あ行

アーヴ  abh

  • 皇族、貴族、士族の総称。
    全部で2500万人ほど。そのうち大部分は士族で、貴族は20万人ほど。
    子弟に対する遺伝子改造の義務を負う。
    【名前】
     アーヴの名前は以下の要素・順番で構成される。
     ・氏姓
     ・姓称号
     ・初代当主の名(生格)。姓称号と合わせて家姓と呼ぶ。
     ・称号(貴族、皇族のみ。複数有する場合はそのうちの一つ)
     ・個人名
  • ホモ・サピエンスから遺伝子改造によって生み出された変異人類。語源は「あま」であり、宇宙あるいは海の種族を意味する。
    1.と区別するため「遺伝的な」「生まれながらの」アーヴ、とも呼ばれる。
    地上人に対し自らについて語ることが少ないため、多くの誤解も生まれている。
    【身体】
     青系統の髪。美形(アーヴにしては平凡、と言えば地上人でも1000人集めれば対抗できるくらい、という意味)で性別の区別がつきにくいことも多い。空識覚という独特な感覚と、それを司る空識覚器官という器官を有する。
     15歳くらいまでは人間と同じように加齢(成長)、それから25年ほどをかけて10歳分ほど外見が年をとる(成熟)。その後は死ぬまで老けない。
     しかし、脳細胞は再生しないため不死ではない。年をとるにしたがって眠る時間が長くなり、知性が破壊される前に脳の呼吸領野が機能停止することで死亡する。寿命は200~250年。
     骨格と循環器系の特性によりかなりの高加速(20標準重力以上)にも耐えられる。
     例外なく絶対音感を持つ。
     27000箇所の塩基配列が指定されており、それにより先天性疾患の防止と、種としての同一性の保持を行っている。そのため、誕生から2000年近く経つ今でも基本的な遺伝子組成は変わっていない。
    【出生】
     自然受胎出産は危険が伴う(2%程度の確率で重大な先天性疾患が発生する)ため、人工子宮で受胎・育成されるのが普通。したがって一卵性双生児は極めて珍しい。また、遺伝的な地上人との間で子供が生まれる可能性はほとんどなく、生まれたとしても先天的な欠陥を負っている。
     血縁ではなく家風を重視するため、遺伝子提供者の性別などにはこだわらないが(ただし動物を用いるのは禁止)、普通は自分と愛する者の遺伝子を掛け合わせる。
     子供に遺伝要素を教えられるのは親だけ。遺伝記録は公開されているが、未成年者の閲覧には親の許可を要するし、遺伝子提供者に確認することは失礼だとされている。
    【性格】
     「アーヴ、その性、傲慢にして無謀」と一般的に評されている。
     自分の誇りを大事にする。
     人質を取られたとしても相手の要求を飲むことは決してない。
     自身が空識覚器官と航法野を備え、通常宇宙を駆けるために生み出された種族であることを自負し、舟艇を真空に馳せることを好む。
     誰が建造したものであれ空間にあるものは自分たちのものだという感覚があるが、地上世界の資源は地上の民のものだという認識があり、むやみに奪うことを嫌う。また商業種族であることから、個人の財産についても重視している。
     真摯に戦うことが、殺す相手への礼儀と考えている。星界軍の艦艇に仲間と共に葬られることは最高の栄誉であると考えている者が多い。
     戦時には乗員を艦の部品とみなす傾向がある。
    【家族】
     恋は激しく短いものが多いので結婚という制度はない。したがって、親は一人しかおらず、親子の性別により父の娘フリューム・ローラン母の息子フルーク・サーランなどと呼ばれる。
     星間交易を転職と心得ているため、良好な関係の親子が数十年も顔を合わさないのもよくあることと考えている。
     20歳になるか翔士に叙任されれば成人と認められる(皇族を除く)。また、翔士、交易者、親としての生き方を経験することで一人前だといわれる。
     他家の内部事情には関わらないのが常識。
    【文化】
     自然な1日がない空間が生活の場であるため、時間帯によって挨拶を使い分ける習慣がない。
     宗教は持たず、霊の存在も解決済みの問題として否定しているが、何か不可知なものへの恐怖は心の奥底に残っている。また冗談の種にするくらいには心霊という概念に親しんでいる。宗教的なものを感じさせる行事も多い。
     弔いの晩餐など、独自の習慣も多い。
     武器携行の習慣はない。
    【教育】
     幼い頃の初等教育はもっぱら親が行い、家風の継承に勤めると共に、読み書き等を教える。その期間、軍士であれば休暇を取り、領地のある親であれば代官を雇って教育に専念するのが普通。
    【衣服】
     性差がない。つなぎを着るのが普通で、上に長衣や短衣を着ることもある。基本的に首の上と手首の先以外は露出しない。
    【住居】
     たいてい人工環境の中にあり、屋外も屋内も区別がない。雨も好きな時間、好きな場所に降らせることが出来る。
    【食生活】
     薄味を好む。料理の見た目にも最大限の注意を払うのが特徴。
     素材は肉(鶏肉、子羊肉など)、野菜(南瓜、玉蜀黍とうもろこしなど)、魚介類(貝、海亀、鱒、海老など)、小麦、果物(桃、柑橘類、梨など)、香辛料・調味料(醤油など)など。
     料理法は羹、碗物、吸い物、澄し汁ルベス、麭包み、香辛料煮込み、香味焼き、炙り肉アピュリル、生(野菜など)など。
     飲み物は珈琲、桃果汁、柑橘果汁、葡萄果汁、紅茶、緑茶、柑橘茶、林檎酒、麦酒、発泡米酒、混合酒、蜜酒、林檎火酒、白酒、白葡萄酒など。血液中の主成分を片っ端から分解していくので、酒を飲んでもほろ酔いにとどまり、泥酔することはない。
    【歴史】
     元々は軌道都市で都市予算の半分をつぎ込んで生み出された人工生命体。人の遺伝子改造によって作り出され、人と区別するために青い髪を与えられた。また、独自の思考は持たされているものの、宿命遺伝子により自由や独立といった概念は有さないように造られていた。
     最初に作られたのは30体、うち1体は訓練過程で失われたが、残りの29体は植民地開発のため可住化の可能性が高い外宇宙の星系に派遣された。彼ら29体は黎明の乗り手と呼ばれた。
     探査船は出発後しばらくしてユアノンを発見、捕獲に成功し、母船をユアノン推進に改造。無限の軌道を得た彼らは母都市との訣別を決意し、深宇宙で独立を宣言。 その後船を近くの恒星系につけ、母船であった探査船をより大きな都市船アブリアルに改造した。
     改装による居住区の拡張に伴い、急激な人口爆発が発生。一人の親から子供が生まれるという特異な家族形態から、人口が増えても各成員は極めて強固な先祖意識を捨てなかった。このような意識を共有する、同じ黎明の乗り手を先祖にいただくグループは氏族と呼ばれるようになった。
     都市船時代、職業訓練は徒弟制度によって行われた。多くの乗り手は自分の子供を徒弟にすることを望んだため、都市船内の部門は氏族と同義になった。また、自分の子供たちのうちもっとも優秀な者を選んで後任とするのが一般的だったため、各部門の長は実質的に世襲となり、黎明の乗り手の直系と認識されるようになった。
     各部門は基本的に平等だったが、船の航法をつかさどる航法氏族だけは別格で、その長は船王と呼ばれていた。彼らは帝国創建後、皇族を形成するようになる。
     やがて巨大な都市船を運用するようになったアーヴだが、母都市の派遣した懲罰隊を恐れて自衛するようになり、ついには自分たちの故郷である母都市を殲滅してしまう。しかし、空間に散逸する母都市の残骸を目にした彼らは、自分たちが故郷を愛していたことに気付き、母都市の文化の守護者として生きることを種族としての目的にする。また、母都市を滅ぼしたという罪を忘れないために、青い髪を遺伝子に刻み付けるようになる。同時に、自らをアーヴと名乗るようになり、以降宇宙をさすらう武装商人となる。
     大放浪時代のアーヴが主に扱うものは人類社会の情報であった。その時代、彼らは半径一光世紀に広がった人類社会をつなぐか細い、唯一の糸であった。同時に、都市船内部でもアーヴどうし、氏族単位の財産を交換することによる交易が行われていた。
     やがて交易により人類社会の科学の精髄を演習したアーヴは平面宇宙航行理論を確立。それによって可能になりうる恒星間戦争を防ぐためにその理論を武力で独占することを決定、帝国を創建した。
     以降の歴史については「アーヴによる人類帝国」の項を参照。

アーヴ語  

アーヴ語バロン

アイクシュ級巡察艦レスィー  

シャシャイン戦役時の最新鋭巡察艦。
【攻撃兵装】
 ・電磁投射砲
 ・機動時空爆雷
 ・可動凝集光砲
 ・反陽子砲
【艦載艇】
 ・連絡艇

アイデール  

959年当時のカイソーフ艦載艇整備班長。階級は掌機先任従士長。地上人女性。
総員退艦の際は連絡艇時空泡発生機関搭乗整備員トロドイガ・ドーラ・フラサテール・ペレールを担当した。
【容姿】
 黒髪。

アグビルシュ  

カミンテール戦役時の帝国艦隊旗艦。

アトスリュア・スューヌ=アトス・フェブダーシュ男爵リューフ・フェブダク・ロイ  
 Atosryac ssynéc atosr lymh faibdacr Lauïc

第四代フェブダーシュ男爵。アトスリュア・スューヌ=アトス・前フェブダーシュ男爵・スルーフの娘でアトスリュア・スューヌ=アトス・フェブダーシュ男爵・クロワールの妹。遺伝子提供者はコセール。
【容姿】
 後ろで束ねた青みがかった銀色の髪。豹のような黄玉色の瞳。光沢のある眉。朱色の唇。
【性格】
 道楽者と自認し、饗宴、遊戯、美食を好む。
 父親譲りの饒舌。むしゃくしゃしたときは革製の砂袋を殴るのが癖。
【嗜好】
 林檎酒が好き。
【経歴】
 ・帝国暦906年頃 ラクファカールで誕生
 ・時期不明(上記の後すぐ) フェブダーシュ男爵領へ移住
 ・時期不明 スルーフ及びクロワールと帝都へ移住
 ・時期不明 初代男爵死亡。フェブダーシュ男爵領へ移住
 ・帝国暦921年より前 スルーフ及びクロワールと帝都へ移住
 ・帝国暦955年頃 第四代フェブダーシュ男爵に叙爵
 ・帝国暦955年 ヴォベイルネー鎮守府所属突撃分艦隊ラトゥーシュ第1058突撃戦隊第一突撃隊司令に着任。階級は百翔長
 ・帝国暦958年 千翔長に昇進。第一蹂躙戦隊司令官に着任
 ・帝国暦959年 准提督に緊急昇進

アトスリュア・スューヌ=アトス・前フェブダーシュ男爵リューフ・レカ・フェブダク・スルーフ  
 Atausryac ssynec atausr lymh raica faibdacr Srumh

第二代フェブダーシュ男爵。アトスリュア・スューヌ=アトス・フェブダーシュ男爵・クロワールとアトスリュア・スューヌ=アトス・フェブダーシュ男爵・ロイの父親。地上人の男性で推定70歳以上。フェブダーシュ男爵館の設計者でもある。
自分と同室に監禁されたジントの脱出に協力し、以後友人となった。
【容姿】
 晒したような白髪。白い眉。がっちりした体躯で矍鑠かくしゃくとしている。
 端末腕環のようなものを装着しているが、ただの時計。
【経歴】
 ・時期不明 地上人の両親の間に誕生
 ・時期不明 造船修技館入学
 ・時期不明 造船修技館卒業。造船列翼翔士に叙任
 ・帝国暦906年頃(男爵領暦1年) 母の叙爵によりフェブダーシュ男爵公子に
 ・時期不明 フェブダーシュ男爵領へ移住
 ・時期不明 クロワール及びロイを連れて帝都に移住
 ・時期不明 母親が死亡。第二代フェブダーシュ男爵に叙爵。クロワール及びロイと共にフェブダーシュ男爵領へ移住
 ・帝国暦921年より前 代官に所領を任せ、クロワール及びロイと共に帝都へ移住
 ・帝国暦932年頃 息子に監禁され、隠居したことにされる
 ・帝国暦952年 息子の死後、帝都城館へ
 ・帝国暦959年 帝都防衛団に召集
 ・同年 第2次ラクファカール防衛戦で戦死

アブリアル  Ablïarsec

  • 根源29氏族の一つ。主航法子の末裔。その名は巨大都市船アブリアルに基づく。語源は「天照アマテラス
    【都市船時代】
     航法をつかさどる氏族。氏族長は船王として、アーヴを統べ、進路等の重要事項を決裁し、裁判を主催し、新しい仕事があれば担当する氏族を決めた。また、戦時には最高指揮官として采配を振るった。帝国創建以降は皇帝氏族となった。
    【特徴】
     宗家以外の者はアブリアルの姓を名乗ることが許さない。分家には、帝国暦初期の頃は男系にキー、女系にリューシュの姓が与えられていたこともあったが、いらぬ混乱の元としてそれぞれの家の初代が決めることになった。
     この一族に属する貴族は多く、諸侯だけでも100家を越える。
     短気で怒りっぽく、『逆鱗で魂をよろう』といわれる。反面怒りに任せてヒステリックに喚き散らしたり、暴力を振るうことは決してあってはならないと幼い頃からしつけられている。また皇帝になるかもしれないため、虚言したり、臣下に依怙贔屓する人物だという印象を与えないよう、誰かのために泣いたりすることは厳に戒められている。また不安のために泣くこともあり得ないとされている。
     スポール一族とは伝統的に仲が悪い。帝国創立期前後にスポール一族が近くにいたことと関係があるのか、身近に苦手な人物がいないと落ち着けないという奇妙な性質も有する。
     軍士としてはきわめて優秀。率先して戦地に赴くのが伝統。
    【宗家】
     八王家。
    【家紋】
     八頸竜。家により紋章旗の地色が異なる。
    【家徴】
     アブリアルの耳と呼ばれる上部が尖った耳。
  • ユアノン推進の巨大都市船。幾度かの改装を経て、今は帝宮として使用されている。最高時で100万、現在でも20万人以上が生活している、人類の作り出した最大の建造物の一つ。推進力であったユアノンは、現在8つの門となっていて、7つは中心領域、1つは第十二環に通じている。
    元々は軌道都市から送り出された探査船で、ユアノン推進の都市船に改装された際にこの名で呼ばれるようになった。現在でも都市船部分はそのままに残されており、帝国の卵と呼ばれている。またその操舵室は聖墓、人工子宮保管室は始祖の間と呼ばれている。
    不死鳥作戦時には帝宮から分離されて帝都防衛団に編入され、竜卵要塞と名付けられた。第2次ラクファカール防衛戦で四ヵ国連合軍の攻撃により爆散。
  • アブリアル伯国の中心からラクファカールを照らす恒星。帝国の乳房と呼ばれる人類宇宙最大の反物質燃料製造工場がある。

アブリアル・ネイ=ドゥエール・スピュール子爵ベール・スピュル・ラムデージュ  

アーヴ女性。おそらくドゥヒールと同年代。

アブリアル・ネイ=ドゥエール・上皇ファニーガ・ラムローニュ  

元ウェスコー王。952~959年当時の上皇。かつて提督から百翔長への三階級降格処分を受けたことがある。
不死鳥作戦の際に帝都防衛団を退団させられ、不死鳥第一艦隊と共に臨時帝都に脱出した。

アブリアル・ネイ=ドゥブゼル・上皇ファニーガ・ドゥスーム  

元バルグゼーデ王。952~959年当時の上皇。959年当時の帝都防衛団司令長官グラハレル・ソブレラク・アロク。200歳をはるかに超えている皇族の最長老。
第2次ラクファカール防衛戦で、司令部のあった竜卵要塞が爆散、戦死した。
【容姿】
 長く流れ落ちる薄紫の巻毛。漆黒の虹彩。風格のある物腰。空識覚に頼って普段から瞼を開くことがないが、その理由は誰も知らず、視覚を嫌っているのだろう、あるいは自分の目の色が気に入らないのだろうと推測されている。

アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・アブリアル伯爵ドリュー・アブリアルサル・ラマージュ  

アーヴによる人類帝国第27代皇帝。前クリューヴ王。ドゥビュースやラムリューヌの母で100歳近い。孫娘のラフィールのことを気に入っている。初恋は訓練生時代。
【容姿】
 長いはなだ色の髪。琥珀の色を帯びた眼に赤褐色の虹彩。ラフィールに良く似た美貌。象牙色の手。薄紅色を基調とした長衣。
【経歴】
 ・帝国暦905年頃 カミンテール戦役に帝国艦隊司令長官として出撃
 ・帝国暦936年~940年の間 第27代皇帝に即位
 ・帝国暦959年 近衛艦隊司令長官に着任
 ・同年 クリューヴ門沖会戦で乗艦爆散、戦死

アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・ゲムファーズ伯爵ドリュー・ゲムファド・ラムリューヌ  

ドゥビュースの妹で、ラフィールやドゥヒールの叔母。遺伝子提供者はラマージュの想人の一人(男性。ドゥビュースの遺伝子提供者とは異なる)。クリューヴ王宮で生まれ育った。黒猫を飼っている。
【容姿】
 縹色の髪。一際大きなアブリアルの耳。
【嗜好】
 子供の頃は外出そのものを嫌っていた。
【経歴】
 ・帝国暦952年 ゲムファーズ子爵領入植に伴い、伯爵に叙爵

アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・上皇ファニーガ・ラメーム  

元クリューヴ王。952~959年当時の上皇。ラフィールの曾祖母でラマージュの母。
不死鳥作戦では帝都防衛団に所属し、クリューヴ王宮要塞司令長官グラハレル・ラルベイル・クリュブ・ヘカとして指揮を執ったが、司令部のある王宮要塞の爆散により戦死した。

アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・ウェムダイス子爵ベール・ウェムダイサル・ドゥヒール  

ドゥビュースの息子でラフィールの4歳下の弟。遺伝子提供者はおそらくレクシュ・ウェフ=ローベル・プラキア。
【容姿】
 藍色髪。漆黒の瞳。美少女といっても通りそうな面差し。
【性格】
 物思いに沈みやすく、嘘がつけない。帝位への意欲は抱いていない。
【嗜好】
 好きなものは熱い桃果汁。
【経歴】
 ・帝国暦940年(0歳) 誕生
 ・帝国暦945年(5歳) 最初の公務(流砂艦隊出征式)に出席
 ・帝国暦956年(16歳) 修技館入学
 ・帝国暦959年(19歳) 修技館卒業
 ・同年(19歳) 列翼翔士に叙任。カイソーフ次席通信士に着任

アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・パリューニュ子爵ベール・パリュン・ラフィール  
 Ablïarsec néïc dubreuscr boerh parhynr Lamhirh

本編のヒロイン。クリューヴ王ドゥビュースの第一王女。遺伝子提供者はレクシュ・ウェフ=ローベル・プラキア。
兵籍番号は01-00-0937684(952年当時)・01-00-093768(958年当時)。
名前は珠玉ラーフ星霧ヒールからとってドゥビュースが名付けた。
アブリアル・ネイ=ラムサール・バルケー王・ドゥサーニュが登極した際、皇族のうち生存が確認できた最先任の現役軍士だったことから、仮の皇太女になったが、若輩であったため帝国艦隊司令長官就任は見送られている。
【容姿】
 黝く長い髪。淡い小麦色をした卵型の顔。ぱっちりした印象的な目に黒瑪瑙のような闇色の瞳で眦は高い。長い睫。細いがくっきりと優美な眉。小造りで繊麗な鼻。優美な曲線を描く鼻梁。ふっくらとした唇。アブリアルにしては小さ目の耳。切れる寸前まで張った琴線を爪弾いたような、清冽な声。真珠の光沢と色を持ち、光の加減で紅玉色にも見える菱形の空識覚器官。冴々とした美貌。細面。明るい小麦色できめこまやかな肌。均整の取れたからだ。その遺伝子は自然結合のままで、手が加えられていない。
【性格】
 本質的には素直で嘘をつくのが下手。耳が小さいのをいくらか引け目に感じている。
【嗜好】
 好きなものは温かくして檸檬を浮かべた桃果汁。酒なら蜜酒の林檎火酒割り(と彼女が主張するもの)。林檎酒は余り好きではない。
 嫌いなものは地上戦、反抗的な弟、軟弱な猫。
【特技】
 射撃。いつでもどこでも熟睡できること。
【経歴】
 ・帝国暦936年(0歳) 誕生
 ・帝国暦949年(13歳) 修技館入学
 ・帝国暦952年(16歳) 修技館卒業。翔士修技生としてゴースロスに配属
 ・同年(16歳) 列翼翔士に叙任。艦橋勤務を行う
 ・帝国暦953年(17歳) 後衛翔士に昇進
 ・帝国暦954年頃(上記の1年半後) 前衛翔士に昇進。ドゥネー星界軍大学入学
 ・帝国暦955年(上記の半年後)(19歳) ドゥネー星界軍大学卒業
 ・同年(19歳)十翔長に昇進。バースロイル艦長に着任
 ・同年(19歳) アプティック伯国領主代行に着任
 ・同年(上記の約半月後)(19歳) アプティック伯国領主代行を離任
 ・帝国暦956年(20歳) ロブナス伯国領主代行に着任
 ・帝国暦956年(20歳) 副百翔長に昇進
 ・帝国暦956年(20歳) 星界軍の休暇を取得
 ・帝国暦958年頃(22歳) 休暇を終え、星界軍に復帰
 ・帝国暦959年(23歳) フリーコヴ艦長に着任
 ・同年(23歳) フリーコヴ艦長を離任し、ガフトノーシュ・ドゥラド艦長に着任
 ・同年(23歳) 百翔長に緊急昇進
 ・同年(23歳) 仮の皇太女に。提督に三階級特進

アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・クリューヴ王ラルス・クリュブ・ドゥビュース  
 Ablïarsec néïc dubreuscr larth clybr Dubeusec

クリューヴ王家の当主。アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・アブリアル伯爵・ラマージュの息子で、ラフィール及びドゥヒールの父。遺伝子提供者はラマージュの何人目かの想人(男性)。
十翔長の時にレクシュ・ウェフ=ローベル・プラキアと出会った。
【容姿】
 青灰色の髪。
【性格】
 一族の中では例外的に穏やかな性格。出生の秘密があったほうが子供の人格は豊かになると信じている。懐古趣味あり。
【嗜好】
 子供の頃はランシュ伯爵帝都城館に行くことを好んでいた。
【経歴】
 ・時期不明(16歳) 修技館入学
 ・時期不明 退役。階級は提督。予備役准提督に
 ・帝国暦935年 プレアーヴの宇宙船を発見
 ・帝国暦936年頃 クリューヴ王に
 ・帝国暦955年頃 現役復帰
 ・帝国暦956年頃 淡雪第二艦隊司令長官に着任。階級は大提督

アブリアル・ネイ=ラムサール・上皇ファニーガ・ドゥセーフ  

前バルケー王。952~959年当時の上皇。不死鳥作戦では帝都防衛団参謀長を務めた。
第2次ラクファカール防衛戦で、司令部のある竜卵要塞が爆散、戦死した。

アブリアル・ネイ=ラムサール・バルケー王ラルス・バルケール・ドゥサーニュ  
 Ablïarsec néïc lamsar larth barcoer Dusanh

帝国皇太子にして帝国艦隊司令長官。ドゥサーニュより3か月年下。ラフィールより年上(もしくは同じ年)の息子がいる。エクレーム子爵の爵位を有するが、所領は一度訪問したのみで放置している。
959年に先帝の戦死に伴い、第28代皇帝に即位した。
【容姿】
 腰の辺りまで垂れた濃紺の髪。尖った耳。新雪のように白い顔。
【性格】
 ケネーシュ曰く『度しがたい性格』。
【経歴】
 ・帝国暦945年 流砂艦隊司令長官に着任
 ・帝国暦955年 幻炎艦隊司令長官兼幻炎第三艦隊司令長官に着任
 ・帝国暦956年 狩人艦隊司令長官に着任
 ・帝国暦959年 双棘艦隊司令長官に着任
 ・同年 第28代皇帝に即位

アブリアル・ネイ=ラムリュラル・前皇帝スピュネージュ・レカ・ドゥガス  

アーヴによる人類帝国第26代皇帝。952~959年当時の上皇。上皇たちの間では若い部類に入るが(959年時点では最年少)、100歳を越えている。
不死鳥作戦の際に帝都防衛団を退団させられ、不死鳥第四艦隊と共に臨時帝都に脱出した。
【容姿】
 童顔。

アルボフ  

959年当時のフリーコヴ砲術士。腕のいい砲術士。階級は前衛翔士。
一砲術士として生涯を終えることを望み、十翔長への昇進を二度辞退しているが、959年の緊急昇進で十翔長に昇進した。

先任従士長アルム・ウェサーシュ  

従士長の上、最先任従士長の下の位階(第2位)。戦列艦艦載艇整備班長など。

筆頭遷都計画官補アルム・ロイフリフキア・アロク  

遷都計画官補の筆頭者。実際の遷都の際は、先行して遷都先に向かう遷都計画官に代わって帝都での指揮を執る。

臨時帝都アローシュ・セラ  

帝都が敵に陥落するなどの事態において臨時に定められる帝都。
959年の不死鳥作戦ではソトリュール鎮守府に設置され、ラクファカール・セラと名付けられた。

質量弾イルザフ  

※アーヴ語が変更された可能性があるため、質量弾イルザフ/質量弾イルタフへ移行。

質量弾イルザフ/質量弾イルタフ  

爆発しない砲弾。電磁投射砲から発射される。

書記ウィグ  üigtec

中型艦以上の軍艦において、事務、乗員の健康管理、食料・備品・消耗品の購入・管理、貨物の搬入・管理、艦内環境(重力制御・空調・与圧・空気や水の浄化など)を担当する先任主計科翔士。
大型艦の場合、出入港と戦闘時以外は比較的暇なため、当直の飛翔科翔士が本来の任務のついでに館内環境を監視し、当人は書記室で業務(主に食事の献立の作成)を行うことが多い。食事の調理と応急的な医療も担当しているが、実務は専門教育を受けた従士が行っている。
予算についてある程度の裁量権を持つ。

ウェムダイス子爵家  

ウェムダイス子爵領の領主。現当主はドゥヒール。
【紋章】
 八頸竜に黄色い五弁の花をいくつかあしらったもの。

ウェンカウ  

近衛艦隊所属の軍艦。おそらく近衛分艦隊コン・セトゥーシュないしドル・セトゥーシュ所属。クリューヴ門沖会戦で大破した。

凝集光砲ヴォークラーニュ  bhoclanh

凝集光を用いた大口径の砲。護衛艦の主戦兵器や軌道施設の防御用火器として用いられる。突撃艦、襲撃艦、巡察艦にも搭載されるが、非力なため艦艇撃破用というよりは防御弾幕用。

ヴォー・セトゥーシュ  

  • 近衛艦隊に属する近衛分艦隊の一つ。
  • 959年に編成された1.。クリューヴ門沖会戦で壊滅した。

エーフ・ウェフ=ガクロル・公子ヤルルーク・ガクラーシュ  

959年当時の忘れじの広間管理官。

エクリュア・ウェフ=トリュズ・ノール  
Aicryac ïémh tlyzr Naurh

アーヴ女性。有能な砲術士。バースロイルで砲術士として勤務したあと、ソバーシュ・ウェフ=ドール・ユースの指名でフリーコヴに乗りこみ、航法士となった。
5歳までは父と、頭と背中が鯖虎模様でそれ以外は白い一匹のオス猫とで深宇宙をさすらっていた。
【容姿】
 柔らかそうな空色の髪。空色の眉。空色の瞳。
【性格】
 立ち居振舞いは物静か。基本的には無口、無表情。だが、実は口が悪く、音痴でスピード狂。音痴なのは父親譲りで、本人もそのことには気付いている。
 自分では正直で、良識にあふれた人間だと思っている。
【嗜好】
 好きなものは林檎の香りをつけた紅茶。時空分離時に現れる虹を眺めること。船を駆ること。湧き出してくる想念を弄ぶこと。初めて会った同世代の地上人であるジントに興味を持っている。
 年老いるから猫が嫌い。子供の頃は人参が大嫌いだった。
【経歴】
 ・帝国暦933年(0歳) バルケー王国を平面宇宙航行中の交易船で誕生
 ・帝国暦938年(5歳) エクリュア館に猫と共に送られる
 ・帝国暦948年頃 曾々々祖父が永眠
 ・帝国暦952年(19歳) 修技館入学
 ・帝国暦955年(22歳) 修技館卒業
 ・帝国暦955年(22歳) 列翼翔士に叙任。バースロイル次席翔士に着任
 ・帝国歴956年頃 後衛翔士に昇進
 ・帝国暦958年頃 前衛翔士に昇進
 ・帝国暦958年(25歳) フリーコヴ航法士に着任
 ・帝国暦959年(26歳) 十翔長に昇進。フリーコヴ副長兼航法士に就任
 ・同年(26歳) 副百翔長に緊急昇進

オートカウ  

近衛艦隊所属の皇帝直率巡察艦。クリューヴ門沖会戦で爆散した。

か行

航法参謀カーサリア・リルビコト  

平面宇宙での艦隊の隊形や進路の考案、時空泡の操舵などを担当する参謀。

カイソーフ  

双棘第一三艦隊打撃分艦隊グデルス第一戦隊所属のソーフ級戦列艦。艦長はベルソート百翔長。戦争が始まってから建造されたので、本来託児所として使われる空間は艤装段階で翔士用食堂に改装されている。翔士全員で食事をするのが習慣。
【組織】
 艦長 ベルソート百翔長
 副長 クローボス十翔長
 先任砲術士 カズヴ十翔長
 先任航法士
 次席航法士
 先任通信士 ヴォーニュ前衛翔士
 次席通信士 アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・ウェムダイス子爵・ドゥヒール列翼翔士
【経歴】
 ・帝国暦959年 双棘第一三艦隊打撃分艦隊グデルスへ配属
 ・同年 艦隊再編成に伴い雪晶艦隊へ配属
 ・同年 ディニン門沖戦で敵の攻撃を受け、総員退艦後に敵巡察艦を巻き込んで自爆

ガフトノーシュ  

  • 星界軍総旗艦にして皇帝御座艦。艦隊旗艦仕様の巡察艦の艦橋に玉座艦橋ルエ・ガホールを据えたもので、司令長官室が皇帝の居室となっている。近衛艦隊の旗艦が務まるだけの機能があればよいため、帝国艦隊旗艦と異なり通常の旗艦用巡察艦と変わらない兵装を搭載。なお皇帝は通常帝宮で執務しているが、演習や儀式に用いる時は翡翠の玉座が据えられる。
    実戦に赴くことを想定しているため、常に最新鋭の巡察艦を当てるのが伝統。新しい艦に代わると、それまでの艦は旧ガフトノーシュと呼ばれるようになる。
  • 959年当時の1.。カウ級巡察艦。艦長はレペス百翔長。クリューヴ門沖会戦で爆散した。

ガフトノーシュ・ドゥラド  

旧ガフトノーシュ。アイクシュ級巡察艦。シャシャイン戦役の勝利を記念して、武勲艦隊で動態保存されていた。
不死鳥作戦の際に現役復帰。艦長はアブリアル・ネイ=ドゥブレスク・パリューニュ子爵・ラフィール百翔長。第一蹂躙戦隊に編入され、英雄芳名碑の運搬に用いられた。ほぼ輸送艦として運用されたため、翔士は5人しかいない。
【組織】
 艦長兼航法士 アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・パリューニュ子爵・ラフィール百翔長
 砲術士 グノムボシュ後衛翔士
 通信士 レクシュ・ウェフ=ローベル・グレーリア列翼翔士
 監督 サムソン・ボルジュ=ティルサル・ティルース
 書記 リン・スューヌ=ロク・ハイド伯爵・ジント主計十翔長

