あ行

アーヴ  abh

  • 皇族、貴族、士族の総称。全部で約2500万人。そのうち大部分は士族で、貴族は約20万人。
    子弟に対する遺伝子改造の義務を負う。
    【名前】
     アーヴの名前は以下の要素・順番で構成される。
     ・氏姓
     ・姓称号
     ・初代当主の名(生格)。姓称号と合わせて家姓と呼ぶ。
     ・称号(貴族、皇族のみ。複数有する場合はそのうちの一つ)
     ・個人名
  • ホモ・サピエンスから遺伝子改造によって生み出された変異人類。1.と区別するため「遺伝的な」「生まれながらの」アーヴ、とも呼ばれる。
    語源は「あま」であり、宇宙あるいは海の種族を意味する。
    地上人に対し自らについて語ることが少ないため、誤解されていることも多い。
    【身体】
     青系統の髪。美形(アーヴにしては平凡、と言えば地上人でも1000人集めれば対抗できるくらい、という意味)で性別の区別がつきにくいことも多い。空識覚という独特な感覚と、それを司る空識覚器官という器官を有する。
     15歳くらいまでは人間と同じように加齢(成長)、それから25年ほどをかけて10歳分ほど外見が年をとる(成熟)。その後は死ぬまで老けないが、脳細胞は再生しないため不死ではない。寿命は200~250年。年をとるにしたがって眠る時間が長くなり、知性が破壊される前に脳の呼吸領野が機能停止することで死亡する。
     骨格と循環器系の特性によりかなりの高加速(20標準重力以上)にも耐えられる。その他の身体能力も高い。例外なく絶対音感を持つ。総じて寝起きがいい。
     27000箇所の塩基配列が指定されており、それにより先天性疾患の防止と、種としての同一性の保持を行っている。そのため、誕生から2000年近く経つ今でも基本的な遺伝子組成は変わっていない。
    【出生】
     自然受胎出産は危険が伴う(2%程度の確率で重大な先天性疾患が発生する)ため、通常は人工子宮で受胎・育成される。したがって一卵性双生児は極めて珍しい。また、地上世界出身者との間で子供が生まれる可能性はほとんどなく、生まれたとしても先天的な欠陥が発生する。
     血縁ではなく家風を重視するため、遺伝子提供者の有無、性別などにはこだわらないが(ただし動物を用いるのは禁止)、普通は自分と愛する者の遺伝子を掛け合わせて子供の遺伝子を作る。
     親だけが子供に遺伝要素を教えられる。遺伝記録は公開されているが、未成年者の閲覧には親の許可を要し、また遺伝子提供者に直接確認することは失礼だとされている。
    【性格】
     「アーヴ、その性、傲慢にして無謀」と一般的に評されているとおり、自分を信じすぎる傾向がある。アーヴによって多様な諸世界が束ねられることなくして、人類全体の幸福な発展はないと確信している。
     自分の誇りを大事にする。
     人質を取られたとしても相手の要求を飲むことは決してない。
     自身が空識覚器官と航法野を備え、通常宇宙を駆けるために生み出された種族であることを自負し、舟艇を真空に馳せることを好む。
     誰が建造したものであれ空間にあるものは自分たちのものだという感覚があるが、地上世界の資源は地上の民のものだという認識があり、むやみに奪うことを嫌う。また商業種族であることから、個人の財産についても重視している。
     真摯に戦うことが、殺す相手への礼儀と考えている。星界軍の艦艇に仲間と共に葬られることは最高の栄誉であると考えている者が多い。戦時には乗員を艦の部品とみなす傾向がある。
     地上の民に関心を持つことは、概ね奇妙と見なされている。
    【家族】
     恋は激しく短いものが多く、結婚という制度はない。したがって、親は一人しかおらず、親子の性別により父の娘フリューム・ローラン母の息子フルーク・サーランなどと呼ばれる。
     星間交易を天職と心得ているため、良好な関係の親子が数十年も顔を合わさないのもよくあることと考えている。
     20歳になるか翔士に叙任されれば成人と認められる(皇族を除く)。翔士、交易者サルーギア、親としての生き方を経験することで一人前だといわれる。
     他家の内部事情には関わらないのが常識。
    【文化】
     自然な1日がない空間が生活の場であるため、時間帯によって挨拶を使い分ける習慣がない。
     宗教は持たず、霊の存在も解決済みの問題として否定しているが、何か不可知なものへの恐怖は心の奥底に残っている。また冗談の種にするくらいには心霊という概念に親しんでいる。宗教的なものを感じさせる行事も多い。死者へは過剰なほどの敬意を表する。
     弔いの晩餐など、独自の習慣も多い。平時に武器を携行する習慣はない。
    【教育】
     幼い頃の初等教育はもっぱら親が行い、家風の継承に勤めると共に、読み書き等を教える。その期間、軍士であれば休暇を取り、領地のある親であれば代官を雇って教育に専念するのが普通。初級学校はないが、私塾は存在する。
    【衣服】
     性差がない。つなぎを着るのが普通で、上に長衣や短衣を着ることもある。基本的に首の上と手首の先以外は露出しない。
    【住居】
     たいてい人工環境の中にあり、屋外も屋内も区別がない。雨も好きな時間、好きな場所に降らせることが出来る。星間船や軌道施設を渡り歩く生涯を送るため、あまり住処には拘泥しないが、生まれ育った邸宅には格別の思いを抱く。
    【食生活】
     薄味を好む。料理の見た目にも最大限の注意を払うのが特徴。
     素材は肉(鶏肉、子羊肉、山羊肉など)、野菜(南瓜、玉蜀黍とうもろこしなど)、魚介類(貝、海亀、鱒、海老など)、小麦、果物(桃、柑橘類、梨など)、香辛料・調味料(醤油など)など。
     料理法は羹、碗物、吸い物、澄し汁ルベス、麭包み、香辛料煮込み、香味焼き、炙り肉アピュリル、果実あんかけ、生(野菜など)など。
     飲み物は珈琲、桃果汁、柑橘果汁、葡萄果汁、紅茶、緑茶、柑橘茶、林檎酒、麦酒、発泡米酒、混合酒、蜜酒、林檎火酒、白酒、白葡萄酒など。血液中の酒成分を片っ端から分解していくので、酒を飲んでもほろ酔いにとどまり(それなりに性格も変化する)、泥酔することはない。
    【歴史】
    • 黎明時代
       軌道都市において、都市予算の半分を費やされ、星間船の生体部品となるべき人工生命体(原アーヴ)として生まれる。人の遺伝子改造によって作り出され、人と区別するために青い髪を与えられた。その目的のため、独自の思考は持たされているものの、宿命遺伝子により自由や独立といった概念は有さないように造られていた。
       最初に作られた30体のうち1体は訓練過程で失われたが、残りの29体は植民地開発のため、探査船で可住化の可能性が高い外宇宙の星系に派遣された(彼ら29体を黎明の乗り手と呼ぶ)。
       探査船は出発後しばらくしてユアノンを発見、捕獲に成功し、母船をユアノン推進に改造。無限の軌道を得た彼らは母都市との訣別を決意し、深宇宙で独立を宣言した。
    • 独立時代
       独立宣言後、船を近くの恒星系につけ、母船であった探査船をより大きな都市船アブリアルに改造した。居住区の拡張に伴い、急激な人口爆発が発生。一人の親から子供が生まれるという特異な家族形態から、人口が増えても各成員は極めて強固な先祖意識を捨てなかった。このような意識を共有する、同じ黎明の乗り手を先祖にいただくグループは氏族と呼ばれるようになった。
       職業訓練は徒弟制度によって行われた。多くの乗り手は自分の子供を徒弟にすることを望んだため、都市船内の部門は氏族と同義になった。また、自分の子供たちのうちもっとも優秀な者を選んで後任とするのが一般的だったため、各部門の長は実質的に世襲となり、黎明の乗り手の直系と認識されるようになった。各部門は基本的に平等だったが、船の航法をつかさどる航法氏族だけは別格で、その長は船王と呼ばれていた。彼らは帝国創建後、皇族を形成するようになる。
       やがて巨大な都市船を運用するようになったアーヴだが、母都市の派遣した懲罰隊を恐れて自衛するようになり、ついには自分たちの故郷である母都市を殲滅してしまう。しかし、空間に散逸する母都市の残骸を目にした彼らは、自分たちが故郷を愛していたことに気付き、母都市の文化の守護者として生きることを種族としての目的にする。また、母都市を滅ぼしたという罪を忘れないために、青い髪を遺伝子に刻み付けるようになる。同時に、自らをアーヴと名乗るようになり、以降宇宙をさすらう武装商人となった。
    • 大放浪時代
       半径一光世紀に広がった人類社会をつなぐか細い、唯一の糸として、主に人類社会の情報を扱う交易を営んでいた。同時に、都市船内部でもアーヴ同士、氏族単位の財産を交換することによる交易が行われていた。
       やがて交易により人類社会の科学の精髄を蒐集したアーヴは平面宇宙航行理論を確立。それによって可能になりうる恒星間戦争を防ぐためにその理論を武力で独占することを決定、帝国を創建した。
    • 帝国時代
       「アーヴによる人類帝国」の項を参照。

アイ・ライネン  

ハニア連邦軍に所属する女性軍人。階級は元帥。連合派の領袖。
エミクーシ星系に集結した連邦軍艦隊への救援艦隊を率いている。

アトスリュア・スューヌ=アトス・フェブダーシュ男爵リューフ・フェブダク・ロイ  
 Atosryac ssynéc atosr lymh faibdacr Lauïc

第四代フェブダーシュ男爵。アーヴ女性。アトスリュア・スューヌ=アトス・前フェブダーシュ男爵・スルーフの娘でアトスリュア・スューヌ=アトス・フェブダーシュ男爵・クロワールの妹。遺伝子提供者はコセール。
【容姿】
 後ろで束ねた青みがかった銀色の髪。豹のような黄玉色の瞳。光沢のある眉。朱色の唇。
【性格】
 道楽者と自認し、饗宴、遊戯、美食を好む。
 父親譲りの饒舌。むしゃくしゃしたときは革製の砂袋を殴るのが癖。
【嗜好】
 林檎酒が好き。
【経歴】
 ・帝国暦906年頃 ラクファカールで誕生
 ・時期不明(上記の後すぐ) フェブダーシュ男爵領へ移住
 ・時期不明 スルーフ及びクロワールとラクファカールへ移住
 ・時期不明 初代男爵死亡。フェブダーシュ男爵領へ移住
 ・帝国暦921年より前 スルーフ及びクロワールとラクファカールへ移住
 ・帝国暦955年頃 第四代フェブダーシュ男爵に叙爵
 ・帝国暦955年 ヴォベイルネー鎮守府所属突撃分艦隊ラトゥーシュ第1058突撃戦隊第一突撃隊司令に着任。階級は百翔長
 ・帝国暦958年 千翔長に昇進。第一蹂躙戦隊司令官に着任
 ・帝国暦959年 准提督に緊急昇進
 ・時期不明 練習第三艦隊副司令長官に着任。階級は大提督
 ・帝国暦969年 霹靂艦隊副司令長官に着任
 ・同年 霹靂第一艦隊司令長官に着任

アブリアル  Ablïarsec

  • 根源29氏族の一つ。主航法子の末裔。その名は巨大都市船アブリアルに基づく。語源は「天照アマテラス
    【都市船時代】
     航法をつかさどる氏族。氏族長は船王として、アーヴを統べ、進路等の重要事項を決裁し、裁判を主催し、新しい仕事があれば担当する氏族を決めた。また、戦時には最高指揮官として采配を振るった。帝国創建以降は皇帝氏族となった。
    【特徴】
     宗家以外の者はアブリアルの姓を名乗ることが許さない。分家には、帝国暦初期の頃は男系にキー、女系にリューシュの姓が与えられていたこともあったが、いらぬ混乱の元としてそれぞれの家の初代が決めることになった。
     この一族に属する貴族は多く、諸侯だけでも100家を越える。しかし、自分の領地にかまけるのは皇族の義務から解放されてから、というのが伝統。
     短気で怒りっぽく、『逆鱗で魂をよろう』といわれる。反面怒りに任せてヒステリックに喚き散らしたり、暴力を振るうことは決してあってはならないと幼い頃からしつけられている。また皇帝になるかもしれないため、虚言することや、臣下に依怙贔屓する人物だという印象を与えないよう、誰かのために泣いたりすることは厳に戒められている。また不安のために泣くこともあり得ないとされている。もっともアーヴらしい一族と言われることもある。
     スポール一族とは伝統的に仲が悪い。帝国創立期前後にスポール一族が近くにいたことと関係があるのか、身近に苦手な人物がいないと落ち着けないという奇妙な性質も有する。
     軍士としてはきわめて優秀。生まれながらの戦士を自認し、戦いを楽しむためには命を賭けることも厭わない。戦時には率先して戦地に赴くのが伝統。また若者に過分な任務を与え、実地に教育するという伝統もある。敵に対しても敬意を払うのが常。
    【宗家】
     八王家。
    【家紋】
     八頸竜。家により紋章旗の地色が異なる。
    【家徴】
     アブリアルの耳と呼ばれる上部が尖った耳。
  • アーヴが大放浪時代に母船として運用していた、ユアノン推進の巨大都市船。幾度かの改装を経て、今は帝宮として使用されている。最高時で100万、現在でも20万人以上が生活している、人類の作り出した最大の建造物の一つ。かつての推進力であったユアノンは、現在八門となっている。
    元々は軌道都市から送り出された探査船で、ユアノン推進の都市船に改装された際にこの名で呼ばれるようになった。帝国創建後も都市船部分はそのままに残されており、帝国の卵と呼ばれている。またその操舵室は聖墓、人工子宮保管室は始祖の間と呼ばれている。
    不死鳥作戦時には帝宮から分離されて帝都防衛団に編入され、竜卵要塞と名付けられた。第2次ラクファカール防衛戦で四ヵ国連合軍の攻撃により爆散した。
  • アブリアル伯国の中心からラクファカールを照らす黄色矮星。帝国の乳房と呼ばれる人類宇宙最大の反物質燃料製造工場がその周囲を取り巻いている。当初は錨星四七と名付けられていた。

アブリアル・ネイ=ドゥエール・上皇ファニーガ・ラムローニュ  

→アブリアル・ネイ=ドゥエール・ウェスコー前王・ラムローニュ

アブリアル・ネイ=ドゥエール・スピュール子爵ベール・スピュル・ラムデージュ  

近衛艦隊副司令長官(969年現在)。アーヴ女性。ラフィールより1歳年下。階級は大提督。入隊は遅く、昇進もゆっくりで、軍歴は平凡。

アブリアル・ネイ=ドゥエール・ウェスコー前王ラルス・レカ・ウェスコール・ラムローニュ  

952~969年当時の上皇。かつて提督から百翔長への三階級降格処分を受けたことがあり、最終階級も提督を超えていない。
不死鳥作戦の際に帝都防衛団を退団させられ、不死鳥第一艦隊と共に臨時帝都に脱出した。
【容姿】
 青錆色の髪。
【嗜好】
 嫌いなものは占領地。しばしば優雅でない事態に陥るから。
【経歴】
 ・帝国暦952年より前 上皇に就任
 ・帝国暦969年より前 練習艦隊司令部附上皇ファニーガ・グラーガム・ビューラル・クレーヤルに着任
 ・帝国暦969年 練習艦隊司令部附上皇を離任
 ・同年 霹靂艦隊司令部附上皇ファニーガ・グラーガム・ビューラル・ロドルショトに着任

