Crest Of
The Stars
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■ 星界の断章オーディオドラマCDブック追加分

 □ あ行
アーヴ
.皇族、貴族、士族の総称。
全部で2500万人ほど。そのうち大部分は士族で、貴族は20万人ほど。
子弟に対する遺伝子改造の義務を負う。
.ホモ・サピエンスから遺伝子改造によって生み出された変異人類。語源は「あま」であり、宇宙あるいは海の種族を意味する。
1.と区別するため「遺伝的な」「生まれながらの」アーヴ、とも呼ばれる。
地上人に対し自らについて語ることが少ないため、多くの誤解も生まれている。
【身体】
 青系統の髪。美形(アーヴにしては平凡、と言えば地上人でも1000人集めれば対抗できるくらい、という意味)で性別の区別がつきにくいことも多い。空識覚器官という独特の器官を有する。
 15歳くらいまでは人間と同じように加齢(成長)、それから25年ほどをかけて10歳分ほど外見が年をとる(成熟)。その後は死ぬまで老けない。
 しかし、脳細胞は再生しないため不死ではない。年をとるにしたがって眠る時間が長くなり、知性が破壊される前に脳の呼吸領野が機能停止することで死亡する。寿命は200〜250年。
 骨格と循環器系の特性によりかなりの高加速(20標準重力以上)にも耐えられる。
 例外なく絶対音感を持つ。
 27000箇所の塩基配列が指定されており、それにより先天性疾患の防止と、種としての同一性の保持を行っている。そのため、誕生から2000年近く経つ今でも基本的な遺伝子組成は変わっていない。
【出生】
 自然受胎出産は危険が伴う(2%程度の確率で重大な先天性疾患が発生する)ため、人工子宮で受胎・育成されるのが普通。したがって一卵性双生児は極めて珍しい。また、遺伝的な地上人との間で子供が生まれる可能性はほとんどなく、生まれたとしても先天的な欠陥を負っている。
 血縁ではなく家風を重視するため、遺伝子提供者の性別などにはこだわらないが(ただし動物を用いるのは禁止)、普通は自分と愛する者の遺伝子を掛け合わせる。
 子供に遺伝要素を教えられるのは親だけ。遺伝記録は公開されているが、未成年者の閲覧には親の許可を要するし、遺伝子提供者に確認することは失礼だとされている。
【性格】
 「アーヴ、その性、傲慢にして無謀」。
 自分の誇りを大事にする。
 人質を取られたとしても相手の要求を飲むことは決してない。
 誰が建造したものであれ空間にあるものは自分たちのものだという感覚があるが、地上世界の資源は地上の民のものだという認識があり、むやみに奪うことを嫌う。
 星界軍の艦艇に仲間と共に葬られることは最高の栄誉であると考えている者が多い。
 真摯に戦うことが、殺す相手への礼儀と考えている。
 戦時には乗員を艦の部品とみなす傾向がある。
【家族】
 恋は激しく短いものが多いので結婚という制度はない。
 したがって、親は一人しかおらず、親子の性別により父の娘フリューム・ローラン母の息子フルーク・サーランなどと呼ばれる。
 20歳になるか翔士に叙任されれば成人と認められる。また、翔士、交易者、親としての生き方を経験することで一人前だといわれる。
 他家の内部事情には関わらないのが常識。
【文化】
 自然な1日がない空間が生活の場であるため、時間帯によって挨拶を使い分ける習慣がない。
 宗教は持たず、霊の存在も解決済みの問題として否定しているが、何か不可知なものへの恐怖は心の奥底に残っている。また冗談の種にするくらいには心霊という概念に親しんでいる。宗教的なものを感じさせる行事も多い。
 弔いの晩餐など、独自の習慣も多い。
 武器携行の習慣はない。
【名前】
 アーヴの名前は以下の要素・順番で構成される。
 ・氏姓フィーズ
 ・姓称号サペーヌ
 ・初代当主の名(生格)。姓称号と合わせて家姓と呼ぶ。