旧ガフトノーシュガフトノーシュ・ムーラ  

星界軍総旗艦ガフトノーシュが新しい艦に代わった際に、それまでの艦に与えられる呼び名。混乱を避けるため、次の同名鑑が生まれる前に処分される。処分といっても廃艦されることはまれで、大抵は諸侯に貸与されて改名する(カフュール、セグノーなど)。

カフュール  

セパレール大公爵家が借りている船。元々は星界軍総旗艦ガフトノーシュ。

カミンテール共和国  

4個の星系を中心とした星間国家。中心となる4星系の経済は緊密に結びついており、それをばらばらにされると各星系の経済が崩壊する恐れがあったため、帝国と戦わざるを得なくなり、カミンテール戦役が勃発した。
軍があまり信頼されておらず、降伏の権限を与えられていなかったため、帝国軍に勝ち目の薄い戦いを挑んで敗北。共和国も滅亡した。

カミンテール戦役  

905年頃に帝国とカミンテール共和国との間で勃発した戦争。当時の帝国艦隊司令長官は現帝アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・アブリアル伯爵・ラマージュ。
帝国軍前衛部隊とカミンテール共和国軍主力艦隊との間で戦闘が起きたが(戦力比は3対2)、比較的楽に帝国軍が勝利を収め、905年に終結した。

帝都城館ガリーシュ・アロク  

貴族が領地にあるものとは別に、帝都に有している城館。
不死鳥作戦時には、凝集光砲や機動爆雷が備えられ、応急の機動要塞として参戦した。

ランシュ伯爵帝都城館ガリーシュ・アロク・ドリュール・ランク  

ランシュ伯爵家の帝都城館。遺伝子改造された生物を展示する動植物園があり、子供たちに人気がある。

ボーフ伯爵帝都城館ガリーシュ・アロク・ドリュール・ボム  

ボーフ伯爵家の帝都城館。奇抜な余興で知られる饗宴が行われることで有名。

フェブダーシュ男爵帝都城館ガリーシュ・アロク・リュム・フェブダク  

※日本語表記が変更された可能性があるため、フェブダーシュ男爵帝都城館ガリーシュ・アロク・リュム・フェブダク/フェブダーシュ男爵家帝都城館ガリーシュ・アロク・リュム・フェブダクへ移行。

フェブダーシュ男爵帝都城館ガリーシュ・アロク・リュム・フェブダク/フェブダーシュ男爵家帝都城館ガリーシュ・アロク・リュム・フェブダク  

フェブダーシュ男爵家の帝都城館。城館としては比較的新しい。
広間には、初代フェブダーシュ男爵アトスリュアの出身である地上世界のものと思われる色合いが用いられており、その中心には50人ほどが座れるほどの卓子、少し離れたところに大理石の卓子がある。
不死鳥作戦時は、反陽子砲一門を搭載して、竜卵要塞近くで参戦。反陽子砲で一隻の敵艦を撃墜し、二隻を道連れに自爆した。

ウェイバル星系キーヨース・ウェイバラル  

ハニア連邦に位置する星系。ハニア連邦宇宙軍の根拠地のひとつ。戦力のほとんどを要塞リュールに頼っていると考えられていたが、四ヵ国連合軍の戦力が相当数配備されており、959年の四ヵ国連合の帝都侵攻と同時に、雪晶艦隊の補給中枢であるサリム星系に向けて侵攻した。

サリム星系キーヨース・サリマル  

ハニア連邦に位置する星系。雪晶作戦時には雪晶第五艦隊が展開し、補給中枢となった。

ハウライ星系キーヨース・ハウライル  

ハニア連邦に位置する星系。雪晶艦隊本隊の当初の進行ルート上にあった。

メイガン星系キーヨース・メイガン  

ハニア連邦に位置する星系。雪晶艦隊本隊の進行ルート上にある。

皇太子キルーギア/皇太女キルーギア  

次期皇帝。八王家に生まれた者のうち、同世代でもっとも早く帝国元帥になった者がなり、帝国艦隊司令長官を兼ねる。皇帝杖ほどではないが、凝った飾りの施された指揮杖を持つ。

緊急射出  

艦艇の射出方法の一つ。閘門の扉を吹き飛ばして射出する。

緊急遷都準備令  

避難目的の緊急遷都の準備を行うため、緊急遷都令リフォス・ベイファトロト・レカに先立ち、皇帝が帝都住民に発する命令。
準備令に伴う混乱を最小限にするため、限られた人たちにはさらにその前に通知がなされ、準備の準備が行われる。

駆逐宇宙艦  

人類統合体の軍艦。突撃艦級。四ヵ国連合では攻撃型駆逐宇宙艦と呼ばれる。
【攻撃兵装】
 ・反陽子砲(艦首)
 ・反物質弾道弾 4基以上

グデルス  

双棘第一三艦隊所属打撃分艦隊。艦隊の主力。
【組織】
 司令部
 ┣直属巡察艦 ゲームディジュ
 ┗直属巡察艦 プーンディジュ
 第一戦隊
 ┗戦列艦 カイソーフ
【経歴】
 ・帝国暦959年 双棘第一三艦隊へ配属
 ・同年 艦隊再編成に伴い雪晶艦隊へ配属
 ・同年 ディニン門沖戦でプーンディジュ以外の戦力を失い、サリム星系へ撤退

グノムボシュ  

アーヴ男性。夢は提督になること。おそらく黎明の乗り手の子孫。
【経歴】
 ・帝国暦941年頃 誕生
 ・帝国暦959年 フリーコヴ伝令に着任。階級は列翼翔士
 ・同年 後衛翔士に緊急昇進
 ・同年 ガフトノーシュ・ドゥラド砲術士に着任

雪晶作戦クファゼート・ギュクネル  

959年に星界軍が行った作戦。ハニア連邦を武装解除し、帝国領に併合することを目的としている。
実施部隊は双棘艦隊の一部が再編成された雪晶艦隊。指揮官はコトポニー・アロン=ライトゥレール・公女・ラゼリア星界軍元帥。交戦の予定はなかったが、同年、ハニア連邦を含む四ヵ国連合艦隊の帝国領侵入に伴い中止された。

不死鳥作戦クファゼート・セムロニル  

959年に星界軍が行った作戦。陥落が確実となったラクファカールからソトリュール鎮守府へ遷都を行うことを目的としている。
実施部隊は不死鳥艦隊。指揮官は帝国艦隊司令長官アブリアル・ネイ=ラムサール・バルケー王・ドゥサーニュ帝国元帥。同年、ソトリュール鎮守府に臨時帝都が置かれ、作戦は成功裏に終結した。

流砂作戦クファゼート・ロニヤウル  

※ルビが「クファゼート・ロニヤウル」ではなく「クファゼート・ロニャウル」であることが判明したので、流砂作戦クファゼート・ロニャウルへ移行。

流砂作戦クファゼート・ロニャウル  

945年に星界軍が行った勅令作戦。イリーシュ王国で発見されたハイド星系を帝国領に編入することを目的としている。
実施部隊は流砂艦隊。指揮官は帝国艦隊司令長官アブリアル・ネイ=ラムサール・バルケー王・ドゥサーニュ帝国元帥。同年、ハイド星系の降伏により、作戦は成功裏に終結した。

クファディス・ウェフ=エスピール・セスピー  
 Cfadiss üémh éseuir Sésric

アーヴ男性。前任者の育児休暇のためスポール・アロン=セクパト・レトパーニュ大公爵・ペネージュの参謀となって以来、彼女の補佐役を継続して務めている。成人して以来星界軍一筋で、交易に出たことはない。ソビーク好きの姉がいたが、イリーシュ門沖会戦で戦没。
なお、クファディス家は無名の士族。
【容姿】
 鮮緑色の髪。端麗な眉目。
【性格】
 実直であると自負している。
【経歴】
 ・時期不明 第184打撃戦隊先任参謀に着任
 ・帝国暦952年(開戦の一ヶ月前くらい) フトゥーネ先任参謀に着任。階級は百翔長。宮中序列は二等勲爵士
 ・時期不明 一等勲爵士に叙爵
 ・帝国暦955年 千翔長に昇進
 ・同年 幻炎第一艦隊参謀長に着任
 ・帝国暦956年 狩人第一艦隊参謀長に着任
 ・時期不明 ソトリュール鎮守府副長官付参謀長に着任
 ・帝国暦959年 准提督に緊急昇進
 ・同年 不死鳥第七艦隊参謀長に着任

帝国艦隊旗艦グラーガ・ルエ・ビューラル  

帝国艦隊司令長官の座乗艦。現在は巡察艦サンカウ。大きな作戦が行われる場合、そのまま艦隊旗艦となるのが通例。

クラベール・ソス  

ラクファカールにある惑星。訓練生の地上演習に用いられている。

クリューヴ門沖会戦  

クリューヴ門沖会戦ライシャカル・ウェク・ソーダル・クリュブ

グリンシア  

フリーコヴの初代監督。地上人女性。従士からの叩き上げ。
【嗜好】
 酒と冗談が嫌い。
【経歴】
 ・帝国暦958年頃 フリーコヴ監督に着任。階級は軍匠十翔長
 ・帝国暦959年 軍匠副百翔長に緊急昇進

忘れじの広間グレーシュ・フローネタラ  Graich Fronétara

帝宮の都市船アブリアル部分にある、あらゆる宗教を冷笑するアーヴにとって最も神聖な空間。白い天井と壁に囲まれた部屋に、白い砂が敷き詰められ、小川が流れる。
中には帝国宝物である白い石柱が数百本置かれていて、柱には『帝国は汝を忘れじフリューバル・ア・ダール・フローネデ』という文言の下に、象眼のされてない小さな文字で、帝国のために死んだ者が身分に関係なく歿した順に、同時に歿したのなら文字順に記されている。
広間は開放されており、遺族が自由に訪れることができる。併設された庭園は、一面緑に覆われそこかしこに四阿をしつらえた、宇宙にあっては贅沢な空間になっており、関係者に対する帝国の敬意を表している。

伝令クレリア  

襲撃艦以上の艦に置かれている艦橋要員。主任務は短艇や連絡艇の操舵なので、一番下っ端の翔士が担当する。高級雑用係の婉曲表現。
襲撃艦においても、次席砲術士兼次席通信士兼次席航法士のことであり、要するに雑用係。艦隊司令部附きの者は格段に任務が多いが、やはり参謀見習いのように思われている。

ゲームディジュ  

打撃分艦隊グデルス司令部直属の巡察艦。旧式艦。ディニン門沖の戦闘で爆散した。

ケムフェール  

退役した客船。不死鳥作戦の際に帝宮からの避難船として用いられた。

翔士修技館ケンルー・ロダイル/翔士修技館ケンルー  

帝都にある飛翔科の修技館。生まれながらのアーヴにのみ入学資格がある。十万以上の人口を収容する人工惑星で、いくつもの庭園がある。客船が何隻か横付けされ、訓練生達の居住区となっている。
帝国で平面宇宙航法を学べるのはここしかないため、星界軍への入隊希望者だけでなく、交易者などが平面宇宙航行資格を取得するために入学することも多い。二部制で運用。
戦闘術の修得よりも、平面宇宙航法の習得に時間が割かれており、教育課程の総仕上げとして平面宇宙航行実習を行う。

攻撃型駆逐宇宙艦  

四ヵ国連合の軍艦。突撃艦級。主攻撃兵装は艦首の大口径反陽子砲。

五大建艦廠ロール  

帝都にあるレスポー建艦廠、ベートゥール建艦廠、ヴォービノート建艦廠、スュール建艦廠、ゴクローシュ建艦廠の総称。帝国では唯一時空泡発生機関の製造能力を有し、これを帝都に集中することで帝国の分裂を防止している。職員と家族のための居住区が併設され、都市としての側面も持つ。帝都陥落に備えて移動を前提として設計されており、有事の際は分解して、中心部を星間船として機能させる事ができる。

コトポニー  Cotponic

※本名が判明したので、コトポニー・アロン=ライトゥレール・公女・ラゼリアへ移行。

コトポニー・アロン=ライトゥレール・公女ヤルリューム・ラゼリア  

アーヴ女性。
【容姿】
 濃紺の眉。鮮血色の唇(家徴)。
【経歴】
 ・帝国暦959年 幻炎第四艦隊司令長官に着任。階級は大提督。宮廷序列は帝国侯爵・公女
 ・帝国暦959年 双棘艦隊副司令長官に着任。階級は星界軍元帥
 ・同年 双棘新領土方面艦隊司令長官兼双棘艦隊第一三艦隊司令長官に着任
 ・同年 雪晶艦隊司令長官に着任

近衛分艦隊  

近衛艦隊を構成する8つの分艦隊。偵察分艦隊とほぼ同じく、巡察艦中心の構成で、補給艦も巡察艦に随伴可能なものでそろえられている。

コンカウ  

近衛艦隊近衛分艦隊コン・セトゥーシュ旗艦。クリューヴ門沖会戦で爆散した。

コン・セトゥーシュ  

  • 近衛艦隊に属する近衛分艦隊の一つ。
  • 959年に編成された1.。クリューヴ門沖会戦で壊滅した。

さ行

掌機従士サーシュ・セール  

軍匠従士のうち、時空泡発生機関の整備を担当する従士。

竜の頸の付け根サース・ノーシャル  Sath Nocher

※日本語表記が変更された可能性があるため、竜の頸の付け根サース・ノーシャル/竜の頸の付根サース・ノーシャルへ移行。

竜の頸の付け根サース・ノーシャル/竜の頸の付根サース・ノーシャル  Sath Nocher

帝国全体を八頸竜にたとえることから付けられたラクファカールの別名。

主計科サーゾイ/サゾイ  

※アーヴ語はサーゾイからサゾイへ変更されたものと思われるので、主計科サゾイ/主計科サーゾイへ移行。

財産放棄令  

星界軍が民間人に対し、大型の財産の放棄を強制する命令。当該地にいる最先任翔士が発する。

最終防衛行動  

戦闘力を失い、補給も不可能な機動要塞などが、最後の加速で敵艦に体当たりを仕掛けること。実行には司令長官の許可が必要。

竜卵要塞サイリア・ノーシャル・ヘカ  

帝都防衛団に編入された都市船アブリアルに付された名前。帝都の象徴である八頸竜の卵であるという意味。帝都防衛団司令部が設置された。
第2次ラクファカール防衛戦で敵艦隊の攻撃を受け、爆散した。

帝国の卵サイリア・フリューバラル  

人類史上最大の帝国が孵化したことから付けられた都市船アブリアルの別名。

探り針  

ラクファカールの第7022特設工廠の比較的近く(2標準重力で3時間ほど)にある料理店。星界軍御用達の名店。独立した軌道施設で、旅亭も併設している。

主計科サゾイ/主計科サーゾイ  

星界軍15科の一つ。事務一般を担当する。食料や備品の点検など、後方勤務が多い。艦内勤務では書記など。階級章は白。最高位は元帥。

機動時空爆雷サテュス・ゴール・ホーカ  satyth gor hoca

機雷の正式名称。

サトネージュ  

ソトリュール鎮守府にある有人惑星。従士の休養のほか、訓練生の地上演習にも用いられる予定。

サムソン・ボルジュ=ティルサル・ティルース  
 Samsonn borgh tiruser Tirusec

地上世界出身の男性。40歳近い。従士からの叩き上げの翔士。地上では目に出来ない光景を見るために星界軍に入隊した。退役して、年金で買った農場をクレンメン山の麓で営むのが夢だが、戦争が始まってしまったため、給料と年金分の働きをするため星界軍に残っていた。
958年頃退役し、農場経営の参考にするために、ハイド伯爵家の家臣になった。
【性格】
 それなりに義理堅い(自称)。大雑把。
【嗜好】
 好きなものは酒。特に玉蜀黍から作った強い蒸留酒。エデロイ茶もお気に入り。
【経歴】
 ・帝国暦945年より前 星界軍に入隊
 ・帝国暦952年 イリーシュ門沖会戦に参加(初の実戦)
 ・同年 スカレーシュ門沖会戦に参加
 ・時期不明 軍匠列翼翔士に昇進
 ・帝国暦955年 バースロイル監督に着任
 ・帝国暦958年頃 星界軍を退役し予備役編入。最終階級は軍匠列翼翔士
 ・帝国暦958年頃 ハイド伯爵家家宰に着任
 ・帝国暦959年 現役復帰