アブリアル・ネイ=ドゥスィール・イリーシュ王ラルス・イリク・ドゥドーヴ  

959年当時のイリーシュ王家の当主。当時の帝位継承順位は第七位。ラクファカール陥落後、上皇会議が健在を把握している皇族のうち、アブリアル・ネイ=ラムサール・バルケー王・ドゥサーニュの次に高い帝位継承順位を有しており、彼の登極後の帝位継承順位は第二位となった。

アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・ウェムダイス子爵ベール・ウェムダイサル・ドゥヒール  

ドゥビュースの息子でラフィールの4歳下の弟。遺伝子提供者はおそらくレクシュ・ウェフ=ローベル・プラキア。
【容姿】
 藍色髪。漆黒の瞳。美少女といっても通りそうな面差し。
【性格】
 物思いに沈みやすく、嘘がつけない。帝位への意欲は抱いていない。
【嗜好】
 好きなものは熱い桃果汁。
【経歴】
 ・帝国暦940年(0歳) 誕生
 ・帝国暦945年(5歳) 最初の公務(流砂艦隊出征式)に出席
 ・帝国暦956年(16歳) 修技館入学
 ・帝国暦959年(19歳) 修技館卒業
 ・同年(19歳) 列翼翔士に叙任。カイソーフ次席通信士に着任
 ・帝国暦959年頃 第二方面艦隊無任所参謀カーサリア・ウーサ・ビューラル・ケル・マータ副帝特使ベスリュージュ・ロイスピュネグに就任
 ・時期不明 護衛艦長マノワス・レータル、戦隊先任参謀などを歴任
 ・時期不明 偵察分艦隊ケスキュム司令官に着任(初めての分艦隊司令官)。階級は准提督
 ・帝国暦967年頃 提督に昇進。赤啄木鳥艦隊司令長官に着任(分艦隊司令官も兼任)
 ・帝国暦969年より前 哨戒艦隊司令長官に着任

アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・パリューニュ子爵ベール・パリュン・ラフィール  
 Ablïarsec néïc dubreuscr boerh parhynr Lamhirh

本編のヒロイン。クリューヴ王ドゥビュースの第一王女。遺伝子提供者はレクシュ・ウェフ=ローベル・プラキア。
兵籍番号は01-00-0937684(952年当時)・01-00-093768(958年当時)。
名前は珠玉ラーフ星霧ヒールからとってドゥビュースが名付けた。
アブリアル・ネイ=ラムサール・バルケー王・ドゥサーニュが登極した際、皇族のうち生存が確認できた最先任の現役軍士だったことから仮の皇太女になったが、若輩であったため帝国艦隊司令長官就任は見送られている。
【容姿】
 黝く長い髪。淡い小麦色をした卵型の顔。ぱっちりした印象的な目に黒瑪瑙のような闇色の瞳で眦は高い。長い睫。細いがくっきりと優美な眉。小造りで繊麗な鼻。優美な曲線を描く鼻梁。ふっくらとした唇。アブリアルにしては小さ目の耳。切れる寸前まで張った琴線を爪弾いたような、清冽な声。真珠の光沢と色を持ち、光の加減で紅玉色にも見える菱形の空識覚器官。冴々とした美貌。細面。明るい小麦色できめこまやかな肌。均整の取れたからだ。その遺伝子は自然結合のままで、手が加えられていない。
【性格】
 本質的には素直で嘘をつくのが下手。耳が小さいのをいくらか引け目に感じている。
【嗜好】
 好きなものは温かくして檸檬を浮かべた桃果汁。酒なら蜜酒の林檎火酒割り(と彼女が主張するもの)。林檎酒は余り好きではない。
 嫌いなものは地上戦、反抗的な弟、軟弱な猫。
【特技】
 射撃。いつでもどこでも熟睡できること。
【経歴】
 ・帝国暦936年(0歳) 誕生
 ・帝国暦949年(13歳) 修技館入学
 ・帝国暦952年(16歳) 修技館卒業。翔士修技生としてゴースロスに配属
 ・同年(16歳) 列翼翔士に叙任。艦橋勤務を行う
 ・帝国暦953年(17歳) 後衛翔士に昇進
 ・帝国暦954年頃(上記の1年半後) 前衛翔士に昇進。ドゥネー星界軍大学入学
 ・帝国暦955年(上記の半年後)(19歳) ドゥネー星界軍大学卒業
 ・同年(19歳)十翔長に昇進。バースロイル艦長に着任
 ・同年(19歳) アプティック伯国領主代行に着任
 ・同年(上記の約半月後)(19歳) アプティック伯国領主代行を離任
 ・帝国暦956年(20歳) ロブナス伯国領主代行に着任
 ・帝国暦956年(20歳) 副百翔長に昇進
 ・帝国暦956年(20歳) 星界軍の休暇を取得
 ・帝国暦958年頃(22歳) 休暇を終え、星界軍に復帰
 ・帝国暦959年(23歳) フリーコヴ艦長に着任
 ・同年(23歳) フリーコヴ艦長を離任し、ガフトノーシュ・ドゥラド艦長に着任
 ・同年(23歳) 百翔長に緊急昇進
 ・同年(23歳) 仮の皇太女に。提督に三階級特進
 ・時期不明 練習艦隊司令長官兼練習第三艦隊司令長官に着任。階級は帝国元帥
 ・帝国暦969年 練習艦隊司令長官を離任し、霹靂艦隊司令長官に着任

アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・クリューヴ王ラルス・クリュブ・ドゥビュース  
 Ablïarsec néïc dubreuscr larth clybr Dubeusec

クリューヴ王家の当主。アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・アブリアル伯爵・ラマージュの息子で、ラフィール及びドゥヒールの父。帝位継承順位は第四位。遺伝子提供者はラマージュの何人目かの想人(男性)。訓練生時代はガイタソール子爵を名乗っていた。
ラクファカール陥落後、自分が連絡の取れるうちで最高の帝位承継順位を持っていることを確認すると、副帝の位に就くことを宣言。当地可能な領域を第二方面と定義し、第二方面に存在する星界軍全部隊で第二方面艦隊を編成した。967年に第二方面の縮小を決定し、その後セスカル子爵領を中心とする領域に縮小させている。
【容姿】
 青灰色の髪。
【性格】
 一族の中では例外的に穏やかな性格。出生の秘密があったほうが子供の人格は豊かになると信じている。訓練生時代から皇帝ではなく王になることを目指していた。
【嗜好】
 懐古趣味がある。子供の頃はランシュ伯爵帝都城館に行くことを好んでいた。
【経歴】
 ・時期不明(16歳) 修技館入学
 ・時期不明 レクシュ・ウェフ=ローベル・プラキアと出会う。階級は十翔長
 ・時期不明 退役。階級は提督。予備役准提督に
 ・帝国暦935年 プレアーヴの宇宙船を発見
 ・帝国暦936年 ラフィール誕生
 ・帝国暦936年頃 クリューヴ王に即位
 ・帝国暦940年 ドゥヒール誕生
 ・帝国暦955年頃 現役復帰
 ・帝国暦956年頃 淡雪第二艦隊司令長官に着任。階級は大提督
 ・時期不明 星界軍元帥に昇進
 ・帝国暦959年頃 副帝に即位。第二方面艦隊司令長官グラハレル・ビューラル・ケル・マータに着任

アブリアル・ネイ=ラムサール・バルケー王ラルス・バルケール・ドゥサーニュ  
 Ablïarsec néïc lamsar larth barcoer Dusanh

帝国皇太子にして帝国艦隊司令長官。ドゥビュースより3か月年下。ラフィールより年上(もしくは同じ年)の息子がいる。エクレーム子爵の爵位を有するが、所領は一度訪問したのみで放置している。訓練生時代はギュクダーシュ子爵を名乗っていた。
959年に先帝の戦死に伴い、第28代皇帝に即位した。
【容姿】
 腰の辺りまで垂れた濃紺の髪。尖った耳。新雪のように白い顔。
【性格】
 度しがたい性格(ケネーシュ・ウェフ=ステューマル・キペール及びドゥサーニュ評)。
 悪質な諧謔精神の持ち主(ラフィール評)。
【経歴】
 ・帝国暦945年 流砂艦隊司令長官に着任
 ・帝国暦955年 幻炎艦隊司令長官兼幻炎第三艦隊司令長官に着任
 ・帝国暦956年 狩人艦隊司令長官に着任
 ・帝国暦959年 双棘艦隊司令長官に着任
 ・同年 第28代皇帝に即位

アブリアル・ネイ=ラムリュラル・前皇帝スピュネージュ・レカ・ドゥガス  

アーヴによる人類帝国第26代皇帝。952~969年当時の上皇。上皇たちの間では若い部類に入るが、100歳を越えている(959年時点では最年少)。
不死鳥作戦の際に帝都防衛団を退団させられ、不死鳥第四艦隊と共に臨時帝都に脱出した。その後の帝位継承順位は第三位。
【容姿】
 童顔。

アム・リークン  

969年に、ハニア連邦が帝国に派遣した秘密軍使(ドゥヒールが知る限り5代目)。男性。

瑠璃唐草アルキレフォス  

植物の名称。背が低い草で、その花は真ん中が白く、縁が青紫色をしている。

アルズ・アマニ  

969年当時の人民主権星系連合体大統領。地上人男性。
連合体の主戦力が星界軍に敗北したことを受けて帝国に降伏。最後の大統領令でラフィールに全ての権限を委譲して辞任した。

アルレート  

霹靂第一艦隊所属の偵察分艦隊。司令官はアトスリュア・スューヌ=アトス・フェブダーシュ男爵・ロイ大提督(兼任)。旗艦は巡察艦ビューヌラス。
【組織】
 司令部
 ┗司令長官 アトスリュア・スューヌ=アトス・フェブダーシュ男爵・ロイ大提督
 旗艦 巡察艦ビューヌラス
 巡察艦 ボイラス
 巡察艦 キードラス
 巡察艦 カイラス

戦列艦アレーク  alaicec

機雷を大量(30基~100基程度)に積みこみ、敵に浴びせかける軍艦。通常空間戦では巡察艦の敵ではないが、平面宇宙では最強。質量は巡察艦の約3倍(約3000セボー=30万t)。多数の防御用火器を備えてはいるが、基本的には輸送船と変わらない。通常空間戦では機雷の代わりに反物質弾を搭載することもある。いつでも戦隊旗艦が務まるよう、司令部施設が付属している。
通常の従士に加え掌雷従士たちも多数乗り込んでいるため、乗員数も多い。そのため居住区は非常に広く、平時なら子供の乗艦も認められている。操舵も容易なため、次席航法士が担当する。

イナンナ州  

クドゥーロに存在する州。最高責任者は州知事。969年当時の州知事は年配の男性。

ヴォーニュ  

士族の女性。出世に興味がない。三歳の頃から戦列艦テールケスで育った。
【容姿】
 露草色の髪。枯茶色の瞳。
【経歴】
 ・時期不明 カイソーフ専任通信士に着任。階級は前衛翔士
 ・帝国暦959年 十翔長に緊急昇進
 ・帝国暦967年 赤啄木鳥艦隊参謀長に着任。階級は准提督

右方部隊  

基本艦列において、主力部隊の右方に配置され、敵の側撃を防ぐと同時に、占領領域に幅を持たせる役割を担う部隊。決戦の際には、可能な限り主力部隊と合同して戦場に臨む。

エウドー  

エウドー子爵領の中心にある恒星。

エクリュア・ウェフ=トリュズ・ノール  
Aicryac ïémh tlyzr Naurh

エクリュア・ウェフ=トリュズ・ナースの娘。遺伝子提供者はコリュア・ウェフ=ボーザク・コンサ。有能な砲術士。バースロイルで砲術士として勤務したあと、ソバーシュ・ウェフ=ドール・ユースの指名でフリーコヴに乗りこみ、航法士となった。
5歳まではナースと、頭と背中が鯖虎模様でそれ以外は白い一匹のオス猫とで深宇宙をさすらっていた。
【容姿】
 柔らかそうな空色の髪。空色の眉。空色の瞳。
【性格】
 立ち居振舞いは物静か。基本的には無口、無表情。だが、実は口が悪く、音痴でスピード狂。音痴なのは父親譲りで、本人もそのことには気付いている。また必要な時には多弁になる。
 自分では正直で、良識にあふれた人間だと思っている。
 修技館時代の成績は中位。意思疎通に難があるとされている。
【嗜好】
 好きなものは林檎の香りをつけた紅茶。時空分離時に現れる虹を眺めること。船を駆ること。湧き出してくる想念を弄ぶこと。初めて会った同世代の地上人であるジントに興味を持っている。
 年老いるから猫が嫌い。子供の頃は人参が大嫌いだった。
【経歴】
 ・帝国暦933年(0歳) バルケー王国を平面宇宙航行中の交易船で誕生
 ・帝国暦938年(5歳) エクリュア館に猫と共に送られる
 ・帝国暦948年頃 曾々々祖父が永眠
 ・帝国暦952年(19歳) 修技館入学
 ・帝国暦955年(22歳) 修技館卒業
 ・帝国暦955年(22歳) 列翼翔士に叙任。バースロイル次席翔士に着任
 ・帝国歴956年頃 後衛翔士に昇進
 ・帝国暦958年頃 前衛翔士に昇進
 ・帝国暦958年(25歳) フリーコヴ航法士に着任
 ・帝国暦959年(26歳) 十翔長に昇進。フリーコヴ副長兼航法士に就任
 ・同年(26歳) 副百翔長に緊急昇進
 ・帝国暦969年 霹靂艦隊参謀副長に着任。階級は准提督

エルソーフ  

霹靂艦隊所属の戦列艦。バハメリ門沖会戦後に機雷切れでフアンボ星系に退いていた。第五艦隊から送られた機雷を再装填し、エクリュア・ウェフ=トリュズ・ノールの指揮で他の戦列艦と共に前線に復帰、霹靂第三・一艦隊に編制された。

か行

鎮守府参謀カーサリア・シュテューマル  

鎮守府本部に所属する参謀の総称。

通信参謀カーサリア・ドロショト  

艦隊情報を統括する参謀。泡間通信を含む艦外通信などを担当する。

作戦参謀カーサリア・ヨクスクロト  

作戦の立案や成功率の算定、備蓄機雷の把握などを担当する参謀。

探査参謀カーサリア・ラグロト  

他艦船や時空泡の探査を行う参謀。

情報参謀カーサリア・リラグ  

情報収集・分析を担当する参謀。

航法参謀カーサリア・リルビコト  

平時の艦隊行動、平面宇宙での艦隊の隊形や進路の考案、時空泡の操舵などを担当する参謀。

連絡参謀カーサリア・ロンジョト  

泡間通信が届かない遠距離にいる軍艦に司令部の指示を伝えるため、連絡艇で連絡係を務める参謀。指示に対する疑問に回答するために司令部の考えを把握している参謀の一人が選任される。派遣先の司令部の規模によっては、その手伝いをすることもある。

