爵ベール・ギュクダク・ドゥサーニュ  

→アブリアル・ネイ=ラムサール・バルケー王・ドゥサーニュ

アブリアル・ネイ=ラムサール・バルケー王ラルス・バルケール・ドゥサーニュ  
 Ablïarsec néïc lamsar larth barcoer Dusanh

帝国皇太子にして帝国艦隊司令長官。ドゥビュースより3か月年下。ラフィールより年上(もしくは同じ年)の息子がいる。エクレーム子爵の爵位を有するが、所領は一度訪問したのみで放置している。訓練生時代はギュクダーシュ子爵を名乗っていた。
959年に先帝の戦死に伴い、第28代皇帝に即位した。
【容姿】
 腰の辺りまで垂れた濃紺の髪。尖った耳。新雪のように白い顔。
【性格】
 ケネーシュ・ウェフ=ステューマル・キペールやドゥサーニュ曰く『度しがたい性格』。
【経歴】
 ・帝国暦945年 流砂艦隊司令長官に着任
 ・帝国暦955年 幻炎艦隊司令長官兼幻炎第三艦隊司令長官に着任
 ・帝国暦956年 狩人艦隊司令長官に着任
 ・帝国暦959年 双棘艦隊司令長官に着任
 ・同年 第28代皇帝に即位

頭環アルファ  almfac

アーヴが装着する装備品。空識覚器官と接する部分には1億近くの発光素子が明滅し、両端に付いた接続纓から極超短波によって入力される個人の周囲、あるいは接続された艦外空識覚から入力された周囲の情報を空識覚器官に伝達する。
使用には装着者に合わせた調整が必要。装備することで360度の視野を持っているにも等しい状態になれるが、これがないと空識覚を使用できないため、生まれながらのアーヴには必要不可欠。入浴・就寝時以外ではめったにはずさない。かなり丈夫な作りをしており、めったに故障しない。
正装時のものは身分に合わせた造りになっていて、家格をあらわす。ちなみに皇帝のものは八頸竜を象ってある。
軍用のものは軍から支給される。

エクリュア・ウェフ=トリュズ・ノール  

アーヴ女性。有能な砲術士。バースロイルで砲術士として勤務したあと、ソバーシュ・ウェフ=ドール・ユースの指名でフリーコヴに乗りこみ、航法士となった。
5歳までは父と、頭と背中が鯖虎模様でそれ以外は白い一匹のオス猫とで深宇宙をさすらっていた。
【容姿】
 柔らかそうな空色の髪。空色の眉。空色の瞳。
【性格】
 立ち居振舞いは物静か。基本的には無口、無表情。だが、実は口が悪く、音痴でスピード狂。音痴なのは父親譲りで、本人もそのことには気付いている。
 自分では正直で、良識にあふれた人間だと思っている。
 修技館時代の成績は中位。意思疎通に難があるとされている。
【嗜好】
 好きなものは林檎の香りをつけた紅茶。時空分離時に現れる虹を眺めること。船を駆ること。湧き出してくる想念を弄ぶこと。初めて会った同世代の地上人であるジントに興味を持っている。
 年老いるから猫が嫌い。子供の頃は人参が大嫌いだった。
【経歴】
 ・帝国暦933年(0歳) バルケー王国を平面宇宙航行中の交易船で誕生
 ・帝国暦938年(5歳) エクリュア館に猫と共に送られる
 ・帝国暦948年頃 曾々々祖父が永眠
 ・帝国暦952年(19歳) 修技館入学
 ・帝国暦955年(22歳) 修技館卒業
 ・帝国暦955年(22歳) 列翼翔士に叙任。バースロイル次席翔士に着任
 ・帝国歴956年頃 後衛翔士に昇進
 ・帝国暦958年頃 前衛翔士に昇進
 ・帝国暦958年(25歳) フリーコヴ航法士に着任
 ・帝国暦959年(26歳) 十翔長に昇進。フリーコヴ副長兼航法士に就任
 ・同年(26歳) 副百翔長に緊急昇進