艦長代理サレール・クファラ  

何らかの事情で艦長が指揮を執れない場合に、臨時に艦を指揮する役職。

応急司令サレール・ダウセール  

応急部隊の司令。

交通船ジェス  

平面宇宙航行機能を有さない空間船。

死の笛  

気圧の急激な低下に伴う耳鳴りのこと。アーヴの恐怖の対象。

雌伏虎  

サリム星系でもっとも格式の高い飲食店。約400年前にスポセーニュで営業を始め、現在の店舗は250年ほど前に建造された。959年当時はサリム星系内の、雪晶第五艦隊の輸送艦群が繋がれた無名酒保街に店舗を有する。50ほどの座席がある。
酒保街の閉鎖に伴い閉店。筐体も財産放棄令により放棄された。

シャイカウ  

双棘第一三艦隊旗艦のカウ級巡察艦。雪晶艦隊編成後は雪晶艦隊旗艦となった。

ジャムペール  

雪晶第五艦隊司令長官。アーヴ男性。階級は提督。
【容姿】
 銀色と見まごうような薄い青色の髪。色白でどことなく不健康そうな雰囲気。

宿命遺伝子  

原アーヴたちが本来の機能から逸脱することがないように、遺伝子レベルで思考や情動を制御する処理。自らの存在意義に悩んだり、植民地開発という目的を危うくする自由や独立といった概念を持たないように調整された。強い帰属意識を本能に植え付けることで、自分自身よりも自分が所属している集団、すなわち軌道都市に対する忠誠心を抱かせることが目的だった。
現在でもアーヴに個人の生命より帰属する集団の存続を優先することを強いており、そのためアーヴは自らの種族の存続に不可欠と考えるものを、生命を対価にしても守ろうとする。

鎮守府シュテューム  

補給施設や造修工廠、慰安施設など多数の軍施設が置かれている星系。艦艇の配属や戦技演習などが行われる。八王国に1ヵ所ずつ、概ね帝都への門に寄り添うように置かれている。また必ず有人惑星が属し、地上世界出身の従士が休養するために用いられる。最上級指揮官は鎮守府司令長官。

セムブリューヴ鎮守府シュテューム・セムブリュブ  

八鎮守府の一つ。クリューヴ王国に位置する。959年に四ヵ国連合が制圧した。

ソトリュール鎮守府シュテューム・ソトリューラル  

八鎮守府の一つ。バルケー王国に位置する、恒星ソトリュールを中心とする有人星系。本部は惑星サトネージュの衛星軌道上にある。
不死鳥作戦で臨時帝都ラクファカール・セラが置かれることになり、それと同時に本部も行宮として用いるため、ソトリュールの惑星軌道上にあるラクファカール・セラの中心部へ移された。

ビセス鎮守府シュテューム・ビセサル  

八鎮守府の一つ。スキール王国にある。ラクファカール陥落に伴い、中央との連絡が途絶したスキール王国にいる艦隊の仮中枢が置かれている。

風の雫シュトゥーシュ・セザル  

帝都にある巨大な球状の建造物。内部は重力制御がされておらず、様々な速度の風が吹き、無数の遊具が飛んでいる。基本的には子供のための遊園地だが、デートスポットに適しているという意見もある。

準緊急射出  

艦艇の射出方法の一つ。甲板を減圧せず、大気ごと射出する。

巡洋宇宙艦  

四ヵ国連合の大型軍艦。巡察艦級。

スーズリュア・ボルジュ=ゴシュル・ソート  

959年当時の遷都計画官。地上人男性。
【容姿】
 どこか死神じみた風貌。

翡翠の玉座スケムソール・レン  

  • 帝位の象徴表現。
  • 謁見の広間に置かれている玉座。演習や儀式の際には皇帝御座艦ガフトノーシュの皇帝座艦橋に遷されるため、空識覚支援機能を持つ。帝国宝物の一つで代々受け継がれてきたが、959年のクリューヴ門沖会戦でガフトノーシュが爆散した際に失われた。

帝都交通庁スポーデ・ビル・アロク  

帝都にある無数の人工惑星に登録番号を付して管理している官庁。刻々と相対位置が変わる建造物の位置関係を把握している唯一の存在。情報連結することで、目的の建造物まで道案内してもらうことが可能。単に交通庁スポーデ・ビルとも。

スポール・アロン=セクパト・レトパーニュ大公爵ニーフ・レトパン・ペネージュ  
 Sporh araunn saicseuatr nimh laitpanr Painaich

スポール・アロン=セクパト・レトパーニュ大公爵・アセーヌの娘。貴族としての軍役義務は既に果たしているが、趣味で軍にとどまっているらしい。座乗艦ヘールビュルシュの司令座を白大理石製で精緻な彫刻を施した4本の柱と、それによって支えられる人間の手で刺繍された豪華な天蓋によって飾っている。
【容姿】
 丹念に結い上げられた蒼炎色の髪。流れるような蒼炎色の眉。終末期の巨星表面のような紅の瞳。毒々しいまでに妖しく紅い唇は、艶やかで猛々しく、肉食性の蝶を連想させる。
【性格】
 わがままで気まぐれだが、指揮官としては優秀。ラフィール曰く、『スポールの中のスポール、スポール一族が1000年にわたって洗練してきた婉曲な罵倒の技術を芸術の域まで高めた人物』。
【嗜好】
 蹂躙戦が大好き。起きてから6時間は固形物を取らないのが習慣。
【経歴】
 ・時期不明(17歳) 修技館入学
 ・帝国暦949年頃 准提督に昇進
 ・時期不明 偵察分艦隊フトゥーネ司令官に着任
 ・時期不明 提督に昇進
 ・帝国暦955年 ラルブリューヴ鎮守府副長官に着任
 ・同年 幻炎第一艦隊司令長官に着任
 ・帝国暦956年 狩人第一艦隊司令長官に着任
 ・時期不明 ソトリュール鎮守府副長官に着任
 ・帝国暦959年 大提督に緊急昇進
 ・同年 不死鳥第七艦隊司令長官に着任

スポセーニュ  

約400年前の客船。雌伏虎が営業を始めた船。

第三守備隊スューフ・ボレール・ビーナ  

不死鳥作戦時の帝都防衛団竜卵要塞付属の守備隊スューフ・ボレールのひとつ。超長距離砲撃が主任務。ちなみに守備隊司令官はいずれも退役した軍士で、例外なく伯爵以上の爵位と大提督以上の位階を持っている。
第2次ラクファカール防衛戦で全滅した。

スル・セトゥーシュ  

  • 近衛艦隊に属する近衛分艦隊の一つ。
  • 959年に編成された1.。クリューヴ門沖会戦で壊滅した。

スルムカウ  

近衛艦隊所属の巡察艦。おそらく近衛分艦隊ヴォー・セトゥーシュないしミュス・セトゥーシュ所属。クリューヴ門沖会戦で爆散した。

セーダ  

945年当時の軍令長官。アーヴ女性。階級は帝国元帥。流砂艦隊出征式を最後に離任した。

セグノー  

  • レトパーニュ大公国にある有人惑星。大公国の中では最も多い人口を擁し、帝国全体でもすこぶる豊かな部類に入る工業惑星。人口が過剰気味で失業率も高いが、経済水準は高い。富裕層は年老いてくると肉体交換を行い、アーヴに匹敵する寿命を持つ。何らかの理由で天然肉の輸入を禁止している。売春は合法。同一軌道上を城館や門、施設、商館も回っている。住民は現地の言葉で呼んでいる。
  • レトパーニュ大公爵家が大公爵専用に借りている船。元々は星界軍総旗艦ガフトノーシュ。機雷は積んでいないが電磁投射砲は生きており、護衛用に核融合弾も積んでいる。

雷たちセトゥークラシュ  

所属する分艦隊名全てにセトゥーシュが付くために付けられた近衛艦隊の別名。

柑橘茶ソイ・ラシュパン  

琥珀色の甘酸っぱい飲み物。

第一蹂躙戦隊ソーヴ・ディレール・カースナ  

  • 星界軍で初めて編成された蹂躙戦隊。初代司令官はアトスリュア・スューヌ=アトス・フェブダーシュ男爵・ロイ千翔長。初代旗艦はリュームコヴ。
    ロイが独断で決めた様々な伝統がある。第一に、宴での敬礼禁止。第二に、料理で遊ぶことの禁止。
    【組織】
     司令部
     ┣司令官 アトスリュア・スューヌ=アトス・フェブダーシュ男爵・ロイ千翔長
     ┣先任参謀 セムレーシュ百翔長
     ┗次席参謀
     旗艦 襲撃艦 リュームコヴ
     襲撃艦 フリーコヴ
     襲撃艦 バートコヴ
     襲撃艦 スィールコヴ
     襲撃艦 カーンコヴ
     襲撃艦 スルムコヴ
     襲撃艦 6隻
    【経歴】
     ・帝国暦958年 司令部のみ設置
     ・同年 編成
     ・同年 ハイド門沖演習
     ・同年 解散。再編成
    【紋章】
     有毒竜コーヴに数字の一をあしらったもの。
  • 双棘第二四艦隊突撃分艦隊ボスル所属の蹂躙戦隊。司令官はアトスリュア・スューヌ=アトス・フェブダーシュ男爵・ロイ千翔長。旗艦はシュトゥーコヴ。隊員は200人以上。1.が再編成されたもの。
    ロイの独断で、諸侯が戦隊にいるときは、機会があればみんなに奢るという第三の伝統が追加された。
    【組織】
     司令部
     ┣司令官 アトスリュア・スューヌ=アトス・フェブダーシュ男爵・ロイ千翔長
     ┗先任参謀 ソバーシュ・ウェフ=ドール・ユース百翔長
     旗艦 襲撃艦 シュトゥーコヴ
     襲撃艦 フリーコヴ
     襲撃艦 マルスコヴ
     襲撃艦 ケールコヴ
     襲撃艦 ナーコヴ
     襲撃艦 クロルコヴ
     襲撃艦 パーンコヴ
     襲撃艦 タークコヴ
     襲撃艦 2隻以上(おそらく4隻)
    【経歴】
     ・帝国暦958年 再編成
     ・帝国暦959年 ケマル門沖の戦い。パーンコヴ、タークコヴ爆散
     ・同年 ケマル門制圧戦
     ・同年 ケマル星系建艦廠群撃滅戦
     ・同年 ボスルから分離し、帝都へ帰還
     ・同年 ガフトノーシュ・ドゥラドを加える
     ・同年 不死鳥第五艦隊へ編入

近衛阻塞戦隊ソーヴ・ライヒレール・ロワボレール  

近衛艦隊に所属する戦隊。常設ではなく、帝都防衛の必要が生じたときに、帝都にいてほかに適当な任務のない商船で臨時に編成され、ほかに適当な任務のない翔士が乗り込む。そのため編成数はその時々で異なる。主な役割は機雷を戦場に運搬して、対抗雷撃を行うこと。戦列艦と異なり自衛能力がないため、乗員は全て艦橋代わりの連絡艇に搭乗、緊急時には連絡艇ごと脱出する。脱出後は自力か近衛艦隊の輸送艦に乗るかして本格的会戦が始まる前に帝都に戻り、帝都防衛団に組み込まれる。単に阻塞戦隊ソーヴ・ライヒレールとも。

第八二近衛戦隊ソーヴ・ロワボレール・ガマタ  

近衛艦隊所属の戦隊。おそらく近衛分艦隊ヴォー・セトゥーシュないしミュス・セトゥーシュ所属。

第一三近衛戦隊ソーヴ・ロワボレール・キュトビナ  

近衛艦隊所属の戦隊。おそらく近衛分艦隊ヴォー・セトゥーシュないしミュス・セトゥーシュ所属。

第七三近衛戦隊ソーヴ・ロワボレール・ダンビーナ  

近衛艦隊所属の戦隊。おそらく近衛分艦隊コン・セトゥーシュないしドル・セトゥーシュ所属。

第三四近衛戦隊  

近衛艦隊所属の戦隊。おそらく近衛分艦隊リュト・セトゥーシュないしスル・セトゥーシュ所属。

第三二近衛戦隊  

近衛艦隊所属の戦隊。おそらく近衛分艦隊リュト・セトゥーシュないしスル・セトゥーシュ所属。

第六二近衛戦隊  

近衛艦隊所属の戦隊。おそらく近衛分艦隊リュト・セトゥーシュないしスル・セトゥーシュ所属。クリューヴ門沖会戦で全滅した。

第二二近衛戦隊ソーヴ・ロワボレール・マスマタ  

近衛艦隊所属の戦隊。おそらく近衛分艦隊コン・セトゥーシュないしドル・セトゥーシュ所属。

ウェイバル門ソード・ウェイバラル  

通常宇宙側ではウェイバル星系、平面宇宙側ではハニア連邦に位置する門。

クリューヴ門ソード・クリュブ  

通常宇宙側ではアブリアル伯国、平面宇宙側ではクリューヴ王国に位置する門。
第2次ラクファカール防衛戦では付近が最初の主戦場となった。

サリム門ソード・サリマル  

通常宇宙側ではサリム星系、平面宇宙側ではハニア連邦に位置する門。

セムブリューヴ門ソード・セムブリュブ  

通常宇宙側ではセムブリューヴ鎮守府、平面宇宙側ではクリューヴ王国、クリューヴ門のごく近くに位置する門。他の鎮守府門に比べても帝都への入り口に近い。

ソトリュール門ソード・ソトリューラル  

通常宇宙側ではソトリュール鎮守府のサトネージュと同じ惑星軌道上、平面宇宙側ではバルケー王国、バルケー門のごく近くに位置する門。

ディニン門ソード・ディニン  

平面宇宙側ではハニア連邦に位置する門。

ハウライ門ソード・ハウライル  

通常宇宙側ではハウライ星系、平面宇宙側ではハニア連邦に位置する門。

バルケー門ソード・バルケール  

通常宇宙側ではアブリアル伯国、平面宇宙側ではバルケー王国に位置する門。

メイガン門ソード・メイガン  

通常宇宙側ではメイガン星系、平面宇宙側ではハニア連邦に位置する門。

レスュード門ソード・レスュード  

通常宇宙側ではレスュード伯国、平面宇宙側ではスキール王国の辺境、ハニア連邦にほど近い場所に位置する門。

ソーフ級戦列艦アレーク  

星界軍の戦列艦の一つ。
【組織】
 艦長
 副長
 先任砲術士
 先任航法士
 次席航法士
 先任通信士
 次席通信士
【攻撃兵装】
 機動時空爆雷
 凝集光砲
【艦載艇】
 連絡艇
 短艇 四隻
 救命莢 多数

即位式  

帝国における皇帝の即位式。八名の上皇が一人ずつ儀礼的な言葉を述べ、最後に時の皇帝が新皇帝に皇帝杖と皇帝用の頭環を授け、新皇帝の即位を宣言する。

機動時空爆雷甲板ゾク・ホクサト  

巡察艦等に設置されている、機雷の磁気閉込容器に反物質を配分する場所。安全のため、開放時には事前に減圧をしなければならない(開放前減圧)と定められている。単に機雷甲板とも。