教務参謀カーサリア・ワレイコト  

教官職を担当する参謀。

カイラス  

霹靂第一艦隊偵察分艦隊アルレート所属の巡察艦。フアンボ門沖会戦で爆散した。

カイル・ゴンベ  

ノヴ・キンシャス星系の主惑星。軌道上にはノヴ・キンシャス門がある。

ガフトノーシュ  

  • 星界軍総旗艦・近衛艦隊旗艦にして皇帝御座艦。艦隊旗艦仕様の巡察艦の艦橋に玉座艦橋ルエ・ガホールを据えたもので、司令長官室が皇帝の居室となっている。近衛艦隊の旗艦が務まるだけの機能があればよいため、帝国艦隊旗艦と異なり通常の旗艦用巡察艦と変わらない兵装を搭載されている。皇帝が演習や儀式に用いる時は、翡翠の玉座が据えられる。
    実戦に赴くことを想定しているため、常に最新鋭の巡察艦を当てるのが伝統。新しい艦に代わると、それまでの艦は旧ガフトノーシュと呼ばれるようになる。
  • 959年当時の1.。カウ級巡察艦。艦長はレペス百翔長。クリューヴ門沖会戦で爆散した。
  • 969年当時の1.。2.の次の代。ラクファカール・セラの中心に浮かんでいる。それまでのものとは異なり、近衛艦隊旗艦としてではなく皇帝が日常の執務をする機動帝宮として建造された。帝宮としての機能を持たせるため大型兵器を備える余裕はなく、近づく宇宙ごみを排除するための小型凝集光砲程度の火力しかない非武装船。歴代艦の中では容積が突出しているが、かつての帝宮に比べればはるかに小さい。

ハイド伯爵城館ガリーシュ・ドリュール・ハイダル  

※日本語表記が変更された可能性があるため、ハイド伯爵城館ガリーシュ・ドリュール・ハイダル/ハイド伯爵館ガリーシュ・ドリュール・ハイダルへ移行。

ハイド伯爵城館ガリーシュ・ドリュール・ハイダル/ハイド伯爵館ガリーシュ・ドリュール・ハイダル  

ハイド伯爵家の城館。
領地が占領下にあった955年にはバースロイルの翔士個室に置かれ、「帝国で最もちっぽけな貴族の館」という文句が扉に書かれていた。
領地が回復してからはマルティーニュの0.8光秒上空の軌道にある旧ボークビルシュに置かれている。
領地が再度占領されてからは、戦闘艦の居住区を転々としており、969年にはクリュブノーシュに置かれている。

キードラス  

霹靂第一艦隊偵察分艦隊アルレート所属の巡察艦。

キー・ボート=ラムセル・ガムヴ公爵レークル・ガムブ・アトラコン  

アーヴ女性。前線に出た経験が少ない代わり、長年にわたって後方で辣腕を揮い、人望も篤い熟達の軍士。
【経歴】
 ・時期不明 練習第一艦隊司令長官に着任。階級は星界軍元帥
 ・帝国暦969年 練習艦隊司令長官に着任(第一艦隊司令長官と兼任)

エミクーシ星系キーヨース・エミクーシル  

人民主権星系連合体に所属する星系。ハニア連邦に備えた軍事拠点として整備されていたが、四カ国連合が結成されてからは重要度が下がり、縮小されている。
969年に人民主権星系連合体が滅亡してからは、連合体の救援に失敗したハニア連邦軍が集結している。

カスピル星系  

人類統合体領のうち、双棘作戦によって中央から切り離された領域に位置する星系。人類統合体最大の時空泡発生機関生産能力を有する。

ザンベズィ星系  

人民主権星系連合体に所属する星系。

ノヴ・キンシャス星系キーヨース・ノヴ・キンシャス  

人民主権星系連合体の主星系。恒星ノヴ・キンシャスの回りを、主惑星カイル・ゴンベ、気体惑星(外惑星)、小惑星が回っている。

バハメリ星系キーヨース・バハメリル  

人民主権星系連合体に所属する星系。クドゥーロという主惑星があり、バハメリ門はその軌道上にある。連合体軍最大の軍事拠点がある。
969年にバハメリ攻略戦で星界軍により制圧され、霹靂艦隊の根拠地となった。

フアンボ星系キーヨース・フアンボル  

人民主権星系連合体に所属する星系。辺境の補給拠点として整備されている。半有人惑星には大規模な反物質燃料製造工場や簡単な修理廠などが設置されている。
969年にフアンボ門沖会戦に勝利した星界軍が占拠し、根拠地化した。

ブニア星系  

人民主権星系連合体に所属する星系。
969年に霹靂第四艦隊により制圧された。

基本艦列  

星界軍の伝統的な侵攻艦隊の編成。中央部隊(主力部隊)と、その周囲に配置された前方部隊、左方部隊、右方部隊、後方部隊の五部隊によって構成される。

帝位継承キルグラジュ  

皇帝位を継ぐこと。血縁と能力の両方から決定される。順位が厳密に定められており、第一位は皇太子だが、第二位以降は原則として皇太子と同世代の皇族から決められている。

グーハル  

哨戒艦隊がユー・ジーナをブラス七七二門へ送り届ける際に、ハニア連邦に伝えた巡察艦ホウカウの暗号名。

クドゥーロ  

バハメリ星系の主惑星。

クナタウ  

969年当時の霹靂艦隊先任情報参謀。階級は千翔長。

花押グナファス  gnafass

  • アーヴが平面に記すサイン。公知であり、地位の高い者のものは有名になる。日常ではめったに使う機会はなく、多分に儀礼的で非実用的な物。
  • アーヴが空間に描くサイン。指の動きを思考結晶が走査し、登録してあるものとつきあわせることで本人かどうかを確認する。親子の間でも明かさないのが礼儀なので、高位の官職を帯びる者(領主、司令長官など)は全て一人で執務する。

グノムボシュ  

アーヴ男性。夢は提督になること。おそらく黎明の乗り手の子孫。
【経歴】
 ・帝国暦941年頃 誕生
 ・帝国暦959年 フリーコヴ伝令に着任。階級は列翼翔士
 ・同年 後衛翔士に緊急昇進
 ・同年 ガフトノーシュ・ドゥラド砲術士に着任
 ・帝国暦969年頃 練習艦隊航法参謀に着任。階級は副百翔長
 ・帝国暦969年 霹靂艦隊航法参謀に着任

赤啄木鳥作戦クファゼート・サヒアル  

967年に星界軍第二方面艦隊が行った作戦。カセール伯国、ヌリゾ男爵領、ソルゼーニュ男爵領等30超の星系を放棄するため、人員や資材を収用することを目的としている。
実施部隊は赤啄木鳥艦隊。指揮官はアブリアル・ネイ=ドゥブレスク・ウェムダイス子爵・ドゥヒール提督。旗艦は巡察艦ホウカウ。

双棘作戦クファゼート・ボルペル  

959年に星界軍が行った作戦。ラスィース王国とスュルグゼーデ王国の間に獲得した新領土から天川門群中心円までを制圧することで人類統合体と拡大アルコント共和国を分離。同時にバルケー王国を発起点として人類統合体と人民主権星系連合体の勢力境界線を打通し、中心円に至る。これにより人類統合体を孤立させることを目的としている。
実施部隊は双棘艦隊。指揮官は帝国艦隊司令長官アブリアル・ネイ=ラムサール・バルケー王・ドゥサーニュ帝国元帥。ただし、遠く離れた戦線を同時に維持するため、皇太子は予備戦力と共にラクファカールにとどまり、実際の指揮は二人の副司令長官が執っている。
新領土方面艦隊とバルケー王国方面艦隊とが中心円外縁部まで制圧し、双棘回廊を確保した。

霹靂作戦クファゼート・ロドルショト  

969年に星界軍が行った作戦。ウェスコー王国のスポトネブリューヴ鎮守府から出発し、人民主権星系連合体の主星系ノヴ・キンシャスを制圧して連合体を屈服させ、可能であればスキール王国との連絡路を啓開することを目的としている。同時に、後背のウェスコー門の防衛も担当している。
実施部隊は霹靂艦隊。指揮艦はアブリアル・ネイ=ドゥブレスク・パリューニュ子爵・ラフィール帝国元帥。総旗艦は巡察艦クリュブノーシュ。

クファディス・ウェフ=エスピール・セスピー  
 Cfadiss üémh éseuir Sésric

アーヴ男性。父の息子。前任者の育児休暇のためスポール・アロン=セクパト・レトパーニュ大公爵・ペネージュの参謀となって以来、彼女の補佐役を継続して務めている。成人して以来星界軍一筋で、交易に出たことはない。
ソビーク好きの姉がいたが、イリーシュ門沖会戦で戦没。祖父は交易船での勤務経験がある。
【容姿】
 鮮緑色の髪。端麗な眉目。
【性格】
 実直であると自負している。
【嗜好】
 好きな料理は揚げ山羊肉の果実あんかけ。
【経歴】
 ・帝国暦935年グナージュ月1日 列翼翔士に叙任。四等勲爵士に叙爵
 ・時期不明 第184打撃戦隊先任参謀に着任
 ・帝国暦952年(開戦の一ヶ月前くらい) フトゥーネ先任参謀に着任。階級は百翔長。宮中序列は二等勲爵士
 ・時期不明 一等勲爵士に陞叙
 ・帝国暦955年 千翔長に昇進
 ・同年 幻炎第一艦隊参謀長に着任
 ・帝国暦956年 狩人第一艦隊参謀長に着任
 ・時期不明 ソトリュール鎮守府副長官付参謀長に着任
 ・帝国暦959年 准提督に緊急昇進
 ・同年 不死鳥第七艦隊参謀長に着任
 ・帝国暦969年 霹靂艦隊副司令部附参謀長に着任。階級は提督
 ・同年 霹靂第五艦隊参謀長に着任

副司令部グラーガーフ・フェーカ  

艦隊などに設置される、副司令長官を長とする部門。直属戦隊と幕僚を備え、いつでも艦隊の指揮が執れるようになっている。通常の業務は作戦研究。演習時には仮想敵部隊の司令部となることもある。

総旗艦グラーガ・ダーガ  

おそらく大艦隊の司令長官の座乗艦。

帝国艦隊司令長官グラハレル・ルエ・ビューラル  Glaharérh Rüé Byrer

星界軍の最高司令官。平時にはわずかな司令部要員のほか一兵も指揮することのない儀礼的な職だが、かつては皇帝が兼ねていた顕職で、現在は皇太子が兼ねるのを伝統とする。一度戦争となれば、星界軍主力を率いて前線に立つことを任務とする要職で、帝国で最も華やかな地位と評されることもある。常に帝国元帥になった皇族が就任し、後継者が現れるまでが任期となる。
座乗艦に個人用の無重力庭園を持つ特権を有する。
949年以降はアブリアル・ネイ=ラムサール・バルケー王・ドゥサーニュ帝国元帥。959年に彼が皇帝に即位して以来、空席となっている。

クリュブノーシュ  

練習第三艦隊旗艦(のちに霹靂艦隊旗艦)の巡察艦。電磁投射砲と機動時空爆雷の代わりに艦隊司令部と司令部要員のための居住区が設置されている。名称は「クリューヴの龍」という意味で、969年頃、練習艦隊司令長官(当時)のラフィールが改名した。

瑠璃唐草の間グレーシュ・アルキレフォロス  

969年当時のガフトノーシュにある広間。その名の通り瑠璃唐草が一面に咲いている。

第一方面ケ・カースナ  

帝国の半身に対する第二方面での呼称。

ケスキュム  

第二方面艦隊所属の偵察分艦隊。赤啄木鳥艦隊編成後は同艦隊に編入された。

ケネーシュ・ウェフ=ステューマル・キペール  
 Cénéch üémh stymer Cieuair

アーヴの女性。半生を星界軍にささげている。昔ビボース・アロン=ネレム・公子・ネレースを愛していたが、何か複雑な事情があるらしい。アブリアル・ネイ=ラムサール・バルケー王・ドゥサーニュの良き参謀であり、からかいと畏怖の対象。宮中序列は帝国公爵(955年当時)。
【容姿】
 波打ちながら肩を覆う豊かな藤色の髪。髪と同色の瞳。
【性格】
 立っているときは常に直立不動。
 仕事に趣味は持ち込まない主義。
 迂遠な表現を嫌う(ラフィール評)。
【経歴】
 ・時期不明 帝国艦隊参謀部参謀長に着任
 ・帝国暦945年 流砂艦隊参謀長に着任。階級は大提督
 ・時期不明 星界軍元帥に昇進
 ・帝国暦955年 幻炎艦隊参謀長兼幻炎第三艦隊参謀長に着任
 ・帝国暦956年 狩人艦隊参謀長に着任
 ・帝国暦959年 帝国元帥に緊急昇進
 ・帝国暦969年より前 軍令長官に着任

第二方面ケ・マータ  

ラクファカール陥落後、副帝に就いたドゥビュースが、自身の統治可能な領域に付した名称。スキール王国が母体となっている。第二方面でのみ用いられる用語。帝国第二方面とも。
969年頃には、ドゥビュースの方針によりセスカル門を中心としたごく狭い領域に縮小しており、セスカル子爵領以外の星系の支配を失っている。セスカル門付近の門は実効支配し、そのうち七つの門には前哨基地を置いている。元スキール王国領のうち、スキール門周辺は四カ国連合軍(9割以上は人類統合体平和維持軍)に、それ以外の領域の大半はハニア連邦軍に制圧されており、完全にハニア連邦領に囲まれた状態になっている。

帝国第二方面ケ・マータ・フリューバラル  

第二方面のこと。

ケルスィス  

霹靂第一艦隊所属の偵察分艦隊。

翔士修技館ケンルー・ロダイル/翔士修技館ケンルー  

帝都にある飛翔科の修技館。生まれながらのアーヴにのみ入学資格がある。十万以上の人口を収容する人工惑星で、いくつもの庭園がある。平面宇宙航行機能を持つ客船が何隻か横付けされ、訓練生達の居住区となっている。
帝国で平面宇宙航法を学べるのはここしかないため、星界軍への入隊希望者だけでなく、交易者などが平面宇宙航行資格を取得するために入学することも多い。
戦闘術の修得よりも、平面宇宙航法の習得に時間が割かれており、教育課程の総仕上げとして平面宇宙航行実習を行う。またクラベール・ソスで10日間の地上訓練も行われる。二部制で運用。
ラクファカール陥落時には、居住区ごと訓練生たちはいち早く脱出させられた。

皇帝  

  • 皇帝スピュネージュ
  • 遙か昔、人類の故地において、人類の顧問として生み出された存在。その子株がスーメイ星系に至り、さらにその子株が他星系にも広がっている。ハニア連邦で政策への勧告を行っている人工知性のことと思われる。

後方部隊  

基本艦列において、主力部隊の後方に配置され、前線の諸部隊と帝国中枢との連絡の維持や、各種後方業務、占領地の一時統治などを担う部隊。

臨時皇太女宮殿コールベイ・ディファカ  

ラフィールが司令長官特権として、ノヴ・キンシャス星系でクリュヴノーシュに接続した施設。放射線防護樹脂製で、クリュブノーシュの倍近い容積がある。中心には薔薇園がある。

コトポニー・アロン=ライトゥレール・公女ヤルリューム・ラゼリア  

アーヴ女性。ラクファカール陥落後は積極論を採り、第二方面艦隊司令部の移転や第二方面の縮小などには反対している。
【容姿】
 濃紺の眉。鮮血色の唇(家徴)。
【経歴】
 ・帝国暦959年 幻炎第四艦隊司令長官に着任。階級は大提督。宮廷序列は帝国侯爵・公女
 ・帝国暦959年 双棘艦隊副司令長官に着任。階級は星界軍元帥
 ・同年 双棘新領土方面艦隊司令長官兼双棘艦隊第一三艦隊司令長官に着任
 ・同年 雪晶艦隊司令長官に着任
 ・帝国暦959年頃 第二方面艦隊参謀長に就任

