あ行

エクリュア  

アーヴ士族の一族。
【特徴】
 代々貧しい軍士の家系のため個人では軌道城館を持たず、一族が集まってエクリュア館で生活している。交易者として成功することを望む者が多く、大抵十翔長になることなく退役するが、交易で成功した先祖はいないらしい。
 子供も共同で育てる大家族主義。成熟期が来るまで育児園に入り浸る習慣がある。個人用の浴室より大浴場を好む。死に行く者への礼式は、一緒に遊ぶこと。
【家徴】
 エクリュア色と呼ばれる空色の髪と瞳。

エクリュア・ウェフ=トリュズ・ナース  

エクリュア・ウェフ=トリュズ・ノールの父。コリュア・ウェフ=ボーザク・コンサの幼なじみで、かつての想人。
【性格】
 エクリュア一族の中でも変わり者として扱われている。コリュア・ウェフ=ボーザク・コンサ曰く、『時と場を弁えぬ男』。
【経歴】
 ・時期不明 トルークビルジュ次席通信士に着任。階級は後衛翔士
 ・時期不明 前衛翔士に昇進。休暇に入る
 ・時期不明 コンサと共に旅行。遺伝子を交換する
 ・時期不明 休暇中に退役。一匹の猫と共に交易に出る
 ・帝国暦959年頃 帝都防衛団に登録
 ・同年 帝都防衛団に召集。第2次ラクファカール防衛戦で戦死

エクリュア・ウェフ=トリュズ・ノール  
Aicryac ïémh tlyzr Naurh

エクリュア・ウェフ=トリュズ・ナースの娘。遺伝子提供者はコリュア・ウェフ=ボーザク・コンサ。有能な砲術士。バースロイルで砲術士として勤務したあと、ソバーシュ・ウェフ=ドール・ユースの指名でフリーコヴに乗りこみ、航法士となった。
5歳まではナースと、頭と背中が鯖虎模様でそれ以外は白い一匹のオス猫とで深宇宙をさすらっていた。
【容姿】
 柔らかそうな空色の髪。空色の眉。空色の瞳。
【性格】
 立ち居振舞いは物静か。基本的には無口、無表情。だが、実は口が悪く、音痴でスピード狂。音痴なのは父親譲りで、本人もそのことには気付いている。
 自分では正直で、良識にあふれた人間だと思っている。
 修技館時代の成績は中位。意思疎通に難があるとされている。
【嗜好】
 好きなものは林檎の香りをつけた紅茶。時空分離時に現れる虹を眺めること。船を駆ること。湧き出してくる想念を弄ぶこと。初めて会った同世代の地上人であるジントに興味を持っている。
 年老いるから猫が嫌い。子供の頃は人参が大嫌いだった。
【経歴】
 ・帝国暦933年(0歳) バルケー王国を平面宇宙航行中の交易船で誕生
 ・帝国暦938年(5歳) エクリュア館に猫と共に送られる
 ・帝国暦948年頃 曾々々祖父が永眠
 ・帝国暦952年(19歳) 修技館入学
 ・帝国暦955年(22歳) 修技館卒業
 ・帝国暦955年(22歳) 列翼翔士に叙任。バースロイル次席翔士に着任
 ・帝国歴956年頃 後衛翔士に昇進
 ・帝国暦958年頃 前衛翔士に昇進
 ・帝国暦958年(25歳) フリーコヴ航法士に着任
 ・帝国暦959年(26歳) 十翔長に昇進。フリーコヴ副長兼航法士に就任
 ・同年(26歳) 副百翔長に緊急昇進

か行

学習長  

翔士修技館に入学していない子供たちの代表。一般的なものか、コリュア一族特有のものかは不明。

エクリュア館ガサス・エクリュアル  

エクリュア一族が暮らす、ラクファカールにある軌道館。コリュア館と同型の古い突撃艦を元に増設したもの。兵装の代わりに居住区が置かれている。主機関が搭載されていた館の中央部は無重力空間になっており、子供用の育児室(お昼寝部屋)と大人用の無重力庭園がある。交通艇も大型艇が1隻、その他数隻が置かれているが、収容する余地がないため外に係留されている。
エクリュアの大人達は仕事で帝都を離れていることが多いので、子供達のための共同の保育所、学校という意味が強い。
第2次ラクファカール防衛戦の際、特設1052独立戦隊の手により要塞化され、帝都防衛団に引き渡された。

コリュア館ガサス・コリュアル  

コリュア一族が暮らす、ラクファカールにある軌道館。大体エクリュア館と隣接した軌道をめぐっている。エクリュア館と同型の古い突撃艦を改造したものだが、姿勢制御機関を含めその大部分は交換されており、本来の突撃艦の名残は船殻くらいしか残っていない。
第2次ラクファカール防衛戦の際、クニュムラゲールに接合され、ソトリュール鎮守府へ移動した。