機雷甲板ゾク・ホクサト  

機動時空爆雷甲板の略称。

艦載艇格納甲板ゾク・ポンラク  

艦載艇(連絡艇、短艇)の格納甲板。

ソシュリール商会  

ラクファカールに倉庫を持つ商会。星界軍と取引がある。

ソトリュール  

ソトリュール鎮守府の中心にある恒星。黄色矮星。

ソバーシュ・ウェフ=ドール・ユース   Sobach üémh dor Ÿuth

アーヴ男性。年齢は50歳をすぎている。若い頃星界軍で働いたあと、長い間交易に携わってきたため、年齢の割に階級は低い。噂によるとかなりの富豪で、帝都に大きな城館を持っている。若い頃の交易では帝国商業史上屈指の利益をあげたこともある。すでに成人して独立した子供が二人いる。
【嗜好】
 好きなものは砂糖をたっぷり入れた緑茶。他人の悪癖が大好き。
 趣味は手紙を書くこと。
【経歴】
 ・時期不明 交易船の船長に就任
 ・帝国暦955年 バースロイル先任翔士に着任。階級は前衛翔士
 ・帝国暦958年頃 副百翔長に昇進
 ・帝国暦958年 フリーコヴ艦長に着任
 ・帝国暦959年 第一蹂躙戦隊先任参謀に着任
 ・同年 百翔長に昇進
 ・同年 千翔長に緊急昇進

帝都防衛団員ソブリア・アロク  

帝都防衛団に所属する軍士。

帝都防衛団ソブレラシュ・アロク  

  • 退役した皇族と貴族及びそれ以外の退役軍士の志願者で構成される常設部隊。平時には装備の保守点検やたまの訓練を除いて余り何もしていないが、帝都が戦火にさらされるときにはその身を盾にして帝都陥落までの時間稼ぎをすることを目的として組織されている。指揮官は上皇から選ばれる。
  • 959年に召集された1.。司令長官はアブリアル・ネイ=ドゥブゼル・上皇・ドゥスーム。
    第2次ラクファカール防衛戦で、不死鳥艦隊がアブリアル伯国から脱出するまでの時間を稼いだ後、全滅した。
    【組織】
     司令部
     ┣司令長官 アブリアル・ネイ=ドゥブゼル・上皇・ドゥスーム
     ┗参謀長 アブリアル・ネイ=ラムサール・上皇・ドゥセーフ
      ┣探査参謀
      ┗作戦参謀
     竜卵要塞
     ┗付属守備隊 7個
      ┗第三守備隊
     クリューブ王宮要塞
     ┗付属守備隊 3個

た行

対抗雷撃  

敵艦ではなく、敵機雷を目標として機雷を発射すること。

長衣ダウシュ  daüch

つなぎの上に着る皇族・貴族の正装。士族でも重要な式典などでは着用することがある。
袖がなく、肩の部分が逆三角形に張り出し、腰の飾帯でとめられて足元へと広がる。純白で袖や襟などに朱色の太い縁取りがなされて、胸に模造宝石があしらってあるもの(貴族の正装)や、鮮やかな黄色で宝石が鏤めてあるもの、深紅の絹地に翼を広げる銀の鳥があしらわれ、飾帯で留めるものなど様々。

陥ちざるものダワトサリア  

3度敵に攻めこまれたものの陥落しなかったことから付けられたラクファカールの別名。
4度目の侵攻(第2次ラクファカール防衛戦)でついに陥落し、この名は永遠に失われた。

勅禁湯殿  

帝宮に36ヵ所ある、皇帝専用の湯殿。皇帝以外の人間でも勅許があれば利用でき、それはアーヴにとって最高の栄誉と考えられている。

芳名碑デス  

英雄芳名碑の略称。

英雄芳名碑デス・フレートラク  

忘れじの広間に置かれている、帝国のために死んでいった者たちの名が刻まれた白い石柱。帝国宝物の一つ。名前以外の情報も、一人一人について評伝が書けるほどの量が電磁的記録として保存されているが、石柱そのものが宝物として指定されている。単に芳名碑とも。

特別通達  

星界軍が用いる泡間通信のひとつ。到達距離が限られている泡間通信を、平面宇宙に設置した中継点を経由することで、遠方まで届けるという方法が用いられる。この方法で同時に多くの通信を送ると、相互に干渉して到達距離が極端に短くなるため、厳選された通信のみがこの名で呼ばれ、その方法で送信される。

砲術士トラーキア/砲術士トラキア  

※アーヴ語はトラーキアからトラキアへ変更されたものと思われるので、砲術士トラキア/砲術士トラーキアへ移行

砲術士トラキア/砲術士トラーキア  

射撃・戦術分析を担当する軍士。巡察艦等では、戦闘時に通常宇宙や時空泡内での操艦も担当することが多い。

ボーフ伯爵家ドリュージェ・ボム  

ラムケーム氏に連なる一族。定期的に帝都城館で奇抜な余興が売り物の饗宴を開くことで有名。余興はラムケーム一族が総力をあげて企画し、誰でも招待状なしに参加できる。
※饗宴の開催頻度については、毎年(断章II「饗宴」)、二年に一度(星界の戦旗読本)、三年に一度(戦旗V)の3説ある。

レスュード伯国ドリュヒューニュ・レスューダル  

スキール王国に属する有人星系。スキール王国の辺境にあり、ハニア連邦にほど近い。ハニア連邦から撤退してきた雪晶艦隊本隊が一時駐留している。

ドル・セトゥーシュ  

  • 近衛艦隊に属する近衛分艦隊の一つ。
  • 959年に編成された1.。クリューヴ門沖会戦で壊滅した。

泡間通信ドロシュ・フラクテーダル/時空泡間通信ドロシュ・フラクテーダル  

時空泡間で唯一可能な通信方法。時空粒子を突き動かし、それによって構成される短符号と長符号の組み合わせで情報を伝達するが、情報量は少なく(符号同士を5秒以上空けないといけないため)、伝達速度は遅く、射程は短い(推定900天浬)の三重苦。そのため定型文に略符号を対応させることで、通信量を増やしている。
アーヴの場合、受信には特別な機器を用いず、時空泡の内表面に現れる模様を空識覚で読み取ることで行っている。

な行

武装侍従ナーケブリア/侍従ナーケブリア  

皇帝などの身辺警護等や身の回りの世話を行う侍従。予備役軍士。凝集光銃で武装している。

レトパーニュ大公爵家ニーミエ・レトパン  

※アーヴ語が変更された可能性があるため、レトパーニュ大公爵家ニーミエ・レトパン/レトパーニュ大公爵家ニメイ・レトパンへ移行。

レトパーニュ大公爵家ニーミエ・レトパン/レトパーニュ大公爵家ニメイ・レトパン  

スポール氏の宗家。貴族の中でもっとも伝統があり富裕な名門。後継者は16歳になるとかりそめの統治をするのが習わし。28の邦国の芸術家を集めて、現当主の柩を設計させ、完成したら盛大に披露の饗宴を行うのが伝統。現当主はスポール・アロン=セクパト・レトパーニュ大公爵・ペネージュ。
【紋章】
 金色烏ガサルス。紋章旗には『大公爵じゃ不満だ、けれど皇帝なんて野暮なお仕事はアブリアルにお似合い、我が名はスポール!』と書いてある。

セパレール大公爵家ニメイ・セパレル  

ダーショ氏の宗家。貨物船を改造した機動博物館を運営し、帝国中を回ってアーヴや領民たちに美術、音楽、劇などを提供している。

は行

軌道都市バーシュ  

  • 地球にあった火山性の弧状列島の住人の一部が建設した軌道都市。全地球規模での文化混淆に際し、列島の独自文化を守るために小惑星帯に建設された。最初の住民は弧状列島住民の1000分の1ほど。トヨアシハラ市と名づけられており、アーヴからは母都市とも呼ばれる。
    地に足をつけた生活をするため、外宇宙探査を進めていたが、ユアノンを持っていなかった。そのため、低加速の核融合船による探査にも耐えうる乗員が必要になり、資質に優れた住民の遺伝子を改造することで、前1200年頃、原アーヴを創り出した。
    前973年頃、母都市の影におびえたアーヴは武装解除を迫ったが、当時の指導者層は、彼らを再び管理下に組み入れ、武装することをもくろんだため、交渉は決裂。わずか1000人ほどのアーヴによって滅ぼされ、100万を数えた住民も全滅した。
  • 軌道上に建設される人工都市。

薔薇パール  

  • 植物の名前。花を付ける。
  • 勅禁湯殿の一つ。様々な品種の薔薇が壁や天井を覆い、連続的に変化する色彩を描くとともに濃密な芳香を放っている、美しい湯殿。

バイカウ  

近衛艦隊所属の皇帝直率巡察艦。クリューヴ門沖会戦で爆散した。

ハニア連邦  

現存する星間国家の一つ。全宇宙で三番目の国力を有する。
元は人類世界で始めて平面宇宙航法を確立したスーメイ星系。増大する人口の生活空間を確保するため、植民や移住により勢力を拡大しており、他国を統合したことはない。したがって国中にはスーメイの独特な論理が行き渡っており、外部からの干渉を嫌う。自足している星系がほとんどで、宇宙空間の占有にそれほどの関心を抱いていない。その反面星系間の経済格差はすさまじいものがあるが、各星系の独立意識が高く、あまり問題視はされていない。
軍の規模はまずまず、情報収集力も高いが、装備は旧式で指揮系統にも問題があるため、総力戦となれば自国防衛もままならないと帝国は見積もっている。
四ヵ国連合の一員だったが、開戦理由を人類統合体が捏造したことを知ると、中立を宣言してしまい、帝都強襲にも加わらなかった。しかしその裏では帝国への服従を主張する地上派と、帝国との交戦を主張する宇宙派の強烈な権力闘争が行われていた。権力中枢では地上派が圧倒的多数を占めたが、宇宙派はひそかに叛乱を起こして三ヵ国連合と連絡を取り、中立の破棄と参戦を決定。ラクファカール侵攻にも参加した。
【食生活】
 料理の評価は高いが、酒はろくなものがないと帝国では言われている。

アーヴ語バロン  

帝国の公用語。軌道都市で用いられていた古アーヴ語を起源としており、ヤマト語族・トヨアシハラ語派に属する。現在の正統アーヴ語はラクファカールで話されているもので、特に皇族が用いるものは古い音を守っている。主としてアーヴが用いるが、地上世界で使われることもある(多数の邦国から移民を受け入れた、新しい地上世界に多い)。
多くの地上世界出身者を家臣や従士として迎え入れてきた伝統があるので、語学教育法は洗練の極みに達しており、一月もみっちり練習すれば十分会話できるようになる。
アースと呼ばれる独自の文字を使って記すが、アルファベットでの標準的な表記も確立している。
【歴史】
 元は軌道都市で用いられていた言語。軌道都市の住人が、地球で生活していた時代に使用していた言語から、外来語を全て廃することで作り上げたもの。原アーヴにも伝えられたが、文字は与えられなかった。
 しかし、元々音節数が多い言語であり、さらに原アーヴたちには文字がなく、しかも小人数で閉塞的な生活を営んでいたこともあり、音韻法則をも破壊するほどの急激な(恐らく2~3世代のうちに)短縮化現象が起こった。まず、母音の脱落が起こり、次に同音異義語の発生を避けるため残った母音が脱落したものに引きずられるという現象が発生、母音の種類が増えた。子音についても発音部位の遷移、鼻音の非鼻音化などの現象が生起し、その過程で語幹の末尾音と格助詞の融合が起こったと考えられている。(都市船時代に行われた公的記録の破棄(後世にはアブリアルの事故と伝わっている)により制定者やその過程についてはよく分かっていない)
 自立後にはアースと呼ばれる独自の文字が制定された。
 帝国創建後は標準アーヴ語が確定。離れて暮らす同胞たちとのコミュニケーションを円滑にするため、正しいアーヴ語を保存しようという意識的な努力が払われるようになったため、大きな変化は生じなくなり、現在に至っている。

雪晶艦隊ビュール・ギュクネル  

雪晶作戦の実施部隊。司令長官はコトポニー・アロン=ライトゥレール・公女・ラゼリア星界軍元帥。旗艦は巡察艦シャイカウ。旧双棘第一一~第一四艦隊の大部分を再編成したもので、司令部は旧双棘第一三艦隊司令部が横滑りしている。
【組織】
 司令部
 ┗司令長官 コトポニー・アロン=ライトゥレール・公女・ラゼリア星界軍元帥
 旗艦 巡察艦 シャイカウ
 雪晶第五艦隊
【経歴】
 ・帝国暦959年 編成

不死鳥第四艦隊ビュール・ゴーナ・セムロニル  

不死鳥艦隊に所属する艦隊。クリューヴ門陥落後に帝都を脱出した。

雪晶第五艦隊ビュール・ジュータ・ギュクネル  

雪晶艦隊の後方業務を担当する艦隊。司令長官はジャムペール提督。旗艦は輸送艦メルクテル。ほとんど戦闘能力を持たず、専ら輸送艦や補給艦を運用している。
四ヵ国連合の反攻に際してバルグゼーデ王国方面へ撤退しようとしていたが、雪晶艦隊司令部の命でドゥヒールを司令部に届けるため、スキール王国にいる艦隊本隊と合流した。
【組織】
 司令部
 ┣司令長官 ジャムペール提督
 ┗参謀長
  ┣探査参謀
  ┗通信参謀
 旗艦 輸送艦 メルクテル
 輸送艦 ボルクテル

不死鳥第五艦隊ビュール・ジュータ・セムロニル  

不死鳥艦隊に所属する艦隊。旗艦は補給艦。クリューヴ門陥落後に帝都を脱出した。第一蹂躙戦隊を除けば貨客船や輸送艦、輸送任務に当たる旧式艦などで構成されたほぼ純然たる輸送船団で、戦闘力はほとんどない。
バルケー門から出現した敵艦隊による雷撃を受け損害を被ったが、不死鳥第七艦隊により保護された。

不死鳥艦隊ビュール・セムロニル  

不死鳥作戦の実施部隊。司令長官はアブリアル・ネイ=ラムサール・バルケー王・ドゥサーニュ帝国元帥。六個の梯団に編成され、ラクファカールから退いた順に第一から第六まで番号が付いている。第七艦隊は他の艦隊の救援のため、臨時帝都で急遽集成された。
【組織】
 司令部
 ┗司令長官 アブリアル・ネイ=ラムサール・バルケー王・ドゥサーニュ帝国元帥
 不死鳥第一艦隊
 不死鳥第二艦隊
 不死鳥第三艦隊
 不死鳥第四艦隊
 不死鳥第五艦隊
 不死鳥第六艦隊
 不死鳥第七艦隊
【歴史】
 ・帝国暦959年 不死鳥第一~第六艦隊編成
 ・同年 不死鳥第七艦隊編成

不死鳥第七艦隊ビュール・ダーナ・セムロニル  

不死鳥艦隊に所属する艦隊。司令長官はスポール・アロン=セクパト・レトパーニュ大公爵・ペネージュ大提督。四ヵ国連合艦隊に追われる第一~第六艦隊の救援と、臨時帝都への敵の侵略意図を挫くことを目的として、臨時帝都で急遽集成。四ヵ国連合艦隊艦隊の攻撃を凌ぎ、撤退に追いこんだ。
【組織】
 司令部
 ┣司令長官 スポール・アロン=セクパト・レトパーニュ大公爵・ペネージュ大提督
 ┗参謀長 クファディス・ウェフ=エスピール・セスピー准提督
  ┗探査参謀

不死鳥第六艦隊ビュール・ブーナ・セムロニル  

不死鳥艦隊に所属する艦隊。殿軍を務める。バルケー門から出現した敵艦隊を迎撃したが、圧倒的な戦力差で壊滅した。

武勲艦隊ビュール・レフェス  

十数隻の記念艦を動態保存している部隊。

流砂艦隊ビュール・ロニヤウル  

※ルビが「ビュール・ロニヤウル」ではなく「ビュール・ロニャウル」であることが判明したので、流砂艦隊ビュール・ロニャウルへ移行。

流砂艦隊ビュール・ロニャウル  

流砂作戦の実施部隊。司令長官はアブリアル・ネイ=ラムサール・バルケー王・ドゥサーニュ帝国元帥。総旗艦は巡察艦ダーンビルシュ。
【組織】
 司令部
 ┣司令長官 アブリアル・ネイ=ラムサール・バルケー王・ドゥサーニュ帝国元帥(皇太子)
 ┣参謀長 ケネーシュ・ウェフ=ステューマル・キペール大提督
 ┗副官
 旗艦 巡察艦 ダーンビルシュ
【歴史】
 ・帝国暦945年 編成
 ・同年 ハイド星系の降伏を受諾
 ・同年 解散