さ行

従士サーシュ  sach

星界軍の下士官(錬兵も下士官でその下に兵がいるのか、錬兵が兵なのかは不明)。ほとんどが地上世界出身者。帝国国民の子弟の他、領民からも募られる。最先任従士長、先任従士長、従士長ウェサーシュ、一等従士、二等従士、三等従士、四等従士、一等錬兵、二等錬兵の階級に分けられている。軍艦勤務は四等従士からで、最低でも1年の専門教育が必要。艦内ではほとんどが応急要員として働く。
帝国は領民政府に対し、領民の志願を妨害することは禁じていたものの、間接的に意欲をそぐキャンペーン程度なら容認している。それでも、従士が故郷に送るスカールは、貧しい世界にとっては貴重な帝国基準通貨収入となるため、少なからぬ地上世界が従士を出すことに意欲的である。また、アーヴの世界に触れることを得がたい経験とみなす世界もある。そのため、創設以来星界軍が従士志願者の不足に悩んだことはない。
身分は国民。最先任従士長から昇進すると列翼翔士になり、士族となる。退役時に恩給が出る。

左方部隊  

基本艦列において、主力部隊の左方に配置され、敵の側撃を防ぐと同時に、占領領域に幅を持たせる役割を担う部隊。決戦の際には、可能な限り主力部隊と合同して戦場に臨む。

サムスィル群  

アルレートがブース三〇七七門からフアンボ門へ向けて侵攻中に、フアンボ門周辺の門から出現した時空泡群の総称。最初に出現したものはサムスィル一〇〇、それ以降に出現したものはサムスィルの後に通し番号が付く仮称で呼ばれている。
先に撃破されたサムスィル〇〇七を除いてフアンボ門沖で集結し、フアンボ門沖会戦でアルレートと戦った。

サムスィル〇〇七  

サムスィル群の中でサムスィル一〇〇の次に規模が大きい時空泡群。突撃艦の小部隊。フアンボ門を目指していたが、アルレートに追いつかれて降伏した。

サムスィル一〇〇  

霹靂第一艦隊がブース三〇七七門からフアンボ門へ向けて侵攻中に、ブース九九八門から出現した時空泡群の仮称。全て戦闘艦艇と仮定しても半個戦隊相当。

ジャネット・マカリ  

952年当時帝国に派遣されていた人民主権星系連合体大使。女性。訛りの強いアーヴ語を話す。969年に人民主権星系連合体が消滅した際には、国家機構の解体のため特使として帝国に派遣された。
【容姿】
 黒い顔。

スポトネブリューヴ鎮守府シュテューム・スポトネブリュブ  

八鎮守府の一つ。ウェスコー王国に位置する、黄色矮星を中心とした星系。本部は第二惑星ボヘーフの衛星軌道上にある。ボヘーフは従士たちの休養場所となっている。ボヘーフの公転軌道の内側には歪な岩屑が帯をなしており、そこに工業施設が集中している。ラクファカール陥落後も星界軍が維持している。

ビセス鎮守府シュテューム・ビセサル  

八鎮守府の一つ。スキール王国に位置する。ラクファカール陥落に伴い、中央との連絡が途絶したスキール王国にいる艦隊の仮中枢が置かれ、第二艦隊編成後は艦隊の本拠地となった。960年頃に本拠地がセスカル子爵領に移動してからも最前線基地として第二方面艦隊の重要拠点であり続けたが、962年に陥落し、四カ国連合に制圧された。

統帥官ジョクスィーフ  

軍令長官、軍政長官、帝国艦隊司令長官の総称。統帥府会議を構成する。

人民主権星系連合体  

星間国家の一つ。元首は大統領。主星系はノヴ・キンシャス星系。現存する星間国家の中では最も国力が低いが、帝国がこれまで滅ぼしてきた星間国家のいずれよりも大きい。969年に帝国との戦争に敗れて降伏し、消滅した。
【組織】
 地上世界が全てと考えているため、各星系が高度な独立性と権限を持つ。星系政府が国家主権を持ち、軍隊すら各星系が自前のものを有している。連合体政府は、その主権を預かるという立て前で権力を行使している。連邦政府の主な役目は軍の維持であり、職員も大半が軍人で構成されている。予算は各星系政府からの拠出に頼っている。市民は連合体への忠誠も求められていない。その他司法府及び立法府も存在する。
【軍事】
 正規軍は加盟諸星系軍の集合体。防衛艦や高出力の凝集光砲を多数運用していることが特徴。機雷戦も重視している。
 軍人の世襲は禁じられている。
【経済】
 各星系の独立性が高いため、ごく一部を除き自給自足が可能。
【言語】
 惑星間共通語が存在する。
【文化】
 遺伝子調整は合法化されている。
【歴史】
 ・帝国暦969年 帝国に降伏

スィルターシュ  

赤啄木鳥艦隊副司令長官兼突撃分艦隊ベクリケイ司令官(967年当時)。階級は准提督。

ストゥーロス  

第一〇三防衛隊旗艦(967年当時)。

爵位スネー  

貴族としての身分。継ぐには貴族の家に生まれ、10年間(十翔長になるまでとする記載もある)翔士として星界軍に勤務しなければならない(叙爵が高齢になってからの場合など例外もある)。『爵位は義務』といわれるほど義務がつきものである。

皇帝スピュネージュ  speunaigh

アーヴによる人類帝国の軍事・政治双方の最高統括指揮者。常にアブリアル伯爵の称号を帯び、商船団長を兼任する。また伝統的に近衛艦隊司令長官グラハレル・ロワボレールにも就任する。
帝国の統合の基礎は軍事力であり、皇帝はそれを把握しなければならない、という思想のもと、世襲と星界軍における階級により選出される。すなわち、八王家に生まれた者のうち、同世代でもっとも早く帝国元帥になったものが皇太子となり、次の皇太子が決まった時点で登極する。その時点での皇帝は譲位し、上皇になる。その時点で、皇太子より年上、または年下でも20年以上の年齢差がない皇族は、星界軍から退き、予備役への編入を願い出るのが慣わし。
虚言できぬ存在として人類社会に知られている。
かつては大戦争の折に自ら艦隊を率いるのを常としたが、現在はその役目は皇太子に引き継がれている。
作中には以下の皇帝が登場している。
・初代(元年~?) アブリアル・ドゥネー
・第11代(?~?) ドゥグナー
・第26代(?~?) アブリアル・ネイ=ラムリュラル・前皇帝・ドゥガス(ラスィース王家)
・第27代(?~959) アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・アブリアル伯爵・ラマージュ(クリューヴ王家)
・第28代(959~) アブリアル・ネイ=ラムサール・バルケー王・ドゥサーニュ(バルケー王家)

時空粒子スプーフラサス  spuflasath

平面宇宙に存在する、縮小化された四次元時空。電子の4倍ほどの質量を持つ。火山や時空泡発生機関から流れ込んで他の門から通常宇宙に戻る。その流れは一定で、急変することはない。高濃度な場所ほど時空泡が侵入しにくい。通常宇宙側ではエネルギーの形をとる。

幕僚スペルーシュ  

司令部の構成員。司令長官、参謀、副官などから成る(司令長官は含まないこともある)。

スポール・アロン=セクパト・レトパーニュ大公爵ニーフ・レトパン・ペネージュ  

スポール・アロン=セクパト・前レトパーニュ大公爵・アセーヌの娘。貴族としての軍役義務は既に果たしているが、趣味で軍にとどまっているらしい。座乗艦ヘールビュルシュの司令座を白大理石製で精緻な彫刻を施した4本の柱と、それによって支えられる人間の手で刺繍された豪華な天蓋によって飾っている。ラフィールが幼少の頃から彼女と面識がある。
【容姿】
 丹念に結い上げられた蒼炎色の髪。流れるような蒼炎色の眉。終末期の巨星表面のような紅の瞳。毒々しいまでに妖しく紅い唇は、艶やかで猛々しく、肉食性の蝶を連想させる。
【性格】
 わがままで気まぐれだが、指揮官としては優秀。楽しみは後に残しておく性格らしい。ラフィール曰く、『スポールの中のスポール、スポール一族が1000年にわたって洗練してきた婉曲な罵倒の技術を芸術の域まで高めた人物』。
【嗜好】
 蹂躙戦が大好き。起きてから6時間は固形物を取らないのが習慣。
【経歴】
 ・時期不明(17歳) 修技館入学
 ・時期不明 レトパーニュ大公爵に叙爵
 ・帝国暦949年頃 准提督に昇進
 ・時期不明 偵察分艦隊フトゥーネ司令官に着任
 ・時期不明 提督に昇進
 ・帝国暦955年 ラルブリューヴ鎮守府副長官に着任
 ・同年 幻炎第一艦隊司令長官に着任
 ・帝国暦956年 狩人第一艦隊司令長官に着任
 ・時期不明 ソトリュール鎮守府副長官に着任
 ・帝国暦959年 大提督に緊急昇進
 ・同年 不死鳥第七艦隊司令長官に着任
 ・時期不明 練習第三艦隊最先任副司令長官に着任。階級は星界軍元帥
 ・帝国暦969年 霹靂艦隊最先任副司令長官に着任
 ・同年 霹靂第五艦隊司令長官に着任

スポトネブリューヴ  

スポトネブリューヴ鎮守府の中心にある恒星。黄色矮星。

スミト・ボルジュ=ギュル・サーシュ  

969年当時の練習第二艦隊司令長官。地上人男性。宮中序列は帝国男爵。階級は技術元帥。星界軍で唯一の地上世界出身の司令長官。

カセールの戦いスラーショス・カセル  

967年にカセール門沖で行われた、赤啄木鳥艦隊と四カ国連合艦隊(約12.5個分艦隊以上。ほとんどがハニア連邦軍で、人類統合体平和維持軍艦隊が約1~2個分艦隊)との戦闘。赤啄木鳥艦隊が門を確保し、カセール伯国の軍民の救出に成功した。

整備廠  

反物質燃料製造工場を建造するための施設。

セスカル  

セスカル子爵領の中心にある恒星。

セトスィリューヌ  

クファース伯国にある有人惑星。967年頃、帝国からの離脱を表明した。

前方部隊  

基本艦列において、主力部隊の前方に配置され、威力偵察を主な任務とする部隊。巡察艦を主体に編成され、艦隊決戦時には蹂躙戦を仕掛けることが多い。

ゾースカウ  

霹靂第一艦隊所属の巡察艦。最も深く敵勢力圏に切り込む任務を負っており、バハメリ星系への増援の偵察も担当した。単独行動が予定されているため、連絡艇を多めに三艘積載している。

ソード  

開いた門とも呼ばれるユアノンの第二形態。通常宇宙と平面宇宙をつなぐ役割を果たすことから、前19年頃に俗称として用いられるようになり、その後正式名称となった。通常宇宙側では燐光を放つ、直径1セダージュ(=1000km)ほどの実体のない球状特異空間、平面宇宙側では不完全な螺旋状曲線を描く。
ほとんど質量を持たず、自身がエネルギーを輻射しているため、通常宇宙側では星系外縁部に位置するのが普通。既知領域の門は約300億。そのうち星系への入り口として使用されているものはごくわずか。
門を通過する場合、時空泡の通過後の位置は確率論的にのみ知ることが出来る(同一時空泡内での相対位置は変わらない)。また、通過により門との相対速度がなくなる。平面宇宙側から船が通過するときには、門の表面に波紋が立っているように見える。
巨視的に見ると、通常宇宙側は必ず天川銀河にあり、大部分が銀河の渦状腕に存在する。一方、平面宇宙側では中心部を門の集合である環が何重にも取り巻くように配置されている。環の間の間隙は外側のほうが広い。また環はほぼ同数の門を含むので、外側の環ほど門の密度は低い。外縁部に濃密に門が密集している場所が確認されており、別の銀河に対応する門群の環と重なり合った領域であると推定されている。
低エネルギー状態で放置されると自然に閉じた門になる。半減期(50%の確率である現象が起こるために必要な期間。半減期が12年とは、12年経ったとき閉じた門になっている可能性が50%という意味)は12年。

アンズィク門ソード・アンズィカル  

平面宇宙側では人民主権星系連合体、バハメリ門とノヴ・キンシャス門との間に位置する門。

エウドー門ソード・エウドール  

通常宇宙側ではエウドー子爵領の巨大気体惑星の軌道上、平面宇宙側では上部領域に位置する門。

エミクーシ門ソード・エミクーシル  

通常宇宙側ではエミクーシ星系、平面宇宙側では人民主権星系連合体に位置する門。

カセール門ソード・カセル  

通常宇宙側ではカセール伯国の惑星ドベーシュの衛星軌道上、平面宇宙側ではスキール王国に位置する門。ドベーシュの高度約97セダージュ(=97000km)を巡っている。

ブース六四六門ソード・ゴゴブナ・ブーサル  

平面宇宙側では人民主権星系連合体(おそらくフアンボ門とバハメリ門の間)に位置する門。

スポトネブリューヴ門ソード・スポトネブリュブ  

通常宇宙側ではスポトネブリューヴ鎮守府、平面宇宙側ではウェスコー王国、ウェスコー門のほど近くに位置する門。

ブース九九八門ソード・ソクンソクンガーナ・ブーサル  

平面宇宙側ではウェスコー王国と人民主権星系連合体との境界付近に位置する門。おそらく付近に恒星がないため、利用価値のない門。

ブラス七七二門ソード・ダンダンマータ・ブラス  

通常宇宙側では、最も近い恒星(白色矮星)から14.7光年離れた場所、平面宇宙側ではおそらくスキール王国、セスカル門付近に位置する門。ただし利用価値がないため、事実上どの勢力にも属していない。ハニア連邦の軍使の交代のために、帝国とハニア連邦が利用した。

ノヴ・キンシャス門ソード・ノヴ・キンシャス  

通常宇宙側ではノヴ・キンシャス星系の主惑星カイル・ゴンベの軌道上、平面宇宙側では人民主権星系連合体に位置する門。

バハメリ門ソード・バハメリル  

通常宇宙側ではバハメリ星系の主惑星クドゥーロ軌道上、平面宇宙側では人民主権星系連合体に位置する門。969年にバハメリ攻略戦に勝利した星界軍が制圧した。

ブース三〇七七門ソード・ビボルダンダナ・ブーサル  

通常宇宙側では最も近い恒星から3.7光年離れた場所、平面宇宙側ではウェスコー王国と人民主権星系連合体との境界に位置する門。人民主権星系連合体が領有を宣言している。

