2011-08-11

銀の匙 Vol.1 感想

しばらく前に購入していたんですけど、なかなか感想が書けなかったので今日思い切って紹介します。

『鋼の錬金術師』の荒川弘先生の最新作、『銀の匙』です。北海道にある大蝦夷農業高等学校、通称エゾノーに進学したごく普通の少年、八軒勇吾を主人公に、農業高校を舞台に描かれる青春コメディです。正直ハガレンが面白かっただけに、月刊誌から週刊誌に移ってクオリティが下がらないか心配だったんですけど、要らぬ心配だったようです。さすが妊娠中も仕事をする漫画家、荒川先生(名前と自画像のせいで勘違いされやすいですけど、荒川先生は女性です)。そんなわけで個人的には、いまサンデーで最も続きが気になる漫画です。

荒川先生自身農家の出身で、その生活をおもしろおかしく描いた『百姓貴族 (WINGS COMICS)』も面白かったんですが、そのテイストが存分に生かされています。

見どころとしては、

  • 青春漫画としても熱い!基本的に同級生のメンツは、北海道という世界がそうさせるのか、農業という生業がそうさせるのか、とにかく真っ直ぐで気持ちいいです。そんななか確たる目標を持たない主人公が思い悩むんですけど、その悩みすら農業というスケールのでかさに呑み込まれていく感じ。その八軒がみんなを引っ張っていく、石窯編(2巻収録予定)は最も好きなエピソードです。
  • 食べ物が旨そう。良い漫画家は食べものをうまく描けるのです。読んだ瞬間卵かけご飯が食べたくなること請け合いです。
  • ハガレンでも培ったテンポのいいギャグも面白いです。
    八軒「3年間仲良くしような、豚丼(八軒がかわいい子豚に付けた名前)!」
    学生「ちわーっス。この前生まれた子豚、いつ頃ベーコンにしていいですか・?」
    教師「3ヶ月後だ」
    八軒 さよならぶたどん…
  • ハガレン同様おまけページも圧倒的充実ぶりなので、週刊誌派の人にもぜひ読んでもらいたいなぁ。

そんなわけで、健全な青春マンガが読みたい人、百姓貴族が大好きな人には間違いなくお勧めできます。

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コメント & トラックバック

 荒川先生が女性!し、知らなかった・・・。言われてみれば「産み出す」ことにおける自然への畏敬と人間の傲慢、その問題意識は女性的に見えますね。

名前が弘(ひろむ)で自画像が牛ですからね…。作品に登場する女性が、がっしりと自立した女性に描かれていることが多いのが、女性目線だなと感じます。男性だったらウィンリィとかもうちょっとヒロイン的な記号を付けていると思います。

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