 ・称号(貴族、皇族のみ)
 ・個人名
【教育】
 幼い頃の初等教育はもっぱら親が行い、家風の継承に勤めると共に、読み書き等を教える。軍士は休暇を取り、領地のある親は代官を雇うのが普通。
【衣服】
 性差がない。つなぎを着るのが普通で、他に貴族の正装としての長衣などがある。基本的に首の上と手首の先以外は露出しない。
【住居】
 たいてい人工環境の中にあり、屋外も屋内も区別がない。雨も好きな時間、好きな場所に降らせることが出来る。
【食生活】
 薄味を好む。料理の見た目にも最大限の注意を払うのが特徴。
 素材は肉(鶏肉、子羊肉など)、野菜(南瓜、玉蜀黍とうもろこしなど)、魚介類(貝、海亀、鱒、海老など)、小麦、果物(桃、柑橘類、梨など)、香辛料・調味料(醤油など)など。
 料理法は羹、碗物、吸い物、澄し汁ルベス、麭包み、香辛料煮込み、香味焼き、炙り肉アピュリル、生(野菜など)など。
 飲み物は珈琲、桃果汁、柑橘果汁、葡萄果汁、紅茶、緑茶、林檎酒、麦酒、発泡米酒、混合酒、蜜酒、林檎火酒、白酒など。血液中の主成分を片っ端から分解していくので、酒を飲んでもほろ酔いにとどまり、泥酔することはない。
【歴史】
 元々は軌道都市で都市予算の半分をつぎ込んで生み出された人工生命体。人の遺伝子改造によって作り出され、人と区別するために青い髪を与えられた。また、独自の思考は持たされているものの、宿命遺伝子により自由や独立といった概念は有さないように造られていた。
 最初に作られたのは30体、うち1体は訓練過程で失われたが、残りの29体は植民地開発のため可住化の可能性が高い外宇宙の星系に派遣された。彼ら29体は黎明の乗り手と呼ばれた。
 探査船は出発後しばらくしてユアノンを発見、捕獲に成功し、母船をユアノン推進に改造。無限の軌道を得た彼らは母都市との訣別を決意し、深宇宙で独立を宣言。 その後船を近くの恒星系につけ、母船であった探査船をより大きな都市船アブリアルに改造した。
 改装による居住区の拡張に伴い、急激な人口爆発が発生。一人の親から子供が生まれるという特異な家族形態から、人口が増えても各成員は極めて強固な先祖意識を捨てなかった。このような意識を共有する、同じ黎明の乗り手を先祖にいただくグループは氏族と呼ばれるようになった。
 都市船時代、職業訓練は徒弟制度によって行われた。多くの乗り手は自分の子供を徒弟にすることを望んだため、都市船内の部門は氏族と同義になった。また、自分の子供たちのうちもっとも優秀な者を選んで後任とするのが一般的だったため、各部門の長は実質的に世襲となり、黎明の乗り手の直系と認識されるようになった。
 各部門は基本的に平等だったが、船の航法をつかさどる航法氏族だけは別格で、その長は船王と呼ばれていた。彼らは帝国創建後、皇族を形成するようになる。
 やがて巨大な都市船を運用するようになったアーヴだが、母都市の派遣した懲罰隊を恐れて自衛するようになり、ついには自分たちの故郷である母都市を殲滅してしまう。しかし、空間に散逸する母都市の残骸を目にした彼らは、自分たちが故郷を愛していたことに気付き、母都市の文化の守護者として生きることを種族としての目的にする。また、母都市を滅ぼしたという罪を忘れないために、青い髪を遺伝子に刻み付けるようになる。同時に、自らをアーヴと名乗るようになり、以降宇宙をさすらう武装商人となる。
 大放浪時代のアーヴが主に扱うものは人類社会の情報であった。その時代、彼らは半径一光世紀に広がった人類社会をつなぐか細い、唯一の糸であった。同時に、都市船内部でもアーヴどうし、氏族単位の財産を交換することによる交易が行われていた。
 やがて交易により人類社会の科学の精髄を演習したアーヴは平面宇宙航行理論を確立。それによって可能になりうる恒星間戦争を防ぐためにその理論を武力で独占することを決定、帝国を創建した。
 詳しい歴史は→アーヴによる人類帝国フリューバル・グレール・ゴル・バーリ