フアンボ門ソード・フアンボル  

平面宇宙側では人民主権星系連合体に位置する門。969年に門沖で会戦(フアンボ門沖会戦)が行われ、勝利した星界軍が制圧した。

ルサカ門ソード・ルサカル  

平面宇宙側では人民主権星系連合体、バハメリ門とノヴ・キンシャス門との間に位置する門。

上部領域ソール・セム  

帝国の半身の内、ウェスコー王国とバルケー王国を合わせた領域。ラクファカール・セラがさまよい、建艦廠なども集中している。下部領域とは双棘回廊で繋がれている。

下部領域ソール・リュム  

帝国の半身の内、ラスィース王国、スュルグゼーデ王国、狩人領域を合わせた領域。上部領域とは双棘回廊で繋がれている。

ソタス  

第一〇三防衛隊司令官。階級は准提督。

ソバーシュ・ウェフ=ドール・ユース  Sobach üémh dor Ÿuth

アーヴ男性。年齢は50歳をすぎている(955年当時)。若い頃星界軍で働いたあと、長い間交易に携わってきたため、年齢の割に階級は低い。噂によるとかなりの富豪で、帝都に大きな城館を持っている。若い頃の交易では帝国商業史上屈指の利益をあげたこともある。すでに成人して独立した子供が二人いる。
【嗜好】
 好きなものは砂糖をたっぷり入れた緑茶。他人の悪癖が大好き。
 趣味は手紙を書くこと。
【経歴】
 ・時期不明 交易船の船長に就任
 ・帝国暦955年 バースロイル先任翔士に着任。階級は前衛翔士
 ・帝国暦958年頃 副百翔長に昇進
 ・帝国暦958年 フリーコヴ艦長に着任
 ・帝国暦959年 第一蹂躙戦隊先任参謀に着任
 ・同年 百翔長に昇進
 ・同年 千翔長に緊急昇進
 ・時期不明 練習艦隊参謀長に着任。階級は提督
 ・帝国暦969年 霹靂艦隊参謀長に着任

第一〇三防衛隊ソビュール・ボレール・キュトボルビナ  

カセール伯国に駐屯している星界軍の防衛部隊。主戦力は空間要塞群。四カ国連合侵攻時にも抵抗を続け、戦力を半減したものの、赤啄木鳥艦隊に救出された。

リムセズ泊地ゾベール・リムセザル  

帝国の半身(ラスィース王国、ウェスコー王国、バルケー王国、スュルグゼーデ王国のいずれか)に属する星系。練習第二艦隊司令部及びベートゥール建艦廠が置かれている。

た行

帝国の半身ダクル・フリューバラル  

帝国領のうち、ラクファカール陥落後、皇帝の統治下に残った領域。ウェスコー王国、バルケー王国を合わせた上部領域、ラスィース王国、スュルグゼーデ王国、狩人領域を合わせた下部領域、両領域を繋ぐ双棘回廊から成る。第二方面では、第一方面と呼ばれている。

戻るべき帝国の半身ダクル・フリューバラル・ボドルペカ  

帝国領のうち、ラクファカール陥落後、皇帝の統治が及ばなくなった領域。スキール王国、イリーシュ王国、バルグゼーデ王国、クリューヴ王国から成る。

ダセーフ  

アーヴ男性。ほとんどの軍歴を教官として過ごし、軍政本部から練習第三艦隊へ赴任してきた。練習艦隊副司令長官の中では最年長で、ラフィールよりも年上。ピアンゼークは昔の教え子。
【外見】
 成熟期にさしかかったばかりの少年のような風貌。
【性格】
 敵国の国内事情を知ることが趣味で、それを人に話すことが大好き。
【経歴】
 ・時期不明 練習第三艦隊教務教官に着任
 ・時期不明 練習第三艦隊副司令長官に着任
 ・帝国暦969年 霹靂艦隊副司令長官に着任
 ・同年 霹靂第二艦隊司令長官に着任

全艦、猫を降ろせダ・デュクノ  

身の回りの品以外のものや子供たちを軍艦から降ろし、戦いのために備えさせるための号令。アーヴにとって猫が日常の象徴であることから。

ダルカール  

セスカル子爵領にある無人惑星。959年頃、可住化が完了した。

中央部隊  

基本艦列において、中央に配置される主力部隊。伝統的に司令長官が直率する。中核部隊とも。

中核部隊  

→中央部隊

ディアーホ  Dïahoc

ジントの飼っているアーヴ猫。ホーリアの娘のザネリアの、そのまた息子。ラフィールが実習航行に行っている間にクリューヴ王宮で生まれた。
セルクルカとの間に3匹の子供がいる。
【容姿】
 琥珀色の双眸。短い体毛、がっしりした四肢と胴。やや大きめの頭。丸みを帯びた頬。クティロワル。長い尾。
【性格】
 あらゆる事にかけてやる気がない(ジント評)。節操がない(ラフィール評)。
【嗜好】
 籠に入るのは割と好き。風呂が嫌い。
【経歴】
 ・帝国暦952年(0歳) 誕生
 ・同年(0歳) ラフィールからジントに譲られる
 ・同年(0歳) ジントと共に主計修技館寮へ
 ・帝国暦955年(3歳) ジントとともにバースロイルへ
 ・同年(3歳) クリューヴ王家に預けられる
 ・帝国暦958年(6歳) ジントとともにハイド伯国へ
 ・帝国暦958年(6歳) 子供が生まれる
 ・帝国暦958年頃 クリューヴ王家に再び預けられる
 ・帝国暦969年頃 曾孫か玄孫が生まれる
 ・帝国暦969年(17歳) クリュブノーシュから退艦する

双棘回廊デュクティ・ボルペル  

双棘作戦によって、帝国が獲得した領域。人民主権星系連合体と人類統合体の勢力圏を分断し、天川門群中心円の周縁を通り、人類統合体勢力圏を横切って、スュルグゼーデ王国(おそらく狩人領域)に至る。ラクファカール陥落後は、上部領域と下部領域を繋ぐ唯一の連絡路になっている。

代官トセール  tosairh

領地経営の専門訓練を受け、領主の代わりに領地の管理を行う官僚。
皇帝の代官は調査使の要請を極力受けることが義務付けられている。

ドベーシュ  

カセール伯国にある有人惑星。軌道上にカセール門とカセール伯爵館がある。領民代表は大統領。

トライフ・ボルジュ=ユブデール・レムセール  Tlaïmh baurgh ybdér Laimsairh

アーヴ男性。修技生時代は戦列艦で過ごした。
【容姿】
 濃緑色の髪。浅黒く中高で猛禽類を思わせるような精悍な顔。発達した犬歯(トライフ家の家徴)。
【性格】
 たまに冗談を口にしても、なぜかそうと受け取られず、本気だと思われてしまう。
【思考】
 カシュナンシュ・ウェフ=ゴス・エールのことは一時は殺意を抱くほどに憎んでいた。食べ物では大蒜が苦手。
【経歴】
 ・時期不明 ラルブリューヴ鎮守府副長官に就任
 ・帝国暦952年 トライフ艦隊司令長官に着任。階級は提督
 ・時期不明 大提督に昇進
 ・帝国暦956年 狩人第二一艦隊司令長官に着任
 ・帝国暦959年 星界軍元帥に緊急昇進
 ・帝国暦969年より前 回廊艦隊司令長官に着任。階級は帝国元帥

カセール伯爵館ドリューエクス・カセル  

カセール伯爵家が所有する軌道城館。カセール門と同じドベーシュの軌道上にある。四カ国連合侵攻時に破壊された。

カセール伯爵ドリュー・カセル  

  • カセール伯国の領主。領民出身で姓称号はスューヌ。
  • 967年当時の1.。アーヴ女性。赤啄木鳥作戦により邦国が放棄されたため、セスカル子爵領に転居した。
    【容姿】
     蒼灰色の髪。思春期の少女のような風貌。

クファース伯爵ドリュー・クファト  

  • クファース伯国の領主。
  • 967年当時の1.。第二方面では行方不明となっている。

カセール伯国ドリュヒューニュ・カセル  

スキール王国に属する有人星系。有人惑星ドベーシュを有する。四カ国連合軍侵攻に際し、第一〇三防衛隊が抵抗を続けていたが、赤啄木鳥作戦により放棄された。

クファース伯国ドリュヒューニュ・クファト  

スキール王国に属する有人星系。有人惑星セトスィリューヌを有する。967年頃には領主が行方不明になっているため、代官が治めている。

ハイド伯国ドリュヒューニュ・ハイダル  Dreuhynh Haïdec

イリーシュ王国に属する有人星系。恒星ハイドを中心とし、有人惑星マルティーニュ(マーティン)を有する。マルティーニュの外側には気体惑星ベルグウィットも存在する。平面宇宙側ではイリーシュ王国において、イリーシュ門の反対側に位置する。
第十二環の周回航路完成間際に見つかった、忘れられた人類世界。
帝国侵攻時に独立を放棄、マーティンの対宇宙防衛システムを無力化することを条件に、ハイド星系から政府主席であったロック・リンを領主とするハイド伯国に生まれ変わる。
帝国再征服後、独立を放棄したが、同時に領主であるハイド伯爵家と以下の内容で条約をかわした。ハイド伯爵、あるいは元ハイド伯爵はマルティーニュから半径1光秒以内には立ち入らない。また、ハイド伯国全体でも10日以上滞在しない。地上世界への通信も控える。ハイド伯爵家の代官はマルティーニュの領民政府が選出する。
ラクファカール陥落後は、再び四カ国連合により征服された。
【歴史】
 ・着陸暦第1年 レイフ・エリクスンの乗組員により入植開始
 ・着陸暦172年(帝国暦945年)第1季57日 レイフ・エリクスン爆発
 ・同年第1季81日 アーヴ艦隊出現
 ・同年第1季84日 ハイド星系の独立を放棄。帝国領に
 ・帝国暦952年 人類統合体により占領
 ・同年 ティル・コリントが星系首相に
 ・帝国暦956年 淡雪作戦により空間領域占領
 ・時期不明 独立を宣言。ティル・コリントが星系元首に
 ・帝国暦958年 ハイド星系政府は主権放棄。帝国領に
 ・帝国暦959年 四カ国連合が制圧

な行

ノヴ・キンシャス  

ノヴ・キンシャス星系の中心にある恒星。

ノヴ・キンシャス攻略戦  

ノヴ・キンシャス攻略戦レムコス・ノヴ・キンシャス

泊地ノベール  

帝国艦隊の停泊地。大量の反物質燃料を要することから、原則として反物質燃料生産能力に余裕のある所領が指定される。また機動反物質燃料製造工場も投入される。

は行

ハニア連邦  

現存する星間国家の一つ。全宇宙で三番目の国力を有する。
四ヵ国連合と帝国とが開戦した際には、人工知性は帝国への先制降伏を勧告。しかし戦わずして降伏する策には反発が大きかったため、開戦理由を人類統合体が捏造したことを理由にして中立を宣言、帝都強襲にも加わらなかった。しかしその裏では、人工知性の託宣を重視し、帝国への服従を主張する保守派と、星間貿易を掌握し、帝国との交戦を主張する連合派との熾烈な権力闘争が行われていた。権力中枢では保守派が圧倒的多数を占めたが、軍を掌握した連合派はひそかに叛乱を起こして三ヵ国連合と連絡を取り、中立の破棄と参戦を決定。第2次ラクファカール防衛戦にも参加した。
帝国再反攻の兆しが見えると、軍は人民主権星系連合体の防衛に全力を挙げたが失敗。エミクーシ星系に集結している。
【組織】
 指導者層は地上世界の代表で構成されている。政策を決定する際、人工知性の勧告が極めて重視されるため、「決定するのは人工知性で、政治家の仕事はそれに好みを反映させることに過ぎない」とさえ言われている。
【軍事】
 政治上の理由から地上世界の維持を優先し、堅実な戦略を採る傾向がある。積極的攻勢に出るのは、圧倒的に格下の相手にのみ。侵攻を受けた時は、勢力圏境界線付近で決戦を挑む。また戦略的撤退もあまり採用しない。
 軍の規模はまずまず、情報収集力も高いが、装備は旧式で指揮系統にも問題があるため、総力戦となれば自国防衛もままならないと帝国は見積もっている。
【経済】
 自足している星系がほとんど(クナタウによれば、自給自足が可能な星系はほとんど存在せず、各星系ごとに特色ある産業構造を持ち、互いに補完し合っているとのこと)で、宇宙空間の占有にそれほどの関心を抱いていない。その反面星系間の経済格差はすさまじいものがあるが、各星系の独立意識が高く、あまり問題視はされていない。
【文化】
 元は人類世界で始めて平面宇宙航法を確立したスーメイ星系。増大する人口の生活空間を確保するため、植民や移住により勢力を拡大しており、他国を統合したことはない。したがって国中にはスーメイの独特な論理が行き渡っており、文化的には極めて均質。その反面、外部からの干渉を嫌う。
【食生活】
 料理の評価は高いが、酒はろくなものがないと帝国では言われている。

バハメリ防衛軍  

  • 軍事拠点であるバハメリの防衛を担当している人民主権星系連合体軍。基本的にはバハメリ門付近での迎撃に徹している。
  • 969年に、霹靂艦隊の侵攻に対し増強された1.。人民主権星系連合体軍とハニア連邦軍との合同軍。霹靂作戦の際、両軍が協定を結んで合同軍を仕立てたが、投入した戦力はハニア連邦の方が大きかったため、主戦場が人民主権星系連合体の勢力圏であるにもかかわらずハニア連邦の発言力が大きく、総司令官もハニア連邦の提督が就任している。最上級司令部を含め各級司令部は両軍共同で構成しているが、内部対立も起きている。

ピアンゼーク  

男性。星界軍では軍政畑を歩んできており、将来の軍政長官候補。軍政本部から練習第三艦隊へ赴任してきた。練習第三艦隊副司令長官の中では最も若いが、ラフィールよりは年上。
【経歴】
 ・時期不明 練習第三艦隊副司令長官に着任。階級は提督
 ・帝国暦969年 霹靂艦隊副司令長官に着任
 ・同年 霹靂第二艦隊司令長官に着任

ビューヌラス  

霹靂第一艦隊旗艦兼偵察分艦隊アルレート旗艦の巡察艦。

練習第一艦隊ビュール・カースナ・クレーヤル  

練習艦隊所属の艦隊。司令長官はキー・ボート=ラムセル・ガムヴ公爵・アトラコン星界軍元帥(969年当時)。
ラクファカールを脱出した元翔士修技館の機動居住区を中心として編成された。修技館本艦で行われていた座学も戦場で行わなければならなくなったうえ、訓練生の数が増加したので、旧式の戦列艦や輸送艦を改装した客船が追加されている。また元々あった機動居住区も自衛用の武装が追加された。演習用の艦艇のほか、星界軍の最精鋭たる護衛部隊も所属している。入学前の子供(幼児を含む)や保護者も乗船しているため、保育艦隊とも揶揄されている。

霹靂第一艦隊ビュール・カースナ・ロドルショト  

霹靂艦隊所属先行偵察部隊。司令長官はアトスリュア・スューヌ=アトス・フェブダーシュ男爵・ロイ大提督。旗艦は巡察艦ビューヌラス。
【組織】
 司令部
 ┣司令長官 アトスリュア・スューヌ=アトス・フェブダーシュ男爵・ロイ大提督
 ┗参謀長 ボブガーフ准提督
  ┣情報参謀
  ┣通信参謀
  ┗探査参謀
 旗艦 ビューヌラス
 偵察分艦隊 アルレート
 偵察分艦隊 ケルスィス
 偵察分艦隊 ロイフェーシュ
 偵察分艦隊 フェルー
 偵察分艦隊 5個
【経歴】
 ・帝国暦969年 編成
 ・同年 フアンボ門沖会戦

補給艦隊ビュール・カソベール  

星界軍全体の反物質燃料やその生産能力の配置を担当する艦隊。ラクファカール陥落後、司令部は常に機動帝宮と行動を共にしている。

第一・一艦隊ビュール・キュトポシュキュトナ  

霹靂第一艦隊のうち、バハメリ門沖会戦に間に合わなかった未集結部隊の一つに付された便宜上の名称。司令長官には偵察分艦隊ロイフェーシュ司令官が指名された。2個分艦隊強の規模がある。