か行

学校  

アーヴが用いる場合は、翔士修技館のこと。

野営地司令部ガホール・ドボル  

訓練生の地上演習を行う本部。橙色の天幕で、夜間は野営地司令の寝室になる。

臭跡追跡機クネク・ドウ  

物体に付着した臭跡を追跡するための自走式機械。

観察機械クネク・ビーガ  

対象に気づかれず、遠隔地に映像を送信するための機械。星界軍でも採用している。

クラベール・ソス  

ラクファカールにある(またはラクファカール近くにある)、アブリアル伯国最大の惑星。直系約2セダージュ(=2000km)。表面重力は2標準重力。強力な重力制御機関を備えた核に、微小天体の搾り滓である土石をかぶせた人工惑星で、大気圏を持つ。表面には地上世界から輸入した肥沃な土が敷かれ、豊かな生態系を保持している。また伯国唯一の軌道塔もある。
地上世界を体験するために建設されており、星界軍の訓練用(空挺科の訓練や訓練生の地上演習)に用いられている。一般の人間も利用でき、広大な野生動物園は人気がある。

衛旗士グラボリア  

訓練生の地上演習において、掲揚式と降納式を行う役職。二人一組で訓練生の中から選ばれる。降納式で下ろされた帝国旗を前任者から受けとり、一晩保管し、翌日の掲揚式と降納式を済ませて、後任に渡すのが役目。あくまで形式的な役目と考えられており、武器も貸与されない。
大体は成績優秀な者から選ばれるため、名誉な任務と考えている者が多いが、夜間に拘束されるため、そうでない者もいる。また一日だけは宮中序列の高い者が優先的に選任される。成績優秀をもって選ばれた者は、相棒を指名する特権を持つ。

端末腕環クリューノ  creunoc

アーヴや国民なら誰でも持っている、左手首に装着する装備品。家の家格に合わせた色の思考結晶が取り付けられていて、識別電波紋や個人情報、口座情報が仕込んである。5歳以上で、その使い方を知らないアーヴはいないとされる。
かなりの多機能で、情報検索、身分証明、情報処理、信用取引、熱源探知、娯楽提供、簡易通訳、音楽演奏、現在地確認、電子機器の遠隔操作、思考結晶への接続、敵味方識別信号の発信、照明、計時などを行える。1光秒以内の距離にいて、相手の端末腕環の番号を知っていれば通話も可能。軌道都市の住民の出身地である弧状列島で生み出された文化についての情報が初期状態で書きこんである。
使用には起動が必要。入浴・就寝時には外す。
帝国標準のものは地上世界ではめったにお目にかかれないもの。

修技館訓練生ケーニュ・ケンルール  

訓練生のこと。

星界軍訓練生ケーニュ・ラブーラル  

訓練生のこと。

修技館ケンルー  cénruc

  • 軍士の養成や予備役翔士の再訓練を行う3年制の学校。各科ごとに12館(15?)、帝都に置かれている。在籍者は訓練生と呼ばれる。
    入学するには、12歳以上で(入学年齢がない?)、募集事務所で行われる入学試験に合格することが必要(翔士修技館のみ、遺伝的なアーヴであることも条件)だが、試験自体はそんなに難しくなく、18歳程度なら十分合格する。10代後半で入学するのが一般的。特に定員はなく、毎年の入学者は6~7万人(戦時には増加する傾向があり、952年の入学者は12万8572人)。入学生は帝国の艦艇に便乗する特権を持つ。
    人類統合体公用語なども教えられる。
    訓練生時代の評価は一人前になれば参照できる。
  • 翔士修技館のこと。

軍匠修技館ケンルー・スケム  

軍匠科の修技館。

翔士修技館ケンルー・ロダイル/翔士修技館ケンルー  

帝都にある飛翔科の修技館。定員なし。生まれながらのアーヴにのみ入学資格がある。十万以上の人口を収容する人工惑星で、いくつもの庭園がある。客船が何隻か横付けされ、訓練生達の居住区となっている。
帝国で平面宇宙航法を学べるのはここしかないため、星界軍への入隊希望者だけでなく、交易者などが平面宇宙航行資格を取得するために入学することも多い。二部制で運用。
戦闘術の修得よりも、平面宇宙航法の習得に時間が割かれており、教育課程の総仕上げとして平面宇宙航行実習を行う。