アブリアル
.根源29氏族の一つ。主航法子の末裔。その名は巨大都市船アブリアルに基づく。語源は「天照アマテラス
【都市船時代】
 航法をつかさどる氏族。氏族長は船王として、アーヴを統べ、進路等の重要事項を決裁し、裁判を主催し、新しい仕事があれば担当する氏族を決めた。また、戦時には最高指揮官として采配を振るった。帝国創建以降は皇帝氏族となった。
【特徴】
 宗家以外の者はアブリアルの姓を名乗ることが許さない。
 帝国暦初期の頃には男系はキー、女系にはリューシュの姓が与えられていたこともあったが、いらぬ混乱の元としてそれぞれの家の初代が決めることになった。
 この一族に属する貴族は多く、諸侯だけでも100家を越える。
 短気で怒りっぽく、『逆鱗で魂をよろう』といわれる。反面怒りに任せてヒステリックに喚き散らしたり、暴力を振るうことは決してあってはならないと幼い頃からしつけられている。また皇帝になるかもしれないため、臣下に依怙贔屓する人物だという印象を与えないよう、誰かのために泣いたり、虚言したりすることは厳に戒められている。また不安のために泣くこともあり得ない。
 スポール一族とは伝統的に仲が悪い。帝国創立期前後にスポール一族が近くにいたことと関係があるのか、身近に苦手な人物がいないと落ち着けないという奇妙な性質も有する。
 軍士としてはきわめて優秀。率先して戦地に赴くのが伝統。
【宗家】
 八王家。
【家紋】
 八頸竜ガフトノーシュ。家により紋章旗の地色が異なる。
【家徴】
 アブリアルの耳ヌイ・アブリアルサルと呼ばれる上部が尖った耳。
.ユアノン推進の巨大都市船。幾度かの改装を経て、今は帝宮として使用されている。最高時で100万、現在でも20万人以上が生活している。人類の作り出した最大の建造物の一つ。ユアノンは8つの門となっていて、7つは中心領域、1つは第十二環に通じている。
 元々は母都市から送り出された探査船で、ユアノン推進に改装された際にこの名で呼ばれるようになった。探査船部分はそのままに残されており、その操舵室は聖墓、人工子宮保管室は始祖の間と呼ばれている。
.アブリアル伯国の中心からラクファカールを照らす恒星。帝国の乳房と呼ばれる人類宇宙最大の反物質燃料製造工場がある。

アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・アブリアル伯爵ドリュー・アブリアルサル・ラマージュ
アーヴによる人類帝国第27代皇帝。前クリューヴ王。ドゥビュース・ラムリューヌの母で100歳近い。孫娘のラフィールのことを気に入っている。
【容姿】
 長いはなだ色の髪。琥珀の色を帯びた眼に赤褐色の虹彩。ラフィールに良く似た美貌。象牙色の手。薄紅色を基調とした長衣。皇帝杖。

アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・ゲムファーズ伯爵ドリュー・ゲムファド・ラムリューヌ
ドゥビュースの妹で、ラフィールやドゥヒールの叔母。クリューヴ王宮で生まれ育った。黒猫を飼っている。
【容姿】
 縹色の髪。一際大きなアブリアルの耳。
【経歴】
・帝国暦952年 ゲムファーズ子爵領入植に伴い、伯爵に叙爵

アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・ゲムファーズ子爵ベール・ゲムファド・ラムリューヌ
→アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・ゲムファーズ伯爵ドリュー・ゲムファド・ラムリューヌ

慰留の儀
サロスへ行こうとするアーヴを皇帝自らが引き留める儀式。

 □ か行
八門ガー・ソード
アブリアル伯国が有する8つの門の総称。

クテス星系
有人惑星サロスを有する星系。通常宇宙経由ではアブリアル伯国から8.1光年の距離にある、最も近い星系。独自の門は有さず、最寄りの門はアブリアル伯国の八門。
門がないためどの勢力にも属しておらず、帝国の支配も及んでいない。
通常の星系内航行船で片道80年ほどかかる。