皇族ファサンゼール  fasanzœrh

建国帝ドゥネーとその兄弟や子女の子孫であり、アブリアルの氏姓と帝位継承権を有する一族。八つの王家に分けられる。
その子女は、出生と同時に領地を与えられ、爵位を叙せられるのが慣わし。
貴族同様軍役に就き、飛翔科翔士になる義務を負う。列翼翔士に叙任後、一年で後衛翔士、一年半で前衛翔士になり、自動的にドゥネー星界軍大学に進学、半年の研修の後卒業して十翔長になる。(通常軍大学進学には4年半の軍役が必要だが、特例として認められている)
退役までにひとかどの位階を得て、有事の際には軍の一翼を担うことが全員に求められている。そのため、出世は権利ではなく義務。
軍衣を来ている時は身分を忘れよと教育される。不当な圧力にならないよう、上官に不条理な批判を加えるのは厳に慎むよう教えられている。
一般的なアーヴと異なり、20歳になっても翔士に叙任されるまでは大人と認められない(帝国史上最高齢の未成年者は72歳)。未成年者は翔士修技生、若年者(概ね5歳~修技館入学まで)、幼い子どもに分類されており、若年者は重要な儀式の度に参列することを要求される。
軍では、その指揮する艦に配属されるのは将来を嘱望され、いずれは皇帝の親しき臣として働くことを期待されている証拠と言われている。
質素な生活に耐えるよう躾けられている。

ファラムンシュ・ウェフ=ルサム・ラザス  

952年~959年当時の軍令長官。男性。階級は帝国元帥。
【容姿】
 編んで、肩から前に垂らしている青灰色の髪。髪をいじるのは気分を害している証拠。
【経歴】
 ・帝国暦945年より後 軍令長官に着任
 ・帝国暦959年 近衛艦隊参謀長に着任
 ・同年 クリューヴ門沖会戦で乗艦爆散、戦死

フィーフ・ケクラ  

ラクファカールで運行している大型交通船。平べったい四角形で、面の裏表が船首と船尾になっており、推進機関が四隅に設置されているという特徴的な形状をしている。内部には普通旅客甲板と個室付きの特等旅客甲板があり、特等旅客甲板中央には大広間が配置されている。

プーンディジュ  

打撃分艦隊グデルス司令部直属の巡察艦。旧式艦。

ウェスコー王国フェーク・ウェスコール  

人類統合体と人民主権星系連合体に挟まれた領域に位置する王国。バルケー王国にも接しており、その結びつきも強い。

クリューヴ王国フェーク・クリュブ  

ハニア連邦に囲まれた領域に位置する王国。

スキール王国フェーク・スキル  

ハニア連邦と人民主権星系連合体に挟まれた領域に位置する王国。

スュルグゼーデ王国フェーク・スュルグゼーデル  

人類統合体に囲まれた領域に位置する王国。幻炎作戦及び狩人作戦の成功により、人類統合体領域の一部を制圧し、現在はその向こうにあったラスィース王国とも接している。

バルグゼーデ王国フェーク・バルグゼーデル  

ハニア連邦と拡大アルコント共和国に挟まれた領域に位置する王国。

バルケー王国フェーク・バルケール  

人類統合体と人民主権星系連合体に挟まれた領域に位置する王国。ウェスコー王国にも接しており、その結びつきも強い。

ラスィース王国フェーク・ラスィーサル  

人類統合体と拡大アルコント共和国に挟まれた領域に位置する王国。幻炎作戦及び狩人作戦の成功により、人類統合体領域の一部を制圧し、現在はその向こうにあったスュルグゼーデ王国とも接している。

フェク・セトゥーシュ  

  • 近衛艦隊に属する近衛分艦隊の一つ。
  • 959年に編成された1.。クリューヴ門沖会戦で壊滅した。

列翼翔士フェクトダイ  

最下級の翔士(第12位)。俸給は約33スカール。

フェスファ  

959年当時の筆頭遷都計画官補。

自翔弾ブスューリア  

自力で移動できる無人兵器。おそらく核融合弾。機動時空爆雷と異なり平面宇宙航行機能は持たない。

フリーコヴ  

  • 星界軍第一蹂躙戦隊所属のコーヴ級襲撃艦。初代艦長はソバーシュ・ウェフ=ドール・ユース副百翔長。
    【組織】
     艦長 ソバーシュ・ウェフ=ドール・ユース副百翔長
     副長兼砲術士 イドリア十翔長
     航法士 エクリュア・ウェフ=トリュズ・ノール前衛翔士
     通信士 ヤテーシュ後衛翔士
     監督 グリンシア軍匠十翔長
     書記 ディレール主計前衛翔士
    【経歴】
     ・帝国暦958年 就役
     ・同年 練習艦隊に配属。慣熟航行
     ・同年 第一蹂躙戦隊に配属
     ・同年 ハイド門沖演習
     ・帝国暦959年 再編成
  • 双棘第二四艦隊突撃分艦隊ボスル第一蹂躙戦隊所属のコーヴ級襲撃艦。艦長はアブリアル・ネイ=ドゥブレスク・パリューニュ子爵・ラフィール副百翔長。1.が再編成されたもの。
    【組織】(編成時)
     艦長 アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・パリューニュ子爵・ラフィール副百翔長
     副長兼航法士 エクリュア・ウェフ=トリュズ・ノール十翔長
     砲術士 アルボフ前衛翔士
     通信士 ヤテーシュ後衛翔士
     監督 グリンシア軍匠十翔長
     ┗軍匠従士 エイドリアン
     書記 リン・スューヌ=ロク・ハイド伯爵・ジント主計前衛翔士
     伝令 グノムボシュ列翼翔士
        (不死鳥作戦時)
     艦長代理兼航法士 エクリュア・ウェフ=トリュズ・ノール十翔長
     砲術士 アルボフ前衛翔士
     通信士 ヤテーシュ後衛翔士
     監督 グリンシア軍匠十翔長
     書記 主計列翼翔士
    【経歴】
     ・帝国暦959年 再編成
     ・同年 双棘第24艦隊突撃分艦隊ボスル第一蹂躙戦隊へ配属
     ・同年 ケマル門沖の戦い
     ・同年 ケマル門制圧戦
     ・同年 ケマル星系建艦廠群撃滅戦

遷都計画官フリフキア・アロク  

遷都計画の策定を担当する皇帝直属の官僚。皇帝の前に出るのは、年に一度、その時点での計画を報告する時だけで、多分に儀式的な意味が強い。実際の遷都の際は遷都先へ向かい、そこで指揮を執る。3人の遷都計画官補のほか、大勢の部下を持つ。959年当時はスーズリュア・ボルジュ=ゴシュル・ソート。

アーヴによる人類帝国フリューバル・グレール・ゴル・バーリ  Frybarec Gloer Gor Bari

1500以上の有人星系(半数以上はアーヴが開発した星系)と20000以上の半有人星系を支配する汎星系国家。略してアーヴ帝国バール・フリューバル帝国フリューバルとも呼ばれる。帝都はアブリアル伯国のラクファカール。元首は皇帝。国章は八頸竜。国歌は「我ら、ともに永遠を抱かん」。
妙な露悪趣味があり、地上の民には無慈悲と見られたがっているようだが、内乱には遠慮なく介入する。空間、恒星、無人惑星はおしなべてアーヴのものという方針を採っている。
【人口】
 アーヴ2500万人、国民約10億人、領民9000億人。
 帝国創建時はアーヴ27万2904人。(当時の人類の人口は1000億以上)
【組織】
 皇帝を頂点とする帝政+貴族制。理念なく存立し、多様な人類社会をアーヴによって統合することにのみ専念する。そのため地上のことには干渉しないのが原則で、星系政府に要求するのは惑星間航行が可能な宇宙船の建造禁止と帝国星界軍の募集事務所の設置のみで、これを超えた要求を領民政府は拒否できる。臣民に対しても忠誠を期待することはしない。
 官僚府も存在するが、そこに属する官僚のほとんどは地上世界出身者。
【外交】
 他国と外交官を交換し、外交官特権を尊重しているが、外交自体は全く重視していない。
 戦争においては情容赦なく、自身が滅亡するか、敵国の星間航行能力を奪い、星系単位で帝国に編入する以外に決着の方法はない。その苛烈さのため、皇帝2人と皇太子7人を含む多くの帝国の貴顕が戦死している。
 もっとも、星間国家でない限り帝国の大切な領土として扱うので、無意味に荒廃することを嫌う。そのため星間航行能力を失った星系の空間を封鎖するなどして降伏させ、降伏せずに飢餓が始まった場合も貸付などを行い援助するのが普通。
 やられたら10倍にしてやり返す、というのが行動原理。いかなる脅迫にも屈することなく、脅迫した者はそのほとんどが死に、生き延びても不幸な人生を送ることになる。
【経済】
 通貨単位はスカール。
【産業】
 他国船が領内星系に立ち入ることを禁じているが、七つの貿易港を指定して経済交流は行っている。
【言語】
 公用語はアーヴ標準語。文字はアース。
【文化】
 「アーヴ」の項を参照。
【単位系】
 地球以来のCGS単位系。標準年=365日、標準日=24時間、標準時間=60分、標準分=60秒。
 長さの基本単位はダージュ(=cm)、質量の基本単位はボー(=g)。この基本単位系に倍数を表す接頭辞をつけて用いる。以下参照。

規模接頭辞長さ質量
1020ドリアル1000兆km100兆t
10161000億km100億t
1012ゼサ1000万km100万t
1081000km100t
104ウェス100m10kg
1
1cm1g
10-4シェス1μm(=1000分の1mm)0.1mg
10-8ソワフ1Å(オングストローム)0.01μg
10-12コス10Y(ユカワ)
10-16ペタ0.001Y

 もっとも、光秒(=約300セダージュ)、光年(=約95トダージュ)などの単位も利用するので、ゼサダージュ以上の単位はあまり使わない。また、プランク長とプランク重(プランク定数h=6.6261×10-34を基礎にする単位)を基本とした微小単位系もある。
 平面宇宙では特殊な長さ単位が使われる。天浬ケドレル(1セボーの質量で、完全移動状態をとる時空泡が1秒間に進む距離)と天節ディグル(時空泡内時間で1時間に1天浬進める速度)である。
【歴史】
 帝国建設に乗り出すにあたり、その根幹が最初に置かれた分野は交易であった。
 最初に大きな権益を得たのは船長職を世襲していたアブリアル一族である。アブリアルの長が皇帝となり、全ての平面宇宙航行船を所有することになった。さらに、8つの門も独占し、その利用に使用料を科した。
 ・帝国暦前1200年くらい 原アーヴ誕生
 ・帝国暦前1173年(離脱暦1年) 独立を宣言。
 ・時期不明 探査船を近くの恒星系につけ、都市船に改造
 ・時期不明 アース成立
 ・帝国歴前973年頃 母都市を滅ぼす。大放浪時代に
 ・帝国暦前157年 「複合時空のエネルギー平衡についてのタリスマン図」入手
 ・帝国暦前120年頃 公的記録の一部破棄に伴うカリュー氏の反抗(後世には都市船アブリアルの事故として伝わっている)。航行日誌を消失
 ・帝国暦前98年 ビボースが平面宇宙航行理論を完成。船王に報告
 ・時期不明 マアト・カー・ラーと接触
 ・帝国暦前52年 一星系に投錨、門を開く実験の開始
 ・帝国暦前19年 門を開くことに成功
 ・帝国暦前3年 最初の平面宇宙航行船セルドーが門をくぐり、帰還
 ・帝国暦前2年 平面宇宙側から門を開くことに成功
 ・帝国暦1年 建国帝ドゥネーが帝国の創建と帝国暦開始を宣言。帝国時代に
 ・同年 初代皇帝即位式。国章が八頸竜に
 ・時期不明 3つの星系を征服。3つの主要氏族(恐らくエスレル、ニューシュ、スポール)の長が領主として封じられる
 ・帝国暦42年(以下2項との前後関係は不明) 3人の地上人がアーヴに
 ・時期不明 5つ目の星系を征服
 ・時期不明 平面宇宙の先客に気付く
 ・帝国暦645年頃 ヤクティア戦役
 ・帝国暦685年頃 太陽系に近い門の発見
 ・帝国暦750年頃 星界軍における最後の乗員反乱勃発
 ・帝国暦812年 セクティア連邦併合
 ・帝国暦852年より前 シャシャイン戦役
 ・帝国暦905年 カミンテール戦役終結
 ・帝国暦940年 対帝国軍事組織、四ヵ国連合結成
 ・帝国暦945年 流砂作戦
 ・帝国暦952年 ゴースロス襲撃事件
 ・同年 スファグノーフ侯国、人類統合体により占領
 ・同年 四ヵ国連合と開戦
 ・同年 スファグノーフ門沖会戦で勝利。スファグノーフ侯国再占領
 ・同年 ラクファカール防衛戦に辛勝
 ・同年 イリーシュ王国の3分の2、三ヵ国連合により占領
 ・同年 スカレーシュ門沖会戦
 ・帝国暦955年 幻炎作戦
 ・帝国暦956年 狩人作戦
 ・帝国暦956年 淡雪作戦
 ・帝国暦959年 双棘作戦
 ・同年 雪晶作戦
 ・同年 ハニア連邦がクリューヴ王国に侵攻
 ・同年 第2次ラクファカール防衛戦。ラクファカール・セラに遷都。ラクファカール陥落
疑問:マアト・カー・ラーとの接触時に100万近くいたアーヴが帝国創建時には30万以下になったのはなぜ?
 ・アメニイの推定違い

三ヵ国連合ブルーヴォス・ビス・スュン  

四ヵ国連合のうち、ハニア連邦を除く3ヵ国のこと。ハニア連邦は帝国との開戦後、中立を宣言して帝都強襲にも加わらなかったため、その後はこの名で呼ばれるようになった。

分析官  

平面宇宙図から戦況を読み取り分析する軍士。

反物質燃料ベージュ/燃料ベーシュ  baich

※アーヴ語はベージュからベーシュへ変更されたものと思われるので、反物質燃料ベーシュ/燃料ベーシュ/反物質燃料ベージュへ移行。

侍従ベイケブリア  

帝宮、王宮等に仕える召使。遺伝的なアーヴである必要はないが、精神的には生粋のアーヴでなければならない。

反物質燃料ベーシュ/燃料ベーシュ/反物質燃料ベージュ  baich

対消滅機関を動かすための燃料。

パリューニュ子爵領ベールスコル・パリュン  

クリューヴ王国に属する、黄色い恒星パリューニュと7つの惑星からなる無人星系。第二惑星は可住化惑星だが、どの惑星にも微生物すらいない。探査を担当したのが花好きの男だったので、薔薇の国を意味するこのような名前がつけられた。
ラフィールは、将来名前に相応しく第二惑星の一面に薔薇を咲かせようと思っている。

第三種緊急召集ベソス・レカ・ソーサ・ビーナ  

皇帝が自らを補佐する官僚や軍士を召集するために発動する召集命令。

連絡艇ペリア  pairriac

  • 大型艦等に搭載されている小型艦載艇。平面宇宙航行用の操舵装置と通常空間航行用の制御籠手の両方を用いて操舵する。艦隊旗艦には六隻搭載される。
    【外観】
     操舵室、気閘室、洗面所、仮眠室あり。内壁は乳白色。座席下には物入れがある。
     非武装。
    【特殊機能】
     平面宇宙航行機能を備えており、時空泡間の通信や乗員の緊急脱出などに用いられる。
     自動操縦機能あり。
     補給は埠頭補給が普通だが、燃料槽からの直接補給も可。
     管制の協力なしに離陸できるよう、着床脚の切り離しも可。
     着陸機能はなく、緊急着陸時には船体を切り離すしかない。その後、残った着陸莢部分の上部に4枚の羽が出現し、減速する。
  • ソーフ級戦列艦に搭載されている1.。艦載艇で唯一、平面宇宙航行機能を有する。定員2名。防御磁場を展開できる。