クニュムラゲール  

星界軍の特設工作艦ダウスィア・ディファカ。特設第1052独立戦隊に所属する唯一の艦。廃船寸前の貨物船を改造したもの。

グローサ  

コリュア一族に属するアーヴ女性。コリュア・ウェフ=ボーザク・コンサに、エクリュア館への擬攻撃の許可を与えた学習長。959年頃戦死。

コリュア  

エクリュアと1000年ほど前の先祖を共有する一族。エクリュアとはそれ以来交流がある。
【特徴】
 商才にはそれほど恵まれておらず、星界軍での立身出世を目指す者が多い。成熟期のうちは軍務に励むのが伝統。
【家紋】
 鉤爪。
【家徴】
 コリュア色と呼ばれる空色の髪と瞳。

コリュア・ウェフ=エピーナル・レクゼク  

かつての元帥(おそらく星界軍元帥)にして初代グレベーシュ男爵リューフ・グレベク。コリュア一族で唯一、元帥となり叙爵された人物。

コリュア・ウェフ=ビスバト・ラケシュ  

ラクファカール陥落の際、コリュア館から避難した住民の代表。星界軍は退役しており、最終位階は千翔長。

コリュア・ウェフ=ボーザク・コンサ  

アーヴ女性。エクリュア・ウェフ=トリュズ・ナースの幼なじみでかつての想人。エクリュア・ウェフ=トリュズ・ノールの遺伝子提供者。階級は千翔長。
【経歴】
 ・時期不明(2歳) ナースと出会う
 ・時期不明 トルークビルジュ次席航法士に着任。階級は後衛翔士
 ・時期不明 前衛翔士に昇進。休暇に入る
 ・時期不明 ナースと共に旅行。遺伝子を交換する
 ・時期不明 千翔長に昇進
 ・帝国暦959年 特設1052独立戦隊司令官に着任
 ・同年 准提督に緊急昇進

さ行

特設1052独立戦隊ソーヴ・ラゴラザ・キュトボルリュマタ・ディファカ  

959年のラクファカール陥落に際して編成された独立戦隊。初代司令官はコリュア・ウェフ=ボーザク・コンサ。初代旗艦はクニュムラゲール。
コリュア館を含む14の軌道館から住民をソトリュール鎮守府へ避難させることと、軌道館の一つを帝都防衛団のために要塞へ改造するという2つの任務がある。
【組織】
 司令部
 ┣司令官 コリュア・ウェフ=ボーザク・コンサ
 ┗主任参謀
 旗艦 特設工作艦 クニュムラゲール