第一・二艦隊ビュール・キュトポシュマータ  

霹靂第一艦隊のうち、バハメリ門沖会戦に間に合わなかった未集結部隊の一つに付された便宜上の名称。司令長官には偵察分艦隊フェルー司令官が指名された。2個分艦隊強の規模がある。

練習艦隊ビュール・クレーヤル  

  • 訓練生の訓練や配属前の新造艦の慣熟航行を行う艦隊。司令部は帝宮にある。
    ラクファカール陥落後は、翔士修技館の役割も兼ねており、星界軍最大の部隊となっている。
  • 969年当時の1.。司令長官はアブリアル・ネイ=ドゥブレスク・パリューニュ子爵・ラフィール帝国元帥。
    【組織】
     司令部
     ┣司令長官 アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・パリューニュ子爵・ラフィール帝国元帥
     ┗参謀長 ソバーシュ・ウェフ=ドール・ユース提督
     練習第一艦隊
     練習第二艦隊
     練習第三艦隊
  • 969年に練習第三艦隊が独立した後の1.。司令長官はキー・ボート=ラムセル・ガムヴ公爵・アトラコン星界軍元帥(兼任)。
    【組織】
     司令部
     ┗司令長官 キー・ボート=ラムセル・ガムヴ公爵・アトラコン星界軍元帥
     練習第一艦隊
     練習第二艦隊

第二方面艦隊ビュール・ケル・マータ  

ラクファカール陥落後、帝国中枢から切り離されスキール王国に残された星界軍の自称。司令長官は副帝アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・クリューヴ王・ドゥビュース。帝国の半身ではスキール艦隊と呼ばれている。
ドゥビュースが第二方面に存在する星界軍全艦隊で編成したもの。
【組織】
 司令部
 ┣司令長官 アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・クリューヴ王・ドゥビュース副帝
 ┗参謀長 コトポニー・アロン=ライトゥレール・公女・ラゼリア星界軍元帥
【経歴】
 ・帝国暦959年頃 編成
 ・帝国暦960年頃 本拠地をビセス鎮守府からセスカル子爵領へ移動
 ・帝国暦962年頃 ビセス鎮守府が陥落

霹靂第四艦隊ビュール・ゴーナ・ロドルショト  

霹靂艦隊所属右方部隊。司令長官はダセーフ提督。一個空挺戦隊を有する。
【経歴】
 ・帝国暦969年 編成

赤啄木鳥艦隊ビュール・サヒアル  

赤啄木鳥作戦の実施部隊。司令長官はアブリアル・ネイ=ドゥブレスク・ウェムダイス子爵・ドゥヒール提督。
【組織】
 司令部
 ┣司令長官 アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・ウェムダイス子爵・ドゥヒール提督
 ┃┗副司令長官 スィルターシュ准提督
 ┗参謀長 ヴォーニュ准提督
  ┣作戦参謀
  ┣情報参謀
  ┣探査参謀
  ┗通信参謀
 旗艦 巡察艦 ホウカウ
 ┗偵察分艦隊 ケスキュム(司令長官直率)
 突撃分艦隊 ベクリケイ
【経歴】
 ・帝国暦967年頃 編成
 ・帝国暦967年 カセールの戦い
【艦隊旗】
 頭と腹が赤く、他の部分は白と黒の二色で、翼には水玉模様がある鳥。

霹靂第五艦隊ビュール・ジュータ・ロドルショト  

霹靂艦隊所属後方部隊。全体の補給に加え、ウェスコー門の警戒も担当している。司令長官はスポール・アロン=セクパト・レトパーニュ大公爵・ペネージュ星界軍元帥。旗艦は巡察艦ヘールラス。
【経歴】
 ・帝国暦969年 編成

スキール艦隊ビュール・スキル  

第二方面艦隊に対する帝国の半身における呼称。

保育艦隊ビュール・ソムロン  

練習第一艦隊の別名。居住区に幼児やその保護者も乗船していることから。

回廊艦隊ビュール・デュクティル  

双棘回廊の防衛を担当する艦隊。司令長官はトライフ・ボルジュ=ユブデール・レムセール帝国元帥(969年当時)。

練習第三艦隊ビュール・ビーナ・クレーヤル  

練習艦隊所属の艦隊。練習第二艦隊で錬成した新造艦を部隊へ編入し、演習を行うための艦隊。星界軍最大の実戦部隊。20以上の泊地に分散している。司令長官はアブリアル・ネイ=ドゥブレスク・パリューニュ子爵・ラフィール帝国元帥(兼任)。旗艦は巡察艦クリュブノーシュ。969年、練習艦隊から独立し、霹靂艦隊と改名した。
【組織】
 司令部
 ┣司令長官 アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・パリューニュ子爵・ラフィール帝国元帥
 ┗参謀長 ソバーシュ・ウェフ=ドール・ユース提督
  ┣先任航法参謀
  ┃┗航法参謀 グノムボシュ副百翔長
  ┗通信参謀
 副司令部 7個
  副司令長官 スポール・アロン=セクパト・レトパーニュ大公爵・ペネージュ星界軍元帥(最先任)
  副司令長官 アトスリュア・スューヌ=アトス・フェブダーシュ男爵・ロイ大提督
  副司令長官 ピアンゼーク提督
  副司令長官 ダセーフ提督
 旗艦 巡察艦 クリュブノーシュ
 ┗巡察艦 2隻
 巡察艦 モイカウ
 突撃分艦隊 121個
 偵察分艦隊 18個
 打撃分艦隊 22個
 補給分艦隊 31個
 空艇分艦隊 3個
 独立戦隊 若干

霹靂第三艦隊ビュール・ビーナ・ロドルショト  

霹靂艦隊所属中央部隊。司令長官はアブリアル・ネイ=ドゥブレスク・パリューニュ子爵・ラフィール帝国元帥。旗艦はクリュブノーシュ。三個空挺戦隊を有する。
【経歴】
 ・帝国暦969年 編成

哨戒艦隊ビュール・ビバウレル  

第二方面艦隊所属の艦隊。前哨基地の維持などを担当している。司令長官はアブリアル・ネイ=ドゥブレスク・ウェムダイス子爵・ドゥヒール提督(969年当時)。旗艦は巡察艦ホウカウ。

霹靂第三・一艦隊ビュール・ビポシュキュトナ・ロドルショト  

ファンボ根拠地から霹靂艦隊へ補給される機雷を運搬する戦列艦部隊を編成した臨時艦隊。司令長官はエクリュア・ウェフ=トリュズ・ノール准提督。バハメリ攻略戦では門突入時の機雷戦を担当した。

練習第二艦隊ビュール・マータ・クレーヤル  

練習艦隊所属の艦隊(969年当時)。部隊編成前の新造艦の管理、建艦廠の管理・警備を担当する。司令長官はスミト・ボルジュ=ギュル・サーシュ技術元帥。司令部はベートゥール建艦廠のあるリムセズ泊地に置かれており、他の建艦廠のある星系にはいずれも副司令部が置かれている。建艦艦隊とも呼ばれる。

霹靂第二艦隊ビュール・マータ・ロドルショト  

霹靂艦隊所属左方部隊。司令長官はピアンゼーク提督。一個空挺戦隊を有する。
【経歴】
 ・帝国暦969年 編成

霹靂第一一艦隊ビュール・ロキュトナ・ロドルショト  

バハメリ星系にいる霹靂第三艦隊への補給のために編成された艦隊。若干の新造戦闘艦を含むが、大半は輸送艦で構成されている。バハメリ到着後に解体予定。

霹靂艦隊ビュール・ロドルショト  

  • 霹靂作戦の実施部隊。司令長官はアブリアル・ネイ=ドゥブレスク・パリューニュ子爵・ラフィール帝国元帥。旗艦はクリュブノーシュ。練習艦隊から独立した練習第三艦隊が改名されて成立。司令部は練習艦隊司令部を概ね引き継いでおり、副司令部もそのまま引き継いでいる。
    【組織】
     司令部
     ┣司令長官 アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・パリューニュ子爵・ラフィール帝国元帥
     ┗参謀長 ソバーシュ・ウェフ=ドール・ユース提督
      ┣参謀副長 エクリュア・ウェフ=トリュズ・ノール准提督
      ┣作戦参謀 レクシュ・ウェフ=ローベル・グレーリア十翔長(砲術担当) 外4名
      ┣航法参謀 グノムボシュ副百翔長
      ┗先任情報参謀 クナタウ千翔長
     総旗艦 巡察艦 クリュブノーシュ
     副司令部 7個
      副司令長官 スポール・アロン=セクパト・レトパーニュ大公爵・ペネージュ星界軍元帥(最先任)
      副司令長官 アトスリュア・スューヌ=アトス・フェブダーシュ男爵・ロイ大提督
      副司令長官 ピアンゼーク提督
      副司令長官 ダセーフ提督
    【経歴】
     ・帝国暦969年 練習第三艦隊から改名
     ・同年 再編成
  • 霹靂作戦の実施部隊。1.が969年に再編成されたもの。司令長官はアブリアル・ネイ=ドゥブレスク・パリューニュ子爵・ラフィール帝国元帥。総旗艦は巡察艦クリュブノーシュ。
    【組織】
     司令部
     ┣司令長官 アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・パリューニュ子爵・ラフィール帝国元帥
     ┗参謀長 ソバーシュ・ウェフ=ドール・ユース提督
      ┣参謀副長 エクリュア・ウェフ=トリュズ・ノール准提督
      ┣作戦参謀 レクシュ・ウェフ=ローベル・グレーリア十翔長(砲術担当) 外4名
      ┣航法参謀 グノムボシュ副百翔長
      ┗先任情報参謀 クナタウ千翔長
     旗艦 巡察艦 クリュブノーシュ
     霹靂第一艦隊
     霹靂第二艦隊
     霹靂第三艦隊
     霹靂第四艦隊
     霹靂第五艦隊
     霹靂第一一艦隊
    【経歴】
     ・帝国暦969年 再編成
     ・同年 フアンボ門沖会戦
     ・同年 バハメリ門沖会戦
     ・同年 バハメリ攻略戦
     ・同年 ノヴ・キンシャス攻略戦

建艦艦隊ビュール・ロル  

練習第二艦隊の別名。建艦廠の管理・警備を担当していることから。

イリーシュ王国フェーク・イリク  Faicec Ilicr

第十二環に位置する王国。帝国はイリーシュ門から始め、両側に領域を拡大していったため、その形状からアーヴの腕とも呼ばれている。
ラクファカール陥落後、人類統合体軍を中心とする四カ国連合軍が孤立した星界軍を撃破し、全ての邦国と所領を占領した。

クリューヴ王国フェーク・クリュブ  

ハニア連邦に囲まれた領域に位置する王国。
959年に四カ国連合軍の侵攻を受けて陥落し、ラクファカールへの進撃路とされた。その後全領域が四カ国連合に占領され、統治はハニア連邦に委任されている。

スキール王国フェーク・スキル  

ハニア連邦と人民主権星系連合体に挟まれた領域に位置する王国。
ラクファカール陥落後も戦力が維持されており、第二方面と呼称している。

バルグゼーデ王国フェーク・バルグゼーデル  

ハニア連邦と拡大アルコント共和国に挟まれた領域に位置する王国。
ラクファカール陥落後も一時は戦力が残存したが、艦艇の補修能力は限られており、新造能力は皆無のため、先行きは暗いと考えられていた。その後四カ国連合軍により占領された。

飛翔科列翼翔士フェクトダイ・ガレール  

飛翔科に属する列翼翔士。艦上では一人前として扱われず、見習い扱い。

フェルー  

霹靂第一艦隊所属の偵察分艦隊。

復命使  

作戦が完了、もしくは一段落した段階で、皇帝へ作戦の結果を報告する役職。参謀をもってあてるのが習わし。

時空泡フラサス  flasath

平面宇宙に存在する、切り取られた通常宇宙。三次元空間はこの中でのみ存在できる。時空泡は平面宇宙側からは素粒子として観察される。
時空泡は移動状態と停止状態を切り替えることで進んだり止まったりする。完全移動状態を取った場合の最高移動速度は質量の平方根に反比例する。(速度をv、質量をm、定数をaとすると、v=a/√m)ただし、移動速度は時空粒子の影響も受けるので、時空粒子に遡行する方向に移動しようとすると速度は落ち、移動距離も短くなる。
その形態に関わらず一定の時空粒子を吸収し、また放出しているが、放出量のほうが多いため、常に同量のエネルギーを失うことになる。そこでその差を補う時空泡発生機関が必要となる。
内包出来る質量には限界があり、それを超えると制御されない時空分離が発生する。(限界質量より小さい:襲撃艦6隻、巡察艦3隻、戦列艦1隻。限界質量より大きい:襲撃艦7隻、戦列艦2隻)
内表面は灰色だが、時空融合時には白光の周囲に色彩がたゆたう。内部で加速すると、時空泡自体が回転しているように見える。
お互いの間の通信は泡間通信を用いるしかないが、時空泡はその質量に応じた質量波を放射するため位置や質量を事前に知ることは可能。
中に単一の宇宙船をくるむものを特に単艦時空泡と呼ぶ。

アーヴによる人類帝国フリューバル・グレール・ゴル・バーリ  Frybarec Gloer Gor Bari

1500以上の有人星系(半数以上はアーヴが開発した星系)と20000以上の半有人星系を支配する汎星系国家。略してアーヴ帝国バール・フリューバル帝国フリューバルとも呼ばれる。帝都はアブリアル伯国のラクファカール。元首は皇帝。国章は八頸竜。国歌は「我ら、ともに永遠を抱かん」。
空間、恒星、無人惑星はおしなべてアーヴのものという方針を採っている。妙な露悪趣味があり、地上の民には無慈悲と見られたがっている。
【人口】
 アーヴ2500万人、国民約10億人、領民9000億人。
 帝国創建時はアーヴ27万2904人。(当時の人類の人口は1000億以上)
【組織】
 皇帝を頂点とする帝政+貴族制。理念なく存立し、多様な人類社会をアーヴによって統合することにのみ専念する。そのため原則として地上のことには干渉しない(ただし内乱には遠慮なく介入する)。星系政府に要求するのは惑星間航行が可能な宇宙船の建造禁止と帝国星界軍の募集事務所の設置のみで、これを超えた要求を領民政府は拒否できる。臣民に対しても忠誠を期待することはしない。
 官僚府も存在するが、そこに属する官僚のほとんどは地上世界出身者。
【外交】
 他国と外交官を交換し、外交官特権を尊重しているが、外交自体は全く重視していない。
 戦争においては情容赦なく、自身が滅亡するか、敵国の星間航行能力を奪い、星系単位で帝国に編入する以外に決着の方法はない。その苛烈さのため、皇帝2人と皇太子7人を含む多くの帝国の貴顕が戦死している。もっとも、星間国家でない限り帝国の大切な領土として扱うので、無意味に荒廃することを嫌う。そのため星間航行能力を失った星系の空間を封鎖するなどして降伏させ、降伏せずに飢餓が始まった場合も貸付などを行い援助するのが普通。
 やられたら10倍にしてやり返す、というのが行動原理。いかなる脅迫にも屈することない。脅迫を試みた者はそのほとんどが死ぬことになり、生き延びても不幸な人生を送ることになるとされる。
【経済】
 通貨単位はスカール。
【産業】
 他国船が領内星系に立ち入ることを禁じているが、七つの貿易港を指定して経済交流を行っている。
【言語】
 公用語はアーヴ語(アーヴ標準語)。文字はアース。
【文化】
 「アーヴ」の項を参照。
【単位系】
 地球以来のCGS単位系。標準年=365日、標準日=24時間、標準時間=60分、標準分=60秒。
 長さの基本単位はダージュ(=cm)、質量の基本単位はボー(=g)。この基本単位系に倍数を表す接頭辞をつけて用いる。以下参照。