ベリュア・ウェフ=ベル・ギュー  

アーヴ。7歳の時、祖父と遺伝子提供者の女性と共に忘れじの広間を訪れ、父の名が掘られた石柱を見た時のことを回顧録に綴っている。

ベルソート  

959年当時のカイソーフ艦長。階級は百翔長。翔士全員で食事をとるという習慣を発案し、部下に押し付けている。戦隊司令官になるのが目標。帝国創設以前にスポールと別れた一族の出身。
【容姿】
 藍鉄色の髪。
【性格】
 優柔不断。

ベルポウコス  

アーヴの伝統的な運動競技。装備や競技場使用料が高いのであまり一般的ではないが、熱狂的な愛好家も多い。アーヴでなければ競技することがほとんど不可能なので、地上世界では全く人気がないという以前に知られていない。
チームは8人一組。0.27標準重力の競技場で行う。肩胛骨でコントロールする人工翼で空中を飛び、落下してくる球を競技杖を用いて相手の陣地に打ちこめば勝ち。これを何度か(普通は3点先取)繰り返して勝負を決する。
端末腕環は使用禁止。代わりに審判からの指示を伝えるための通信機を装着する。競技杖による相手の肉体への攻撃も認められている。身体が地面に触れると失格で、次の回まで試合に参加できなくなる。

防衛型駆逐宇宙艦  

四ヵ国連合の軍艦。護衛艦級。

機雷ホクサス  

時空泡発生機関と対消滅機関を備える無人兵器。正式名称は機動時空爆雷。通常宇宙、平面宇宙問わず移動でき、対消滅による爆発で攻撃目標を破壊する。
反物質をいつも搭載していては保守上の危険があるため、使用の度に燃料を磁気閉込容器に供給する。
一旦艦外に射出すると回収がほとんど不可能になるため、帝国軍では射出に関して細かい規定を設けている。
突撃艦級なら2基差し向けることでほぼ確実に葬ることが可能。巡察艦級でも直撃すれば甚大な損害を被る。

機雷ホクサス母艦  

四ヵ国連合の軍艦。戦列艦級。近接戦闘能力はほとんどない。

艇指揮ポノワス/艇長ポノワス  

小型艇の最上級指揮官。連絡艇や短艇の場合、最終点検を自ら行う義務がある。

ボルクテル  

雪晶第五艦隊に所属する輸送艦。

ま行

ミュス・セトゥーシュ  

  • 近衛艦隊に属する近衛分艦隊の一つ。
  • 959年に編成された1.。クリューヴ門沖会戦で壊滅した。

や行

移動壇ヤーズリア  

室内移動用の機械。機械の運搬などにも用いられる。人間用のものは、利用者が目的地を入力するだけで使用でき、速度も調節できる。

ヤテーシュ  

フリーコヴの初代通信士。階級は後衛翔士。夢は男爵に叙爵されること。959年に前衛翔士に緊急昇進した。

打撃分艦隊ヤドビュール・ヴォートゥト  

打撃戦隊を中心とする分艦隊。通常空間での火力が貧弱なため、普通は単独行動せず、突撃分艦隊や偵察分艦隊などと組み合わせてより大きな艦隊を形成するのが一般的。

ヨードカウ  

近衛艦隊所属の巡察艦。おそらく近衛分艦隊ヴォー・セトゥーシュないしミュス・セトゥーシュ所属。クリューヴ門沖会戦で大破し、放棄された。

想人ヨーフ  

想人レー/想人ヨーフ

ら行

クリューヴ門沖会戦ライシャカル・ウェク・ソーダル・クリュブ  

959年にクリューヴ門沖で行われた、近衛艦隊(8個分艦隊)と四ヵ国連合艦隊(200個分艦隊相当以上。人類統合体平和維持軍が約8割、人民主権星系連合体と拡大アルコント共和国が約1割ずつ、ハニア連邦が2隻)との会戦。
圧倒的な戦力差をもって四ヵ国連合軍が勝利したが、不死鳥作戦のための時間を稼ぐという帝国軍の戦略目標は達成された。

サルクス門沖会戦ライシャカル・ウェク・ソーダル・サルクス  

956年にサルクス門沖で行われた、狩人第二一艦隊(43個分艦隊)と人類統合体平和維持軍サライ方面艦隊(推定戦闘力は狩人第二一艦隊の半分以下)との会戦。戦闘開始前にサライ方面艦隊が降伏し、星界軍の勝利で終結した。

無名酒保街ラクネーヴ・ダダナ  

機動酒保街のうち、まだ名前が付けられていないもの。

ラクファカール  

アブリアル伯国にある、アーヴによる人類帝国の帝都で、人類社会最大の都市。さしわたし300セダージュ(=30万km)とかなり巨大で、そのため人口密度が人類宇宙の都市で最も低い。おおむね鎌のような形状をして、恒星アブリアルから6ゼサダージュ(=6000万km)の軌道をめぐっている。
一つの惑星ではなく、帝宮、王宮、諸侯の帝都城館、士族や国民の集合邸宅、空間庭園、商店館、星界軍施設、建艦厰といった人口惑星の集合体。それぞれがある程度機動力を有し、自動的に衝突を回避している。そのため市内を軍艦や大型船で高速移動することはできず、急ぐ時は小型の交通艇が用いられている。帝国では星間船を建造する能力のある施設はここにしかない。
豊かな貴族は帝都にとどまっている限り、年に一度は饗宴を催すのを義務と心得、さほど豊かでないものも費用を出し合って饗宴を開いているので、毎日のようにどこかで饗宴が開かれている。
アーヴの都、混沌の都、竜の頸の付け根、八門の都、帝国の揺籃、陥ちざるもの、愛の都、故郷とも呼ばれる。
不死鳥作戦時には、高加速を長時間維持できない大半の建造物は可能な限り武装してその場所に留まり、帝宮を含め高機動力を有する建造物はクリューヴ門とバルケー門の間に布陣して、第2次ラクファカール防衛戦に加わった。四ヵ国連合艦隊侵入後は帝国の乳房と共に自爆し、艦隊に多大な犠牲を強いて消滅した。

ラクファカール・セラ  

959年の不死鳥作戦で、ソトリュール鎮守府に設置された臨時帝都。同一軌道上にあるソトリュール門と惑星サトネージュの間に形成された軌道都市。

星界軍ラブール  laburec

帝国の正規軍。帝国星界軍とも。帝国の軍事力を担うと同時に、平時には政治、行政の大部分を動かす、帝国そのものともいえる組織。
飛翔科と特殊兵科である主計科、空挺科、軍医科、技術科、警衛科、法務科、看護科、軍匠科、造兵科、造船科、造機科、光子科、航路科、軍楽科の15科、および掌兵科や薬剤科などの術科から成る。
現在の艦艇数は、突撃艦以上の戦闘艦だけでも約7万8000。構成人員は約1330万人。そのうち空挺科が最大で1000万人いるが、そのほとんどは地上世界出身者。
階級のみによって上下関係が律せられ、宮中序列を持ち込むことは許されていない。
募集は主に地上の募集事務所でなされ、領民は自由意思により従軍できる。徴兵がされることはないが、他人の従軍意思を妨害する行為は禁じられている。退役も基本的には自由。
確たる理由もなく他者へ戦闘を挑む無法者はおらず、戦不戦の選択権を握った時に、確実に勝てない戦いを始めるものもいない、というのが公式見解。非戦闘員を戦闘に巻き込むことを嫌う。
演習や戦闘の後の饗宴では羽目を外す、部下を選ぶことができる、などの伝統がある。
やる気がない翔士を排除し、指揮官の部下掌握能力を把握するため、部下の転属願いを上司が握りつぶすことは出来ない。転属願いは人事局で処理されることになる。
従士・翔士には給料が支払われ、退役時には恩給も出る。ただし皇族や領地を持つ翔士は無給。
星間船を住居とみなすアーヴが中心となって構成されているため、平時は戦列艦、輸送艦についてのみ育児をしながらの勤務も認められている。
部隊が孤立した場合はその場の最高指揮官が皇帝陛下の名代として指揮を執る。
自分たちのやり方に拘るため、他人が造ったものを兵站系に組み込むことはない。
【歴史】
 帝国創設前後の主力は一人から三人くらいが乗りこんだ高機動ユニットであり、その操縦士兼指揮士を翔士と呼んだ。当時は四機で菱形に並ぶ編成が基本であり、先頭に位置する指揮官が前衛翔士、後尾を固める次席指揮官が後衛翔士、左右の操縦士が列翼翔士と呼ばれていた。この編隊は二機ずつに分かれることもあったが、その場合は前衛・後衛翔士がそれぞれ一人の列翼翔士を率いた。
 さらに、この編隊二つに指揮官ユニットとその同僚機を加えた10機がより上級の戦闘ユニットを作ったので、指揮官は十翔長と呼ばれた。
 都市船アブリアルがアーヴの領土の全てであったときには、戦闘ユニットは全部合わせて100~200機ほどであった。そのため、やや不正確ながら総指揮官を百翔長と呼び、その補佐役として数人の副百翔長が置かれていた。
 やがて、星界軍の膨張に従い、より上級の階級として千翔長が設置された。この頃になると機数と階級の関係はあいまいになってくる。
 帝国創設後、アーヴは数隻の母艦を運用するようになり、統率者として提督が任命された。
 帝国の膨張と共に母艦も増え、提督の補佐として分艦隊を率いる准提督が置かれるようになった。
 そのうち、宇宙船技術の進歩により高機動ユニットは廃れ、大型艦艇が主力化、大砲巨艦主義の実現を迎えるに従い、百翔長以下の呼称は完全に階級名となり、職責との関係を喪失した。
 帝国の膨張がさらに続き、複数の艦隊が組織されるようになると、より上位の階級が必要となり、大提督、元帥が置かれた。
 同時期、星界軍では十分に対応できない地上戦のために地上軍が置かれることになる。それまでの元帥は星界軍元帥となり、地上軍の統率者として地上軍元帥が置かれた。そして、その両者の上位者として帝国元帥が置かれる。
 しかし、地上軍が中心となり、帝国史上最大の反乱「ジムリュアの乱」が発生。帝国は苦労して鎮圧した後、直ちに地上軍を解体した。これ以降、地上軍は空挺科となり、一兵科として各鎮守府や艦隊に所属することになった。
 地上軍元帥の職分は廃止されたが、空挺元帥という階級は残り、星界軍元帥もまた階級として残る。さらに、各科の地位向上に伴って、主計元帥、軍医元帥、技術元帥などの階級が登場し、現在に至っている。

王子ラルソ/王子ラルトソー  

王の息子。

王子ラルトソー/王子ラルソ  

※アーヴ語はラルトソーからラルソへ変更されたものと思われるので、王子ラルソ/王子ラルトソーへ移行

王宮ラルベイ  

八王家がそれぞれアブリアル伯国に有する軌道城館。多くの人工惑星を引き連れて、各王家の管理する門の近くで恒星アブリアルを巡っている。元々要塞としての機能と役割が与えられている。

クリューヴ王宮ラルベイ・クリュブ  Lartbéïc Crybr

クリューヴ王家の王宮。恒星アブリアルを巡る軌道上にある人口惑星。帝都とはやや距離があり、再接近時でも星系内航行船で2日程度かかる。5万人が生活できる空間があり、現在の人口は1万人ほど。四季の苑があり、生態系や気温がそれぞれの季節に合わせて調整されている。猫たちの餐堂、庭園形式の食堂、森林の間もある。外壁は壮麗に飾り付けられ、アーヴ達の視覚と空識覚を楽しませている。
第2次ラクファカール防衛戦では要塞化され、クリューヴ王宮要塞となった。

クリューヴ王宮要塞ラルベイ・クリュブ・ヘカ  

第2次ラクファカール防衛戦のため、要塞化されたクリューヴ王宮。指揮官は、帝都防衛団クリューヴ王宮要塞司令長官アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・上皇・ラメーム。四ヵ国連合軍の攻撃により爆散した。
【組織】
 司令部
  ┣司令長官 アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・上皇・ラメーム
  ┗参謀長
   ┣通信参謀 (男爵)
   ┗探査参謀
 クリューヴ王宮要塞
 ┗付属守備隊 3個
  ┗王宮要塞付属機動要塞 数百
   ┣第一九号要塞
   ┗第四二六号要塞

バルケー王宮ラルベイ・バルケール  

バルケー王家の王宮。アブリアル伯国のバルケー門に寄り添うように位置する。
不死鳥作戦時は要塞化されたが、不死鳥第六艦隊脱出後に放棄され、四ヵ国連合艦隊がバルケー門に近づくのに合わせて自爆した。

第一九号要塞リュール・キュトソクナ  

帝都防衛団クリューヴ王宮要塞付属守備隊に所属する機動要塞。元々はクリューヴ王宮に付属する倉庫の一つだったが、不死鳥作戦時に電磁投射砲が据えられて要塞化された。第2次ラクファカール防衛戦で全弾撃ち尽くし、要員が脱出した後に敵艦に体当たりを仕掛けたが、撃破された。

第四二六号要塞リュール・ゴマスブナ  

帝都防衛団クリューヴ王宮要塞付属守備隊に所属する機動要塞。第2次ラクファカール防衛戦で機雷の直撃を受けて爆散し、要員は防衛戦における最初の犠牲者となった。

リュト・セトゥーシュ  

  • 近衛艦隊に属する近衛分艦隊の一つ。
  • 959年に編成された1.。クリューヴ門沖会戦で壊滅した。

白椿リュルスペシュ  

勅禁湯殿の一つ。一面が雪に覆われており、望めば雪を降らせることもできる。

リン・スューヌ=ロク・ハイド伯爵ドリュー・ハイダル・ジント  Linn ssynec raucr dreuc haïder Ghintec

本編の主人公。ロック・リンと鉱山技師だった母の間に生まれた地上人男性。マルティーニュ語、デルクトゥー語、アーヴ語、リクパルを話せる。射撃は全くダメ。軍籍番号は21-17-839951(958年当時)。
【容姿】
 茶髪。典型的な都市の青年。どことなく頼りなさそうでひよわな感じ。
【性格】
 素直。気が弱い。信条は「人間関係ははじめが肝腎」。代々の長老派基督教会の信徒だが神は信じていない。
【嗜好】
 子供時代はメロン・オー・シューが好きだった。
【経歴】
 ・帝国暦935年(着陸暦164年)(0歳) 誕生
 ・帝国暦945年(着陸暦172年第1季84日)(10歳) 父の叙爵によりハイド伯爵公子に
 ・同年(10歳) デルクトゥー留学。アーヴ言語文化学院入学
 ・帝国暦952年(17歳) アーヴ言語文化学院卒業
 ・同年(17歳) 主計修技館入学
 ・帝国暦954年頃 父の死によりハイド伯爵に叙爵
 ・帝国暦955年(20歳) 主計修技館卒業。主計修技生に
 ・同年(20歳) 主計列翼翔士に叙任
 ・同年(20歳) バースロイル書記に着任
 ・同年(20歳) アプティック伯国領主副代行に着任
 ・同年(上記の半月後)(20歳) アプティック伯国領主副代行離任
 ・帝国暦956年頃 主計後衛翔士に昇進
 ・帝国暦956年(21歳) ロブナス伯国領主代行に着任
 ・同年 星界軍の休暇をとる
 ・帝国暦958年(23歳) マルティーニュ領民政府と条約締結
 ・帝国暦959年頃 休暇を終え、軍に復帰。主計前衛翔士に昇進
 ・帝国暦959年(24歳) フリーコヴ書記に着任
 ・同年 ガフトノーシュ・ドゥラド書記に着任
 ・同年 主計十翔長に緊急昇進

勅令作戦ルエ・クファゼート  

帝国軍が行う作戦のうち、重要性の高いもの。原則として帝宮で艦隊司令部の出征式が行われ、皇帝手ずから艦隊旗を司令長官に渡し、口頭で命令を伝達するならわし。

皇帝杖ルエグリュー  

皇帝が持つ杖。帝位、及び人類最大の軍事力を統率することの象徴。帝国宝物の一つで代々受け継がれてきたが、959年のクリューヴ門沖会戦でガフトノーシュが爆散した際に失われた。