空挺修技館ケンルー・ワケール  

クラベール・ソスにある空挺科の修技館。地上演習を行っている飛翔科の訓練生から帝国旗を盗み出すという悪戯が伝統行事になっている。

コリュア・ウェフ=クナペム・サガージュ  

エクリュア・ウェフ=トリュズ・ノールの幼なじみで、修技館の同級生。
訓練生時代の成績は首席を争うほどに優秀で、将来双翼の頭環を頂くのは確実とみなされていた。
ノール曰く、『ノールを漠然とでも理解してくれる、貴重な人間のひとり』。

さ行

野営地司令サレール・ドボル  

訓練生が行う地上演習の責任者。

シャシャイン連邦  

過去に存在した恐らく星間国家。国力は帝国の4分の1以下で、国力に比べて戦力はさらに低かった。シャシャイン戦役で帝国に敗れ、吸収された。

透明煙幕セピュール・ルセラ  

シャシャイン連邦が開発した対アーヴ兵器。可視光線は透過するが、頭環の使う帯域の電磁波を完全に吸収するため、アーヴの空識覚を無力化出来る。

軍衣セリーヌ  sairhinec

帝国星界軍の制服。黒のつなぎに腰帯から成る。胸に階級章、左上腕部に乗艦の艦章旗が付けられる。気密性で、短時間の真空被曝にも耐えられる。布は特殊な材質で、通常の刃物は受け付けず、切断には専用の器具が必要。

ソスィエ・アロン=サイラル・スファグノーフ侯爵公子ヤルルーク・レーバル・スファグノム・リュトレー  

スポール・アロン=セクパト・レトパーニュ大公爵・ペネージュの訓練生時代の同級生で、当時のスファグノーフ侯爵公子。
次期侯爵には弟を継がせるつもりであるが、艇長徽章を得るため修技館に入学した。

た行

アブリアル伯国ドリュヒューニュ・アブリアルサル  

恒星アブリアルを中心とする星系。恒星から6ゼサダージュ(=6000万km)の軌道を帝都ラクファカールが、その1000セダージュ(=100万km)ばかり外の軌道を、等間隔に並んだ八つの門が空間機動要塞を引きつれて、帝都とは逆方向に公転している。領主は皇帝。
元々はアーヴが門を開く実験を行うために投錨した星系。帝国暦元年にこの名前が与えられた。
かつては岩石質の小惑星がたくさんあったが、現在では星系外縁部にあったものを含めてすべて金属資源を絞りつくされ、残滓はクラベール・ソスなどの建材になっている。

な行

は行

皇族ファサンゼール  fasanzœrh

建国帝アブリアル・ドゥネーとその兄弟や子女の子孫であり、アブリアルの氏姓と帝位継承権を有する一族。八つの王家に分けられる。
その子女は、出生と同時に領地を与えられ、爵位を叙せられるのが慣わし。
貴族同様軍役に就き、飛翔科翔士になる義務を負う。列翼翔士に叙任後、一年で後衛翔士、一年半で前衛翔士になり、自動的にドゥネー星界軍大学に進学、半年の研修の後卒業して十翔長になる。(通常軍大学進学には4年半の軍役が必要だが、特例として認められている)
退役までにひとかどの位階を得て、有事の際には軍の一翼を担うことが全員に求められている。そのため、出世は権利ではなく義務。
軍衣を来ている時は身分を忘れよと教育される。不当な圧力にならないよう、上官に不条理な批判を加えるのは厳に慎むよう教えられている。
一般的なアーヴと異なり、20歳になっても翔士に叙任されるまでは大人と認められない(帝国史上最高齢の未成年者は72歳)。未成年者は翔士修技生、若年者(概ね5歳~修技館入学まで)、幼い子どもに分類されており、若年者は重要な儀式の度に参列することを要求される。
軍では、その指揮する艦に配属されるのは将来を嘱望され、いずれは皇帝の親しき臣として働くことを期待されている証拠と言われている。
質素な生活に耐えるよう躾けられている。同年代の者は従兄弟と呼びあう習慣がある。