キュルティ
ドゥヒールが密航した船の乗員。アーヴ男性。

森林の間グレーシュ・カイス
クリューヴ王家にある、屋内に森林を再現した空間。

庭園筐コクトーニュ
地上世界の生態系を納めた箱。新興の諸侯が邦国の地上世界の一部を切り取り、皇帝へ献上するためなどに用いられる。

コシュコーグ
クリューヴ王家が所有する星系内航行船。退役した巡察艦で、ファーズ・ブレスカと同型艦。

 □ さ行
サロス
恒星クテスを巡る有人惑星。主産業は農業。帝国からの離脱を望むアーヴの移住先として用いられている。なお、離脱したアーヴが復帰することは禁じられていない。

爆雷格納甲板ソール・ホクサト
巡察艦に設置されている、機雷を収納する区画。

領民ソス
帝国の臣民のうち、アーヴと国民以外の者。952年現在で約9000億人。
領民政府によって庇護され、帝国とは直接の関係を有さない。国民と同格。
国内であれば自由に移住できるが、領民政府(移住元、移住先いずれも)の許可が必要。
帝国の臣民だが、帝国はその自覚を期待していない。
遺伝的なアーヴが領民になることは帝国の法で禁じられている。

 □ た行
ゲムファーズ伯国ドリュヒューニュ・ゲムファド
クリューヴ王国に属する星系。元は無人星系(子爵領)だったが、唯一の可住化惑星を可住化し、最初の入植者を迎えたことで、帝国暦952年に伯国になった。

 □ な行
 □ は行
ファーズ・ブレスカ
ラムリューヌが有する星系内航行船。退役した巡察艦で、コシュコーグと同型艦。

ゲムファーズ子爵領ベールスコル・ゲムファド
→ゲムファーズ伯国

ゲムファーズ子爵家ベリエ・ゲムファド
アブリアル氏に連なる一族。帝国暦952年当時の当主はラムリューヌ。
【紋章】
 八頸竜に波浪を組み合わせたもの。

星系内航行船ポーニュ/交通艇ポーニュ
平面宇宙航行機能を有さない宇宙船。対消滅推進式がほとんど。
星間物質の抵抗の関係で、技術的には0.1光速程度が加速限界とされている。

 □ ま行
御影石
火成岩の一種。地球ではありふれた石材だが、宇宙全体では自然にこれを産出する惑星はきわめて珍しい。人工的に合成することも可能。

ミスィー
ドゥヒールが密航した船の乗員。アーヴ女性。頭環を付けず、空識覚器官をむき出しにしている。

 □ や行
 □ ら行
クリューヴ王宮ラルベイ・クリュブ
クリューヴ王家の軌道城館。恒星アブリアルを巡る軌道上にある人口惑星。帝都とはやや距離があり、再接近時でも星系内航行船で2日程度かかる。5万人が生活できる空間があり、現在の人口は1万人ほど。四季の苑があり、生態系や気温がそれぞれの季節に合わせて調整されている。猫たちの餐堂、庭園形式の食堂、森林の間もある。

帝国法ルエ・ラゼーム/帝国の法ルエ・ラゼーム
帝国法。明文あり。領民は守る必要がないが、アーヴ、国民、領民政府は守る必要があり、違反すると帝都の法廷で裁かれる。また、領民といえどもアーヴが被害者になった場合はこれに基づいて裁かれる。貴族と帝国の関係については慣習によることが多く、載せられていないことが多い。また、問題のある法律をなかったことにすることもある。確認できる内容は以下の通り。
・アーヴの定義
・貴族が家臣や領民を見捨てることの禁止
・艦艇強奪罪
・人身売買禁止
・帝国の関知しない移民の受け入れ禁止
・不敬罪
・誘拐罪(被害者が存命なら親告罪)
・アーヴの子弟に対する遺伝子調整義務
・遺伝的なアーヴが領民になることの禁止
以下は載っていない内容
・星間船の私有禁止

帝国の乳房ルエ・リボス
アブリアル恒星を取り巻く人類宇宙最大の反物質燃料製造工場。グーハル大公爵家によって管理され、工場長はトリーシュ氏から任命される。現在でもトリーシュ氏により拡張が継続されている。製造した反物質燃料は、無人の燃料槽小惑星や機動燃料槽などによりラクファカールへ運搬される。

近衛隊ロンボレシュ
帝宮の警備の担当者。

 □ わ行