帝宮ルエベイ  rüébéïc

ラクファカールにある、都市船アブリアルを改装した軌道宮殿ベイ。宰相府、統帥府、大使館など帝国中央の政治機能が集中されている。ラクファカールで唯一他国人が居住している場所でもある。数多くの湯殿があるが、そのうち36ヵ所は勅禁湯殿に指定されており、皇帝は自由に選んで入浴できる。
不死鳥作戦の際には、中心部の都市船アブリアルを残して分解された。

帝国宝物ルエ・ベサール  

帝国伝世の宝である翡翠の玉座と皇帝杖、忘れじの広間にある英雄芳名碑の総称。

帝国法ルエ・ラゼーム/帝国の法ルエ・ラゼーム  

帝国法。明文あり。領民は守る必要がないが、アーヴ、国民、領民政府は守る必要があり、違反すると帝都の法廷で裁かれる。また、領民といえどもアーヴが被害者になった場合はこれに基づいて裁かれる。貴族と帝国の関係については慣習によることが多く、載せられていないことが多い。また、問題のある法律をなかったことにすることもある。
作中で確認できる内容は以下の通り。
・アーヴの定義
・成人年齢の定義(20歳)
・貴族が家臣や領民を見捨てることの禁止
・アーヴの子弟に対する遺伝子調整義務
・人身売買禁止
・領民政府による帝国の関知しない移民の受け入れ禁止
・遺伝的なアーヴが領民になることの禁止
・艦艇強奪罪
・不敬罪
・誘拐罪(被害者が存命なら親告罪)
以下は明文法がない内容
・星間船の私有禁止

帝国の乳房ルエ・リポス  

恒星アブリアルを取り巻く人類宇宙最大の反物質燃料製造工場。グーハル大公爵家によって管理され、工場長はトリーシュ氏から任命される。現在でもトリーシュ氏により拡張が継続されている。幅500ウェスダージュ(=50km)の帯状の構造物が丸い籠のように恒星をくるみこみ、その上に縦方向に直線加速器が一対ずつ並んだ構造。製造した反物質燃料は、無人の燃料槽小惑星や機動燃料槽などによりラクファカールへ運搬される。
第2次ラクファカール防衛戦では四ヵ国連合艦隊による接収の対象となっていたが、その前に自爆した。

想人レー/想人ヨーフ  

想い人、恋人。結婚制度を持たない生まれながらのアーヴが用いる言葉。
※おそらく男性の場合は想人レー、女性の場合は想人ヨーフが用いられると思われる。

レクシュ・ウェフ=ローベル・グレーリア  

レクシュ・ウェフ=ローベル・プラキアの姪。不死鳥作戦の際に配置を失い、伝手をたどってラフィールの艦にやってきた。
【容姿】
 黝い髪。黄金色の虹彩。ラフィールと面差しがどことなく似ており、レクシュ・ウェフ=ローベル・プラキアとはとてもよく似ている。
【経歴】
 ・帝国暦959年頃 翔士修技生として近衛艦隊に配属
 ・帝国暦959年 不死鳥作戦に伴い、近衛艦隊を離任
 ・同年 列翼翔士に緊急昇進
 ・同年 ガフトノーシュ・ドゥラド通信士に着任
 ・同年 ガフトノーシュ・ドゥラド通信士を離任

レクシュ・ウェフ=ローベル・プラキア  Laicch üémh lobér Placïac

巡察艦ゴースロスの初代艦長。アーヴ女性。ドゥビュースのかつての想人でラフィールの遺伝子提供者。レクシュ・ウェフ=ローベル・グレーリアの叔母。星界軍の中でも優秀な翔士といわれている。
列翼翔士のときにドゥビュースに出会った。
ちなみにレクシュはローフに連なる家。
【容姿】
 眉と肩で切りそろえた青鈍色の髪。黄金を湛えたような虹彩に黒い瞳孔。青鈍色の眉。容貌はラフィールにどことなく似通っている。
【経歴】
 ・帝国暦936年 十翔長に昇進。突撃艦長に着任
 ・時期不明 百翔長に昇進
 ・帝国暦952年 ゴースロス艦長に着任。一等勲爵士に叙爵
 ・同年 人類統合体との交戦により乗艦爆散、戦死

巡察艦レスィー  Résic

通常空間戦における主力艦。操舵は航法士が担当するが、戦闘時は砲術士に委ねられることが多い。6隻で戦隊を組む。半個戦隊時空泡は鉄壁といわれる。
主戦兵器は電磁投射砲。凝集光砲と反陽子砲も搭載しているが、本来的には対機雷用で、突撃艦級ならともかく巡察艦級には太刀打ちできない。機雷も有するが、これは防御用のものではなく艦艇撃破のためのもの。
時空泡発生機関は艦橋の下に設置され、共通の球体壁で頑丈に守られている。
内部に余裕があるため、便乗者のために居住区が広くとられている。

レペス  

959年当時のガフトノーシュ艦長。階級は百翔長。クリューヴ門沖会戦で乗艦が爆散、戦死した。

遷都計画官補ロイフリフキア・アロク  

遷都計画官の部下。3人おり、そのうちの1人は筆頭遷都計画官補と呼ばれる。

建艦廠ロール  

宇宙船の建造を行う施設。帝国では、時空泡発生期間を製造できるのはラクファカールにある五大建艦廠(レスポー、ベートゥール、ヴォービノート、スュール、ゴクローシュ)のみ。
訓練甲板には建造する艦の模型があり、宿舎兼訓練施設になっている。

ヴォービノート建艦廠ロール・ヴォービノータル  

五大建艦廠の一つ。ソーフ級戦列艦などを担当する。

ゴクローシュ建艦廠ロール・ゴクロク  

五大建艦廠の一つ。

スュール建艦廠ロール・スューラル  

五大建艦廠の一つ。ガムフ級突撃艦やヘージュ級護衛艦などを担当する。

第7022特設工廠ロール・ディファカ・ダンボルマトマータ  

※アーヴ語が変更された可能性があるため、第7022特設工廠ロール・ディファカ・ダンボルマトマータ/第7022特設工廠ロール・ディファカ・ダンボルマスマタへ移行。

第7022特設工廠ロール・ディファカ・ダンボルマトマータ/第7022特設工廠ロール・ディファカ・ダンボルマスマタ  

ラクファカールの外れ、ベートゥール建艦廠の近くにある工廠。14(増設の余地あり)の船渠を束ね付属施設をつけたもの。

ベートゥール建艦廠ロール・ベートゥル  

五大建艦廠の一つ。いくつもの球が重なり、巨大な管を触手のようにうごめかせているように見える。ロース級巡察艦などを担当しており、955年頃からカウ級巡察艦の竣工に入った。コーヴ級襲撃艦も生産される予定。

レスポー建艦廠ロール・レスポール  

五大建艦廠の一つ。ロイル級突撃艦などを担当する。

ロク・セトゥーシュ  

  • 近衛艦隊に属する近衛分艦隊の一つ。
  • 959年に編成された1.。クリューヴ門沖会戦で壊滅した。

軌道要塞ロニード  

小惑星や退役軍艦などを改造した軍事要塞。通常宇宙側の門の側に設置されていることが多い。

近衛艦隊ロワボリア  

  • 帝都が戦場になりそうな時に皇帝が率いる直属部隊。平時には儀式に用いられることもある。司令長官は皇帝が、参謀長は軍令長官が兼ねる。伝令は置いていないが、実戦に臨む時には退役翔士が召集されて充足される。ヴォー・セトゥーシュ、コン・セトゥーシュ、スル・セトゥーシュ、ロク・セトゥーシュ、フェク・セトゥーシュ、リュト・セトゥーシュ、ドル・セトゥーシュ、ミュス・セトゥーシュの8個の近衛分艦隊で構成される。分艦隊名の全てにセトゥーシュが付くため、雷たちセトゥークラシュの別名で呼ばれる。
  • 959年に帝都防衛のため召集された1.。司令長官はアブリアル・ネイ=ドゥブレスク・アブリアル伯爵・ラマージュ。旗艦は星界軍総旗艦ガフトノーシュ。
    【組織】
     司令部
     ┣司令長官 アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・アブリアル伯爵・ラマージュ
     ┃┗司令部直属 近衛阻塞戦隊 6個
     ┗参謀長 ファラムンシュ・ウェフ=ルサム・ラザス帝国元帥
      ┣探査参謀
      ┗航法参謀
     旗艦 巡察艦 ガフトノーシュ
     ┣直轄艦 巡察艦 バイカウ
     ┗直轄艦 巡察艦 オートカウ
     近衛分艦隊 ヴォー・セトゥーシュ
     近衛分艦隊 コン・セトゥーシュ
     近衛分艦隊 スル・セトゥーシュ
     近衛分艦隊 ロク・セトゥーシュ
     近衛分艦隊 フェク・セトゥーシュ
     近衛分艦隊 リュト・セトゥーシュ
     近衛分艦隊 ドル・セトゥーシュ
     近衛分艦隊 ミュス・セトゥーシュ
    【歴史】
     ・帝国暦959年 編成
     ・同年 クリューヴ門沖会戦で壊滅

わ行

艦載艇整備班長ワス・ポネール  

艦載艇の整備を担当している従士達の長。

忘れじの広間  

忘れじの広間グレーシュ・フローネタラ

謁見の広間ワベス・ベゾーロト  

帝宮の都市船アブリアル部分にある広間。かつては皇帝が日常的な執務に用いていたが、時代と共に格が上がり、現在では重要で神聖な儀式や国事にしか使用されない。天井には梁がいくつも渡されているが、それが支えるべき屋根はなく、代わりに散乱面を通して恒星アブリアルと青空が見える。梁からは領主の紋章旗が下がっている。床は黒大理石。八王家の紋章旗に取り囲まれた、ひときわ大きな帝国旗を背にして、翡翠の玉座が置かれている。玉座を見上げる位置には白い絨毯が敷かれている。
第2次ラクファカール防衛戦時には帝都防衛団司令部が置かれた。

飛燕草の広間ワベス・リゼル  

帝宮にある、儀式や皇帝の日常的な執務を行うための広間。飛燕草が花を咲かせている。中央には人が歩き回れるよう黒大理石の石畳になった部分があり、渦状銀河が銀で象眼してある。その一方は壇になり、四隅に八頸竜をあしらう柱で囲まれている。壇上には皇帝用の椅子が置かれている。

千日紅の広間ワベス・リホン  

クリューヴ王宮にある、クリューヴ王の執務室の一つ。謁見などに用いられる。
第2次ラクファカール防衛戦時には、クリューヴ王宮要塞の戦闘指揮所として用いられた。

英数

備考

  • 「謁見の広間」のルビ「ベローゾト」は「ベゾーロト」の誤植と思われるが、複数回登場するため見出し語に挙げた。
    →Kindle版で修正されたため、見出し語から削除する。
  • ラマージュが帝位を継いだのは、ドゥビュースが王位を継いだ936年頃と思われるが、断定するだけの資料がないので記載していない。即位式にラフィールが参列した記憶があること、ドゥヒールが最初の公務に出たのが5歳の時であることなどから、ラフィールが4歳の940年とも思われる。
  • 「柑橘茶」(p.42)のルビは「ソイ・ラシュパン」となっているが、「ソイ・ラシュバン」の誤植である可能性が高い。「柑橘果汁」が「テュール・ラシュバン」のため。
  • これまで「建艦廠」には俗字の「厰」が用いられていたが、正式な文字である「廠」が用いられるようになった(厳密には断章II「着任」から)。工廠は最初から「廠」だったので、統一したものと思われる。表記の違いであるので、過去のものも含め見出し語そのものを修正した。
  • 「ソトリュール鎮守府」(p.52)のルビ「シュテゥーム」は見出し語に挙げていない。p.53以降「シュテューム」のルビが振られているため誤植で間違いないと思われる。
    →Kindle版で修正された。
  • 「ダクフォート」(p.81)はダクフォーの誤植と思われるので見出し語に挙げていない。
  • 「想人」(p.109)について、ヨーフの語源は「いも(妹)」でほぼ確定、レーの語源はおそらく「せ(背)」だと思われるので、おそらく男性の場合はレー、女性の場合はヨーフなのではないかと推測しており、説明文にもそう記載した。
  • 四ヵ国連合と帝都防衛団の戦闘には名称が付いていないため、やや不正確ながら第2次ラクファカール防衛戦(あくまで仮称)とした(952年に発生したものがラクファカール防衛戦と命名されているため)。不死鳥作戦、第2次ラクファカール防衛戦、クリューヴ門沖会戦の関係性についてはもう少し検討の余地あり。不死鳥艦隊と近衛艦隊に上下関係はなく(ファラムンシュが不死鳥艦隊の指揮に預かれないと言っていることから近衛艦隊は不死鳥艦隊の指揮権はない。近衛艦隊司令長官は皇帝なので、不死鳥艦隊に近衛艦隊の指揮権もないと思われる)、近衛艦隊と帝都防衛団も上下関係はなく(ラマージュが帝都防衛団の召集をドゥサーニュではなくドゥスームに命じているし、ラメームも近衛艦隊に対し命令ではなく依頼の形を取っている)ことから考えると、三者には上下関係がなく、よってそれぞれの行った行動についても包含関係はないと考えるべきか。
  • クリューヴ門沖会戦と並行して、現役軍士が緊急昇進しているが(レペス艦長が巡察艦の艦長としては相当な百翔長だったことを考えると、近衛艦隊出陣後に緊急昇進したと思われる)、作中で個人名を挙げて明確に昇進したことが表現されている場合に限り経歴欄に加えた。なおこの時期を挟んで昇進している現役軍士は全て緊急昇進によるものとしている。
  • レクシュ・ウェフ=ローベル・グレーリアの登場に伴い、これまで説明文中では「レクシュ」とのみ記載してきた人物を「レクシュ・ウェフ=ローベル・プラキア」に変更する予定。
  • 翡翠の玉座と皇帝杖は伝世の帝国宝物とのことだが、過去に皇帝2人が戦死した際はどうなったのかが疑問。
  • 「フェブダーシュ男爵家帝都城館」(p.179)は、他家の帝都城館の表記から考えて、「フェブダーシュ男爵帝都城館」の誤植と思われるが、複数回登場するため見出し語に挙げた。
  • 「守備隊」(p.203)の「スゥーフ・ボレール」は、その他の場所では「スューフ・ボレール」のルビが振られているため誤植で間違いないと思われる。。なお「守備隊」自体は特筆すべきことがないため、現時点では見出し語には挙げていない。
    →Kindle版で修正された。
  • 「サルクス門沖会戦」は今回の更新範囲には含まれていないが、登録忘れが判明したため追加した。
  • スルーフの戦死は確認されていないが、状況的に戦死と判断し、説明文にもそう記載した。
  • コトポニーの宮中序列は帝国公爵(戦旗IV p.126)だったはずだが、帝国侯爵になっている(戦旗V p.271)。帝国公爵のルビが「ルエ・クレール」と誤植になっている(正しくは「ルエ・レークル」)こと、帝国公爵(一代貴族の最高位)に叙爵されるほどの活躍が描かれていないことなどを考え、帝国公爵は誤植であったと判断して、経歴欄から抹消した。
  • ドゥサーニュは皇帝に即位し、アブリアル伯爵を名乗るようになったと思われるが、直接的な表現がないこと、帝国がアブリアル伯国の支配を失っていることから、当面バルケー王と記載する。
  • 経歴欄の表現について表記を統一する予定。人間の場合、階級については「昇進」「降格」。ただし翔士修技生または最先任従士長から列翼翔士になった場合のみ「叙任」。宮中序列の場合は「叙爵」(新たに一代ないし世襲貴族に叙された場合)「昇爵」(一代ないし世襲貴族の爵位が上がった場合)。その他の役職については「着任」(ただし所属のみで役職が分からない場合は、「配属」を用いることがある)「離任」。艦船の場合は「配属」とする。