規模接頭辞長さ質量
1020ドリアル1000兆km100兆t
10161000億km100億t
1012ゼサ1000万km100万t
1081000km100t
104ウェス100m10kg
1
1cm1g
10-4シェス1μm(=1000分の1mm)0.1mg
10-8ソワフ1Å(オングストローム)0.01μg
10-12コス10Y(ユカワ)
10-16ペタ0.001Y

 もっとも、光秒(=約300セダージュ)、光年(=約95トダージュ)などの単位も利用するので、ゼサダージュ以上の単位はあまり使わない。また、プランク長とプランク重(プランク定数h=6.6261×10-34を基礎にする単位)を基本とした微小単位系もある。
 平面宇宙では特殊な単位として、天浬ケドレル(1セボーの質量で、完全移動状態をとる時空泡が1秒間に進む距離)と天節ディグル(時空泡内時間で1時間に1天浬進める速度)が用いられる。
【歴史】
 ・帝国暦前1200年くらい 原アーヴ誕生
 ・帝国暦前1173年(離脱暦1年) 独立を宣言
 ・時期不明 探査船を近くの恒星系につけ、都市船に改造
 ・時期不明 アース成立
 ・帝国歴前973年頃 軌道都市を滅ぼす。大放浪時代に
 ・帝国暦前157年 フーディニ論文入手
 ・帝国暦前120年頃 公的記録の一部破棄により航行日誌を消失。カリュー氏の反抗(後世には都市船アブリアルの事故として伝わっている)
 ・帝国暦前98年 ビボースが平面宇宙航行理論を完成
 ・帝国暦前52年 後のアブリアル伯国に投錨、門を開く実験の開始
 ・帝国暦前19年 都市船の第三主機関オプセー・ビーナの核として用いられていた源泉粒子を開いた門にすることに成功
 ・帝国暦前3年 最初の平面宇宙航行船セルドーが門をくぐり、帰還
 ・帝国暦前2年 平面宇宙側から門を開くことに成功
 ・帝国暦1年 建国帝ドゥネーが帝国の創建と帝国暦開始を宣言。帝国時代に。当初は交易に中心が置かれる
 ・同年 初代皇帝即位式。国章が八頸竜に
 ・時期不明 3つの星系を征服。3つの主要氏族(恐らくエスレル、ニューシュ、スポール)の長が領主として封じられる
 ・帝国暦42年(以下2項との前後関係は不明) 3人の地上人がアーヴに
 ・時期不明 5つ目の星系を征服
 ・時期不明 平面宇宙の先客に気付く
 ・帝国暦645年頃 ヤクティア戦役
 ・帝国暦685年頃 太陽系に近い門の発見
 ・帝国暦750年頃 星界軍における最後の乗員反乱勃発
 ・帝国暦812年 セクティア連邦併合
 ・帝国暦852年より前 シャシャイン戦役
 ・帝国暦905年 カミンテール戦役終結
 ・帝国暦940年 対帝国軍事組織、四ヵ国連合結成
 ・帝国暦945年 流砂作戦
 ・帝国暦952年 ゴースロス襲撃事件
 ・同年 スファグノーフ侯国、人類統合体により占領
 ・同年 四ヵ国連合と開戦
 ・同年 スファグノーフ門沖会戦で勝利。スファグノーフ侯国再占領
 ・同年 ラクファカール防衛戦に辛勝
 ・同年 イリーシュ王国の3分の2、三ヵ国連合により占領
 ・同年 スカレーシュ門沖会戦
 ・帝国暦955年 幻炎作戦
 ・帝国暦956年 狩人作戦
 ・帝国暦956年 淡雪作戦
 ・帝国暦959年 双棘作戦
 ・同年 雪晶作戦
 ・同年 ハニア連邦がクリューヴ王国に侵攻
 ・同年 第2次ラクファカール防衛戦。ラクファカール・セラに遷都。ラクファカール陥落
 ・同年 ドゥサーニュ、第28代皇帝に即位
 ・帝国暦969年 霹靂作戦
疑問:マアト・カー・ラーとの接触時に100万近くいたアーヴが帝国創建時には30万以下になったのはアメニイの推定違いが原因か

副帝宮殿ベイ・ロイスピュネグ  

副帝が治める宮殿。969年にはセスカル子爵領の惑星ダルカールの軌道上にある。

エウドー子爵領ベールスコル・エウドール  

ウェスコー王国またはバルケー王国に属する星系。恒星エウドーと巨大気体惑星を有する。

セスカル子爵領ベールスコル・セスカル  

スキール王国に属する星系。恒星セスカルの周りを、可住化惑星ダルカールと小惑星帯が回っている。959年頃、ダルカールは可住化されたが、直後にラクファカールが陥落し、セスカル子爵も行方不明となったため、子爵領のままになっている。
960年頃、第二方面艦隊司令部が設置され、その根拠地となった。

セスカル子爵ベール・セスカル  

  • セスカル子爵領の領主。
  • 959年当時の1.。ラクファカール陥落時に後継者ともども行方不明となった。

ヘールラス  

練習第三艦隊最先任副司令長官の座乗艦である巡察艦。後に霹靂艦隊最先任副司令長官座乗艦、霹靂第五艦隊旗艦となった。

エウドー子爵館ベーレクス・エウドール  

エウドー子爵家が所有する軌道城館。カセール門と同じ巨大気体惑星の軌道上にある。

教官ベセーガ  

おそらく訓練教官の略称。

ボイラス  

霹靂第一艦隊偵察分艦隊アルレート所属の巡察艦。

ホウカウ  

星界軍第二方面艦隊所属の巡察艦。赤啄木鳥艦隊旗艦(967年当時)。哨戒艦隊旗艦(969年当時)。

保守派  

ハニア連邦において、人工知性の託宣を重視し、帝国への服従を主張している派閥。

ボブガーフ  

霹靂第一艦隊参謀長。階級は准提督。

ボヘーフ  

スポトネブリューヴ鎮守府の第二惑星。従士たちの休養場所となっている。

ポル市  

クドゥーロに存在する市。最高責任者は市長。969年当時の市長は年配の女性。

ま行

ミンミンディア  

アム・リークンが、ブラス七七二門に到着した際に搭乗していたハニア連邦の艦船。正式名称ではなく、連邦側から帝国に伝えられた暗号名。

モイカウ  

練習第三艦隊所属の巡察艦(969年当時)。

や行

空挺分艦隊ヤドビュール・ワケール  

おそらくを空挺部隊を中心とする分艦隊。

ユー・ジーナ  

ハニア連邦が帝国に派遣している秘密軍使(ドゥヒールの知る限り4代目)。女性。969年に後任のアム・リークンと交替した。

ら行

バハメリ門沖会戦ライシャカル・ウェク・ソーダル・バハメリル  

969年にバハメリ門沖で行われた、霹靂艦隊及び人民主権星系連合体軍(レディ一〇〇)との会戦。
星界軍による予想戦力比はほぼ互角だったが、星界軍が勝利し、人民主権星系連合体軍は全て降伏した。

フアンボ門沖会戦ライシャカル・ウェク・ソーダル・フアンボル  

969年にフアンボ門沖で行われた、アルレートとサムスィル群との会戦。
戦力に勝る星界軍が完勝した。

軌道酒保街ラクネーヴ・ホーカ  

※日本語表記が変更された可能性があるため、軌道酒保街ラクネーヴ・ホーカ/機動酒保街ラクネーヴ・ホーカへ移行。

軌道酒保街ラクネーヴ・ホーカ/機動酒保街ラクネーヴ・ホーカ  racnébh hoca

帝国艦船の乗組員のため、軌道上に設置される軍営の休養施設。

ラクファカール・セラ  

  • 959年の不死鳥作戦で、ソトリュール鎮守府に設置された臨時帝都。同一軌道上にあるソトリュール門と惑星サトネージュの間に形成された軌道都市。「仮のラクファカール」という意味。969年当時にはエウドー子爵領へ移されている。
  • 969年当時の近衛艦隊の別称。

星界軍ラブール  laburec

帝国の正規軍。帝国の軍事力を担うと同時に、平時には政治、行政の大部分を動かす、帝国そのものともいえる組織。帝国星界軍とも。
【組織】
 飛翔科と特殊兵科である主計科、空挺科、軍医科、技術科、警衛科、法務科、看護科、軍匠科、造兵科、造船科、造機科、光子科、航路科、軍楽科の15科、および掌兵科や薬剤科などの術科から成る。
 現在の艦艇数は、突撃艦以上の戦闘艦だけでも約7万8000。構成人員は約1330万人。そのうち空挺科が最大で1000万人いるが、そのほとんどは地上世界出身者。
 上下関係は階級のみによって律せられ、宮中序列を持ち込むことは許されていない。
 募集は主に地上の募集事務所でなされ、領民は自由意思により従軍できる。徴兵がされることはないが、他人の従軍意思を妨害する行為は禁じられている。退役も基本的には自由。ただアーヴの場合、交易者として生きることを選択した場合でも、しばらくは予備役で過ごし十翔長を目指すのが、分別ある嗜みとされている。
従士・翔士には給料が支払われ、退役時には恩給も出る。ただし皇族や領地を持つ翔士は無給。
部隊が孤立した場合はその場の最高指揮官が皇帝陛下の名代として指揮を執る。
【特色】
 確たる理由もなく他者へ戦闘を挑む無法者はおらず、戦不戦の選択権を握った時に、確実に勝てない戦いを始めるものもいない、というのが公式見解。非戦闘員を戦闘に巻き込むことを嫌う。
 演習や戦闘の後の饗宴では羽目を外す、部下を選ぶことができる、愛し合う二人が同じ部署を希望した場合、それを最大限に考慮する、守勢の際はともかく、ひとたび攻勢に出るや圧倒的な戦力で相手を叩きのめすなどの伝統がある。
 やる気がない翔士を排除し、指揮官の部下掌握能力を把握するため、部下の転属願いを上司が握りつぶすことは出来ない。転属願いは人事局で処理されることになる。
 星間船を住居とみなすアーヴが中心となって構成されているため、平時は戦列艦、輸送艦についてのみ育児をしながらの勤務も認められている。
 自分たちのやり方に拘るため、他人が造ったものを兵站系に組み込むことはない。
【歴史】
 帝国創設前後の主力は一人から三人くらいが乗りこんだ高機動ユニットであり、その操縦士兼指揮士を翔士と呼んだ。当時は四機で菱形に並ぶ編成が基本であり、先頭に位置する指揮官が前衛翔士、後尾を固める次席指揮官が後衛翔士、左右の操縦士が列翼翔士と呼ばれていた。この編隊は二機ずつに分かれることもあったが、その場合は前衛・後衛翔士がそれぞれ一人の列翼翔士を率いた。
 さらに、この編隊二つに指揮官ユニットとその同僚機を加えた10機がより上級の戦闘ユニットを作ったので、指揮官は十翔長と呼ばれた。
 都市船アブリアルがアーヴの領土の全てであったときには、戦闘ユニットは全部合わせて100~200機ほどであった。そのため、やや不正確ながら総指揮官を百翔長と呼び、その補佐役として数人の副百翔長が置かれていた。
 やがて、星界軍の膨張に従い、より上級の階級として千翔長が設置された。この頃になると機数と階級の関係はあいまいになってくる。
 帝国創設後、アーヴは数隻の母艦を運用するようになり、統率者として提督が任命された。
 帝国の膨張と共に母艦も増え、提督の補佐として分艦隊を率いる准提督が置かれるようになった。
 そのうち、宇宙船技術の進歩により高機動ユニットは廃れ、大型艦艇が主力化、大砲巨艦主義の実現を迎えるに従い、百翔長以下の呼称は完全に階級名となり、職責との関係を喪失した。
 帝国の膨張がさらに続き、複数の艦隊が組織されるようになると、より上位の階級が必要となり、大提督、元帥が置かれた。
 同時期、星界軍では十分に対応できない地上戦のために地上軍が置かれることになる。それまでの元帥は星界軍元帥となり、地上軍の統率者として地上軍元帥が置かれた。そして、その両者の上位者として帝国元帥が置かれた。
 しかし、地上軍が中心となり、帝国史上最大の反乱「ジムリュアの乱」が発生。帝国は苦労して鎮圧した後、直ちに地上軍を解体。これ以降、地上軍は空挺科となり、一兵科として各鎮守府や艦隊に所属することになった。
 地上軍元帥の職分は廃止されたが、空挺元帥として階級は残り、また星界軍元帥の階級も残された。さらに、各科の地位向上に伴って、主計元帥、軍医元帥、技術元帥などの階級が登場し、現在に至っている。

クリューヴ王家ラルティエ・クリュブ  

八王家の一つ。ラフィールの出身王家。家姓はネイ=ドゥブレスク。現当主はアブリアル・ネイ=ドゥブレスク・クリューヴ王・ドゥビュース。儀式嫌いで知られている。

ソルゼーニュ男爵リューフ・ソルゼン  

  • ソルゼーニュ子爵領の領主。領民出身で姓称号はスューヌ。
  • 969年当時の1.。アーヴ男性。赤啄木鳥作戦により所領は放棄され、セスカル子爵領に転居した。
    【容姿】
    青氷色の髪。

ヌリゾ男爵リューフ・ヌリゾル  

  • ヌリゾ男爵領の領主。根源貴族。
  • 969年当時の1.。赤啄木鳥作戦により所領は放棄され、セスカル子爵領に転居した。

リン・スューヌ=ロク・ハイド伯爵ドリュー・ハイダル・ジント  Linn ssynec raucr dreuc haïder Ghintec

本編の主人公。ロック・リンと鉱山技師だった母の間に生まれた地上人男性。マルティーニュ語、デルクトゥー語、アーヴ語、リクパルを話せる。射撃は全くダメ。軍籍番号は21-17-839951(958年当時)。
【容姿】
 茶髪。典型的な都市の青年。どことなく頼りなさそうでひよわな感じ。
【性格】
 素直。気が弱い。信条は「人間関係ははじめが肝腎」。代々の長老派基督教会の信徒だが神は信じていない。貴族らしからぬ貧乏性。
【嗜好】
 子供時代はメロン・オー・シューが好きだった。
【経歴】
 ・帝国暦935年(着陸暦164年)(0歳) 誕生
 ・帝国暦945年(着陸暦172年第1季84日)(10歳) 父の叙爵によりハイド伯爵公子に
 ・同年(10歳) デルクトゥー留学。アーヴ言語文化学院入学
 ・帝国暦952年(17歳) アーヴ言語文化学院卒業
 ・同年(17歳) 主計修技館入学
 ・帝国暦954年頃 父の死によりハイド伯爵に叙爵
 ・帝国暦955年(20歳) 主計修技館卒業。主計修技生に
 ・同年(20歳) 主計列翼翔士に叙任
 ・同年(20歳) バースロイル書記に着任
 ・同年(20歳) アプティック伯国領主副代行に着任
 ・同年(上記の半月後)(20歳) アプティック伯国領主副代行離任
 ・帝国暦956年頃 主計後衛翔士に昇進
 ・帝国暦956年(21歳) ロブナス伯国領主代行に着任
 ・同年 星界軍の休暇をとる
 ・帝国暦958年(23歳) マルティーニュ領民政府と条約締結
 ・帝国暦959年頃 休暇を終え、軍に復帰。主計前衛翔士に昇進
 ・帝国暦959年(24歳) フリーコヴ書記に着任
 ・同年 ガフトノーシュ・ドゥラド書記に着任
 ・同年 主計十翔長に緊急昇進
 ・時期不明 練習艦隊司令長官付副官に着任。階級は主計千翔長
 ・帝国暦969年 霹靂艦隊司令長官付副官に着任

副官ルーキア  

艦隊司令長官などの庶務の補佐を行う役職。一言で言えば秘書で、最も重要な役割は日程管理。生まれながらのアーヴであることは要求されない。

参謀副長ルーセ・カーサレール  

艦隊における次席参謀。

帝宮ルエベイ  

  • ラクファカールにある、都市船アブリアルを改装した軌道宮殿ベイ。宰相府、統帥府、大使館など帝国中央の政治機能が集中され、通信関連をはじめとする様々な設備も設置されている。ラクファカールで唯一他国人が居住している場所でもある。数多くの湯殿があるが、そのうち36ヵ所は勅禁湯殿に指定されており、皇帝は自由に選んで入浴できる。
    不死鳥作戦の際には、中心部の都市船アブリアルを残して分解された。
  • →ガフトノーシュ3.