ストゥーボス荘ソガ・ストゥーボト  

ラクファカールにある軌道館。第2次ラクファカール防衛戦の際、クニュムラゲールに接合され、ソトリュール鎮守府へ移動した。

た行

トルークビルジュ  

星界軍所属の巡察艦。コリュア・ウェフ=ボーザク・コンサやエクリュア・ウェフ=トリュズ・ナースが勤務していたことがある。当時の監督補は従士あがりの地上世界出身者。

な行

は行

スローガーフ邸フレイ・スローガム  

ラクファカールにある軌道館。第2次ラクファカール防衛戦の際、クニュムラゲールに接合され、ソトリュール鎮守府へ移動した。

ま行

や行

ら行

星界軍ラブール  laburec

帝国の正規軍。帝国星界軍とも。帝国の軍事力を担うと同時に、平時には政治、行政の大部分を動かす、帝国そのものともいえる組織。
飛翔科と特殊兵科である主計科、空挺科、軍医科、技術科、警衛科、法務科、看護科、軍匠科、造兵科、造船科、造機科、光子科、航路科、軍楽科の15科、および掌兵科や薬剤科などの術科から成る。
現在の艦艇数は、突撃艦以上の戦闘艦だけでも約7万8000。構成人員は約1330万人。そのうち空挺科が最大で1000万人いるが、そのほとんどは地上世界出身者。
階級のみによって上下関係が律せられ、宮中序列を持ち込むことは許されていない。
募集は主に地上の募集事務所でなされ、領民は自由意思により従軍できる。徴兵がされることはないが、他人の従軍意思を妨害する行為は禁じられている。退役も基本的には自由。
確たる理由もなく他者へ戦闘を挑む無法者はおらず、戦不戦の選択権を握った時に、確実に勝てない戦いを始めるものもいない、というのが公式見解。非戦闘員を戦闘に巻き込むことを嫌う。
演習や戦闘の後の饗宴では羽目を外す、部下を選ぶことができる、愛し合う二人が同じ部署を希望した場合、それを最大限に考慮する、などの伝統がある。
やる気がない翔士を排除し、指揮官の部下掌握能力を把握するため、部下の転属願いを上司が握りつぶすことは出来ない。転属願いは人事局で処理されることになる。
従士・翔士には給料が支払われ、退役時には恩給も出る。ただし皇族や領地を持つ翔士は無給。
星間船を住居とみなすアーヴが中心となって構成されているため、平時は戦列艦、輸送艦についてのみ育児をしながらの勤務も認められている。
部隊が孤立した場合はその場の最高指揮官が皇帝陛下の名代として指揮を執る。
自分たちのやり方に拘るため、他人が造ったものを兵站系に組み込むことはない。
【歴史】
 帝国創設前後の主力は一人から三人くらいが乗りこんだ高機動ユニットであり、その操縦士兼指揮士を翔士と呼んだ。当時は四機で菱形に並ぶ編成が基本であり、先頭に位置する指揮官が前衛翔士、後尾を固める次席指揮官が後衛翔士、左右の操縦士が列翼翔士と呼ばれていた。この編隊は二機ずつに分かれることもあったが、その場合は前衛・後衛翔士がそれぞれ一人の列翼翔士を率いた。
 さらに、この編隊二つに指揮官ユニットとその同僚機を加えた10機がより上級の戦闘ユニットを作ったので、指揮官は十翔長と呼ばれた。
 都市船アブリアルがアーヴの領土の全てであったときには、戦闘ユニットは全部合わせて100~200機ほどであった。そのため、やや不正確ながら総指揮官を百翔長と呼び、その補佐役として数人の副百翔長が置かれていた。
 やがて、星界軍の膨張に従い、より上級の階級として千翔長が設置された。この頃になると機数と階級の関係はあいまいになってくる。
 帝国創設後、アーヴは数隻の母艦を運用するようになり、統率者として提督が任命された。
 帝国の膨張と共に母艦も増え、提督の補佐として分艦隊を率いる准提督が置かれるようになった。
 そのうち、宇宙船技術の進歩により高機動ユニットは廃れ、大型艦艇が主力化、大砲巨艦主義の実現を迎えるに従い、百翔長以下の呼称は完全に階級名となり、職責との関係を喪失した。
 帝国の膨張がさらに続き、複数の艦隊が組織されるようになると、より上位の階級が必要となり、大提督、元帥が置かれた。
 同時期、星界軍では十分に対応できない地上戦のために地上軍が置かれることになる。それまでの元帥は星界軍元帥となり、地上軍の統率者として地上軍元帥が置かれた。そして、その両者の上位者として帝国元帥が置かれる。
 しかし、地上軍が中心となり、帝国史上最大の反乱「ジムリュアの乱」が発生。帝国は苦労して鎮圧した後、直ちに地上軍を解体した。これ以降、地上軍は空挺科となり、一兵科として各鎮守府や艦隊に所属することになった。
 地上軍元帥の職分は廃止されたが、空挺元帥という階級は残り、星界軍元帥もまた階級として残る。さらに、各科の地位向上に伴って、主計元帥、軍医元帥、技術元帥などの階級が登場し、現在に至っている。

後衛翔士リニェール  

列翼翔士の上、前衛翔士の下に位置する位階(第11位)。襲撃艦監督補、巡察艦航法士など。列翼翔士は見習い扱いであり、この位階になってようやく一人前とみなされる。

ボデューム男爵領リュームスコル・ボデューマル  

クリューヴ王国に属する無人星系。若い星系で、微惑星の帯が幾重もあり、第三微惑星帯では原始惑星が存在する。

グレベーシュ男爵家リュメイ・グレベク  

コリュア一族に属する男爵家。初代当主はコリュア・ウェフ=エピーナル・レクゼク。毎年男爵領の創設記念日には、コリュア館に莫大な贈り物を届けている。

ロスィ・バーナ  

恋するアーヴたちに人気の客船。船内には無数の娯楽施設があり、日替わりで行事が開催されている。多数の交通艇も搭載し、遊覧航行を楽しむこともできる。

予備役翔士ロダイル・キサイナ  

現役を外れて通常は他の仕事に就いているが、召集命令を受けた場合には部隊に参加する義務をもつ軍士。現役よりはゆっくりだが昇進もするし、現役復帰も容易。

わ行

英数

備考

  • 「男爵家」のルビが「リュミエ」から「リュメイ」に変更された可能性がある。
  • ナースの戦死は確認されていないが、状況的に戦死と判断し、説明文にもそう記載した。