ベルテーシュ  

アーヴ男性。スポール・アロン=セクパト・レトパーニュ大公爵・ペネージュの訓練生時代の同級生。

ま行

や行

移動壇ヤーズリア  

室内移動用の機械。機械の運搬などにも用いられる。人間用のものは、利用者が目的地を入力するだけで使用でき、速度も調節できる。屋外用のものでも平坦な通路を動くことを前提に設計されており、不整地を走破する能力は無い。

ら行

ライサ  

アーヴ女性。スポール・アロン=セクパト・レトパーニュ大公爵・ペネージュの訓練生時代の同級生。

探査機械ラヒュリア  

肉眼や空識覚器官で探知出来ない物を発見するための装置。

航法野リルビドー  rilbidoc

生まれながらのアーヴにのみ存在する脳の領域。大脳の前頭葉に位置する。空識覚からの情報を再構成することで四次元時空を直感的に把握できる。肉眼に依らず空間を把握したり、宇宙船操舵時に無意識で軌道計算をすることが可能。

国歌ルエ・オル  

帝国国歌のこと。

わ行

空挺科ワーキア  

地上戦を専門にする兵科。かつては地上軍という名称で星界軍とは指揮系統が独立していたが、ジムリュアの乱を機に解体され、一兵科になった。その性質上、兵士だけでなく翔士も地上人が大部分を占める。

英数

備考

  • 「ガイタソール子爵」のルビ「ガイタソル」(ドゥサーニュp.4)は「ベール・ガイタソル」の誤植と思われるため、修正の上記載した。
  • 「従兄弟どの」のルビ「イロクラン」(ドゥサーニュp.4)は「イロク・ラン」の誤植と思われる(「家臣どの」(紋章I)のルビが「ゴスク・ラン」のため)。なお「従兄弟どの」自体には特筆すべきことがないため、見出し語には挙げていない。
  • 修技館は12歳以上でないと入学資格はない(紋章I)か、「入学年齢というものはない」(ドゥサーニュp.2)か不明
  • クラベール・ソスはラクファカールにある(戦旗V)か、ラクファカールから離れた位置にある(ドゥサーニュp.2)か不明。
  • 衛旗士は「伝統的に皇族は選ばれることになっている」(ドゥサーニュp.4)と「一日だけは宮廷序列の高い者が選ばれる」(ペネージュp.3)という記載があり、整合的に解釈すべきなのか、時代と共に変化したのかは不明。ひとまず前者で解釈している。
  • ソスィエ・アロン=サイラル・スファグノーフ侯爵公子・リュトレーの姓称号には疑問がある。スファグノーフ侯爵家は元士族(姓称号はウェフ)で、その後子爵に叙爵され、伯爵、侯爵と昇爵しているから、姓称号はスューヌのはず。整合しない原因としては①単なる誤り②アロン→ウェフとなった家が再び貴族になった場合はアロンになる(ただしこれは、「アロンからウェフ、そしてスューヌになった家もある」という記述と矛盾するように思われる)③初代子爵の時代以降のどこかで貴族位が返上され、アロンの姓称号を持つソスィエの誰かが継いだ(しかしこの場合でも、家姓がアロン=サイラルになるのは考えにくい)のどれかだと思うが、詳細不明。ひとまず原文どおり記載。
  • 「ドゥビュースの場合」と「ペネージュの場合」はどちらが時代的に先なのかが少々気になる。ドゥビュースは16歳、ペネージュは17歳で修技館に入学しているが、ドゥサーニュやドゥビュースペネージュへの接し方を見ると、ペネージュの方が年上なのではないかと思われる。他方ペネージュとドゥビュースらは同級生ではないから、もしかすると「ペネージュの場合」の方が前なのかも知れない。
  • サグゼールはサガージュの兄とされている(ノールp.5)が、サグゼールの姓称号は「ウェフ=コル」なので、文字通りの兄妹ではなく、同じコリュア一族に属するという意味だと思われる。