機動帝宮ルエベイ・ホーカ  

ガフトノーシュ(3.)の別称。

上皇会議ルゼー・ファニガラク  Luzœc Fanigalacr

8人の上皇により構成される、皇族たる翔士の昇進・査問・賞罰を司る機関。その査問は一般の翔士に対するものよりも厳しく、任務に失敗すれば容赦のない処分が待っている。また皇族翔士の周辺の人事権も有しており、軍務の間に腹心が得られるよう、多様な人材を配置している。

ウルーブ侯国レーバヒューニュ・ウルーバル  

スキール王国に属する星系。

ウルーブ侯国レーバヒューニュ・ウルーバル攻防戦  

967年より前に、星界軍とおそらく四カ国連合軍との間で行われた攻防戦。

レクシュ・ウェフ=ローベル・グレーリア  

レクシュ・ウェフ=ローベル・プラキアの姪。不死鳥作戦の際に配置を失い、伝手をたどってラフィールの艦にやってきた。
【容姿】
 黝い髪。黄金色の虹彩。レクシュ・ウェフ=ローベル・プラキアと面差しがとてもよく似ており、ラフィールともどことなく似ている。
【経歴】
 ・帝国暦959年頃 翔士修技生として近衛艦隊に配属
 ・帝国暦959年 不死鳥作戦に伴い、近衛艦隊を離任
 ・同年 列翼翔士に緊急昇進
 ・同年 ガフトノーシュ・ドゥラド通信士に着任
 ・同年 ガフトノーシュ・ドゥラド通信士を離任
 ・帝国暦969年 霹靂艦隊作戦参謀に着任。階級は十翔長

レケーフ  

アーヴ。宮中序列は帝国公爵(955年当時)。
【経歴】
 ・帝国暦955年 幻炎第五艦隊司令長官に着任。階級は星界軍元帥
 ・帝国暦959年 双棘艦隊副司令長官に着任
 ・同年 双棘艦隊バルケー王国方面艦隊司令長官に着任
 ・帝国暦959年 帝国元帥に緊急昇進
 ・帝国暦969年より前 軍政長官に着任

巡察艦レスィー  Résic

通常空間戦における主力艦。操舵は航法士が担当するが、戦闘時は砲術士に委ねられることが多い。質量は約1000セボー(=10万t)。6隻で戦隊を組む。半個戦隊時空泡は鉄壁といわれる。
主戦兵器は電磁投射砲。凝集光砲と反陽子砲も搭載しているが、本来的には対機雷用で、突撃艦級ならともかく巡察艦級には太刀打ちできない。機雷も有するが、これは防御用のものではなく艦艇撃破のためのもの。
時空泡発生機関は艦橋の下に設置され、共通の球体壁で頑丈に守られている。
内部に余裕があるため、便乗者のために居住区が広くとられている。

レディ一〇〇  

霹靂第三艦隊がフアンボ星系に駐屯中、バハメリ門からウェスコー王国方面に向けて発進した大規模な時空泡群に付された仮称。人民主権星系連合体軍のみで構成された艦隊で、その戦力の9割近くが動員されている。バハメリ門沖会戦で霹靂艦隊と交戦。霹靂第一艦隊の突破により、レディ一〇一とレディ一〇二に分断された。

レディ一〇一  

レディ一〇〇が霹靂第一艦隊により2つに分けられた後、霹靂艦隊から見て右側の集団に付された仮称。レディ一〇二の2倍の質量がある。霹靂艦隊に包囲され、降伏した。

レディ一〇二  

レディ一〇〇が霹靂第一艦隊により2つに分けられた後、霹靂艦隊から見て左側の集団に付された仮称。霹靂艦隊に包囲されたレディ一〇一の救援を試みたが、失敗。バハメリ方面に撤退中、第一・一艦隊、第一・二艦隊及び霹靂第一艦隊の攻撃を受け、降伏した。

ノヴ・キンシャス攻略戦レムコス・ノヴ・キンシャス  

969年にノヴ・キンシャス門で行われた、霹靂艦隊と四カ国連合軍(ハニア連邦軍(4割程度)と人民主権星系連合体軍(6割程度)との合同軍)との会戦。星界軍の推定によれば戦力比は10:8。ハニア連合軍は早期に撤退したため、残された人民主権星系連合体軍を星界軍が迂回挟撃し、人民主権星系連合体軍は降伏した。

バハメリ攻略戦レムコス・バハメリル  

969年にバハメリ門で行われた、霹靂艦隊とバハメリ防衛軍(ハニア連邦軍(8割程度)と人民主権星系連合体軍(2割程度)との合同軍)との会戦。敵艦隊の2倍以上の戦力を有する星界軍が勝利し、バハメリ防衛軍は降伏した。

連合派  

ハニア連邦において、帝国との交戦を主張する、軍人や星間輸送業者を中心とする派閥。

副帝ロイスピュネージュ  

ラクファカール陥落後、帝国中枢から切り離されたスキール王国において、最高の帝位継承順位を持っていたドゥビュースが名乗った称号。

ロイフェーシュ  

霹靂第一艦隊所属の偵察分艦隊。

ベートゥール建艦廠ロール・ベートゥル  

五大建艦廠の一つ。いくつもの球が重なり、巨大な管を触手のようにうごめかせているように見える。ロース級巡察艦の建造などを担当しており、955年頃からカウ級巡察艦の竣工に入った。コーヴ級襲撃艦も生産される予定。ラクファカール陥落後はリムセズ泊地に展開している。

空間機動要塞ロニーデ・ホーカ  

門の防衛等を行う施設。重すぎてそのままでは平面宇宙を移動出来ないため、設置場所で建造するか、分解して平面宇宙を輸送し、再組み立てする必要がある。

空間要塞ロニード  

門の防衛等を行う施設。通常空間での機動力は持つが、平面宇宙航行機能は有さない。空間機動要塞と同一と思われる。

近衛艦隊ロワボリア  

  • 帝都が戦場になりそうな時に皇帝が率いる直属部隊。平時には儀式に用いられることもある。司令長官は皇帝が、参謀長は軍令長官が兼ねる。伝令は置いていないが、実戦に臨む時には退役翔士が召集されて充足される。ヴォー・セトゥーシュ、コン・セトゥーシュ、スル・セトゥーシュ、ロク・セトゥーシュ、フェク・セトゥーシュ、リュト・セトゥーシュ、ドル・セトゥーシュ、ミュス・セトゥーシュの8個の近衛分艦隊で構成される。分艦隊名の全てにセトゥーシュが付くため、雷たちセトゥークラシュの別名で呼ばれる。
  • 959年に帝都防衛のため召集された1.。司令長官はアブリアル・ネイ=ドゥブレスク・アブリアル伯爵・ラマージュ。旗艦は星界軍総旗艦ガフトノーシュ。
    【組織】
     司令部
     ┣司令長官 アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・アブリアル伯爵・ラマージュ
     ┃┗司令部直属 近衛阻塞戦隊 6個
     ┗参謀長 ファラムンシュ・ウェフ=ルサム・ラザス帝国元帥
      ┣探査参謀
      ┗航法参謀
     旗艦 巡察艦 ガフトノーシュ
     ┣直轄艦 巡察艦 バイカウ
     ┗直轄艦 巡察艦 オートカウ
     近衛分艦隊 ヴォー・セトゥーシュ
     近衛分艦隊 コン・セトゥーシュ
     近衛分艦隊 スル・セトゥーシュ
     近衛分艦隊 ロク・セトゥーシュ
     近衛分艦隊 フェク・セトゥーシュ
     近衛分艦隊 リュト・セトゥーシュ
     近衛分艦隊 ドル・セトゥーシュ
     近衛分艦隊 ミュス・セトゥーシュ
    【歴史】
     ・帝国暦959年 編成
     ・同年 クリューヴ門沖会戦で壊滅
  • 969年当時の1.。ラクファカール・セラという別称がある。

わ行

謁見の広間ワベス・ベゾーロト/謁見の広間ワベス・ベローゾト  

  • 帝宮の都市船アブリアル部分にある広間。かつては皇帝が日常的な執務に用いていたが、時代と共に格が上がり、現在では重要で神聖な儀式や国事にしか使用されない。天井には梁がいくつも渡されているが、それが支えるべき屋根はなく、代わりに光繊維を通して導かれた恒星アブリアルと青空が、散乱面を輝かせている。梁からは領主の紋章旗が下がっている。床は黒大理石。八王家の紋章旗に取り囲まれた、ひときわ大きな帝国旗を背にして、翡翠の玉座が置かれている。玉座を見上げる位置には白い絨毯が敷かれている。
    第2次ラクファカール防衛戦時には帝都防衛団司令部が置かれた。
  • 969年当時の機動帝宮にある広間。1.と比べても遜色ない広さがあり、装飾が施されている。天井からは諸侯たちの紋章旗が下がり、人工的な光が注いでいる。
  • 969年当時の副帝宮殿にある広間。

軍政長官ワロズ・ヴォソル  

軍政の長で統帥官の一人。皇帝の幕僚。969年当時はレケーフ帝国元帥。

軍令長官ワロズ・リュアゾン  

軍令本部の長で統帥官の一人。皇帝の幕僚。952年~959年当時はファラムンシュ・ウェフ=ルサム・ラザス帝国元帥。969年当時はケネーシュ・ウェフ=ステューマル・キペール帝国元帥。

統帥府ワロディアシュ  

  • 統帥府会議の略称。
  • 統帥府会議用の広間。
  • 機動帝宮にある2.。部屋は無重力に保たれており、球形で、壁に虹色の花を咲かせる木が植わっている。出入り口は四カ所ある。

統帥府ワロディアシュ会議  

帝宮にある軍組織の最高機関。皇帝と三人の統帥官で構成され、帝国全体の戦略策定を担当する。専従の職員はおらず、事務は侍従が執り行う。単に統帥府とも。

英数

備考

  • p.14「帝宮ルエベイ生まれ」は「王宮ラルベイ生まれ」の誤記と思われる。ディアーホはクリューブ王宮生まれだし、そうでないと前後の文脈と整合しない。
  • これまで使用されていた「戦いトラーショス」と、今回登場した「戦いスラーショス」の区別が不明。
  • 第二方面艦隊に所属する軍士は、959年の緊急昇進について知らないはずである(作中の登場人物も記載上は昇進していない)。そのためドゥビュースが星界軍元帥になっている(p.19)のは、通常の昇進によるものとした。
  • これまで使用されていた「伯爵家ドリュージェ」に代わり、「伯爵家ドリュージュ」が使用されている(p.34)。誤記かとも思われるが、複数回出てくることから表記変更の可能性がある(「大公爵家」も「ニーミェ」から「ニメイ」に変更されていることと関係があるのかもしれない)。なお「カセール伯爵家」については特筆すべき事がないため見出しには挙げていない。
  • p.53「感心」は「関心」の誤記。
  • ヌリゾ男爵の姓称号がウェフとされている(p.54)が、ウェフは士族の姓称号なので誤記と思われる。正しい表記の可能性としてはボース、アロン、スューヌのいずれもあり得るが、「これは…アーヴの始祖に繋がることを示す」とわざわざ注釈されていることから、アロンと解釈すべきか。いずれにせよ情報が不足しているため、根源貴族とのみ記載した。
  • アトラコンと幻炎第五艦隊参謀長キー提督との関係については、星界の戦旗6 アトラコンについてちょっと考察へ。
  • スミト・ボルジュ=ギュル・帝国男爵・サーシュという人名が登場するが、これまで一代貴族については称号を人名に含めないのが通例であったため、省略して記載した。
  • p.71「エウドー子爵領リュムスコール・エウドール」は「エウドー子爵領ベールスコル・エウドール」の誤記と思われるので、修正の上記載している。
  • p.103の6行目に不自然な空白がある。
  • これまで使用されていた「泊地ゾベール」と、今回登場した「泊地ノベール」(p.124)の区別が不明。
  • 爵位を継ぐ条件は、これまで星界軍に10年勤務することとされていたが、十翔長に昇進するまで(p.133)という記載がある。
  • p.134「ゆっくきり」は「ゆっくり」の誤記。
    →Kindle版で修正された。
  • ハニア連邦は、これまでほとんどの星系が自給自足出来ているとされていたが、クナタウによれば「自給自足な星系はほとんど存在しない」とされている(p.202)。敵国の体制について一通りのことは知っているラフィールも反論していないので、クナタウの認識が間違っている可能性は低いと思われるが、いずれが正しいのかは不明。
  • 後書き(p.297)の記載から、やや不正確ながらp.57以下を帝国暦969年の出来事と定義し、p.228の記載から赤啄木鳥作戦を帝国暦967年の出来事と定義する。
  • ノヴ・キンシャス攻略戦(p.248)にはアーヴ語のルビが振られていないが、バハメリ攻略戦のルビから独自に判断し、ノヴ・キンシャス攻略戦レムコス・ノヴ・キンシャスとして見出しに上げた。
  • 「左集団」(p.252 l.6)、「右集団」(l.7)はそれぞれ「右集団」「左集団」の誤記と思われる。
    →Kindle版で修正された。
  • 霹靂第二艦隊と第四艦隊はどちらが左方部隊・右方部隊なのか明示されていないが、戦闘描写から第二艦隊を左方部隊、第四艦隊を右方部隊と特定する。
  • 「左集団」(p.261 l.1)、「右集団」(l.3)、「左集団」(l.15)はそれぞれ「右集団」「左集団」「右集団」の誤記と思われる。
    →Kindle版で修正された。
  • 帝宮ルエベイ生まれの猫」(p.296)については、p.14と異なり誤記かどうかが判断出来ない。この表現の解釈としては、①ディアーホのこと(この場合、「帝宮」は誤記になる)、②ラフィールのこと(ただしラフィールはクリューヴ王宮生まれと思われるので、この場合も誤記の可能性が高い)、③文字通り帝宮で生まれた猫一般のこと、④帝宮で生まれたアーヴたちのこと(ただしこのようなアーヴがそれほどいるとは思えないが)あたりが考えられる。

その他要調査事項

  • 領民代表とは、星系の代表か惑星の代表か(「ドベーシュ」参照)。→断章Ⅰ「君臨」p.140から惑星の代表と判断する。